9.
 七海は家に帰るなり、元気がなかった。やはり、俊介はどうだったんだろうということ
ばかりを考えていた。七海は夕飯を済まし、特にやることもないからお風呂に入ること
にした。お風呂に入るときも扉が七海よりも小さいので、体を曲げてお風呂に入った。
お風呂には水が満タンになっており、普段より水が透き通っている。考えてみれば今の
時間帯は7時だ。7時といえば面白いテレビ番組とかやっているたことを思い出した
七海であったが、ここまできて、引き返すのも面倒なのでそのままお風呂にすることに
した。足をゆっくりお湯につけ、熱すぎず、温すぎずない適度な温度だ。七海は両足を
お風呂につけるとゆっくりと腰を下ろすと
 
ザブゥ———、ジャバジャバ
っと勢いよくお湯がお風呂から溢れ出し、床にバシャバシャっと音をたてながらお湯が
流れ出た。一気にお湯が流れ出たので、あたりが真っ白になった。七海は流れていくの
を見た。
「うわ〜、凄い流れていったけどいいのかな?・・・そういえば、初めてかな〜お風呂
に入って、こんなにお風呂のお湯を出したのは〜」
お湯が流れるのを見届けると七海は一旦立ってみて、水深を見てみた。お風呂に入ってい
たお湯は半分以上まではなくなってはいなかったが、結構流れていってしまった。仕方
がないかっと七海は思い、腰を下ろしお風呂に入った。そこで、七海はただお風呂に
入っているのもつまらないので妄想をしてみた。しかし、いざ妄想してみようと
思っても、なかなか妄想するネタがない。
「俊介君を・・・ダメダメ!あれはもう、絶対しない!」
顔をブンブン横に振り顔の半分をお風呂の中に入れ、小さいころよくやったお風呂で
ブクブクと息を吹きかけ泡を作った。よくやったな〜と思いながら妄想するネタを
考えてみたが、やはりなかなかでてこないので最近七海自身に起きていることを
考えてみた。
「・・・やっぱり、身長が伸びたって事しかないよね〜」
はぁ、っとため息を付き、このまま体を綺麗サッパリして終わるのかなっと七海は
思った。
「身長が伸びた・・・」
七海はさっき自分で言ったことを繰り返してみた。『身長が伸びた』をベースに
考えてみることにした。おそらく、あのノートのチカラがまだ続くのであれば、まだ
身長は伸びるであろう。どのぐらい伸びた自分を妄想してみようか・・・。七海は
両手を組んで考えてみた。
 まず、このままいけばもしかすると、3mいくかもしれないなっと七海は思った。
が、
それだけではつまらない。七海は一旦、お湯から上がり、体を綺麗にすることを考えた。
鏡の前に座ると、鏡に映っている自分をみると、七海が座っている椅子が七海のお尻
よりも小さいことがわかった。さらに、胸も本当に大きくなったなっ思った。体を横
に揺らすと七海のおっぱいもブルンブルンを動いた。七海は思わず、おぉ〜っと声を
あげてしまった。七海は両手で自分のおっぱいを持つと自分の手からおっぱいがわず
かながらはみ出ていた。そのまま両手でおっぱいをくっつけてみるとまれに目に入る
コンビニに置いてある成人誌の表紙に乗っている女性もこんなポーズとっていたなっ
と思いながら、七海はそのあと自分の胸を触ってみた。
「知らないうちに胸ってこんなに大きくなるもんだね〜。あぁ、だから最近男子が私
の胸ばかり見ていたんだ〜」
七海は自分のおっぱいを両手で持ち上げた状態で最近気になっていた謎がわかったよ
うな気がした。胸。「あ」っと七海は言うと急いでおっぱいから手を放し、手にシャンプー
をつけて急いで髪の毛を洗い始めた。ゴシゴシゴシ!っと両手をすばやく動かしている。
その姿は何かを恥ずかしがっているかのように見える。七海は今日の出来事を
思い出したのであった。俊介を七海の胸に挟んでみたことを・・・。どうして
思い出しちゃったんだろうっと思いながら七海は急いで、体も洗いお風呂に
入ろうとした。お風呂の前に立つと最初はあんなにお湯が溜まっていたのに今じゃ、
半分より少しあるみたいな状態だ。前までは、七海がお風呂に入ってもお湯は絶対に
出なかった。しかし、今はこんなにもお湯が抜けている。自分は本当に大きくなった
なっと七海は思った。その水深をじーっと眺めていたら背筋がブルっときたので七海
は急いでお風呂に入った。七海がお風呂にはいると水深が最初のころと大体同じぐらい
までお湯が上がってきた。本当に大きくなったなと改めて思った七海であったが、
お風呂で七海はひらめいた。

“これがもしダムだったら”

 七海はゆっくりと目をつぶりこのお風呂がダムであり、そのダムに七海が入っている
のを妄想しようっと思ったが、一番最初から妄想をしてみることにした。

・・・・
 ここは、どこかの山奥。七海が歩くたびに七海の膝ほどしかない木がたくさんあり
七海はその木をなるべく踏み潰さないように歩いてみると、そこには大きなダムが
ありました。七海はまず、喉が渇いていたので、そのダムの水を両手ですくい水を
飲んだ。太陽が暑い。七海は太陽の日を直接浴びすぎて体は汗でびっしょりであった。
木陰で休む。七海はそんなことすらできないぐらい大きい自分を妄想した。
暑い、少しぐらいならダムの水に入ってもいいんじゃないかっと七海は思い、ダムに
ゆっくり近づきそっと右足をダムに入れてみる。冷たい、先ほどの暑さが嘘のようだ。
それから、左足もゆっくりと入れてみるとダムの水深が上がっているかのようにダム
全体の水が波立っていた。両足がダムに入り、七海は自分の足を見てみた。ダムの水
は今七海の太ももより少し上の位置にあった。泳ぐのには適していないが、ダムの中心
で腰を下ろせば肩幅まで水はくるだろうと思い、七海はダムの中心部にゆっくりと歩き
出す。中心部に行く際七海は気づいていないが、ダムの水がザブザブと大きく波立て、
ダムの近くにある道路にまで水が出てあっあたりは水浸しの状態になっていた。
ですが、ご安心。ここは七海の妄想の世界。この世界でなにがあっても七海にとっては
知ったこっちゃないが、改めて七海は自分の妄想力が恐ろしくなった。
「この辺かな?」

七海はあたりを見渡すなり自分が中心部にいるのかを確認し、腰を下ろそうとしたとき
に七海は重大なことに気づいた。
「あ〜〜、服脱ぐの忘れてた〜〜〜」
いまさら陸に戻るのも面倒なので、七海はその場で自分が着ている服を脱ぎ始めた。
ダムの水はジャバジャバと音を出し、ダムの水が大きく波立つ。服を脱ぎ終えると七海
は何もきていない裸になった。持っている服を陸に向かってポーンっと投げる。
「さて、入りますか」
七海はそういうと、ゆっくりと腰を下ろすと、ダムの水が一気に溢れ出す。

ドバァ———!!
物凄い勢いで水が川に流れ込んだ。水が流れるのを七海はおぉ〜っといいながら眺めて
いた。七海は体育座りをしていたが、膝が水面から出てきており、ダムに小さな島が2
つ出来上がっていた。その島はプカプカっとボールのように浮いていた。もし、七海が
ここまで大きくなったら、お風呂はどうするんだろうっと七海は思った。お風呂以外に
もここまで、もし大きくなったら、七海はどこで住むんだろうと考えた。ダムでさえ
七海にとってお風呂の役割にすぎない。考えているうちに七海は頭がボーっとする
ような感じがした。

七海ー!
遠くから声が聞こえる。次第に体が揺れ始める。はっ、と七海が妄想の世界からでて
くると目の前には母が心配そうに見ていた。
「七海大丈夫?あまり長いもんだから心配したよ!」
「あははは、ごめんごめん。学校で疲れちゃって寝てたよ」
「次の人待ってるんだから、早く上がって頂戴」
そういうと母は七海の額に軽く叩くと風呂場から出た。七海は母がいなくなるのを
見届けると、お風呂から立った瞬間に目の前が真っ黒になった。カクンっと七海は
バランスを崩すが、左手を壁に当てて、倒れないようにがんばった。お風呂に長く
入りすぎた・・・っと七海は思いながらフラフラになりながら、寝巻きに着替え、
台所に向かった。身体はフラフラしており、何でもいいから飲み物が欲しかった。
台所に着くなり、七海は冷蔵庫から牛乳を取り出し、左手を腰に当て、七海はそのまま
牛乳をラッパ飲みにした。

ゴクゴクゴク、ふぅ、ゴクゴクゴク

だんだん、右手に持っている牛乳が軽くなるのを七海は感じた。
「ぷはー、あ〜、生き返った〜。牛乳がこんなにおいしいって
感じたのは初めてだな〜」
七海はそういうと自分のイスに座り、残り少なくなっている牛乳を綺麗に飲み干した。
風呂上りで息が上がっているから息が落ち着くまで七海はぼーっとしていた。
ふと、カレンダーを見るとまもなく5月も終わりだ。6月からは夏服だ。
「そういえば、夏服って去年と同じで、新しく買ってないな〜」
制服のことを考えると早めに行ったほうが間違いなくいいっと思った。でも、
1人で行くのも詰まんないし、親と行くのもなんかヤダ。俊介は・・・っと七海は
考えるが、今日の出来事を思い出すと誘い難い。
「ぶつぶつ考えてもダメだよね!うん!明日俊介君に謝ろう!!」
よ〜しっと開き直り、イスから立ち上がった。フッっと頭になにか触れるような感触が
した。もう少しで、天井に頭がつくのか〜っと七海は思った。
「おかーさん!天井まで何センチあるんだっけがー?」
っと七海は大声でソファーでくつろいでる母に聞いた。
「しらなーい」
っと返事がきた。どうやら、七海が風呂から上がるのを確認した後お酒を飲んだ
らしく、軽く酔っているようだ。七海は仕方がないから、自分の部屋からメジャー
を持ってくるなり、1人で測ってみた。
「え〜っと、220cm・・?」
七海はついに約220cmの上下にいることがわかった。自分でそのまま身長を
測ろうと思ったが、手が微妙な位置に来てしまい、明確な答えがでない。七海は
しかたなく、自分の身長は220cm下っと自分に暗示をかけた。
 
 翌日。七海は学校に行く際に思った。征服がまた小さくなっているような感じが
した。でも、急に破けるっという感じはしなかった。通学中も七海もほかのところが
気になってきた。すれ違う際に七海のほうを見ているからである。
(なんで、みんな私のほうをジロジロ見るのかな〜〜〜)
まぁ、町並みを歩いていれば七海の長身ならすぐわかるであろう。それから、七海は
学校に着くなり、自分の教室に入り、自分の席で顔を机に伏せて俊介が来るのを待った。

 学校での1日が終わり、七海は俊介のもとによってみた。少しだけ気まずい感じを
したが、七海は勇気を持って俊介に聞いてみた。
「あの、俊介君・・・」
「どうしたの七海?」
「えっとさ、昨日のこと・・・怒ってるかな・・・」
七海の目は俊介のほうを見ていない。俊介はその姿を見て呆れてしまった。同時に
俊介は今日七海が変に元気がないのはこのことかっと確信した。
「怒るも何も・・・昨日の出来事はたまたまでしょ?」
「え、でも・・・その後にした・・・あれは・・・」
「別に怒ってないよ」
そういうと俊介はニコっと笑った。その顔を見て七海は安心したらしく思わず涙目
になってしまった。
「私ね・・・すごい気にしてたんだよ・・・嫌われてないかって・・・」
「神経質なんだな七海って」
「うるさいな〜、気になってたんだよ!もぅ!」
七海は涙を手でこすり、俊介と一緒に帰ることにした。帰り道に七海は一番
聞きたかったことがあった。制服のことだ。だが、俊介が先に聞いてきた。
「そういえば、七海って。夏服とか大丈夫なの?」
「え?あ・・・そういえば、買ってないや」
「そんじゃさ、今度の土日のどっちか制服買いに行かない?」
「でも、俊介君は別にいく必要なんてないんじゃないかな・・・」
「いやいや、こう見えても俺転校生なんだね。夏服の準備終わってないしさ」
「あ〜〜、そういえば。そうだったね」
目的が同じなら別に2人で買いに行っても怪しまれないよね!っと七海は思わず
嬉しくなったその場でジャンプして嬉しさを表現したかったが、こらえることにした。
「それに、七海さん今着てる制服も小さく見えるしね」
「実はそうだったりするんだよね〜」
あはははっと2人は笑った。この笑い声も笑顔もずっと続けばいいなっと七海は思った。
とりあえず、七海は今度の土日に制服を買う予定はなんとかなった。