ある少年が住んでいる、そこそこ栄えている街に、サーカスのテントが張られていた。なんでも、夜見れなという有名なマジシャンのマジックショーをやるらしい。少年の好奇心はくすぐられた。マジックショーとはどのようなものなんだろうか、一度は見てみたい、そう思った。だが少年の家は裕福ではなく、子供なので自分のお金も持っていない。
 少年はマジックショーは諦めるしかないかと落ち込んだが、ふと、前に劇団などは公演前にリハーサルをやる、ということを聞いたのを思い出した。公演は夜に行うらしいので、昼の今ならば、こっそりとテントの隙間から見ることくらいは出来るかもしれない。少年は期待に顔を綻ばせながら、テントへと走って向かって行った。
 テントはこの街の人間の半数ほどが入れるくらいに巨大で、少年の心はワクワクが止まらなかった。ドキドキしながらテントの隙間から中を覗くと、黒と白のフリフリしている衣装に身を包んだ、夜見れながマジックショーの予行練習をしているのが見えた。初めて見るマジックに、隠れているというのに声が漏れ出そうなほど目を奪われる。夢中でのぞいていた少年の後ろで、ジャリ…と足音のようなものが聞こえビクンと跳ねて後ろを振り返る。だが誰もいなかったため、そのまま覗き見を再開しようと向き直ると、テントの真ん中に立っていたはずの夜見が、少年のことを興味深そうに見つめていた。

「うわぁっ!」

「悪い子ですねぇー、オカネも払わずに覗き見だなんてぇ」
 
 いつのまにか後ろに立っていた夜見れなに必死で謝る少年だったが、どこか咎める様子もなく、にこにことこちらを見ているのが気になった。

「そんなに見たいなら…特等席で見せてあげましょうかぁ?夜見のマジックショーのお手伝いしてください、それなら許してあげるよ」

 一もニもなく飛びついた。少年は子供ながらに、のぞき見を許されたことと、マジックショーの手伝いが出来るというワクワクする提案に乗って、夜見が差し出してきた、肘まで伸びる手袋に包まれた手を握った。だが、それは罠だった。

「じゃあちっちゃくなろぉねぇ」

 その言葉とともに、みるみるうちに視線が下がっていく。訳の分からない状況と、今までにない感覚に混乱しながら縋るように夜見を見る。夜見はにやにやと笑いながらこちらを見ているだけで、小さくなっているのが当然といった風だった。からかうような目線は段々と上へ行って見えなくなっていく。スカートのフリル、うさぎの形のタイツ、どんどんと目線が下がっていくのは恐怖だった。ようやく止まった時には、丸く黒光りしているつやつやのパンプスが目の前に鎮座している。ただの靴が、今まで見たどんな建物よりも大きかった。その靴の持ち主の声が反響し、上から降ってくる。
 
「縮小マジック〜、驚きましたぁ?きみはちっちゃくなっちゃいました!」

 夜見はそのまま少年の元へしゃがみ込む。スカートがふわりと浮いてとてつもない風圧とともに少年を近くなった目線で見下ろした。風圧に耐え、ようやくそちらを向けるようになった少年は顔をぼっと赤くする。パンツが丸見えだったからだ。だが、見られていることに気付いていないのか、見られていようが虫のような大きさの少年ならば気にしないのか、どちらかは分からないが、こちらを口角を上げてただ少年があたふたするのを楽しそうに見ていた。その少年に向かって夜見は真っ白な手袋の指でツンと小突く、それだけで尻餅をついてしまう。ただの指先が丸太のように太く大きかった。

「許してあげるとは言ったけど〜、やっぱりお仕置きはしなきゃダメだからねぇ、けじめけじめ」

 そのまま尻餅をついて動けなくなっている少年をひょいとつまみ上げ、ずるりと肘までの長さの手袋を手から引き抜いた。つまみ上げられた下にその手袋はセットされ、下で怪物のように口を開いて少年が落ちてくるのを待っていた。少年は恐怖でたまらない。下からは少年にとってはまだ手袋まで距離があるはずだというのに、ずっとぴっちりと手を包んでいたため熱気がこもってむわりと届いてくる。離れていても感じるほどの蒸れた手袋に入れられたらどうなるか、少年は子供ながらに怯え、抵抗した。それこそ子供が駄々をこねるように、やたらめったら暴れ回った。だが、パッと手は離され、真っ逆さまに手袋の中へと落ちていく。

「ここで反省しなさ〜い、蒸れてるだろうけど、我慢だよ?」

 真っ逆さまに落ちていき、五股に分かれた指の洞窟のうち、人差し指の空洞を落ちていった。たどり着いた底は、じめっとしていて、手汗が染み込み熱気が充満している。汗の湿度が夜見の体温で蒸らされ、完全な密閉空間だったため換気もされず熱気はこもったままだ、刺激の強すぎる夜見の体臭は、少年にとっては初体験の衝動を受けることになった。精通もまだの、歳ばもいかぬ少年は初めての性的興奮を夜見の手袋で味わっていた。

「じゃあ手を入れますよぉ、潰れないように気をつけてくださいね」

 股間がむずむずするような初めての感覚に難儀していると、少年の入っている手袋がぐらぐらと動き出し、手袋の持ち主である夜見の巨大な手が入ってきた。夜見の手袋はぴっちりと隅まで隙間なく装着されていた。異物の少年は、逃げ場なく指で押し潰されるのを待つほかなかった。
 人差し指は奥まで達し、少年は指紋のど真ん中の部分で押し潰されている。ぴっちりと夜見の爪まで纏っているほどサイズぴったりの手袋では、虫けら同然の少年に逃げ場などなかった。
 
「ぐりぐり〜ふふっ、虫みたい…」

 くいっくいっと人差し指を曲げるたび、ほんの少し浮き出る点があった。夜見はこれが一人の男の子だと思うとおかしくてたまらない。指を曲げる頻度を上げれば、ビクビクと痙攣して隙間のない手袋の中でほんの少しだけ震えるのも面白かった。夜見が楽しんでいる間、少年は夜見の指に犯されていた。指を曲げるたびに、柔らかい夜見のしなやかな指先が、少年の股間を全身ごと押し潰す。自慰行為すらしたことのない少年には、至近距離で夜見の汗が混じったフェロモンを熱気漂う手袋の中で嗅がされ、ほぼ指コキともいえるような刺激を与えられて、ただただ股間が切なくてどうしたらいいのか分からなくなってしまっていた。何分かすれば夜見が飽きたのか、ようやく指を曲げるのは止まり、手袋を脱いで机の上に放り出された。少年の逸物は怒張しっぱなしで、小さいそれでも夜見は見逃すことはなかった。

「なに勝手に気持ちよくなってるんですかぁ?ねぇ、ねぇ〜」

 机の上にいる少年に、夜見は手袋をした方の手でデコピンをする。自分の何倍もある手から放たれたデコピンは、少年にとって交通事故並みの衝撃だった。下腹部にデコピンを喰らい、睾丸が潰れる一歩手前の感覚まであった。激痛に悶えていても、勃起は止まらない。あまりの激痛に、脳は勝手に快楽へと変換していた。悶絶する様が面白かったのか、夜見は何度もうずくまっている小人に向かってデコピンを当てる。当てるたびにうめき声を上げながら痙攣するのを見てけらけらと笑っていたが、股間が少し濡れているのを見てムッとした表情になる。

「えぇ?痛くしてるのに出しちゃったんですか?まだ子供なのに、とんだ変態さんなんですねぇ」

 かわいいお姉さんに変態と言われ、少年はピクリと震える。痛いのが気持ち良いわけがないのに、そうだと思われて罵倒される。屈辱感でたっぷりだった。

「では、変態さんに相応しい手品を教えてあげますねぇ」

 そう言いながら靴を脱いだ夜見は、その靴へ一切の警告なしにそのまま靴底へと少年を落としてしまう。

「小人さんの、夜見の靴から脱出ショー!ぱちぱちぱち〜」

 さっきの手袋とは訳が違った。手袋の中は、女性らしい体臭と汗の匂いがほんのりと漂う、それはそれで少年には毒なフェロモンが充満した空間だったが、夜見の靴の中は地獄といっていいほどの悪臭だった。老廃物が出やすく、汗をかきやすく、そしてパンプスのため足を纏う熱気は手袋と同様逃げることはない。立ってマジックショーをする夜見が、毎度履いているその靴は、見た目には艶やかで美しいが、中は中敷きすらも汗が染み込んでいるほどの履き古したものだった。少年がそんなところに入っては、身悶えするのも当然だった。それでも、時間さえかければ靴の中からはよじ登ってでも出れただろう。だが意地悪な夜見はそれを許さない。またあのにやにやとした表情を浮かべながら、靴に足を入れてきた。足なんて入ったら出れるわけがない、少年は抗議するが足裏に阻まれて声は届きもしない。すぐに諦めてつま先の方へと逃げるが時すでに遅く、大蛇のような巨大な五本の足指にがっしりと捕まってしまう。そのまましっかりと夜見は靴を履き、パンプスの中に少年を閉じ込め足で蓋をした。だが無理をして、夜見の足の隙間から這い出ないとなにをされるかわからない。少年は必死でもがいたが、その抵抗を足で感じた夜見はけらけらと笑いながらぎゅっとひときわ強く少年は足指で握る。

「くふ、ちょっと、くすぐったいんだけどー!」

 くすぐったさから握る力を強め、足をよじったことにより、夜見の足は余計に臭いが濃くなっていく。手袋の時とは違い、ただただ臭いの暴力に脳を侵され、少年は欲情する暇もないほど夜見の足に苛まれる。もがけばもがくほど、くすぐったいと夜見は俺のことを痛めつけるだろうと思った少年は、脱出を完全に諦めてしまう。それを感じ取った夜見は靴から足を引き抜き、つま先のところへいる少年を靴を振って手に取り出した。

「もう、ダメダメだったね〜、まぁいいや、これからは夜見のおもちゃとして頑張ってね」

 手のひらでぼろぼろになっている少年に向かって、夜見はにこやかな笑顔でそう言った。

 それからの生活は、最初自分が想定していたお手伝いとはまるで違かった。
 マジックショーの本番中にはタイツの太ももに貼りつけて、反応を楽しみながら手品を行なっていた。長丁場のマジックショーで、柔らかく、体温の高い太ももに全身密着させられ、熱中症になりかけた。水分が無くては死んでしまうと言った時に、

「じゃあ私の汗飲んでいいですよぉ」

 と言いながらマジックショー終わりに汗をかいている首すじに無理やり押し付け舐めさせたり。
 またある時は柔らかい髪質の夜見の髪の中に幽閉され、髪と一緒に結ばれて出れない状態で何日も過ごさせられた時もあった。甘い匂いに包まれて、夜見が動くたびに髪がぶつかり、体を撫で、その甘い香りと股間への刺激に勃起した少年を見た夜見は、こう言いながら髪で責め立てる。

「そんなに夜見の髪好きならぁ、こうしてギュッてしてあげますねぇ」

 器用に髪を股間へと通すと、それを結ぶように締め付ける。巨人の髪など解けるわけもなく、刺激されているのにとてつもない力で締められているため射精も出来ない、そんな生き地獄を味合わせながら、快感と苦痛の合間にある少年の顔を見て、また夜見は楽しそうに笑っていた。

 そんな日々がある程度続いた時のことだった。また夜見におもちゃとして扱われ、へとへとになっている少年を相手に夜見はこう切り出した。

「今から瞬間移動マジックをきみで試すね、どこに飛ばされたか当ててください〜」

 何が何だかわからないうちに、夜見は楽しそうにカウントダウンを始める。

「さん、にー、いち、はい!」

 一瞬の浮遊感、その後に少年を襲ったのは柔らかい圧迫感とふわふわとした布の感触だった。今まで潰されてきた足とも手指とも違うそれは、だが確かに夜見の体臭で、夜見の体温だった。左右からの柔らかい肉感の圧迫から、胸かと思ったがやはり違う。

「さぁー、どこに飛ばされたんでしょうか、早く答えないとお仕置きでーす」

 そんなことを無慈悲に言われ、圧迫されているなか必死で体をよじり目に見えたのは黒い穴だった。一瞬考えた後それを理解し、叫ぼうとしたがもう遅かった。

「はーい、時間切れですー、お仕置き〜」

 そこは尻の谷間だった。今までの自然に締めていたものとは違い、意図的に両の尻たぶで押し潰す。またいつものように少年の反応を楽しんでいると、ぶちゅりと弾ける感覚があった。

「あッ、潰れちゃった…この子気に入ってたのに…」

 少年を潰してしまったことに悲しんでいる夜見は、ふと後ろを振り向けば、またテントをのぞいている者が見える。一人いなくなってもまぁ良いかと夜見は思う。かわいいかわいいおもちゃが向こうからやってくるのだから。