大学に入ってからの初めての夏休み、俺は存分に満喫していた。一人暮らしを始め、わずらわしい家族に邪魔をされることなく、徹夜でゲーム三昧、飽きれば友達と飲みに行ったりと、自由な時間を過ごしていた。家事は自分でやらなければならないが、そこまで潔癖症ってわけでもない。どれだけ汚れてても暮らせれば良い、食事だってカップ麺で充分だ。そんなこんなで俺は自堕落な生活を送っていた。
ある日のことだった。夏休みに入ってから数日が経ったあたりに、実家から連絡があった。内容は実家には帰らないのかという質問だ。いちいち長期休みのたびに帰るのも面倒くさく、適当に返事をして済ませたのだが、それが間違いだった。次の日、2つ離れた妹が、俺が一人暮らししているアパートへとやってきたのだ。
アパートのシンプルな呼び鈴の音が部屋に響く。親に言われて来たのだろうか、俺は半年ぶりの妹との再会が面倒くさくてたまらなかった。妹は適当で自堕落な俺と違って真面目な性格だ。この汚い部屋を見られたら、またぞろ俺のことを叱ってくるだろう。年下の女の子、妹に正論で説き伏せられるのは、俺にとってプライドが著しく傷つけられるイベントだった。
だがわざわざ来た妹を追い返すわけにもいかない。嫌々ながらドアを開け、妹、碧を迎え入れた。
「久しぶりですね、兄さん。元気にしていましたか?」
「お前は俺の母親かよ。外暑かっただろ、さっさと中入れ」
小生意気な妹の部屋に入ってからの第一声はこれだった。
「……ゴミ屋敷…」
「それは言い過ぎだろ!ちょっと汚ねえくらいじゃねえか!」
確かに部屋は多少汚れているだろうが、テレビで見るようなゴミ屋敷までではないはずだ。だが、俺より頭二つ分ほど背の低い碧は、俺の顔を冷たい目で見上げている。
「だから私は兄さんの一人暮らしには反対だったんです。一人暮らしを初めてちょっとはまともになるかと思えば、こんな人間以下の生活になっちゃって…」
なんて口が悪いんだ。だが正しいのが妹で、実際にこの部屋が汚くて、ろくに掃除もしていない以上、何も言えずに俺はぐぬぬと悔しがることしか出来なかった。
ふと、碧がこちらへ向き直り真剣な顔をしている。いつでも無表情だが、どこか決意したような表情のような気がした。
「兄さん、今の生活態度、改める気はありますか…?」
「無いね、どうせここには俺一人しか住んでないんだから、誰も困ってねえだろが」
俺がそう返答すれば、碧はハァとため息をつき、ポケットからスプレーのような物を取り出した。どこかで見たことのあるような気がするそれを、碧は俺の方へと向けて噴射した。
スプレーが顔にかかり、そのツンとした刺激臭にうめき声をあげ手で顔をおさえる。その手を離して前を見れば、なぜか今までにいた場所ではなかった。不思議な形をした黒い柱が二本、俺より遥かに巨大なそれが目の前にそびえ立っていた。
「どこを見ているんですか?兄さん」
上空からビリビリと大気を震わせるような碧の声が響いてくる。あまりの音の大きさにビクッと震えながらも、上を仰ぎ見ると驚愕の光景が広がっていた。自分の胸元ほどの身長しかなかった妹が、映画に出てくる怪獣のように巨大化していたからだ。
「な、なんでお前、そんなに大きく……」
「大きくなったんじゃありません。兄さんを小さくしたんです」
その声を聞き、辺りをきょろきょろと見回せば、スケールが違いすぎて気づかなかったが、確かに俺の住んでいた、さっきまで居た安アパートの一室だった。この虫ほどの大きさの今の自分だと、毎日歩き回っている部屋も、横に転がっているジュースの空き缶も、巨大すぎて脳が上手く認識してくれていなかった。
「これ、防犯用のスプレーです。学校から支給されてて…使ったのは初めてで半信半疑だったんですけど」
碧が通っている高校は、最近出来たばかりの超進学校だ。不出来な俺と違って勉強の出来る妹は、その高校を首席で合格していた。だがその新設の進学校に、そんな聞いたこともないような、人を小さくするスプレーなんていうファンタジーな代物が生徒に配られているなんて、そんなことを考えていると、そこで言葉を切った碧はにっこりと見惚れるような笑顔で微笑んだあとにこう言った。
「兄さんはだらしなさすぎです。いつもの大きさだと抵抗されちゃうので、小さくして躾けてあげようと思いまして」
大上段から一方的に、それも自分より小さいはずの妹に、躾けるなどと言われているのに、俺は碧のことが怖くてたまらなかった。碧の顔はあんなに離れているのに、床にいる俺は威圧感を覚えてしまうほどの大音量として耳に届いている。声を張り上げている様子もなく、むしろアパートの薄い壁に気を遣って小さくしてるくらいだろう。なのに、俺はそんな妹の声だけで屈服させられてしまいそうなほど恐怖に侵されてしまっていた。
その恐怖心を誤魔化すように、俺は碧に向かって無謀にも声をあげて文句を吐いた。
「そんな…元に戻せよ!怒るぞ!」
「怒ってるのは私なんですよ?兄さん。家を出るまでにあれだけ言ったのに…掃除も炊事もまともにやらないで…」
そう言いながら碧は俺の目の前にダンッと足を振り下ろした。黒いハイソックスに包まれた足は、指どころか爪ほどの大きさしかない俺にとって、ビルの解体現場のような大爆音とともに、ビルのような足が目の前に降ってきたのだ。恐怖でまともに立っていられなくなり、ぶるぶる震えながら尻餅をついてしまう。目の前の碧の足からは夏にここまで歩いて来たからか隠しきれない汗を含んだ悪臭が漂ってきて、それもまた俺の矮小さ加減を見せつけられているような気がした。
「この夏休みはずっとその状態でいてもらいますから、兄さんの性根を叩き直してあげます」
俺の感情はもうめちゃくちゃだった。碧の声は小さな俺の体をピリピリと震わせる。ただ喋るだけで恐ろしい大巨人が、俺のことを躾けると言っているのだ。それが妹だということも、ただの女の子であるという事実も、俺を屈辱感で埋めるには充分すぎた。
「小さくなったばかりでいきなり、というのも可哀想ですから、兄さんの生活矯正は明日からにしましょうか。今日は私のハンカチで眠ってください」
いつも飯を食う時に使っていたちゃぶ台に、碧は自分のハンカチを折って布団のようにした。夏なので毛布はいらないだろうと思ったのか、そのまま碧は俺の体をハンカチの上に寝かせた。
「では、おやすみなさい」
碧のハンカチはふかふかで、面積も今の俺にはちょうど敷布団ほどの大きさだった。だが…
この夏の炎天下の中、ここまで歩いて来たということは、それ相応の汗をかいていたのだろう。生真面目な碧はしっかりとこのハンカチで汗を拭いつつここへ来たのだ。端的に言えば、このハンカチという布団は、猛烈に碧の汗の臭いがしている。普段のサイズであれば、しっとり濡れているな、と思う程度で、鼻をよほど近づけない限りは汗の臭いなど感じないだろう。たまらず横を見れば、すでに碧は俺が昨日まで寝ていた布団ですやすやと眠っていた。寝付きが良いのは知っていたが、ここまでとは思わなかった。
ここでわざわざ起こして、敷布団代わりになるものを変えてください、などと碧に言うことなど出来ない。汗くさいから変えてほしいだなんて、碧が聞けば怒るだろう。怒られるのだけは嫌だった。そもそも元のサイズですら叱られるたび苦手意識が増大していく有様なのだ。もし大巨人になった妹に、遥か高みから怒気を含んだ目で睨まれ、怒られたら本当に俺は泣いてしまうかもしれない。それだけは、妹に泣かされるというのだけは嫌だった。俺は、息を吸うたびに鼻につく碧の汗の臭いを我慢しながら、それに包まれて無理矢理眠った。
「起きなさい!」
大爆音と大地震が一度に起こった。俺は今までにないほど驚きながら寝ぼけ眼を擦り周りをキョロキョロと伺った。寝起きでぼんやりとした頭に、非現実的な巨大なアパートの一室が飛び込んできた。昨日小さくされたのは夢ではなかったのだ。大爆音は碧の声で、大地震は碧の足踏みらしかった。碧は立ち上がって遥か上から俺のことを睨んでいる。怖い。
「もう7時です、起こされなければ自分で起きることも出来ないんですか?」
たしかに壁にかけられた時計を見やれば、7時5分になっている。昼過ぎまで寝ている生活が続いていたために朝起きるという習慣が無かった。
「で、でも…夏休みだし…」
「夏休みだからといって昼過ぎまで寝ていれば健康に悪いでしょう!」
ピシャリと言われて頭を下げる。これ以上怒らせれば何をされるか分からない。寝坊してごめんなさいとプライドを捨て妹に頭を下げ続けた。
「……まぁ、いいでしょう。今日からはビシビシいきますからね!夏休み中に兄さんの精神を叩き直さなくては!」
張り切った様子で腕を上げている碧が、遥か下にいる俺のことを見下しながらこう告げた。
「とりあえず今日はこの汚い部屋を掃除してもらいます。と、いってもその小ささでは全てやるのは難しいでしょう。ですから…」
俺をつまみ上げて落とし、落とした場所の四方を碧は指でなぞった。埃をかぶっているこの部屋のフローリングは指でなぞっただけでくっきりとバスケのコートのように線が引かれた。
「この区画だけでいいです。私はその間に他全ての掃除を行います。もし…」
そこで言葉を切った妹は、ぎょろりとこちらを睨みながらこう言った。
「もし、兄さんが私が他の掃除を終えるまでにそんなに小さい区画すら出来なかった場合、お仕置きですからね」
お仕置きとは何をされるんだろうか。碧が発した言葉は内容だけでなく碧の冷え冷えとした声も相まって恐怖でしかない。だが、さすがにこの小さなサイズとはいえ、俺から見れば部屋一つ分ほどの区画の俺と、他全ての部屋の掃除をする碧では負けることなどないだろう。そう思っていた。
「では、頑張ってくださいね、兄さん。もしサボったりしたら……大変なことになりますよ?」
怖い妹に念を押され、果敢に掃除に取り掛かる俺、だが想定が甘かった。ただのお菓子の空き箱でさえ、持ち上げるのに難儀する。ゴミをまとめるのも苦心し、埃を掃除しようにも埃の塊が俺と同じくらいの大きさだ。ここまで部屋を汚くした自分自身を呪いながら、必死でゴミと格闘するも、時間は無情に過ぎていった。
「兄さん、こちらの掃除は終わりましたよ。そっちはどうです?」
碧が戻って来てしまった。こんなに早いなんて…
「………全然終わってないじゃないですか」
後ろから恐ろしい大魔王の声が聞こえる。振り向きたくなかったが、振り向かなければただでさえお怒りの妹様をさらに怒らせてしまうだろう。恐怖と緊張で吐きそうだったが、俺は決心して碧に向き直り謝ることにした。
「ご、ごめん!必死にやったんだけど…終わらなくて…」
「普段から掃除してないからですよ、小さいとはいえちゃんと終わらせることが出来るくらいにしてあげたはずです。言いましたよね?終わらなかったらお仕置きだって」
「ゆ、ゆるして!ねぇ!頑張ったんだよ!次は!次はちゃんとやるから!」
必死に、恥も外聞も捨てて妹の足に縋りついた。黒いソックスに包まれた碧の足は、掃除をするために動いていたからか、来た日と変わらないくらいの悪臭だった。ここにはエアコンなどない。そんな場所で真夏に走り回り掃除をしていた碧の足は、小人の俺には涙が出るほど臭かった。
だが、それも我慢して、俺は臭い足に泣きついた。すがりついて、許しを乞うた。
「ダメです。私の足の下で反省しなさい」
だが無駄だった。俺の妹は厳しい。両親が甘かった分、俺は甘ったれに育ったが、妹は両親が甘い分、自分は自分に厳しくしていた。どれだけ謝っても、泣いても、決めたことは覆さなかった。
足にすがりついていた俺を蹴飛ばし、俺めがけてその巨大なコンテナほどもありそうな足を振り下ろす。真っ黒なそれは、仰向けに寝転がった俺に一直線に降りて来た。
「罰がなければ反省しないでしょう、兄さん。臭いでしょうけど、それもお仕置きのうちです」
臭かった。ただ目の前にあった時とは違い、足の裏という密閉空間で、直接その臭いの元に押さえつけられてしまっている。息もしたくないほど臭くて、暑くて、苦しかった。俺は碧の足裏を叩いて、必死に叫んだ。
「やめて!やめてぇ!たすけて!碧、碧!おねがいだから!しんじゃう!」
真っ暗な場所で命を握られている恐怖と、悪臭によるダメージで、俺の精神はおかしくなってしまいそうだった。恐怖から子供のような口調になってしまいながらも、碧に必死で懇願した。碧の靴下に染み込んだ汗の臭いと足の臭いは、混ざって凶悪なほどになってしまっていた。ハンカチなど目じゃない、脳が灼けそうなこの臭いを嗅ぎ続けたら頭がおかしくなってしまう。そう思い必死で懇願するも、碧は聞いてくれなかった。
「ダメです。我慢しなさい」
そうして碧はただ足を乗せるだけの状態から、ぐっと押し込むように俺を踏みつけた。息が出来ないほどの圧力にうめき声が漏れる。臭いはますますキツくなり、脳みそが茹だってくる。
リズミカルに、ぐっ、ぐっと何度も何度も圧力をかけられる。苦しくて、辛いはずなのに、何故か俺は勃起していた。実の妹に、臭い足で、体ごと踏みつけられているのに、俺はノーマルなはずなのに、踏まれて悦んでいるのだ。だが、勃起したその股間のモノごと、妹の足は踏み潰した。ぐにゅぐにゅと柔らかいものが当たる感触、苦しいのが気持ちよくて、臭いのが嬉しくて、そんな混乱の最中にふっと圧力が消えた。
「これくらいにしとおきましょうか。次はちゃんとやらなきゃダメですよ?」
ギンギンに勃起した俺の陰茎は、結局消化不良のまま、碧に許された。嬉しいのに、嬉しくなくて、興奮が頭の中に残ったまま欲求不満のようになってしまった。
次の日、俺に命じられたのは洗濯だった。
「桶に水を張って私が昨日着ていた服を入れておいたので、中に入ってもみ洗いしてください。汚れをちゃんと落とせたらお仕置きはしないので頑張って」
25メートルプールの倍はありそうな桶に、碧が昨日着ていた高校の制服一式、セーラー服が入っている。こうして見ると人が着ていた服とは思えないほど巨大だ。どんな工場でもこんな巨大な服は作れないだろう。
俺は決心して桶の中に入った。もうお仕置きは嫌だった。ちゃんと洗わなければ今度はもっとひどいことをされるに違いない。…だが、心の底で、少しだけそれもいいかなという感情が出てきたが、俺は首を振ってその気持ちを掻き消そうとした。あれは、妹にいじめられて興奮したあれは、気の迷いだと思いたかったのだ。
碧の服は漬けてあるとはいえ、一晩経ったことによりいっそう汗の臭いやこびりついた体臭が濃くなっていた。頭がクラクラしそうなほどの臭いは、また俺の興奮を呼び起こさせた。もみ洗いをするという大義名分が、俺のことをおかしくする。体全てで抱きしめるように、碧のセーラー服にしがみついた。そんな自分は客観的に見たらみっともなかっただろう。それを続けて、興奮がピークになったところで、また碧は戻って来てしまう。
「よく頑張っていますね。洗濯が終わったらおやつにしましょうか。ケーキを焼いたので一緒に食べましょう」
ちゃんと汚れ自体は落とせていたのか、そう言って碧は優しく微笑んだ。ちゃんとしなければ容赦なく俺にお仕置きはするが、ちゃんとやれば碧は心優しい女の子だ。俺は、またも劣情を、実の妹に催してしまったことが恥ずかしくなった。
その日の夜、俺はどうしようもないほど興奮が止まらなかった。何度も何度も途中で中断され、ピークに達してしまっていた。こんな大きさじゃあスマホもエロ本も開けない。危険だと、実の妹にすることじゃないと分かっていても我慢できずに、俺は横で寝ている妹の足へと向かった。バレれば終わりという恐怖感と共に、臭くて嫌だったはずの妹の足に、あんなに怖がっていたはずの足に、虫のようにへばりついて自慰を行う。夢中になってすべすべとした綺麗な足に股間をこすりつけ、果てそうになった時、碧の声が部屋に響いた。
「バレてないと思ってたんですか…?」
死んだと思った。いくら碧でもこれは許してくれないだろう。体が震える、何度も行われた折檻により、体に染み込んだ恐怖が一気に俺を襲った。殺されるかもしれない。今度はただ踏みつけるだけじゃなく、手加減なしで踏み潰されるかもしれない。そんなことを思えば、体の震えが止まらず、まともに碧の顔も見れなかった。
「いえ、そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。怒ってないです。生理現象ですし…」
碧の口から出された無罪宣告に、倒れ込みそうなほどの安堵感が胸に芽生える。涙が出そうなほど喜んで、碧にしっかり謝らなければ、もう二度としないと言わなければと、口を開こうとすれば、碧はとんでもないことを言い始めた。
「そうですね…知識が無いわけでもないですし、私も原因の一端らしいので…手伝ってあげますね」
そう言うと碧は、前にやったお仕置きとは違い、つま先で股間をなぞるように踏みつけた。上半身は自由になっていて、下半身のみ碧の足に呑まれている。また前のようにいじめられるのは嫌だと、必死で逃れようと体を引っ張る。
「ちょっと、逃げないでくださいよ。兄さん、ほら、我慢して」
だが、逃げられるわけもなく超重量で押さえつけられ、それを緩めたり強めたりと、緩急をつけ俺の股間をいじめてきた。
「こんな感じですか?苦しいと思いますけど…前にこれで興奮してましたもんね、変なの」
それもバレていたのか、恥ずかしいという気持ちは、それ以上の快感で埋め尽くされた。頭がスパークしそうなほど碧のつま先は優しく、時に痛いほど強く俺の股間を苛んだ。身悶えして体をよじろうとするも、それは許されない。
「ほら、暴れない。踏み潰しちゃいますよ?」
ギュウと叱りつけるように潰されかけ、抵抗も出来なくなる。妹の足の指になすがままにされる。風呂上がりだからか、前とは違って女の子らしい甘い香りがしていた。俺は興奮が抑えきれずたまらずに碧の足を舐める。
「きゃっ、もう、兄さんってそんな変態だったんですね。お仕置きしますよ…?よいしょっ…!」
かわいらしいかけ声と共にかわいくない圧力がかかる。潰れるギリギリまで一気に押しつぶされた俺の陰茎は、脳に走るような快感を与えた。碧の足が離れた瞬間、抑えが無くなったように一気に精を吐き出してしまう。ぴくぴくと快感で痙攣している俺を一目見て、碧は口を開いた。
「ちょっとかわいいかも……いや、ちゃんと出せましたね、これで明日からも頑張れますね?じゃあ、おやすみなさい」
「にいはん、手をどけなはい、おこりますよ」
次の日、また家事の訓練をさせられたあと、当たり前のように碧は俺のことを口に入れた。
「性欲管理もしてあげなきゃいけませんからね」
とのことらしい。口に入れて、飴玉のように無遠慮に俺を舐め回す。顔もべっとりと舌肉で埋められ、呼吸も出来なくて苦しい。舌は全身を這うように舐め回し、ついに股間にターゲットを定めた。俺は反射的に手でガードするも、それは碧の気にめさなかったようで…
手をどければ途端に碧の舌は俺の股間を狙ってきた。ぐりぐりとねじこむように、股間を何度も何度もつきさして、ぬるぬるとした舌はローションのようにその愛撫を滑らかにした。呼吸が薄い碧の口内で、頭がぼーっとしてくるが、痺れるような快感は無限に続く。
口臭もひどいものだ。わざと歯を磨いてないのだろう。臭いのが好きだと思われているのか、だがこの無理矢理妹の口臭を嗅がされ、ちんこもいい様にされている今の状況はとても興奮した。Mではなかったはずなのに、この数日間で自分がおかしくなっている。それとも気づいていないだけで元々こういう性癖だったのだろうか、妹にこんな扱いをされていじめられているのが、恥ずかしくて、背徳感があって、でもそれが良いと思っている自分が居て、考えようにもその思考を中断してしまうほどの責めに、頭が真っ白になってしまう、この繰り返しだった。
「んっ」
碧の唾液の何十分の一かの量の精液が、碧の舌に溶けて消えていった。少し苦かったのか声をあげている。これで射精は完了したと、ぺっとガムか何かを吐き出すように、俺は妹の手に吐き出された。唾液でベチャベチャになった体を起こして妹の顔を見れば、どことなく嬉しそうな顔をしていた。俺が潜在的なMだったのなら、こいつは潜在的なSだったのだろう、俺をいじめることへの悦びが顔に隠せていなかった。
「明日も……ありますからね…♡」
夏休みはまだ終わらない。