あれからというもの、どこか俺に対するロボ子さんからの扱いが違うような気がした。にやにやと笑いながら俺を虐めてくるのはいつもと変わらないが、可愛がるような仕草をするようになった。
 例えばある日のことだ。夜まで散々虐められて、へとへとになりながらいつものように机の上で眠ろうとすれば、寝巻き姿のロボ子さんに掴まれ、超巨大なベッドへと連れて行かれた。

「今日は一緒ね、ぼくの寝返りで潰れちゃわないように気をつけるんだよ?」

 そう言ったロボ子さんはそのまま俺をベッドに置くと眠り始めた。もはや扱いがペットのようになっていると思ったが、睡眠を邪魔してまた虐められては体がもたない、そう思った俺は少しの間静かにしていたが、しばらくたてばすぅすぅと寝息を立て始めた。
 ロボ子さんから言われた通り、山のように大きいこの巨体が寝返りで倒れ込んできたら一溜まりもないだろう。そう思った俺はそそくさと離れようとしたが遅かった。仰向けに寝ていたロボ子さんの体はそのまま俺の方へと倒れ込んできて、お腹で俺を下敷きにする。

「ま、まって!うぶっ」

 とてつもない重量がかかったが、死ぬことはなかった。くびれていてお腹が出ていなかったのも幸いしたし、柔らかかったためにそのまま潰れて圧死はしなかった。だが真っ暗闇で、ロボ子さんの体温に蒸されるというのは、前にお仕置きで尻で潰された時を思い出した。あの時の恐怖心がまた蘇ってくる。何度助けてと叫んでも笑い声だけが返ってきて、ただただ熱気と汗の臭いでへろへろになっていくあの感触、それをまた味わっていた。だがあの時よりも最悪なのが、これはお仕置きなどではなくロボ子さんが眠ってしまっているため、終わりがないということだ。下手をすればこのまま朝までずっとこのお腹の下に閉じ込められるかもしれない。心細くて涙が出てきた。
 俺は必死で起きてもらえるように泣き叫んだ。涙と自分とロボ子さんの汗でぐちゃぐちゃになりながら叫んだが、お腹に遮断されて全く届いている様子はなかった。むしろ、お腹からぐるぐると鳴っている消化の音にすら俺の声の大きさは負けていた。このままロボ子さんが寝返りをうたずにうつ伏せのままだったら、俺は死んでしまうのではないか、そう思うと恐怖で涙が止まらなかった。

「んー、あれ〜?また泣いてるのー?もう、泣き虫だねぇきみは」 

 体液で服が濡れてようやく目を覚ましてもらえたのだろう。そう言ったロボ子さんはずるりと腹の下から俺を引き抜くと、寝ぼけ眼のとろんとした表情で俺を見ていた。涙とロボ子さんの汗でぐしゃぐしゃになった顔をれろぉと舌の根本からこそぐように舐め取られる。柔らかい舌の感触が心地よく、解放されたことによる喜びが胸に湧き出てきた。

「ふふ、ロボ子お姉ちゃんが慰めてあげようか」

 そう言ったロボ子さんは俺が舐められてびちゃびちゃになっている体を唇に押し付けた。みずみずしく、ぷるんとした唇に無理やり押し付けられ、自分の顔の何倍もある唇とキスをさせられる。寝ぼけているのか加減が全くされていない。呼吸も満足に出来ずに何度も押し付けられてグロッキー状態だ。

「きみってちょっとおいしいかも…」

 ロボ子さんの無理やりのディープキスは激しさを増した。味わうように唇の間からは舌が出てきて、時折ぺろりと顔を舐められたと思えば、また唇に体ごと強い力で押し付けられる、その繰り返しだった。ロボ子さんのキスは終わりがなく、俺がもはや唾液と一体化したかのような感覚を覚えた頃に、寝ぼけながら俺にキスをしていたロボ子さんがまた寝落ちするという形で終わった。俺はロボ子さんの唾液でべとべとになった体で、ロボ子さんの手のひらに包まれながら眠った。

 またある日のこと、ロボ子さんが出かける準備をして着替え始めていたため、俺は一安心した。これで少なくとも昼間は虐められることは無いだろうと。だが、ロボ子さんはいつもと違うことをし始めた。
 上半身裸になった状態で、机の上にいる俺のことを持ち上げる。

「今日はきみもぼくと一緒にお出かけしようか」

 そう言ったロボ子さんは、ぎゅうっと俺のことを胸に押し付けた。他と比べても大きいその膨らみが歪むほどに強く押し付けられ、体の中の空気を吐き出させられる。俺の体を弄んで興奮しているのか、硬くなった乳首が俺の体を痛めつけた。ただの女の子の乳首にすら勝てない今の状況に、違和感がなくなり始めているのも怖かった。
 そのままぎゅうぎゅう俺を自分の胸に押し付けて遊んだ後、絆創膏を貼り付けた。背中が粘着質なテープに囚われ、身動きが取れないままロボ子さんの胸に幽閉される。ゴゴゴと音がしたかと思えば、ブラジャーを付けたのかより一層密着感が増し苦しくなったうえに、体温が逃げなくなったためこもるような熱気とロボ子さんの体温が直に感じられた。
 
「大人しくしてなよ?」

 そう言うとロボ子さんは服の上からおれのことをぐいぐいと潰すように押し付けた。顔のところに乳首が来ているため、硬くなったそれは痛かった。俺の体で乳首を刺激して感じているのか、ただでさえ狭い絆創膏での牢獄が、乳首が勃って来たことによりもっとキツくなっていく。
 どれくらいの時間がたっただろうか、外を歩いているためか尋常じゃないほどの熱気がこもってくる。蒸れたブラジャーの中の、そのまた絆創膏の中の俺は、ロボ子さんの体温と体臭で蒸し焼きにされている哀れな小人だった。あまりの暑さに頭がくらくらとしてくる。錯乱した頭で、思い付いてしまったのはくだらない悪戯だった。こんな目に遭わせているロボ子さんへのささやかな悪戯、俺は目の前にある乳首を力の限り噛み付いた。

「んひゃあっ!」

 ロボ子さんはびっくりしたような嬌声のような変な声を思い切りあげる。傷もつかない小人の弱い噛みつきでも、乳首に直の衝撃は流石に刺激的だったようだ。

「よくも…!」

 怒ったロボ子さんは俺のことをもっと強く押し付けた。押し付けるたびに俺の形にへこむ巨乳に包まれて、息もまともに出来なくなる。怒っているロボ子さんに遠慮はなく、いつものようにある程度でやめてくれることもなかったため、熱気と酸欠により、俺は気を失った。

「ふざけたことしてくれたねえ?うん?」

 帰ってきてそうそう、ブラジャーを外して俺は解放された。熱気と汗がこもっていて、ずっと胸に圧迫され続けていたため、外気に触れるだけで爽快感があった。だが、机に乱暴に下ろされ、怒った顔をしているロボ子さんを見た瞬間、解放された喜びよりも、やってしまった後悔と恐怖が襲いかかってくる。

「周りに人いたのにさぁ、変な声出しちゃって…ぼく恥ずかしかったなあー」

 頬杖をついて机の上にいる俺を見下ろしながら、もう一方の手で俺をとらえる。人差し指だけで俺を拘束し、その指先でぐりぐりと責め立てられると、今までずっとロボ子さんのフェロモンに侵されていたためか、勃ってきてしまった。最初俺の胴体を突いていた指先は、回すようにねじっているため、徐々に下半身へと向いていく。痛いくらいの刺激を急に与えられ、それがかわいい女の子のすべすべとした指だったのだ。興奮しないわけがなかった。しかし指で触っているロボ子さん本人には、バレてしまった。

「えぇー、指で押されただけで大きくなっちゃったの?そんなにMなんだ、君って。じゃあブラジャーに閉じ込めてたのもほんとは嬉しかったとか?」

 そんなことないと言いたかったが、興奮してしまったのは事実だった。女性の体臭を小さい体ゆえに何百倍にもなったものを、それも体に無理やり密着させられた状態でずっと吸い込ませられていたのだ。蕩けた頭に痛いくらいの刺激、

「もー、興奮してちゃ罰にならないでしょー」

 そう言うと顔を固定させられ、そのまま顔が真上に来たと思えばつつーと糸のように唾液を顔に垂らされた。両手は使えず、顔中とろりとしたはちみつのような唾液まみれになり息が出来ない。ビクンビクンと痙攣しても、離してはくれず、くすくすと笑ってこちらを見ているだけだった。唾液を俺に垂らしながら髪を耳にかけるその仕草がとても美しく、俺は唾液で溺死させられかけているというのにしばし見惚れてしまった。ついに息は続かなくなり、無尽蔵に上から垂れてくる唾液を飲み込んでしまう。甘いような、ぷーんと臭うようなそれは粘性がありうまく飲み込めない。だが、飲み込まなければ死ぬだけだった。

「あはは、飲んでる飲んでる。ねぇ?ぼくの唾美味しいー?」

 馬鹿にしたような口調で嘲笑され、それでも飲み込まなければ息が出来ないため必死で飲み込んだ。その必死な様子がまたおかしかったのかけらけらと笑っている。屈辱的だったけれど、少しではないほど今の小さい体では臭う唾液を飲まされ、体中にすりこまれ、それを女の子にやられているというのも、屈辱的なのにどこか興奮しているのは、彼女の言ったように俺がMになっているのか、ロボ子さんに調教されているのかは分からなかった。

「ふふ、きみはぼくのことが好きだもんね…?」

 笑いながら妖艶に俺を責め立てるロボ子さんを見れば、あながち間違いではない気がすると、少し震えてくるものがあった。

「きみ最近調子にのってるよね」

 今度は完全に難癖から始まった。机の上にいる俺に向かって、ロボ子さんはジト目で俺を見下ろしている。

「きみってこーんなちっちゃいくせにさぁ、ぼくの指より小さいくせにさぁー」

 べちんとデコピンを腹にくらいうずくまる。また目の前に指を出されて、逃げ出したその先にはもう一方の指がまたデコピンで俺を吹き飛ばした。

「ちゃんと反省してるの?優しいからってぼくが怒らないと思ったら大間違いだよ!」

 デコピンで追い立てられ机の上を逃げ回る俺を見て少し溜飲を下げたのか、怖かった表情が次第に柔らかくなっていく。それに安堵した俺は、びくびくと震えていた警戒を解いて楽になった。

「はー?なに安心した顔してんの?ぼくまだ怒ってるんですけど」

 一瞬で視界がロボ子さんの着ているピンク色の服で埋まった。避ける間もなく襲って来たのは、ロボ子さんの胸だった。あの巨乳によるメテオプレスをまともに食らってカエルの鳴き声のような悲鳴をあげる。柔らかいが、俺の何十倍も大きく、みっちりと中身が詰まったそれは俺が太刀打ち出来る大きさのものではなかった。腕で抵抗しようと押してみても、へこむことすらできない肉厚の球体が、それより遥かに矮小な俺を狙って押し潰してくる。それでも何とか出ようともがいたが、それをくすぐったがったロボ子さんにより強く圧力をかけられまた潰される。

「もう!もぞもぞしたらくすぐったいじゃん!」

 そう言ったロボ子さんはもっと胸に体重をかけて俺を轢き潰した。どうしろって言うんだ。このまま大の字に潰されたままでは今度はもっと酷い目に遭わされるかもしれない。俺は身動き一つとれないような胸の下敷きになりながらも必死でもがいた。ある程度時間が経ってから、圧力があるにはあれど先ほどまでほどではなくなった。出ろということなのだろう。それでも胸の下から這い出ていくのはなかなか辛かったが、時間をかければかけるほどロボ子さんに何をされるかわからないため、俺は必死で這い出てきた。

「わー、えらいえらい、よく出れたね。どうだったかなぼくの胸、気持ちよかった?」

「……重かったです」

「ふーん、女の子にそういうこと言うんだ……」

 しまったと思った。もう何度目かもわからない酸欠の状態で、ついぽろっと本音が漏れてしまった。ロボ子さんのこめかみがぴくぴくと動いている。確実に怒っている表情だった。調子に乗っているなどとよくわからない難癖で始まったこの仕置きなのに、また調子に乗ったことを言ってしまった俺はどうなるのだろうか。

「女の子に重いなんて言ったら殺されても文句言えないよ?ぼく傷ついちゃったなぁ」

 ぐりぐりと踏み躙られて咳き込みながら悶絶する。圧倒的な重量で俺の骨は軋み、嫌な音が鳴り響く。ストッキングに包まれているため擦れて顔に跡がつくほど痛い。蒸れた足による臭いも凶悪だ。だが臭いなどと言ったら今度は本当に殺されてしまうだろう。強烈な圧迫感とむわりとした足の臭いに耐えながら、俺は必死に謝った。

「まぁぼくは優しいからね、許してあげる」

 そう言いながら俺の上から足を退けて、真っ黒なストッキングをするすると脱ぎ始めた。

「その代わりぼくの足を舐めて綺麗にしてね。ちゃんとやるまで許さないから」

 ストッキングも相応に臭ったが、その中に入っていた素足も凄まじいほどの臭気だった。小さい俺にとっては周りの空気全てがそれに汚染されて、紫色のガスになっているかのような錯覚さえ感じる。足は汗をかいており、てかてかと光って俺の前に鎮座していた。
 意を決して目の前にある巨大な足を舐め始める。汗のしょっぱい味と、舌が付くほど近づいたため余計に強くなる臭いにえずきそうになりながらも必死で舌を這わせる。

「なかなか気持ちいいよ、じゃあきみは今日からぼくの奴隷に任命してあげるね、おめでとー!」

 元々は召使いで、次はペット、最終的には奴隷かと、自嘲気味に笑いながら、気まぐれで麗しい主人の足を舐め続けた。