敗残将校
とある戦場の砦の一室、中では若い女性将校が今日捕まえた女捕虜を尋問していた。
「有名将校もこうなるとただのゴミ虫よね」
ただし捕虜の大きさは15センチほどにされ、手に握られている形だった。捕まえた兵士に時間と大量の薬をかけることで、小さくさせることができるようになったからだ。
「あ…ああ…、やめてぇ…」
普段は強大な戦車に乗り、わが軍を蹂躙してきた将校も小さくしてしまえば形無しだった。文字通り命を握られている、といった状態には慣れようもないだろう。
「フフッ、あなたがわが軍にどれだけの損害を与えたか知っていて、助けを求めるの?」
我ながら意地の悪い質問だと思う。この将校は中佐でありながらにして、戦場で前線に出る有名な戦車乗りだった。戦果を上げ続け、敵味方から『戦車クイーン』と呼ばれているほどだった。損害なんて、きっと本人も覚えていないほどあげているのだ。
「ゆ、許してぇ…!離してぇぇ!いやぁ!」
必死に身をよじるもこんな小人に力はない。第一抜けられたとしてこの大きさじゃ、せいぜい途中で誰かに踏み潰されるのが関の山だ。
つまりは彼女にとって、この状態はもはや死を意味するのだ。捕虜交換なんて生ぬるい救済にありつけるはずもなく、恨みを発散するオモチャとして扱われると。そのためにこんなにも小さくされたのだと。
「許さないし離さない、少し黙って」
ほら、ちょっと言えば震えて何も出来なくなる。ガタガタ震えてかわいいものね。ここで私が踏み潰してやるとでもいえば、彼女は発狂するかもしれない。それはそれで、面白いかもしれないな。
「お願いだからぁ、助けてください…」
私の妄想によるニヤケ顔が彼女の恐怖を増大させたのか、また懇願してくる。きっと彼女の頭の中では、自分自身が巨人の手によって引きちぎられでもしているのだろう。或いはナイフで切り刻まれたか、ライターで火あぶりか。戦車クイーンだから戦車の履帯でグチャグチャにされている、というのもあるかもしれないな。
どれもする気はないけどね。何せこんなかわいいお人形を手に入れたのだ、手放してたまるか!昔からお人形遊びは好きだったが、こんなにも興奮させてくれるものはない!
確かにわが軍に対して大損害は出ているのかもしれないが、正直知ったことではない。どこかの誰かがやられたよりも、今の私にはこの可愛い人形でどう遊ぶか、それしか頭にない。
「ひぃい……!うぷ…!」
あ、私のだらしなく開けていた口からよだれが垂れていた。よく見れば彼女の顔にもちょっとついている。顔いっぱいにかかる唾液、怖いだろうな。確かに食べちゃいたいくらいかわいいけど、食べたら終わっちゃうもんね。我慢我慢っと。
「うぇっぷ、うぅ…!」
フフッ、閃いた!
「あーあ、汚れちゃったねー?気持ち悪いよねー?」
ズイっと顔を近づけて微笑みながら、はいともいいえとも答えにくい質問をする。
「ひぇ、あ…ぅあ」
この恐ろしさに打ちひしがれた顔もかっわいいわー。でも、それじゃあ次のステップに行けないし…。
「へー、私の質問に答えないんだー?いい度胸ねー?」
嘲るような軽いトーンでさらに迫る。彼女のおびえた顔がさらにひきつる。加虐心に火がついて仕方ない。彼女を捕まえた兵士には後でご褒美を上げよう。
「尋問しても答えない敵なんてただの邪魔者だしなー、いらないっか」
少しだけ指に力をこめる。もちろん潰す気はない。だが彼女にはそんなことはわかるはずもなく。
「い、いやぁああああ!お願い、答えるからああ!何でもする、なんでもするからああああ!」
なりふり構わないってこんな感じなのかな。涙と鼻水と、それから私の唾液でグチャグチャに汚れた顔を振り回して命乞い。すっごく醜いけど、すっごくかわいい。
「じゃあ私の質問に答えて、今気分はどう?」
息が詰まって声が出ないのか、呼吸も苦しそうだ。でも、答えないと潰されると思っている以上、答えざるを得ないよね。
「き、気持ち悪いです…」
小さい体から絞り出したような、まさに消え入りそうな声。戦場ではきっと部下を鼓舞するために大声を張っていただろうに、今じゃこのありさま。
「そかそか、そりゃ気持ち悪いよね。他人のよだれなんてねー?」
同意してもらえて少し安心したような顔を見せる。もしここで、私のよだれが汚いってどういうこと、ありがたく飲みなさいと言えばどうなったか。明日にでも試せばいいか。それより今は…。
「よだれがついていて気持ち悪いよね、すぐにその服を脱がないとねー」
そういって私は上着を指でつまむ。彼女の上着についた数々の勲章も、この状態じゃゴミ屑。私のサディズム精神の増大の糧になり下がっている。
「え、やめて…!そんな…!」
やめてって言われてやめるやつは戦場じゃ生き残れないわよ。
ビリイイ!
強引に上着を引きちぎる。小気味いい音とともに上着の前と後ろが泣き別れ。このサイズ差じゃ綺麗に脱がせるなんてやれるはずがない。もっともそんな優しいこと、する意味もないし。
「あ…、うそ…」
尊厳も一緒に破られたといわんばかりの顔、おいしいです。これだけでも満足できるが、メインディッシュはまだまだこれから。指先についた緑の布きれは握りつぶして地面へと放り投げる。
「フッフ~ン」
楽しいっていう感情をまさに謳歌している私。次はワイシャツに手を、いや指をかける。お、結構胸あるのね。着せ替え用の服を用意するときは気をつけなくちゃね。
「それじゃ、いくね?」
承諾なんていらない、なぜなら彼女は私の奴隷であり下僕であり、何より人形なのだから。
バリ、バリィ。
引きちぎられる力にまずボタンが音を上げる。一つ、また一つと連鎖的に引きちぎれていく。もう少し力をこめればあっという間にワイシャツは布の塊。私の汗で指先にへばりつく、ティッシュのような見た目通りの薄い存在に。
そして可愛い下着が露わになる。優秀な将校もこうしてみればただの女の子ね。
「かわいいかわいいお人形さん。これからいっぱい遊ぼうね?」
ああ、これからどれだけ至福の時間が来るのか。私はまたよだれを垂らしながらこの小人を見つめる。そこにはもう戦車クイーンなんていなかった。いたのは可愛い着せ替え人形さんだけ。
フフフフ、フフフフフフフフフフ、アハハハハハハハハハハハハハハハ。
これからた~~くさん、お世話してあ・げ・る。
その夜、私の部屋では小さな小さな悲鳴が響き続けていた