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"welfare" Ep.2
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飼い主が、隣の部屋で宅飲みし始めた。
明るい声が聞こえてきた。女子会とでも言うのか会話が盛り上がっていた。
飼い主の友達は思いもしないだろう、10人の縮小人間が隣の部屋で暮らしているなんて。

変化したことがいくつかある。
縮小化した住民たちが彼女のことを「飼い主」と呼んでいるから、俺も飼い主と呼ぶことにした。

そして10㎝に縮小しても、ご近所づきあいは存在する。
隣の家のおばさんから肉じゃがのおすそ分けをもらったので、今夜はご飯とみそ汁を作って一人晩酌した。

部屋の戸が開いた。飼い主が入ってきた。
「やっほ~今日は友達が来てるの~」
彼女がそう言うと、何人の住民が彼女のもとへ寄っていくのが見えた。いつものスキンシップでもするのだろうか。

「小人さん一人飼うと4万円もらえるのよ」飼い主は友達にそう言った。
縮小化された生活保障者を飼うとお金がもらえる。彼女がそれで生活しているのは他の住民から聞いたことがある。

飼い主の女友達が部屋に入ってきた。外部の人間に来ることはめったにないので、どんな女性か見てみたかった。
玄関を出ると、ドールハウスの周りを四つん這いで動いている女友達の姿があった。
四つん這いでもドールハウスを覆いつくすことができそうなほど、彼女は途方もなく大きい。

おばさん家の肉じゃがの美味しい香りに鼻をクンクンとさせていた。そりゃこんなドールハウスで肉じゃが作ってたらビビるよね。

縮小化した俺は10㎝ぐらいで、家を見つめている彼女は視界に入ってないだろう。
向こうは本当に気づいていないみたいだ。動き出した彼女の下にすっぽり入ってしまった。

位置的には彼女の下腹部の真下ぐらいだろうか。ゆるっとしたパジャマから下乳が見えていた。すごいおっぱいだった。見たこともない深い谷間だった。
おっぱいに見とれていたら、彼女の足が動き出そうとしていた。まずい蹴られる。

「足元ちゃんとみて!小人さんいるよ!」
飼い主が叫んだ。彼女が足元にいる俺のほうを向いた。
慌てた様子で俺を両手で拾って顔の前まで持っていった。
眉を八の字にしてごめんなさいと謝っていた。かわいかった。
「こちらも小さいですから、うっかり足元にいてすみません」
俺も、彼女に不用意に近づきすぎたので謝った。彼女のそういう素直な性格はすてきだと思った。

10人ぐらいで集団生活をしているのも悪くはなかった。衣食住は安定しているし。これまでの人生を考えれば何一つ不自由なかった。
でも性欲処理をしてくれるのは飼い主一人だけだ。何人もの男を相手にした手や口で自分もされるのはどこか空疎な気持ちになったことがある。
だから、今目の前にいる彼女一人に愛される人生を送ってみたいと思った。

俺を拾い上げた彼女は、掌に載せたまま隣の部屋に移動した。
俺はガラステーブルの上に降ろされた。俺の背丈と同じぐらいの缶ビールと腰高ぐらいのポテチもあった。

「私ってどうですか?その、、私に飼われても良いですか?」
思いがけないことを言われた。彼女の顔が赤らんでいる。恥ずかしがっているような顔もかわいい。即答した。
「僕から言うのも変なんですけど…ぜひ飼ってほしいです。すごく可愛いと思います。魅力的です!」
飼い主の変更、こんなにすんなりと成立するとは思わなかった。

「私おっぱいの大きさには自信があるんですよ」
と言うと彼女は上着を脱ぎだした。
目の前でおおきなおっぱいがブルンとはじけた。
片乳だけでも俺の全身より大きかった。

初対面の俺の前であまりにも無警戒なのは、俺に好意があるからなのか。
それとも俺を愛玩動物としてしかとらえていないのか。

彼女は両手でおっぱいを抱えて俺の上に持ってきた。
デカい。彼女はゆっくりとそれをおろした。
支えて持とうとしても、むにゅっと形を変えて腕が沈んでいく。
おっぱいの重さに耐えきれなくて、そのまま下敷きになってしまった。
おっぱいに押しつぶされた。
初めての体験だった。今の飼い主はここまで大きくはない。

重くのしかかるおっぱいをどかそうと両手両足を動かしてジタバタしようとするが、何にもならなかった。
酸欠になると思ったタイミングで彼女が胸を持ち上げてくれた。
息が切れかかって大きく息を吸い込んだ。
「おっぱいの悪魔だぞー」
冗談めいた口調で間髪入れずに次のおっぱいプレスがやってきた。

彼女が勢いをつけておっぱいをたたき下ろせば、俺は下乳に押しつぶされてそのまま死んでしまうだろう。だがそんなことはしなかった。彼女の両手からはみ出るほどの巨乳をゆっくりとテーブルに降ろした。
何もできず下敷きになった。すっかり遊ばれているが、女の子に遊ばれるのは心地よかった。

「おっぱい戦車だぞー」
彼女がおっぱいをテーブルに置いたままこちらに向かって引きずり動き出した。
逃げ出そうと反対へ動き出した。そこには手で作られた壁があった。俺の背丈では越えられない。逃げられなかった。
手に遮られあっけなくまたおっぱいに押し付けられた。
彼女の乳輪は俺の顔よりも大きい。目の前に迫った乳首が口に入ってきた。
「ん♡」
彼女の喘ぎ声が聞こえた。乳首をくわえる…というより大きかったので若干噛んでしまったのが気持ちよかったのかもしれない。

「もっと舐めて♡」
彼女の手のひらが俺をやさしく包みこんでいる。言われるがまま舐め続けた。
ここまで甘えてもいいんだという気持ちになったのは初めてかもしれない。
彼女も高揚して顔が赤らんでいるように見えた。

そのあと、俺の股間を大きな口で咥えて一生懸命に舐めてくれた。あっという間に射精してしまった。
「あ、出たね。これかな?ちょっと苦いね…」
そういって股間から口を離した。舌に人差し指をつけて精液があるか確かめていた。
かわいい、世の中に女神がいるならば、きっと彼女だろうと思った。

「これからもヨロシクね、小人さん」
疲れ果てて大の字になっている俺にキスしてくれた。
彼女のやさしさにお礼を返したかったけど疲れてそのまま気絶してしまった。ぼんやりした頭の中、明日から新しい飼い主のもとで暮らし始めることを想像しながら。

何一つ不自由ない縮小生活は始まったばかりだ。

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この国には生活保障法がある。憲法で定める生存権を実現するための法律だ。
生活保障受給者と認定された者は毎月約10万円が支給される。

しかしながら、生活保障を受ける人が増え続け、国の財政を圧迫し始めた。
解決策として、生活保障から抜け出す見込みがない人で飼われても良いと希望する者を対象に縮小化させることとした。
縮小者の飼育者は補助金として一人につき月4万円を支給する法律を可決させ首都圏で実験導入され始めた。

人権侵害ではないかと声が上がっているが、縮小化した人を対象とした追跡調査では大多数が大変満足と答えているという。
人権団体や一部議員は貧困ビジネスの温床になるとの懸念から引き続き動向を注視すると発表した。