「ほらぁーそんなに泣いてたら分からないでしょ??」
デパートで警備員をしている、和人は迷子の少女に話し掛けていた。
「今日は誰と来たの?」
「うぅおっお母さん」
「そうなんだお母さんと来たのか?」
「さぁーおじさんと待機所に行こうか」
和人は手を差し出すと少女は
「おっお母さんに知らない人に着いて行っちゃダメって言われてるの」
泣きながらも母親の教えを言うと
「おじさんはねデパートの人なの、お母さん探してあげるから一緒に行こう」
和人は少女の手を掴み一緒に行くように促したのだが
少女はまったく動こうとしない
「さぁー行こうよ」
手を引っ張って行こうとすると
「いやぁー!!」
少女は苛ついたのか掴んでいた手を振り解くとその勢いに和人は簡単に投げ飛ばされ地面に叩きつけられた。
「イテテ・・・こらそんな事しちゃダメでしょ!!」
尻餅を着いた和人はお尻を摩りながら立ち上がり、少女を叱った。
「だって・・・・おじさんがどっかに連れて行こうとするんだもん」
「だから・・・おじさんがお母さんを探してあげるから・・・さぁー行こう!!」
とまた手を掴んだ。
「うん・・・」
少女はやっと和人の言う事を聞いて待機所に向かった。
しかし和人は困惑していた、少女に投げ飛ばされた
少女と言っても和人の目線には少女のお臍くらいなのだ
これでも警備員として体格は良い方なのだがそれは男性の中だけであり
女性の中では迷子になっている3歳児よりも圧倒的に小さいのである。
本来なら少女の迷子は女性警備員が行うのだが今は別の用件でこっちに来れないらしい。
和人は少女を連れて待機所に向かおうとすると
「あっあのぬいぐるみ可愛い!!」
さっきまで泣きじゃくっていた少女が一転して笑顔でそのぬいぐるみの所へ走り出した、
「おいっこらっ」
和人は突然走り出した少女の手を引こうとしたのだがその力に抵抗する事が出来ず和人の方が引っ張られ
引き摺られるように少女の跡を着いていった。
少女はぬいぐるみを掴みあげて和人の横に並べ
「ねぇーおじさんと同じくらいだよ。かわいい!!」
確かに横に並んだぬいぐるみは和人と同じ大きさであった。
「あらお嬢ちゃんそのぬいぐるみ可愛いねぇー」
「うんそうでしょ!!」
少女は声をかけた女性に向かって見上げた。
和人も声の方に顔を向けるとそこには女性警備員がしゃがみ込んで
少女に話し掛けてた。
「さぁーそのぬいぐるみ持って待機所に行こうか」
「えぇーぬいぐるみ持っていていいの!!」
「さぁーいきましょ」
女性警備員が手を出すと少女は素直に手を繋いだ。
そうして待機室に少女と女性警備員が歩いていくと和人は小走りに着いてい行った。
その様子を少女が見て立ち止まると
「おじさん私が抱っこしてあげる」
いきなりおじさんを抱き上げた。
「あら、お嬢ちゃん偉いね」
女性警備員は誉めたのだが和人は3歳の子にぬいぐるみと同じように扱われてる事に情けないと思った。
そしてそのまま待機所に着き放送を鳴らすと数分で母親が来て
「あぁーお母さん!!」
少女は母親に抱きつきつくと母親は
「すいませんご迷惑をかけました。」
とお礼を言いながら少女を抱っこして帰っていった。

「主任大変でした。」
女性警備員が和人に話をすると、
「いやぁー今の女の子はあんなに大きいとは思わなかった。」
「まぁーそうですね、私も大きい方ですけどあの少女くらいの時は、主任と同じくらいでしたよ」
「って事はあの子はお前よりも大きくなるんだ!!」
「そうですよ、最近の子は私より全然大きいよ」
「男の立場ないなぁー」