「次の挑戦者の入場です。」
山本聡は退屈していた、今入ってきた挑戦者ですでに50人の防衛に成功している。
ここは、あるビルの地下にある闇格闘技であり、目の前で行われる戦いの勝者を賭けるという賭博を行っている所だ
しかしここまで聡が連勝しているため、賭けが成立しなくなってきてる。

そして聡の下に次の挑戦者が入場してきたが挑戦者は聡を見て驚いていた。
挑戦者も190cmくらいであったのだが聡の前では胸ほどでしかなく
聡の腕の筋肉のつき方も尋常じゃない大きさであった。
試合前に聡と挑戦者は向き合い聡は挑戦者に対し、見下ろしながら
「死ぬ前にちゃんとダウンしろよ」
挑戦者もビビリながらも
「お前もな・・・」
言い返した。

カーン!!ゴングが鳴り挑戦者は聡に向かって突っ走り
パンチやキックのラッシュをした。
それを聡はノーガードで受け止めていると相手が疲れて動きが止まった。
「もうそれだけか?」
聡はすべてのパンチを受け止めても全然ダメージがなく余裕であった。
「それじゃ俺から行くぞ」
聡は挑戦者にストレート1発打ち込むと挑戦者のガードを打ち破り顔面にもろに入った。
その衝撃で挑戦者は宙に浮きながらリングに倒れてしまった。
「おいおいもう終わりじゃないだろうな?」
薄笑いをする聡であったが挑戦者は既に気絶をしていた。
「1R KOで聡勝利!!」
とレフリーが叫ぶと歓声があがった。
すると突然、
「警察です。あなたたちを賭博の容疑で逮捕します。その場から動かないで下さい。」
突然の事に観客は出口から逃走しようとしたのだが
「逃げても無駄です。この建物周囲は既に警察によって包囲されてます。」
言い離しその警察はリングの上に行こうとすると観客から
「おぉー!!」っと歓声が上がった。
そしてリングの上にたった警察は婦人警官でしかも聡よりも遥かに大きな体格をしており、
婦人警官の前では聡は太股くらいであった。
「無駄な抵抗はしないで下さい。」
婦人警官は聡を見下ろし警告をした、
「うるせぇー!!」
聡は婦人警官に向かいラッシュをかけたのだがその太股はビクともせず焦った。
「そんなパンチは私には効きませんよ」
そう言うと婦人警官は座り込もうとすると挑戦者が目を覚まし
その光景を見て逃げ出そうとロープを跨ごうとしてした。
「ちょっと待ちなさい!!」
逃げる挑戦者目掛けビンタをすると挑戦者は降りようとしたロープの反対側まで
飛んで絡まってしまった。
「あら、ちょっと力入れすぎたかしら・・・」
そう話してる間に聡はすでにリングを降りもうダッシュで出口へと向かっていた。
「ちょっと待ちなさい・・・あぁー行っちゃダメだって・・・」
と仕方なく見送る婦人警官は無線で
「あぁー今1人外に出るからよろしくね。」
「はぁーい分かりました。」
元気の良い女性の声がした。
「さて、観客の皆さんも署の方にご同行願います。」
「もちろん逃げ出しても無駄ですよ・・・と言うか逃げ出すと命の保証は致しません。」
すると出口の方から叫び声が・・・その声を聞いて
「ほら・・・言わない事はない・・・」

聡は必死に出口に向かっていた、聡自身こんな所で捕まりたくなかった、
ここで稼ぎ渡米し向こうで活躍する事を目標としていた為であった。
そして出口の扉をゆっくり開け警察がいるか確認したがそこには誰もいなく
あの女のハッタリかと思い外に飛び出し逃げて行った。
「ちょっと待ちなさい!!」
聡は誰も居ないはずなのにその声が聞こえた為、立ち止まり顔をキョロキョロしてると
「上を見なさい」
その声に従い聡が上を見ると今いたビル越しに巨大な婦人警官がいた。
「うぁーばけものだぁー」
叫んだ聡は全速力で逃げようとするが・・・
「誰が化け物ですって!!」
ビル越しに逃げる聡に対し巨大婦人警官は、一歩踏み出すと
ずぅーん!!っと轟音と共にとてつもない揺れに聡は倒れこんでしまった。
「くそぉー!!」
倒れた聡は再び立ち上がり逃げようとしたのだが
「あら何処に行くの?」
聡はその声を無視して前に進もうとしたのだが目の前には大きな壁が出来ており
回り込もうにも結構距離があることに気付いた。
「何キョロキョロしてるの?早く逃げないとね」
聡は再び巨大婦人警官見るとその顔から伸びる体を支える足が目の前にある事にやっと気付き
無謀にもその足に殴る蹴るなどするが・・・
「そんな抵抗しても無駄ですよ、あなたの攻撃何も感じてないです。早く大人しくしなさい」
しかし聡は無視して殴りつつけると
「仕方ないです、今からあなたと逮捕します。」
「抵抗するとケガしますので暴れないで下さい。」
すると足を攻撃する聡の後ろから聡よりも大きな小指が迫ってきて
聡をチョンっと触ったのだが聡にしてみれば大型ダンプが突っ込んできたのと
同じ衝撃を受け今まで攻撃していた足に叩きつけられた。
それでも聡は起き上がり今度は小指を攻撃し始めた。
「あら普通だったらあれで普通の男は失神しちゃうだけどさすがだね・・・でも・・・」
と今度は聡の左右から親指と人差し指が現れ簡単に摘まれてしまった。
聡は上昇する中さらに指の中で暴れたのだが
「あんまり暴れないで下さい。力入れないことに集中してるんから、でないと」
と反対の親指と人差し指に挟まれた大型バスはいとも簡単に潰れ1枚の鉄板になってしまった。
「これでも私は力入れてませんから」
するとそれを見た聡は急大人しくなり素直になった。
「ありがとう、それじゃーこの中に入って下さい。」
巨大婦人警官は聡を手のひらの上に乗せ反対の手でネックレスを体の外に取り出すと
その鎖には体育館と同じくらいの大きさの建物がついており
よく見ると牢屋であった。
聡は手のひらに乗せられた牢屋に入っていった。
すると
「さぁーこっちの人達も確保しなさい。」
巨大婦人警官は無線の声に下を見ると先輩である婦人警官が
建物のから出てきて100人近くの容疑者を見張っていた。
「先輩分かりました」
先ほど聡を入れた牢屋をそっと地面に降ろすと続々と容疑者が入っていった。
そうして全員を収容すると
「これから揺れますのでしっかり捕まってください」
巨大婦人警官はそっと建物を持ち上げネックレスにつけて
胸に挟むように固定した。
聡は正直に自分の無力さを実感していた。
これだけ連勝していた男が婦人警官に片手で弾き飛ばされたかと思うと
それよりも強大な力を持つ婦人警官も現れしかも
今男100人近くを胸に挟みながら移動しているのだ。
これからは普通の人間として生きようと思ったのだった。