女子バレー日本代表は今年から選手が一掃した、
残っているのは名セッターの竹下恵子で
160cmと代表の中では小柄であったが正確なトスはアタッカーを選ばなかった。
しかし恵子は今度の代表には心配があった。

「これからよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく」
監督と向き合ってる選手は一応に礼をした。
監督は選手達を前に驚きを感じていた。
去年はオリンピック予選を通過し、オリンピックでは予選敗退した
セットプレーのよさでは世界トップクラスであったが身体能力の差が大きかった。

今年召集された選手は世界トップを遥かに凌ぐ身体能力の持ち主で
恵子を除く一番小さい選手でさえ去年の大柄な選手を胸元にしてしまう大きさであった。
ましてや一番大きな選手の前では、男子の中でも長身である監督でさえも
お臍を見上げなければならなかった。そして監督の胴回りよりも太い太股に驚きを隠せなかった。
実は、今回の選手はすべてある中学校の生徒ばかりなのだ。
今年からすべての競技においてその中学生が全国制覇を果たしていた。
この中学校においての話はまた後で・・・・

監督の指示のもと練習が始まった
しかし監督はその練習姿に呆然としてしまった。
ネットを越える身長は大きな手をアタック先に差し出すだけで簡単にブロックに成功し、
サーブもジャンピングサーブをすれば、唸りを上げながら相手コートに突き刺さる。
アタックも天井の高さを考えながらジャンプする事でサーブ以上の強烈なアタックが決まる。
それを受け止めることの出来るのはこのチームの人間だけであった。
この選手達にはネットなどないのと同じであった。

そんな中で恵子の心配している事は的中してしまった。
「恵子先輩トスをもっと高く上げてくれませんか?」
このチームでも小柄な孝美が恵子にお願いすると
恵子は無言でトスを思いっきり高く上げるが孝美にとってはジャンプした顔までにしかない
よってアタックを打てたもんではない。
「もしかして届かないじゃ・・・」
その質問に恵子は焦った、
恵子では渾身の力でトスをしても天井近くまでは届かないのである。
「これじゃー戦力外ですよ、監督」
孝美は監督に詰め寄ると
「私がセッターになります、だってもともと学校のチームではセッターだったので」
座り込んだ孝美に監督は
「しかし恵子のセッターの・・・」
「監督私からも恵子さんから孝美に変えていただけないでしょうか?」
そういってきたのは沙耶でこのチームの中で一番長身の選手であった、
その大きさには孝美ですら胸元にも届かない長身であった。
「それは何故かね?」
と監督が見上げながら沙耶に質問すると
「それは・・・・」
と言いながら恵子の隣に行って
「こんなに小さい人が同じコートにいると蹴り飛ばしてしまいます。」
沙耶は隣にいる恵子を見下ろし恵子も見上げた、
恵子からすれば沙耶の膝が恵子の胸元に来る。
沙耶はゆっくりと脚を恵子の押し付けると恵子はその脚に耐え切れず尻餅を付くと
「今私脚を軽く動かしただけですよ、それで絶えれずに倒れてたら試合中にぶつかったら
怪我だけじゃすまないと思うんです。」
恵子は尻餅をつきながら
「私も孝美に代えてださい、私ではこのチームでは力不足です。」
「・・・そうか仕方ないな」
監督も了承し恵子はベンチに回された。
バレーワールドカップが始まるとそこは日本チームの独壇場となっていた。
しかもすべての試合で15-0の3セット先取で勝利を収めた。
ベンチ控えとしている恵子は、勝利に歓喜しながらも
喜んでいる沙耶に持ち上げられながら抱かれているのに対し必死であった。