海原に展開する戦艦隊。
その数、数十あるいは数百か。
だが彼等の目の前には、そんな無敵艦隊など塵に等しく見えるほど超巨大な少女の尻があった。
ビキニの水着に包まれた尻は圧倒的な存在感で彼等の視界を埋め尽くしている。
少女の大きさは10万倍。
そして彼等の目の前には尻。
この海の深さがどれほどあるかは知らないが、とにかく10万倍の大きさの少女の尻が目の前にある。
ギリギリ太腿の付け根が見え、尻と海面の間に若干の隙間が出来ていた。
若干の隙間とはいえ、戦艦はその間を容易に潜り抜けることが出来るだろう。
その隙間は少女の感覚で1㎝ほど。
戦艦の全長が約3㎜なのだからその腿の間、尻の下を行く事に何の問題も無い。
ズンとそこにある丸い桃の上層部は雲さえ漂い、少女の背中は青い空に消えてしまってみることが出来ない。
彼等の視界には、少女の尻しか無かったのだ。
表現の仕様の無い光景だった。
この様に丸く横にぷるんと飛び出た島も山も、本来存在しないのだ。

そして、その超巨尻の大きさに相応しい巨大な手が下りてきた。
その指の長さは全長数㎞に及び、太さも1㎞以上ある。
それが五本。
空母を、ひょいと摘み上げてしまえる大きさだった。
自分達の戦艦などそれ以下だ。
全長は300mでも幅はあって100m。
あの巨大な指の前にはこんな戦艦などゴミに等しい。
指で摘むどころか潰されてしまう。
それ以前に、指の腹に数隻並べて乗せられてしまう。
艦隊すべてでも、手のひらにすくうことが出来るだろう。
力の大きさなど、考えるだけおこがましいほどの差があった。
その巨大な指は水着に親指を引っ掛けるとそれをスルスルと降ろし始めた。
面積の少ないビキニだが、街を覆えるほどの広大なそれはやがて海の中へと沈んでいった。
彼等の前には、超巨大な尻が一糸纏わぬ姿で解放された。
肌色の山である。
その畏怖たる存在に大気さえもゴゴゴゴ…と鳴動している。
尻の肉球は二つの山でありその合間は深い谷であった。
彼等は谷を見上げることさえできた。

超巨大な少女の尻。
その尻と比べればゴミの様な大きさの戦艦。
では、それに千と乗っている我々は…。
彼女の尻は、世界中のどんな山よりも大きいのだ。
この尻を上るとしたら、食料もテントも用意しなければならない。
大冒険になるだろう。
一人の少女の尻の上で、何十万人が登山を経験できる。



海が吹っ飛んだ。
戦艦達は残らず吹き飛ばされ、その時の衝撃で砕け散るか転覆するかまたは数千mの距離を飛行して海面に叩きつけられた。
一瞬だった。
彼等は直前、海が爆発したのではないかと思った。
だが実際は爆発したのは海ではなく、少女の尻の谷間だった。
それは放屁だったのだ。
少女のおならは戦艦隊を海の藻屑とし海を爆発させ雲を吹き飛ばした。

  ザバーーーーーーーーーーーー!!

水着を穿き直した少女は立ち上がり、その太腿で海をかき混ぜながら水平線の彼方へと消えて行った。