※尻尾が書きたかっただけかも知れない…。



 主人公 「なるほど、つまりなんでも願いをかなえてくれると」
 アクマ 「うん。ただあたしはまだ未熟だからちょっと時間がかかっちゃうけどね」
 
狭いアパートの一室での会話。
衝動買いしたアンティークのランプを擦ったら呼ばれて飛び出てって感じになった。
目の前にいるのは悪魔。
アクマちゃんと名乗った。
ピンク色の髪の毛に黒い服。服とは名ばかり実態は乳首や股間の局所を覆う程度のキワドイもの。ヒモのようだ。
まるでちょび○ツ。いやあれは全裸だったけど。
そして悪魔の代名詞ともいえる黒く先のとがった尻尾。
何故か大抵の場合、先端は槍かハートの形になってるよね。
 
 主人公 「例えば願い事あと100個叶えてとか」
 アクマ 「もともと回数に制限無いけど」
 主人公 「マジでか」
 
 主人公 「魂を取られるとか」
 アクマ 「くれるっていうならもらうよ」
 主人公 「マジでか」
 
 主人公 「エロいこととかでもいいの?」
 アクマ 「どんな変態プレイでもいいよ」
 主人公 「マジでか」
 
 主人公 「なんでこんなことしてんの」
 アクマ 「趣味」
 主人公 「マジでか」
 
ふむ。
 
 主人公 「じゃあとりあえず夕飯お願い」
 アクマ 「いいよ」
 
ポン。
目の前に豪華な食事が現れる。
 
 主人公 「うまー」
 アクマ 「次は次は?」
 
四つんばいになって詰め寄ってくるアクマ。
大きな胸がキュっと寄せられます。
 
 主人公 「じゃあ俺サイズフェチなんで俺を小さくしてお前の乳首の上に乗せてくれ」
 アクマ 「うん、わかった」
 
すると主人公の身体は大体1㎜ほどまで縮み、アクマは乳首を覆っている布をずらした。
ぷるんと解放される胸。
アクマは主人公を摘み上げ乳首の上に降ろした。
 
 主人公 「おおー高ぇーすげー広ーい」
 アクマ 「どお?」
 主人公 「いい感じ。この足場ってお前の乳頭だよな?」
 アクマ 「うん、そうだよ」
 主人公 「(ペチペチ)」
 アクマ 「あはは、何も感じないや」
 主人公 「だろうな」
 
そして乳首から下ろされ元の大きさに戻る。
 
 アクマ 「他には何かある?」
 主人公 「とりあえず、金かな。あればあるで困らないし」
 アクマ 「わかった。じゃあちょっと待ってて」
 
言うとアクマは窓から身を乗り出した。
 
 主人公 「あれ? すぐに出してくれるんじゃないんだ?」
 アクマ 「お金だと通し番号とかあるから出すより持ってくるほうがいいの」
 主人公 「なるほど。リアル」
 アクマ 「サイズは何倍がいい?」
 主人公 「サービスいいな。じゃあ今回は1000倍で」
 アクマ 「はーい。いってきまーす」
 
アクマは夜の空へと飛び立っていった。
ちなみ背中には黒い翼があるのよ。
 
 
  *
 
  *
 
  *
 
 
パタパタと夜空を行くアクマ。
 
 アクマ 「えーっと、銀行ぎんこーっと…」
 
銀行を襲う気まんまんだった。
1000倍の大きさから見渡す地上は細々としていてどこに何があるのか見分けづらい。
 
 アクマ 「降りてみよ」
 
  ずしぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいん!!
 
アクマの長さ250mはあろうかという足がそこにあった家々の上に降ろされた。
250mは靴の大きさで足はもう少し小さいのよ。
夜、家の中でのんびりしていた住人達は突然の地震に驚き外へと出てきた。
だが夜の闇は彼等の視界を遮り、彼等に理解できたのは、そこに何か巨大なものがあるということだけだった。
 
 アクマ 「やっぱり銀行ってもっと街中に行かないとないのかなー」
 
キョロキョロと辺りを見渡しながらスタスタと歩いていくアクマ。
彼女は暗視能力を持っているのでそこが暗闇でも問題なく見通すことが出来る。
が、足元の事はアウトオブ眼中。特に気にしてもいなかった。
彼女の履く靴は丈(?)の長いブーツで脚の腿ほどまで伸びている。靴の種類の名前は知らない。
夜闇、暗視を持たない人々にはその黒い物体が何であるか理解できず、色もどうかしているためその動作に対し迅速な対処も出来ない。
なんだ! と声をあげる前に、その黒塗りの靴の下に埋め込まれていた。
 
しばし辺りを探索していたアクマはやがてこの場所に見切りをつけて飛び立った。
後には踏み潰され瓦礫となった家々や車、そして無数の巨大な足跡だけが残された。
 
 
  *
 
 
やがてより大きな街へとたどり着いた。
と言っても高層ビルが乱立するような大都会であるわけでなし。小さな家がさきほどよりは密集しているというだけの話。
人口の多さを示すように街には小さな明かりが無数に灯っている。
 
 アクマ 「よいしょっと」
 
再びその街中へと降り立ち、また大地震が発生した。
巨大な足が降ろされた瞬間、強大な衝撃波が周囲のものを吹き飛ばす。
まるで地面の小さな光たちが夜闇に飲み込まれてゆくかのような光景であった。
規則正しく動いていた光たちも乱れ停止してゆく。恐らくは車の光だったのだろう。次々に光が消え、かわりに赤い炎を巻き上げ始めた。
そんなものには目もくれず、アクマは家々の上をサクサクと歩き出した。
人々はただただ阿鼻叫喚の渦に巻き込まれていた。
街の明かりでうっすらと見える全容。
超巨大な人間がそこにいる。
現状を理解できる者はいなかった。
彼等は次々と足の下に埋葬されていったからだ。
 
 アクマ 「銀行ぎんこー…あ。あれかな」
 
正面。
一団と光の集まる場所がある。恐らくは駅だろう。
その近くにでかでかと『$』の看板を掲げた建物があった。
数歩でそれに近寄ったアクマは膝を着いてその建物に手を伸ばす。
2階建ての建物は看板を含めても高さ10mほどで幅も同じ様なもの。アクマにとって1㎝ほどでしかないということになる。
爪の先でビルの天井を取り払い中を確認する。
 
 アクマ 「金庫はー…ないね」
 
するとアクマは、天井を取り除かれてびくびくと怯える人々ごと2階を取り払った。
現れた一階。まだたくさんの怯える人がいるがその奥、建物の中心に大きな金属製の箱があるのが見えた。
 
 アクマ 「あ。あったー♪」
 
アクマはその小さな小さな箱に手を伸ばす。
人々の悲鳴が沸きあがるなか、指はその爪の間に小さな箱を挟み持ち上げていった。
 
 アクマ 「これで一個目。次のところへー」
 
アクマは数㎜の大きさの小さな小さな金庫を胸の間に仕舞い込むと立ち上がり翼を羽ばたかせ飛び立った。
飛び上がる瞬間に巻き起こされた突風は度重なる振動で大災害を被っていた街に止めを刺す形となった。
 
 
  *
 
  *
 
  *


次の街へやって来た。
先ほどの街よりも発展しているようで100m級のビルも現れ始めている。
ここならたくさんの銀行がありそうだ。
アクマはうきうきしながら街の一画へと降り立った。
中層のビルや道の上の車、その脇を逃げる人々が成す術も無く下敷きになる。
大きな街であるのはいいが、そのビルが多く大きくなった分だけ視線が通りにくくなった。
ここな適当に消去法。探索の済んだ高層ビルは叩き潰すか、へし折り持ち上げて遠くに放り投げ捨てる。中に人が居る居ないは関係ない。

 アクマ 「もう、こんなにたくさん建てないで欲しいなぁ」

文句を言いながらビルをポイポイと投げ捨ててゆくアクマ。
器用な事にその細長い尻尾でビルをくるりと巻き取りへし折って捨てている。
クイックイッと先端を動かす様は小動物のそれに似た愛らしさを覚えるが、実際は蛇、いや龍の如く獰猛な怪物であった。
キュン。
尻尾が、あるビルに対し思い切り振るわれた。
しかし振りぬかれた後、ビルは変わらず佇んだままだった。
と、思われたが、時間差を得てビルが斜めに裂け、やがて上層部はずるずると落ちていった。
本当に鋭い刃のみが出来る芸当である。
アクマの尻尾の先端はかくも恐ろしいものなのか。
なぎ払われれば周辺のビル軍の根元を粉砕し、無数のビルを宙に放り出す。
先端が地面を切り裂けば、そこには大地の裂け目とも見える凄まじい傷跡を残す。
四肢を使うまでもない。
その尻尾だけで街を壊滅させられる力を持っていた。

 アクマ 「ないな〜」

次のビルを放り投げたときだった。
夜闇に、幾つもの赤い閃光が煌いたのに気付いた。

 アクマ 「?」

何かと思ってみてみればビルの合間の道路に無数の戦車達が集結していたのだ。
周囲には戦闘機らしきものもたくさん飛んでいる。
が、アクマはサイズの違いからそれが何であるか把握するまで一瞬時間が掛かった。

 アクマ 「なにこれ。虫?」

周囲を飛ぶそれを手で払い落とし、手にぶつかる瞬間その虫が火炎を巻き上げるのを見てそれが戦闘機であると把握した。

 アクマ 「なんだ、軍隊じゃん。あたし今忙しいからまた今度遊んであげる」

周辺の戦闘機も足元の戦車も無視してアクマは銀行探索を続行した。
段々と高くなるビルを蹴り砕き視界を広げながらずんずんと進んでゆく。
その歩行に無数の戦車も巻き込まれていたが。
小さすぎる戦車は、靴越しではアクマに自分を踏み潰したという感触すら与える事は出来なかった。
巨大な靴の下でプチプチと潰される。爆ぜる一瞬の閃光ですら、その靴の下に押し潰された。
キョロキョロと足元を見渡しながら進むアクマ。
その周囲では戦闘機たちが懸命の攻撃をしていたがアクマは払うそぶりすら見せない。
敵のあまりの強大さに戦闘機群が退却を測ろうとしたときだった。

 ヒュン! ヒュン!

あの尻尾が宙を飛ぶ彼等をなぎ払った。
尻尾は正確な動きで確実に戦闘機を捕らえてゆく。
戦闘機たちは、まさに無視の如く叩き落とされていった。
どれだけ機敏でトリッキーな旋回で回避しようとも無駄だった。
アクマから離れていた数機は味方の撃墜を見たときすぐに旋回し撤退を開始したが、伸縮さえ自在のアクマの尻尾はその彼等さえも逃がさなかった。
彼女が彼女がスタスタと歩き足元を物色する、ただそれだけの間に戦闘機群は彼女の尻尾だけで全滅させられた。


 *

 *

 *


無数のビルが粉砕され都心の半分が火の海になりかけたころ、アクマは数箇所目の銀行を見つけていた。

 アクマ 「やった! これで7つ目だよ」

目的のものの発見ににんまりと笑ったアクマは周辺のビルがその巨大なお尻の激突で砕かれるのも構わずそこにしゃがみこみ銀行へと手を伸ばした。
そんなアクマの背中に、光線が命中した。
後ろには身長40mほどの光り輝く巨人が立っていた。
世界の危機に立ち上がったのだ。
今しがたの光線は彼の必殺技でもある。

 アクマ 「〜♪」

だがアクマは見向きもせず銀行の物色を続けていた。

 巨人 「…」

光の巨人は飛び上がるとアクマの背中へと白兵戦を挑んだ。
ただの一発でもビルや山、怪獣を倒せるパンチやキックが、無数にその広大な背中に叩き込まれていた。

 アクマ 「この銀行は大きいなぁ。金庫も大きいかな〜」

アクマは笑顔のまま銀行を解体していた。

 巨人 「…」

腹に据えかねた巨人は、まるでヒーローとは思えないような雑な格闘を繰り出していた。
殴る蹴る。華麗さは微塵も無く、チンピラのそれの様な蹴り方だ。だが一発一発が渾身の一撃だった。
無数の怪獣を黙らせてきた、無双の武器だった。
ひたすらにそこにそれを打ち込み続ける。
通常の怪獣との戦闘でここまでラッシュを叩き込むことは無い。
段々、手足が痛くなってきた。
と、光の巨人が思い始めたそのときだった。

  ドスゥッ!!

横から飛び込んできたアクマの尻尾が彼の身体を貫いた。
彼の身体は尻尾の先端で止まっていたが、その鋭い切っ先は、彼の背から腹へと突き出していた。
その後、尻尾はビュンと動きアクマの目の前に持っていかれる。

 アクマ 「なによさっきから! うっとうしいな〜!」

アクマは目の前で半ばハヤニエとなったそれを見た。
感じる大きさ約4㎝ほどの小さな人の形をした宇宙人だった。
小さいといっても、今の人間ほどでは無いが。
光の巨人は自身を貫く巨大な尻尾を引き抜こうとガタガタ震える手で必死に抗っていた。
その傷口からは大量の体液があふれ出ている。どう見ても、致命傷だった。

 アクマ 「ふんだ!」

  ビュン!

尻尾を思い切り振り、巨人の身体を抜き捨てた。
巨人は近くにあったビルに突っ込み、そのビルをガラガラと倒壊させた後、二度と姿を現さなかった。
アクマは探索を再開した。
が、今度は無数の光線がアクマを撃った。
見れば周囲には先ほどの巨人と同じ大きさの巨人が無数に展開していたのだ。
彼等は次々とアクマに光線を放ったり殴りかかったりした。
だが。

  ヒュン

再び尻尾がなぎ払われた。
すると飛び掛ってきた数人の巨人の身体が真っ二つに斬れた。
尻尾の先端のせいである。
ヒュンヒュン。
尻尾が振り回される。
その度に巨人達は胴を切られ腕を切られ首を切られ、細切れにされていった。
遠方から光線を撃っていた一団がいた。
尻尾はその先端のハートの部分の羽をくるくると畳んで、やがて鋭く細く研ぎ澄まされた。
槍と言うよりも針に近い形状だ。
その尻尾が、彼等に襲い掛かった。

 ドス

巨人の一人が腹を貫かれた。
かと思うと、尻尾はまた別の巨人を突き刺した。

 ドス! ドス!

計3人の巨人が続けざまに貫かれ串刺しにされた。
振って彼等を捨てる。
投げ出された彼等の腹には大穴が空いていた。

パッ。
先端の羽が開かれると、尻尾は風を切りながら次の巨人に襲い掛かる。
その巨人は尻尾にぐるりと巻きつかれ、首と足だけが出ている状態にされた。
抗うことが出来ない怪力だった。
尻尾の圧力に身体がメキメキと潰れて行く。
そして腹が破けるのでは無いかと思った瞬間だった。

 キュッ

尻尾の圧力が一瞬で高まり、彼の身体は体液を噴き出して捻りつぶされた。
尻尾がほどかれると、そこから身体の形状がぐちゃぐちゃになった巨人が落ちていった。

 アクマ 「あ! あった〜。これこれ」

その間に探索を終えていたアクマは遂に金庫を発見していた。
例によって金庫を胸の谷間に仕舞いこむ。

 アクマ 「さ〜って、これくらいでいいかな」

立ち上がり伸びをするアクマ。
アクマの周囲を飛んでいた巨人達は、立ち上がるその動作に取り残されていた。
つい今しがたまでしゃがんだ彼女の頭の高さを飛んでいたのに、今は彼女のお尻を見上げる形となってしまった。
と、その光景にあっけに取られてしまった巨人のひとりが巨大な手に掴まった。

 アクマ 「まったくうっとうしいったらないんだから。なによチビのくせに。それで戦ってるつもりなの?」

アクマの拳には頭だけを出した巨人が囚われていた。
4㎝の巨人など、アクマの指の長さにもならない。
アクマはもう片方の手でその頭を掴むと、身体を解放し、頭だけを摘んでぶら下げた。

 アクマ 「ほらほら、攻撃してみなよ。あたしをやっつけたかったんでしょ?」

顔の前に持ってきてブランブランと揺らす。
巨人は首に走る途方もない激痛に気を失いそうだった。
が、強靭的な精神力で何とか耐え、目の前にある巨大な顔に光線を発射した。
光線はアクマの顔に命中した。

 アクマ 「なにそれ。ぜーんぜん痛くない」

アクマは空いている手でデコピンを構えるとその巨人の胸にあるカラータイマーに狙いを定めた。

 アクマ 「これがあんたたちの弱点なんでしょ。前にテレビで見たの」

  ピン

指を弾いた。
指はタイマーを容易く粉砕し、胸部の骨をも粉々に砕いた。
瞬間、彼の目からは光が消え、手足もだらんと垂れ下がってしまった。

 アクマ 「あっけないなぁ…」

動かなくなった巨人を投げ捨てると周囲を見渡した。
まだそこには数人の光の巨人が残っている。
アクマはにやりと笑った。

 アクマ 「いいよ。もうちょっと遊んであげる」

言うとズンと一歩踏み出した。
そのあまりの初速に、巨人達は誰も反応できなかった。
ある巨人に、アクマの片手が迫る。
その手の人差し指が。

  ドスゥ!

アクマの指は巨人の胸を貫いた。

 アクマ 「まずはひとり〜」

クイクイと指を動かすと動かなくなった巨人の四肢もぶらぶらと揺れる。
一瞬反応の遅れた巨人達が反撃を開始した。
残った数人で周囲を囲み、光線を放つ。
が、アクマがその漆黒の翼で羽ばたいたとき、背面にいた巨人達が激突して翼に体液の花を咲かすこととなった。
同時にアクマは一歩前に思い切り踏み込んだ。
巨人達は、アクマの1000倍という巨体と、にも関わらず動きにまるで制限の無いせいで、どうしても反応が遅れる。
踏み込んだアクマの正面にいた巨人が最期に見たのは、迫り来る巨大な乳房だった。
アクマは目の前の巨人に乳房で体当たりをかました。
その圧力に巨人の身体は一瞬乳房にめり込み、そしてその弾力でぼよんとはじき出される。
そこを…。

  バチン

アクマは掌で叩き落とした。
更にアクマは別の巨人を掴み、それを太ももの下にセットすると勢い良くしゃがみこんだ。

  ブチャッ

その巨人はしゃがみこんだアクマの太ももとブーツの間で潰された。
そこから立ち上がる反動で宙へと跳躍し、上空から光線を撃っていた巨人に迫る。
巨人は、突然目の前に現れたアクマの顔を凝視していた。
その顔は勝ち誇った笑みをにんまりと浮かべている。
その口が、あーんと開かれた。

  ガブリ

巨人は、アクマの口に捕らえられた。
他の巨人からは、アクマの口から同胞の下半身が垂れ下がっているのが見えた。
にやりと笑う口の歯の間に捕らわれた身体。
アクマは、犬歯でその巨人のタイマーを噛み砕くと、咥えていた巨人を吐き捨てた。

最早絶望的としか言いようのない戦力差に、生き残っていた数人は空へと逃亡を図った。
マッハを遙かに超える速度で飛行できる彼等だ。この地球上において彼等より速く飛べるものは存在しない。
…たったひとつを除いては。

彼等が宙へと飛行を開始した瞬間、目の前にはアクマが回りこんでいた。

 アクマ 「くすくす、どこに行くの?」

巨人が宙へと逃亡を図ろうとするまでの一瞬の間に、アクマは地面を蹴って飛び上がり彼等の前に回りこんでいた。それだけのことだった。
表情のない巨人の顔だが、今だけはそれが絶望に怯えているということが分かる。

 アクマ 「逃げちゃだ〜め♪」

おどけながらアクマは飛んでくる巨人のひとりを指でピンと弾いた。
自分の胴体ほどの太さのある指に頭を弾かれた巨人は、頭部が胴体に埋没し、弾かれた勢いで地面へと落ちていった。

最後の生き残りの巨人は、目の前のアクマを見つめたまま呆けてしまっていた。
その巨人を、アクマはやさしく捕まえる。

 アクマ 「あとはもう君だけだね」

手の中の巨人はガタガタと震えていた。

 アクマ 「うーん、このまま捻っちゃってもいいんだけど、折角の巨人なんだよねー。ちょっと小さいけど」

言いながらアクマは巨人に自分の指をあてがったり身体を撫でたりしている。
が、やがてにかぁっと笑った。

 アクマ 「うん、決めた。君にはあたしのおもちゃになってもらおう」

巨人を持つ手を下半身へと持ってゆく。
そしてもう片方の手で、秘所を覆う布をずらした。

 アクマ 「ご主人様が忙しいときはひとりでやらないといけないから、君にはそのお手伝いをしてもらおうかな」

捕らわれの巨人からは、自分の身長ほどもある巨大な女性の秘所が視界いっぱいに広がっていた。
夜闇の中、街のかすかな明かりに照らされて怪しく光る。

 アクマ 「ちょっと小さいけど大丈夫、なるべく潰さないようにするからね。だから君もがんばって」

巨人は暴れた。
宇宙の守り手である自分が、性の玩具にされるなんて。
だがどれだけ暴れても自分を掴む指は揺るがず、ゆっくりと自分をそこへ運んでゆく。
そして足からずぶずぶとそこに沈められていった。
やがて頭さえも呑み込まれ、巨人の全身がそこに入ったのを確認したアクマは布を戻した。

 アクマ 「さぁってこれでお仕事終わり。新しいおもちゃも手に入ったし、今日は楽しみだなぁ」

アクマは今日の夜の事を考え、心躍らせながら飛び去っていった。
あとには、壊滅した街々と無数の動かなくなった巨人の身体だけが残されていた。


 *

 *

 *


主人公宅。

 アクマ 「ただいま〜」
 主人公 「おお、お帰り。大活躍だったみたいだな」

テレビはアクマの話題で盛り上がっていた。

 アクマ 「えへへ、そうかな」

普通に会話しているが実際にはアクマは1000倍のままである。
今は主人公宅を太ももの間に挟むように女の子座りをしているのだ。
当然周辺の家々はそのむっちり太ももの下敷きである。

 主人公 「で、どうだった?」
 アクマ 「うん、いっぱい取(盗)ってきたよ」

胸の間から金庫を取り出すアクマ。(そのうちの半分が胸の間でぺしゃんこに潰れていた)
それを主人公宅の前に置く。
結果そこには金庫が山の様になっていた。

 主人公 「すごーいな。でもこんなにたくさんはしまいきれないよ」
 アクマ 「あ、そっか。ごめんね。あまったのは戻すから」
 主人公 「悪いな。足りなくなったらまたお願いするよ」
 アクマ 「はーい。じゃあこれは戻しちゃうね」

幾つかの金庫を残して、数個の金庫を持ち上げたアクマ。

 アクマ 「えーっと、たしかあっちの方だったよね」

その金庫達を、思い切り投げ捨てた。

 アクマ 「また欲しくなったら取りに行くからねー」

アクマは飛び去る金庫達に手を振っていた。


アクマの襲来により壊滅的な被害を被った街では生き残っていた住民の救助が始められていた。
そんな街に取られたはずの金庫が降り注いだ。
街は隕石の速度に匹敵する金庫たちの爆撃で、より壊滅した。


  おわり



 主人公 「あ、さっきの映像録画しておけばよかった」
 アクマ 「じゃあもう一回行ってくるね」

アクマの襲撃は終わらない。



※つっこみどころが満載ですが揚げ足取りには対応しておりません。何故なら足なんて飾りだからですよ。