※「姉弟」で、無理矢理「きょうだい」と読む。
 シュリンクです。
 エロ注意。
 後半ぐだぐだ。 



 「姉と」


*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*



「う〜ん…」

寝苦しい。
息も出来ないほどに。
昨日から風邪気味で横になっている少年:真緒(まお)。
今は朝。
息が苦しい。これも風邪の所為なのかな。
苦しさに耐えかねた真緒はうっすらと目をあける。

 むぎゅ

目の前は胸の谷間でした。

「え…」

よくよく確認するとそこには姉の明日歌(あすか)が自分の顔を谷間に押し付け抱くようにして眠っていた。

「えぇぇぇぇええ!?」

顔を真っ赤にしながら思わず叫ぶ。
すると自分を目の前の明日歌もうっすらと眼を開けた。

「ん…、まーちゃん、おはよう」

眼をこすりながらにっこりと笑う明日歌。
真緒はなんとかその姉を引き離そうとする。

「お、おはようじゃないよ姉さん! 何やってんの!?」
「ほら、風邪引いてるときは汗かくといいって言うじゃない。だから抱いて暖めてあげようと思って」
「いらないよ! それに…む、胸…!」

真緒が必死に視線をそらそうとする先にはボタンのはずれたパジャマから飛び出ている二つの乳房。
大きい。よくパジャマのボタンが閉まらないと言っている。
明日歌は横になっているので乳房の上に乳房が乗るような格好で、真緒の顔は先程までここにうずめられていたのだ。
なんとか距離をおこうとしている真緒にニヤニヤと笑いながら近づく。

「あ、まーちゃん私のおっぱい興味ある?」
「な、ないよ!」
「そんな照れなくてもいいの。姉弟でしょ。前はよく一緒に眠ったじゃない」
「昔の話だよ! 今は違うよ!」

 むにゅ

懸命に明日歌の身体をおいやろうとする真緒の手が明日歌の乳房を掴んだ。

「あ」
「あ!!」

明日歌はただ普通に。
真緒は顔をトマトの様に余すところ無く真っ赤にして呟いた。
乳房は真緒の手には到底おさまらず指と指の間からはみでてしまっている。

「ふふ、なーんだ、やっぱり興味あるんでしょ」
「ち、違…」

真緒の手が明日歌の胸からバッと離される。
それを見計らったように明日歌は真緒の身体をぐいっと抱き寄せた。
ほとんど抱き合うような格好だ。
二人の距離は唇が触れるほどに近い。
真緒の胸に明日歌の乳房がぐいぐいと押し付けられている。
動揺する真緒の瞳を覗き込みながら明日歌は真緒の股間へと手を伸ばす。

「本当に興味が無いのかまーちゃんのここに聞いちゃおっかな〜」

真緒のズボンに明日歌の手がスルリと入っていった直後だった。

「あれ?」

真緒は真っ赤になって眼を回していた。

「あはは、ちょっと遊びすぎちゃったかな」

明日歌は苦笑しながら手を引き抜き布団から抜け出ると、真緒にしっかりと布団をかけなおし部屋を出て行った。


 *
 *
 *


朝食。
と言っても真緒はおかゆだが。
目を覚ました真緒は未だ布団の中でおでこの上にタオルを置いて横になっている。
そんな真緒の横では着替えた明日歌がおかゆに息を吹きつけて冷ましていた。

「ふー、ふー、…はい、あ〜んして」
「…」
「どうしたの? あ、もしかして怒ってる?」

スプーンを持ったままクスクスと笑う。
そんな明日歌をジト目で見る真緒。

「姉さん、僕だって男なんだよ。恥ずかしくないの?」
「ないよ。だってまーちゃん弟だもんね」
「そういう問題じゃ…」
「はい、あ〜ん」

口元に差し出されるスプーン。
真緒は苦い顔をしながらそれを食べる。

「おいしい?」
「…この歳になって『あ〜ん』なんて恥ずかしいよ」
「でもまーちゃんまだ起き上がれないでしょ? 今年の風邪はタチ悪いって言うし、早めにちゃんと直さないと後が怖いよ」
「…」

そしてまたスプーンを差し出してそれを真緒がいやいや食べる様を、明日歌はくすくす笑いながら見ていた。

暫くしておかゆの入っていた土鍋は空になっていた。


 *


「それじゃあまーちゃん、私は部屋にいるから用があったらいつでも呼んでね」
「うん。…そういえば姉さん、学校は?」
「今日は休んだよ。父さんも母さんも仕事だからまーちゃんの看病できる人がいなくなっちゃうからね」
「そっか…。ごめん…」
「いーよ。じゃあね」

ウィンクしながら手を振る明日歌。
そしてその姿がドアの向こう消えるとパタンとドアは閉じられた。

「……ふぅ」

一人残された真緒は天井を見る。
同時に身体が熱いことを急に自覚し始めた。
火照る、と言ってもいい。それとも風邪で熱があるだけか。
どっちでもいい。
心臓の音がうるさいほど強く高鳴る。

「姉さん…」

熱でぼやける脳裏には今朝の出来事。
姉とは言え、女性の胸に触ってしまった。それも思い切り。
ひっぱたかれると思ったけど、そうはならなかった。
逆に身体を抱き寄せられて、そして…、姉さんの手がズボンの中に…。
というところで朝は気を失ってしまった。
熱がオーバーヒートしたような感覚を覚えてる。
血が沸騰したように身体中が熱かった。
なんで、姉はあんなにも無防備なんだろう。
弟とは言え、男の布団に入り込むなんて。
さっきもそうだ。
姉が最初、あのスプーンで味見をしていた事は知っている。
それをあ〜んと差し出してきたのだ。
つまり、間接キス。
キス。
一応健全な青少年である真緒はそれをしてしまったと思うととたんに恥ずかしくなる。
なんで姉はあんな恥ずかしいことを平気で出来るんだろう。
それとも、本気で僕を男としては見ていないのだろうか。
ただの弟としか。
それは、ちょっと寂しい。
何故なら、真緒は明日歌が「好き」だったから。
だから一連の出来事は真緒にとって動揺の連続だった。
どうしたらいいのか分からなかった。
まさか、とも思った。
でも確かめる勇気があるはずもなく、もしも違うのに気付かれたらどんな事になってしまうか。
だから必死に平静を装ったのだ。

「はぁ…」

言えるはずなんかない。
確認するのが怖かったから。
それにもとより明日歌は実の姉であり、男女の仲になる事は出来ない。
だから今の姉弟という関係でも良かった。近くにさえいられたら。
すーふぅ。息を吸って吐いて心を落ち着ける。
すると段々瞼が重くなってきた。
このままこの睡魔に身を委ねよう。
気持ちをスッキリさせたかったのだ。


 *
 *
 *


ここは、どこだろう。

気が付いたらそこは不思議な場所だった。
地平。
平らな地面が広がる。
振り返れば山。
それだけの世界だった。

夢。

そう認識することも出来た。
これは夢なんだ。

認識した瞬間、世界の全容があらわになる。
自分を真上から見る視点。
それがぐんぐんぐんぐん上にあがっていき自分を中心に見える世界が広がってゆく。

そして最終的には、姉の明日歌が全裸でベッドの上に寝ている様が見えた。

「…」

つまり自分は今、大きな姉の身体の上にいるのだ。
そこに見える山は、姉の乳房だった。
真緒は思わず赤面してしまう。
神々しい。
大自然に聳える本物の山と見劣り無い。
姉の事を考えながら眠ったからこんな夢を見るのだろうか。
理由は分からない。
真緒はフラフラとその乳房山に近づいていった。
これが夢なら自由だった。何をしても許される。実の姉弟の背徳を感じることもない。

やがてその乳房のふもとにたどり着く。
姉にとっては下乳に当たるところだ。
今の真緒にとってそれは肌色の壁だった。
湾曲した山肌から山の頂点は見ることが出来ない。
真緒はそっと、幾分躊躇しながらその壁に触れる。
あたたかい。
姉の温もりだった。
この山は確かに姉の乳房だった。
だがその力強さは本当の山と変わらない。
どれだけ力を込めて押したところでへこみもしなかった。
今の真緒では女の胸を動かす事は出来ないのだ。
圧倒的に大きな姉という存在だった。

真緒はそのまま乳房のふもとを歩いて谷間の方を目指す。
ゆるやかなのぼり斜面。
先程から突き上げてくる地震はおそらく姉の鼓動だろう。
谷間は風が吹いていた。呼吸なのか。

数分をかけて乳房山を回りこんだ。
肩の下あたりに位置する。
ここからなら、この乳房山にも登ることが出来るだろう。
頂点はあるか上だ。
斜面はこちらからでもそれなりに急で足を滑らせる危険性もある。
鼓動で足をすくわれるかもしれない。
いや、それ以前に姉が寝返りをうったら全て終わってしまう。
まだこの夢を見ていたかった。

更に十数分をかけた。
真緒はようやく乳房の頂点に登りつめることが出来た。
さきほどから地面の色が違う。
乳輪の中に入ったのだ。
そして目の前には、家よりも大きな乳頭。
近づいてみるとその威圧感は圧倒だった。
大きい。
それはすべてに対しての意味だった。
今朝、鷲づかみにしてしまった姉の乳房。
そのときでさえ乳房は手からはみ出てしまったというのに今はこの乳首に手をまわすことすら出来ない。
ゆっくりとあたりを見渡してみると、世界のほぼ全景を見ることが出来た。
背後には姉の顔。
その表情を伺う事はできなかったが。
左手にはもうひとつの乳房。
今いるのは姉の左の乳房の上か。
そして乳首を回り込み見るとそこには姉の下半身という光景が広がっていた。
さきほど自分が歩いてきた地平は腹だったのか。
そのさき…と視線を移すと飛び込んできたのは黒い森。

「…ッ!」

慌てて乳首の裏に回りこみ胸を撫で下ろす。
まだ、そこを直視する勇気は無かった。

再び乳頭を見上げてみる。
どっしりと構える円筒形のそれ。
近づいてそれに触れ、ゆっくりと撫でてみる。
やはりあたたかい。
これが姉のものであることに間違いは無い。
その肌は手をかけ登る事ができそうだ。
ゴクリ。思わず喉が鳴る。
真緒はそれに手をかけ登り始めた。
家ほどの大きさのそれをロープも何もなしに登るのはつらい。
足場があると言ってもほぼ垂直なのだ。
何度か手や足が滑ってしまった。
姉の乳房の先端で、乳首の上から乳頭に登るだけでこんなにも苦労するとは。
心がもやもやする。
更にこの乳首全体にややミルクの匂いがすることもあって真緒の股間は知らず内に変化していた。
姉の乳房の上でこんなことをして股間をふくらませて…。
そう思うといたたまれなくもなる。
そんなことを思いながら次の場所に手をかけたときだった。

 ブルン

突然の揺れに真緒は乳頭から振るい落とされ乳輪へと墜落した。
といってもその高さは数mはあった。
落ちたときの痛みで暫く呼吸が出来なかった。
痛みに堪えながら何がおこったのかと乳頭を見上げてみると、なんとそれがむくむくと大きくなっていったのだ。
自分が登っていたから、それを感じてしまったのだろうか。
痛みを払うために頭をぶんぶんと振りながら思う。
自分の行為が、姉に感じさせている。
姉が自分を感じてくれているということに喜びを感じた。
だが異変はそれだけでは終わらない。
次は乳房全体が揺れ始めた。
いや、もしくは身体全体か。
姉が動いている。
寝返りをうつのだろうか。
なんとしてもそれはさけてもらいたかった。
まだこの夢を見続けていたかった。
しかし寝返る様子はない。
かわりに姉の巨大な右手が地平から現れた。
それは真緒の乗っていない右の乳房をガッシリ掴むとぐいぐいと揉み始めた。
さきほど真緒がどれほど力を込めてもへこみすらしなかったあの乳房が自由自在に形を変えている。
それほどまでの力の差があるということか。
姉の手の動きに合わせて真緒が乗っている左の乳房もぐらんぐらんと揺れる。
慌てて乳首にしがみつく真緒。
すごい…。
明日歌が胸を揉むだけで世界全体が揺れているのだ。
だが今は右胸だけだが左胸まで揉み始めてしまったら終わりだ。
真緒は夢から覚めてしまう前にどうしても、一度イっておきたかった。
揺れる乳房の上、片手を乳首にあてて身体を固定しながら股間に手を伸ばす。
すると今気付いたが真緒も全裸だった。夢だからか今まで気付けなかったのだろうか。
でも今はそんなことどうでもいい。ここで果ててしまいたい。
そんな真緒の気持ちをくんだのか乳房の揺れが収まっていった。
右の胸を見るとあの手は今乳首をいじっていた。
ぐりぐりと。さきほど登るのにあんなに苦労した乳首がぐいぐいっと引っ張られている。
前に向き直った真緒は自分のそれを握り動かした。
姉の乳首に射精するという背徳感も今は無い。
今はただ幸福感と男の本能だけが渦巻いていた。
立ち込めるミルクの匂いが媚薬の効果を果たしているのだ。
真緒のそれはすぐに解き放たれた。
股間から飛び出したその白い粘液は乳頭の表面にピチャリとかかる。
そのときだった。

「くすくす…」

世界全体がその声に震えた。
真緒は慌てて周囲を見渡す。
すると、あの巨大な頭がむくりと持ち上がったのだ。
そこに見える姉の顔は笑っていた。

「やっと出したね」
「ね、姉さん…!?」

乳首の上の真緒は呆けていた。
姉は眠っていたんじゃなかったのか?
まさか、そんな…。
そんな真緒の思考を読み取ったのか巨大な姉はくすくす笑った。

「ふふ、寝てればまーちゃんもすぐに出してくれると思って寝たふりしてたのに、胸触ったり乳首登ったりするだけで全然してくれないんだもん。くすぐったいの我慢するの大変だったんだから」
「き、気付いてたの!? いつから!?」
「まーちゃんがお腹の上に来たときからかな」
「最初から…」

真緒は乳首の上にへたり込んでしまった。
夢の中とは言え、姉に対して射精しているところを見られてしまったのだ。
そんな真緒に明日歌は笑いかける。

「あは、ほらまーちゃん続き続き。まだし足りないんでしょ?」
「う…」

へたりこんだとき両手で隠しはしたが真緒の股間はまだギンギンに脈打っていた。
とは言ってもやってくれと言われて出来るものでもない。それも姉の目の前では。
真緒は動けなかった。

「ほーら、早くしないと目が覚めちゃうよ。それともすぐ覚ましちゃおっかな〜」

 プルン

明日歌は胸を少し揺らした。
それだけでも真緒が宙に放り出され転がるには十分だった。
乳輪の外へ転がり出てしまった。

「いたたた…。あ、あぶないよ!」
「早くしないからですよー。もしも今下乳の方に転がってたら夢から覚めちゃってたね」
「でも…」
「もうまーちゃんてば奥手なんだからぁ。ほら立って」

しぶしぶ立ち上がった真緒は再び乳頭に近づいていった。

「乳首の表面にミルクの出る穴がたくさん見えるでしょ。そこの穴に入れちゃっていいよ」
「で、でも…」
「ほ〜ら、早く。どうせ夢なんだから好きにしちゃいなさい」
「…」

にっこりと自分を見下ろす姉。
今朝と同じだ。
そこに男との行為にいたる恥じらいは見られない。
やはり自分は男として見られていないのだろうか。
でも、例えそうだとしてもこんなチャンスは二度とない。
夢でも、姉に認められて出来るなんて。
真緒はその乳頭の周りを歩いて丁度いい高さの穴を探す。
半周ほども歩いてそれは見つかった。
胸の谷間のやや下乳よりのところ。
そこからだと姉の顔がはっきりと見えてしまうが仕方ない。
真緒は試しにその穴の中にモノを入れてみた。
少し入っただけなのに中はとても温かい。
その温かさにさらされているとモノはどんどん元気になる。
それに例のミルクの匂いもここから噴き出しているみたいだ。
一層濃い匂いがした。
その匂いが一部理性を吹っ飛ばす。
もういい、これは夢だ。なら思いっきりやってやる。
真緒は腰を降り始めた。
それを見届けた明日歌も自分の右の乳首へと手を伸ばす。

真緒のかすかな腰の動きを左の乳首に感じながら自分の手で右の乳首をこねる。
敏感な方ではないが今はそれだけでも快感が全身を貫く。
ビクン! 身体が震えた。
ただそれだけで真緒は転がってしまった。
起き上がった真緒はまた乳首に近づいて腰を振り始めた。かわいい。
そのかすかな動きも、今の感度なら十分に感じられる。
真緒が乳首の上をとことこ歩くだけでも電撃が走る様だ。

「ん…っ」

声も漏れる。
乳首を摘まんでいた右手もいつの間にか乳全体を愛撫していた。
柔らかな乳房がぐにぐに変形する。
掌には熱くなった乳首の感触。
両方の胸を揉んでしまいたいが、左の乳首には真緒が乗っているのでそれは出来ない。
自分の動きで乳が揺れて真緒が落ちないよう、左手は乳を支えていた。

真緒はだんだん腰の動きが早くなってきた。
自分の意思とは関係なく、まるで操られるように。
ミルクの匂いが自分の身体を動かす。
自分が触れている姉の乳首もだんだん熱くなって来た。内部はもっとだ。
熱い、熱い、熱い。
自分の股間もどんどん熱くなる。
身体中のエネルギーがそこに集まってくるようだ。
放つ。それを。大好きな姉さんの中に…乳首だけど。
真緒は全ての感覚を一点に集中し、それを力強く解き放った。

 ドピュッ!

二度。三度。何度もその穴の中に解放する。
その穴から自分の粘液が滴るほどになったとき真緒の射精は終わった。

「はぁ…」

遂に、出来た。
愛しの姉の中に。
嬉しかった。
腰の振りすぎでややフラフラしたがゆっくりと乳首からさがる。
その時だった。

 どぱぁああああ!!

突如、今しがた自分がモノを突っ込んでいた穴から大量のミルクが飛び出てきた。
乳首中の穴からである。
真緒は起きたことを理解する前に大量のミルクに吹っ飛ばされ、押し流されて乳から落ちてしまった。
そんな真緒を明日歌の巨大な指が受け止める。
明日歌は身体を起こすと真緒の乗った指を目の前まで持ってきた。

「ごめんね、まーちゃん。大丈夫?」
「けほっ! けほっ…」

真緒は明日歌のミルクの中で溺れかけていた。
飛び出してきたミルクが自分を直撃したのでそれを盛大に受け止めてしまっていたのだ。
真緒も姉の指もミルクまみれだった。
全身がミルクで濡れている。
乳臭いとかそんなもんじゃなかった。

「大丈夫だよ…」
「よかった。私も気持ちよかったけど、まさかミルクが出ちゃうとは思わなかったな」
「ビックリした…」

真緒は身体を見回した。
頭のてっぺんからつま先までミルクを被っている。
先程自分が突っ込んでいた穴から出たミルクなので自分の粘液も混じっていると思うと不快だったが、自分の粘液など比べ物にならないミルクの量だ。
自分にとっては今までで一番という量を放出したのに、姉の乳首からちょっともれたミルクにすべて押し流されてしまっていた。
でも全身姉のミルクまみれというのは嬉しかった。
やっと姉の中に入れたような気がする。
真緒は自分の手についていたミルクをペロリと舐めた。
甘くて、暖かくて、とても美味しかった。

「あ、まーちゃん私のおっぱい飲んでる」
「プッ! ち、違うよ、これはただ自分の身体についたミルクを取ろうと思って…」
「どお? 私のおっぱいは美味しかった?」

ん?
顔をさらに近づけて聞いてくる明日歌。
その視線の迫力…というか魅力に真緒は抗えなかった。
こんな綺麗な瞳にこんな近くで見られたらまた疼いてしまいそうだ。
真緒は真っ赤な顔をうつむけて呟いた。

「……うん…」

その返答に明日歌はにっこりと笑って頷いた。

「よかったー。…でもどんな味なのかな。私もちょっと味見しちゃお」
「え…?」

真緒が顔を上げると明日歌は口を近づけてきていた。
今の真緒から見るととても大きな口だった。
薄いピンク色の唇がすぼまっていく。
そして自分が乗っている指の先端をぱくりと咥えた。
丁度真緒の目の前に姉の唇が現れた。
瑞々しい唇の壁だった。
上唇だけでも自分の身長の何倍もの厚さだ。
姉の唇が、目の前に。
触れてみたい。
フラフラとそれに近寄っていく真緒。
だがそれは真緒の手が触れる直前で離れて行ってしまった。

「うん、本当だ。美味しい」
「…」

笑う明日歌だが真緒はその唇に触れられなくて残念だった。
姉の指先でちょっと落胆した。
だが。

「もうちょっと舐めてみたいな」
「…え?」

再びあの大きな口が近づいてきた。
あの唇も一緒に。
触れるのかな、と思ったが今度は唇はすぼまらなかった。
その代わり、『あ〜ん』と開けられた口は指の真緒が乗っている部分も内部に入れてしまった。
あれ? と思ったとき唇はぱくんと閉じられた。
内部は突然真っ暗になった。
真緒は乗っている指ごと口の中に咥えられたのだ。
どうするつもりだろう。
と、若干恐怖を感じたときだった。
暗闇の中で何かが動く気配を感じた。
それが自分の乗っている指に近づいてくる。
口の中で動くものなんて決まっている。
巨大な舌が指に絡みついてきた。
指についたミルクを舐めているのだ。
当然、指に乗っている真緒も。
舌は真緒の近くまで来るとゆるやかな動きになり、そしてそっと真緒の身体に触れてきた。
唾液まみれの舌が真緒の身体を舐める。
全身のミルクなどあっという間に舐め取られ代わりに唾液が全身に絡みつく。
ペロペロチロチロと舌先が真緒になついてくる。
その動きや柔らかさ、暖かさは快感だった。
さきほど果てたはずの股間が力を取り戻してきた。
ムクリと鎌首を持ち上げる。
そのあまりの気持ちよさから起ったその瞬間に発射してしまった。
舌に真緒の粘液がつく。
だが大量の唾液によってあっという間に流れていった。
唾液は真緒の口の中にも侵入してくる。
溺れるほどではないが少し息苦しかった。
やがて舌先による全身愛撫も終わった。
舌がゆっくり指から離れていく。
ところが、真緒の身体は舌の唾液に吸い付いたまま指から離れてしまった。
そしてそのまま指は口の外に出て行ってしまったのだ。
一瞬の外の光景が見えた後、バクン! 口は閉じられた。
真緒は明日歌の舌にくっついたまま口の中に取り残された。

「ど、どうしよう…! 姉さーん!! 姉さーーーーん!!」

だが今の真緒がいくら叫んでも口の中に反響すらしない。
というより口の動く音や唾液がジャブジャブと湧き出す音にかき消されている。
暴れても唾液の張力は真緒を捕らえて離さない。
うそ…。
まさかこのまま消化されてしまうのか。
暗い考えがよぎる。
だが次の瞬間再び口が開かれ指が飛び込んできた。
同時に舌も動き出し指に向かってゆく。
そして舌は指の表面に真緒を押し付け始めた。
ぐいぐいと凄い力で押し付けられとても苦しかったがそのあと舌が指から離れると真緒の身体は指の上に残された。
自分の身体を指にくっつけようとしていたのか。
そして舌から解放された真緒を乗せたまま指は口の中から出て行った。
口の外では明日歌の心配そうな顔が待っていた。

「ごめんね。舐め終わった後、指にまーちゃん乗ってないからびっくりしたよ」
「…僕も食べられるかと思ったよ」
「やだぁ、食べたりなんか……あ、でもまーちゃんなら味見くらいしてみたいかな」
「うぇ!?」

にやりと笑って舌なめずりをする明日歌。
その仕草に本気で後ずさる真緒。

「あ、でももう味見はしちゃったかー。まーちゃんの全身を舐めたってことはまーちゃんのアレも舐めちゃったってことだもんね」
「……あ…!」

思わず股間を押さえる。
どうやら舌先で射精してしまったことには気付いていないようだけど。
真緒は指の上で明日歌に背を向けるようにして座った。

「ふふふ。……ところでまーちゃん、もう満足しちゃったかな?」
「…え?」
「実は…私はまだ満足してないからもうちょっと付き合って欲しいんだけど…」

真緒が振り向いてみると明日歌が若干上目遣いにして真緒を見つめていた。
そうだな…。
実際真緒はもう二回も果てている。それこそ全身を使って。
でも姉はまだ胸を少し揉んでいただけだ。
欲求不満もいいとこだろう。
手伝うくらいなんでもない。
夢なんだ。夢の中でくらい、姉のためにしてあげたい。

「…いいよ」
「ほんと? ありがと。じゃあ…」

明日歌は指を降ろしていった。
付いた先はお腹。へその下あたりだろうか。
指がお腹についたら真緒は指にはりつくような格好になりながらゆっくりと指を降りていった。
真緒が降りたのを確認すると指は離れた。
明日歌が上半身を起こしているのでやや勾配の急な坂のようなものだが、そこは腹の平原だ。
そして目の前には、最初目を背けたあの黒い茂み。

「…」

目の前で見るそれは森のようだ。
ジャングルとも呼べる。
女性の神秘を守る神聖な森だ。
思わず息を呑む。
近寄りがたいオーラに満ちていたから。
そんな真緒を見下ろして明日歌は言う。

「さぁ、まーちゃんお願いね」
「え…。お願いって…」
「そこを通りぬけて私のあそこを愛撫して欲しいの」
「ええ!?」
「くすくす、頼りにしてるよ」

パチンとウインクする明日歌。
真緒はもう一度森へ向き直った。
異質な空気が立ち込める魔性の森だ。
踏み入ったら出る事が出来ないような予感さえする。
…でも、姉のためだ。
よし!
真緒は茂みに向かって歩き出した。

森の中は巨大な陰毛が生い茂っていた。
その1本1本は毛である事を認識出来ないほどに太い。ジュースの缶くらいの太さはある。
それらがそこらじゅうから生えていた。
しかも本物の木の様に人一人の力くらいではびくともしない。
たかが毛の1本なのに。
いやいや、とぶんぶん首を振り変な考えを払う。
とにかく先に進まねば。
真緒は明日歌の陰毛の乱立する森の中を進んでゆく。
だんだんと勾配がついてくる。
股に近づいているのだ。
毛を掴みながら慎重に降りてゆく。

ところが勾配も大分急になったというのに全然それは見えてこない。
というか下に光が見える。
森が終わってしまっているのか。
だとしたら途中で方向がそれてしまったのか。
一度戻って別の道に進まないと。

なんとかその肌の斜面を登って別の道を下っていった。
ところがまた間違えてしまった。
複雑に生える陰毛に目印などあるはずもなく頼りになるのは勾配の方向による向きの確認だけなのだ。
先程から何度も間違えてしまう。
絡んだ陰毛と避けたりなんだりで上手く進めていない。
既に20分以上経っているのにソコにたどり着くことも出来なかった。


真緒が自分の茂みに入っていって暫くたったが未だにあそこにたどり着く気配は無い。
真緒が歩き回っているだろう事は股間に感じるむず痒さが教えてくれるが。
そこを掻き毟りたくなる衝動を抑えながら明日歌は待っていた。

「まーちゃん、遅いなぁ…」

とその時、茂みから真緒が出てきた。

「ハァ…ハァ…ね、姉さん…」
「どうしたの?」
「ま、迷っちゃって、何度やってもたどり着けなかったよ…」
「…へ?」
「だから迷っちゃったの! 姉さんのあそこで!」

顔を真っ赤にして叫ぶ真緒。
明日歌は一瞬呆けてしまったが、その後お腹を抱えて笑い出した。

「あ、あはははは! まーちゃん、私のそこで迷っちゃったの?」

明日歌の笑い声が世界に響き渡る。
笑うときの身体の揺れで投げ出されないように真緒は陰毛の一本にしがみつきながら抗議した。

「し、しょうがないでしょ! 姉さんのここ広すぎるんだよ!」
「あははは! もう、まーちゃんってば可愛すぎ」

片手で涙を拭い、もう片方の手を真緒の前に降ろした。

「はい、登って。私が連れてってあげる」

なんとかして真緒は明日歌の指に登る。
真緒を乗せた指は茂みを越えて明日歌のそこへと到着した。

「うわぁ…」

女性経験の無い真緒にとって、そこから見る大渓谷は人外魔境だった。
縦にぱっくりと割れた陰唇とその頂点にぽつりとある恥丘。
通常なら多少の驚きで済んだかもしれないが、今の真緒から見るそれは大自然の大瀑布と同じだ。
圧巻だった。声も出ない。
うわ言のように喉の置くから音が漏れるだけだった。
やがてもう片方の手が現れ、陰唇をくぱぁっと開く。

「う…」

開かれ見えた光景に真緒は口を押さえる。
飛び込んできた景色があまりにもグロテスクだったから。
開かれた内面は表面が濡れてテラテラと光り生々しい肉の隆起が生物的な嫌悪感を誘う。
肉襞は呼吸するように収縮しその割れ目の奥に開いた穴はその動きに合わせて大きさを変える。
真緒が最初に抱いた感想は美しさでも女体への神秘でも畏怖でも無く、恐怖だった。
そこはまるで恐ろしい生物の体内の様で、自分がそこに捕らわれた気がした。
もしもそこに降ろされたら、そのまま陰唇を閉じられてしまったら、そこには恐怖しかない。
あの綺麗な姉の中にこんな恐ろしい場所があるなんて。
真緒は腰を抜かし震えた。

真緒の異変を感じた明日歌は若干指を離した。

「まーちゃん大丈夫?」
「…う、うん…」
「ごめんね…。女の子のここってはじめて見た? 私も初めて見たとき自分の中こんなになってるんだってショックだったんだよ。大丈夫、ここには降ろさないから」

すると指は大陰唇の上へとやってきた。
陰唇の割れ目の端。そこにそれはあった。
見下ろしている真緒から見ても大きなドーム。
女性の陰核、クリ○リスである。
もちろん真緒にはそれがなんであるかわからなかった。

「まーちゃんはここにいて」
「ここに…?」
「うん。そこにいるだけでいいよ」

その上にそっと降ろされる真緒。
それは真緒が上に大の字になれるほど大きい。
初めて見るものだった。

「なんだろう…」

ただの肌とは違う感触。
真緒はそれを撫でてみた。

「あぅ!」

明日歌が声を漏らす。
瞬間、真緒のいる大地がブルリと震えた。
同時に真緒のいた丘がやや大きくなる。
突然の異変に真緒が姉に話しかける。

「だ、大丈夫姉さん!?」
「ハァ…ハァ…。うん…大丈…夫だよ。…さすがまーちゃん、お姉ちゃんの弱いところ分かってるね」
「え…?」
「くすくす、なんでもないよ。じゃあまーちゃんはそこで見てて。……女の子は、こうやってするんだよ…」

先程まで真緒を乗せていた指が大渓谷の前に移動していく。
真緒はそれを恥丘の上から眺めていた。
やがてその人差し指が大陰唇へと突き刺さった。

「うわぁ!」

ぐらん。
地面が揺れた。
振り落とされないようそのドームにへばりつく。

「ん…っ!」

その動きがまた明日歌に快感を与えた。
指した指をゆっくりと前後させる。

真緒からは自分が何十人も並んで立てるほどの太さの指が何度も何度も割れ目に向かって前後する様が見えた。
出てきた指が濡れている。
暫くするとぐちゅ、ぐちゅという音が周囲に響き始めた。
同時に揺れもドンドン大きくなる。
指の動きも速く激しくなっていく。
さらには世界に、明日歌のあえぎ声が響き渡る。

「あぁ、あぁぁぁ!!」

明日歌の陰核の上でそれらを見守る真緒。
これが、これが女性のオナニーなのか…。
そのスケールの大きさに度肝を抜かれる。
ただ指を出し入れしているだけなのに、まるで天変地異だ。
その時、

 ズドオオオオオオオオオオオオオオオン!!

大地が今までの揺れなど比べ物にならないほどに揺れた。
何事かと思って振り返ってみると、さきほどまで黒い茂みの向こうに見えていた姉の上半身は見えなくなっていた。
ベッドに倒れこんだのだ。
それでも手の動きは緩まない。むしろ激しくなる一方だった。
ぐらぐら揺れてもう座っていることさえ出来ない。
真緒は明日歌のクリ○リスにうつぶせた。
すると一際大きく揺れた。
それが、真緒の動きを感じた明日歌がビクンと身体を震わせたことによる揺れだと、経験の無い真緒には分からない。
揺れに抗うために全力でそれにしがみついていた。
その所為で揺れは更に激しくなる。

「くぅううぅ…!」
「ね、姉さん…」

実際真緒は、姉がこんな声を出すと初めて知った。
自分をおちょくったりからかったりと子どもっぽいところもあるが、普段は冷静で清楚でなんでも出来てしまう完璧な人だ。
頭も良いし気立ても良いし、美人だからよくモテる。今までに何人もカッコイイ男の人と付き合っていた。
自分なんかまるで相手にならないずっとカッコイイ大人の人とだ。
そんな大人を知っている姉から見れば自分なんてただの子どもだ。
姉にとって自分などただの弟である以外に価値はないだろう。ずっとそう思ってきた。
男を磨こうとも思わなかった。自分なんかいくら磨いたところで、姉と対等になれるはずがない。それほどの差がある。
そんな完全無欠な姉が、こうも激しく動き、息を切らし、艶かしい声を出すなんて思っていなかったのだ。
今自分の真下に出し入れされている巨大な指。昔あの指で頬についていたご飯粒を取ってもらったことがある。
あの指が、こんな使われ方をしているなんて思わなかった。

気付くと真緒の股間がまた大きくなっていた。
この一帯を覆う独特なにおいが男の本能をくすぐる。
すでに2回果てたというのに、まるで初めての様にピンと起った。
ただ今はドームにうつぶせているので、ソレの先端がドームに擦られて妙な感触だ。
快感でもある。
このままこの揺れで擦られ続ければイってしまう。

だが揺れは若干おとなしくなる。
同時に大地がぐらりと大きく傾いた。
明日歌が上半身を起こしたのだ。

「大丈夫まーちゃん。落ちてない?」
「だ、大丈夫だよ…」
「そう、よかった…」

姉の笑顔がまるでお天道様のように見下ろしてくる。
それでも指の動きは止まっていなかったが。
そんな姉が、汐らしい声を漏らした。

「…ねぇ、まーちゃん…」
「…なに?」
「まだ出せるかな…」
「う、うん…」
「そっか…」

明日歌の顔がにっこりと笑った。

「じゃあ最後は一緒にいこ。私はもういけそうなの…。まーちゃんは?」
「ぼ、僕も大丈夫…」

先程までずっと擦っていたのだ。
ギンギンだ。痛くて早く出してしまいたい。
真緒は自分のソレを握った。
それを見届けたかのようなタイミングで姉が股間に差し入れていない方の手をこちらに向かって降ろしてきた。
空が姉の掌に埋め尽くされる。
そこから親指と人差し指が伸ばされ更に近づいてくる。
自分を摘み上げようとしている?
いやちがう。指は自分が乗っているこのドームをまるまる摘まもうとしているのだ。
巨大な指がドームにそっと触れた。

「ん…っ!」

ビクン!
姉の身体が震える。
それを合図にまた人差し指の動きが激しくなる。
真緒は何とか起き上がりその大揺れのドームの上に座り大勢を整える。
そして行為を開始した。

「あぁぁ!」
「くぅう…」

姉弟のあえぎ声がハモる。
オナニーをする姉のクリ○リスの上で弟はオナニーをしている。
協演だった。
振り落とされないよう片手と両足を踏ん張る真緒。
指の動きはもう凄まじかった。
その動きに合わせて世界中が揺れている。
指が陰唇から出てくるたびに大量の愛液が外へとぶちまけられていた。
真緒の周辺にもぴちゃぴちゃと飛び散ってきている。
終わりが近い。
ラストスパートだ。
真緒は自分のソレを一段と強くしごいた。
そして…。

 どぴゅ!

それを放った。
放たれた真緒の精液は明日歌のクリ○リスの表面にかかった。
ドーム全体のほんの一部を染める程度の儚い量だったが。
そして、精液がドームに触れたのを待っていたかのように、真緒の射精後、明日歌も絶頂に達した。

 どばぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!

穴から大量の水が噴き出した。
性器の真上にいた真緒からはダムが爆発したかのような迫力でそれを見ることが出来た。
津波だった。
あまりの迫力に一瞬それが姉の性器から噴き出したものであることを忘れ、大自然の神秘へと畏怖してしまった。
今しがた自分が放った精液など比べ物にならない量だった。
ビクン! ビクン!
ドームが脈動する。


 *


「はぁ…はぁ…」

姉の呼吸の音が聞える。
見上げると明日歌はしっかりと身体を起こしていた。
そしてここに乗っている自分を落とさぬようゆっくりと動き壁にもたれかかった。
快感が去りドームの上で呆けていた真緒を明日歌がやや虚ろな目で見下ろしてくる。

「大丈夫…」
「う、うん…」
「まーちゃんから見るとお姉ちゃんのオナニー、凄かったでしょ」
「……うん…」
「くすくす、素直でよろしい」

はぁ〜…。と盛大に息を吐く姉。
疲れたのだろう。
真緒も同じだった。

「でも、これで目が覚めちゃうね…。終わった後のこの余韻が楽しいのに…」
「…」

目が覚める。
そう、これは夢だから。
これは現実ではないのだ。
目が覚めれば忘れているかも知れない。
つまりこの営みも、姉とのオナニーも、全て忘却されてしまうのだ。
夢に続きなど無い。完全な終わりだった。
やっと姉と、もう少しのところまで来ることができたのに。
それらは目が覚めれば無かったことになる。姉と自分は、なんの関係もないただの姉弟に戻る。
それは避けられない。これは夢だから。

でも…。

真緒はドームの上で決意を固める。

そうだ。
どうせ夢なら。いや、夢だからこそ言える。
現実では怖くて言えない。終わってしまう夢だからこそ言えるのだ。

真緒は顔を上げて姉の顔を見上げた。

「姉さん」
「ん? なぁに?」

ん?
首を傾げながら笑顔で見下ろしてくる姉。
その仕草に決意が揺らぎそうになるが拳を握って耐えた。

「ぼ、僕…」

プレッシャーに喉が詰まって声が出せなくなりそうだ。
一言。たった一言でいいのに。

「僕…」

目をギュッと閉じ、拳を振るわせる。
明日歌は真緒を見下ろしたまま、言葉を待った。
真緒の抱える重圧は、夢の中なのに本物だった。
それでも負けない。
真緒は、言った。

「僕は、姉さんが好きなんだ!!」

真緒の出せる限り最高の大声が、最大のプレッシャーを打ち破って、最愛の人へと放たれた。
その後、真緒は目を閉じたまま立ち尽くしていた。
目を開けるのが怖い。嫌な顔されていたら嫌だ。
声を出すときのプレッシャーもきつかったが、今こうしている間のプレッシャーもキツイ。
逃げたい。でも逃げるわけにはいかない。
身体は立ち尽くしたままガタガタ震え、閉じられた目から涙がこぼれていた。

そして暫く。
真緒は立ち尽くしたままだった。
未だに姉の反応が無い。
やはり、怒っているのだろうか。
もしもそうだったらどうしよう。
膝がガクガク震える。
その時だった。

「ふぅ」

突然突風が吹きつけてきて真緒は飛ばされてしまった。
飛ばされる瞬間目を開いて見た物は唇をすぼませた姉の顔。
僕を吹き飛ばしたんだ。
そんなに嫌だったんだ…。
と思ったのも束の間、すぐに大地へと着いた。
そこは姉の掌の上だった。
掌は真緒を乗せたまま姉の顔の前に移動した。
真緒は姉の顔から目を背けようとしたが、チラリと視界に入った姉の顔に怒気がないことに気付き、そっとその顔を正面から見据えてみる。

姉の顔は笑っていた。

その笑顔の意味することが理解できなかった真緒は姉の笑顔をただ見上げていた。
やがてやっと姉の口が開く。

「…うれしいよまーちゃん」
「姉さん…」
「私もね、まーちゃんの事好きだったんだよ。気付いていた?」
「え、ええ!?」

驚く真緒。
そんな真緒の様子を見て明日歌はおどけた。

「あ、ひどーい。あんなに一生懸命アタックしてたのに」
「うそ…」
「うそじゃないよ。うそだったら誰がおっぱいなんか揉ませますかってね」
「う…(赤面)」
「ねぇ、まーちゃんはいつから私の事好きだったの?」
「…わからない。でも、ずっと昔からかな…」
「そっか…。私もそう。覚えてないけど……きっとまーちゃんが生まれたときからだと思う」
「そ、そんなに昔から…!?」
「うん。だから私の方がいっぱい好きになっているのだ。くすくす」

明日歌の笑顔が真緒の視界を埋め尽くす。
その笑顔を見ているうちに心の中のもやもやも消えていった。
だが姉は笑顔を納めると顔にやや影を落とした。

「…でも、やっぱり実の姉弟で愛し合うのは難しいんだよ」
「…ッ」
「法律でも認められないし、身体だって拒否反応を起こす。倫理的にも生物的にもタブーなことなのよ」

真緒の心のもやもやは消えたが、代わりに黒い霧のようなものが現れた。
絶望、というのだろうか。
覚悟を決めて告白したのに、結果はそれ以前の問題にあったのだ。
身体から力が抜けてしまった。

「そんな…、それじゃあ姉さんと僕は恋人同士にはなれないんだ…」
「恋人?」
「うん…。…それどころじゃない、結婚も出来ないし子どももつくれない、ずーっと、姉弟のままなんだ」
「いいじゃない、姉弟で」
「…え?」

疑問符を浮かべながら顔を上げると姉の顔は笑顔に戻っていた。

「姉弟でいい?」
「そうだよ」
「で、でも、姉弟じゃ付き合えないし結婚も子どもも、何もないんだよ!? 結婚式もあげてあげられなくて、こどもも生ませてあげられなくて…それじゃあ……」
「まーちゃんは恋人達が羨ましい?」
「え…?」
「結婚式をあげたりこどもをつくることが羨ましい?」
「…??」
「実の姉弟でも付き合う事は出来るよ。そりゃ堂々と式挙げたりはできないし挙げられる人を羨ましいなぁと思う事はあるけど、でも、私達が式を挙げられないのと同じ様に、恋人達が実の姉弟になることも出来ないの」
「…」
「私達は無理をすれば式を挙げることも子どもをつくることも出来る。でも、元が他人の恋人達は、どんなにがんばったって血の繋がった姉弟にはなれないんだよ。これって凄くない? 私達、得してるんだよ」

にひっと笑う明日歌。
真緒はあっけに取られてしまった。

「だから姉弟でいいじゃない。血の繋がりは最高の絆だよ」

その論法。
というよりもその笑顔。
その笑顔を見ているとそういう事で悩むのが馬鹿らしく思えてきた。
そうだ。周囲への体裁も何も関係ない。
姉と一緒にいられれば、それだけで幸せなのだから。
心が軽くなり、真緒も意図せずして笑顔になっていた。

「あ、まーちゃんやっと笑った」
「うん。悩まなくても、いいんだよね」
「そうそう、私達は無敵なんだから」

ぬぅっと巨大な人差し指が真緒の頭上に現れる。
真緒の周囲は指の作り出す陰にすっぽりと収まった。
指はゆっくりと真緒の小さな小さな頭に触れくりくりと撫でた。
それが気持ちよくて真緒は目を閉じて身を任せる。

その時。
一瞬、意識が遠くなった。

「あれ…」

指も戻されてゆく。
開けた視界の先で姉が口を開いた。

「どうやら、本当に目が覚めるみたいね」
「そっか…。これで夢も終わりか…」
「大丈夫、またすぐに会えるよ」
「そうだね…。うん、がんばるよ…」

世界がぼやけてきた。
意識が覚醒へと向かう反面、夢が溶けるように消えてゆく。
もう終わりだ。…なら。

「姉さん、お願いがあるんだ…」

「なぁに? まーちゃん」

「キス…してもいいかな…?」

真緒は姉の顔を見上げた。
姉はにっこりと微笑んだ後、そのピンク色の唇を近づけてきた。
それは、掌の端に着いた。真緒もそれに近寄っていく。
目の前から見上げるそれはピンク色の壁みたいなものだった。
手を伸ばしジャンプしても下唇の半分の高さにも満たない。
大きい。そして暖かい。まるで姉の母性を表すようだ。
両手を唇に添えて、真緒はその唇に自分の唇で触れた。
二人は目を閉じ、しばらくその唇にお互いの唇を感じていた。

唇が離される。
姉の顔も離れてお互いの顔を見つめあう。
その間も世界はだんだんと白く染まっていった。

「またあとでね。姉さん」
「うん、またあとでね」

消え行くお互いの顔を見つめながら、二人の意識は離れてゆく。


 *
 *
 *


「う〜ん…」

目が覚めた真緒。
辺りを見渡してみるとそこは自分のベッドの上だった。
まだまどろみの中に漂いながら脳裏を探る。
そこには先程の光景が確かに残っていた。

「やっぱり、夢だったのか…」

やっぱり…。
夢の中の告白も、行いも、現実には何一つ影響しない。
姉との行為は、無かったことなのだ。

「はぁ…」

ため息が漏れる。
だが、姉への告白のときに胸に刻んだ覚悟は残ってる。
それは勇気だ。
大丈夫。
姉と一緒にいられるだけで幸せなんだと気付いたから。
すべてを気負いすぎる必要はないんだ。
未来は無限に明るかった。
その時、部屋のドアがガチャリと開けられる。

「まーちゃん起きてる?」
「ね、姉さん!」

姉の来訪。
まだあの夢が脳裏に鮮明に残っている今、そこに姉がいるというだけで真緒の顔は赤くなってしまった。
すたすたと近付いて来て真緒の顔を覗きこむ明日歌。

「あれ? 顔赤いよ。もしかして熱上がっちゃった?」

真緒のおでこに姉のおでこが触れる。
ゼロ距離だった。
真緒の心臓はバクンバクン鳴っていた。
先程までの光景が夢だとわかっていても。

「ん〜…」

おでこを離した姉は唸る。

「熱は無いね。それとも汗かいちゃってる? そうなら身体拭いてあげるけど…」

言いながら明日歌は布団をはだけ、真緒のパジャマのボタンを外していく。

「い、いいよ! 汗なんかかいてないから!」
「ほんとに? でもまーちゃんやっぱり顔赤いよ」
「大丈夫だって! それにさっきも言ったでしょ! 僕だって男なんだからいきなり服脱がそうとしないで!」
「あはは、そんな恥ずかしがらなくたっていいじゃない。姉弟なんだから」

姉弟。
それは最高の絆だと夢の中の姉は言った。
でも今目の前の姉が言った姉弟の意味は文字通りの意味だったのだろう。
何の意図も無い、普通の言葉だった。
その言葉を聞いて、だんだんと頭が夢から離れ覚醒してくる。
やっぱり夢は夢なんだな。
ふぅ。真緒は苦笑しながら息を吐いた。

そんな真緒に気付かず、明日歌は氷枕やタオルなどを乗せたお盆を持って部屋から出て行こうとしていた。
そして扉を開けその向こうに消える前に「あ、そうそう」と真緒を振り返った。

「さっきは小さくてよく分からなかったから、今度は今の大きさのまましようね」

明日歌は、人差し指で自分の唇に触れながらウィンクした。
それを見た瞬間、真緒は目が点になった。

「え…?」

そんな真緒にくすくすと笑って見せると明日歌は今度こそ扉の向こうに消えていった。
ドアがパタンと閉じられる。
直後。


「えええええええええええええええええええええええええ!!??」


一人残された部屋の中、真緒は絶叫した。



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 「姉と」 終わり