第6話 〜 今日は10倍 〜


目の前には通常の10倍の大きさの妹が立ってこちらを見下ろしている。
俺も妹の事を見上げている。

「わぁ! お兄ちゃんがいつもより大きく見えるよ」
「俺もお前の事がいつもより小さく見えるよ。実際その通りなんだがな。それでも俺の10倍近い大きさなんだが」

通常時を140㎝とすると今の大きさは14メートル。
普段の140メートルとか1400メートルとかと比べるとかわいいもんだが、それでもやっぱでかいな。

「まぁいいさ。じゃあ学校に行こうか」
「うん。はい」

手を差し出してくる妹。

「今日もポケットに入れていくのか?」
「うん。お兄ちゃんはポケットに入れて連れてかなきゃいけないんだよ」
「なんだそれは。でもお前にしてみれば俺はいつもよりも大きいぞ。大丈夫か?」
「大丈夫だよ。それにそれぐらいの大きさの方がお兄ちゃんが胸に当たってる感触が分かるから丁度いいんだ」
「アホか。それじゃあ入れてくれ」
「うん」

妹の手が迫ってくる。大きさは1メートルくらいか。
俺の身体くらい簡単に掴めるんだが、やはりいつももっとでかいのを見ているせいかあまり驚かない。
妹の手が俺の前に移動してくる。人差し指と親指が開かれ、それぞれの指は俺のわきの下を通り抜けていったあと、
ゆっくりと閉じられてゆく。なるほど、そうやって持ち上げるのか。
妹の柔らかい手に握られた俺はゆっくりと胸ポケットに近づいてゆく。
普段の大きさが現実離れしすぎていて分からなかったが、今の大きさだと妹の体つきがよくわかる。
俺は胸ポケットに入れられた。
いつもの大きさだとポケットの底に落ちて外は見えにくいんだけど、今の大きさなら足がついて外に顔を出せる。
割と便利かも知れないな。

「じゃあ行くね」

立ち上がる妹。そしていつもより随分と小さな地響きを立てて歩き出した。
今のサイズの妹はちゃんと道の中を歩く事ができる。

「まぁそれでもでかい事は変わらないんだけどな」

俺はポケットから顔を出して外を眺めながら、背中に当たる感触と上下に動く胸の揺れを楽しんだ。

「けっこう大きくなったんだな」
「うん。揉みたくなったらいつでも言ってね」
「例えこのサイズでも揉むのは無理だ」

その時俺は服越しに何かせり出してきた事に気付いた。

「乳首か?」

せり出てきた部分を撫でてみる。

「はぅっ!」

ビクリと身体を震わせる妹。

「あ、悪い。ついな」
「ううん…。もっと…もっと触って…」
「でもこれから学校だろ」
「学校なんかいいよ…。今日はせっかくこんなに小さいんだから…お兄ちゃんと遊びたいの」
「……どうやら地雷を踏んだようだな」
「ねぇ、お兄ちゃん…」
「はぁ……やれやれ、わかったよ。じゃあ家に戻ろうか」
「うん!!」

マッハの勢いで家に帰る妹。

我が家は広大な土地に囲まれているので外から見られる心配もない。
まぁ高さ1000メートルとかの身体を隠すのは無理なんだがな。

一本の木の横に腰を下ろす妹。座ってみると木の方が大きい。久しぶりに妹よりも大きなものをみた。
妹が木にもたれかかったのを確認すると俺は胸ポケットの中から制服越しに乳首を撫でた。

「はぅうっ!!」

再び身体を震わせる妹。
その顔は既に恍惚に浸っている。

「この感触にこの反応……。お前、さてはブラしてないな?」
「うん…。今日はいつもより大きいお兄ちゃんをポケットに入れるからよく感じられるように…」
「だから予想以上に反応したんだな。俺の感触だけじゃなくて服が乳首に擦れてたんだろ」
「うん…」
「しょうがないな。とりあえず横になって服の前をはだけろよ」
「わかった…」

妹は兄を地面に降ろすとシャツのボタンを外し、その胸部をあらわにした。
先ほど兄が気付いたように妹はブラをしていなかった。
お陰で胸をはだけたとき、形の良い乳房がブルンと震えた。

「やっぱり結構大きくなってたんだな」

そう言う兄のもとに巨大な手のひらが降りてくる。

「お兄ちゃん…、来て…」

虚ろな瞳で妹は言った。

「やれやれ…、なんでこんな発情娘に育っちゃったのかな」

手のひらにのった兄はお腹の上に降ろされた。
そこからは二つの乳房の山と、その向こうから見下ろす妹の顔が見えた。

「さて、どうして欲しい? お前の好きなようにしてやるぞ」
「お…お兄ちゃんの好きなようにして…」
「と言われてもな、この大きさじゃ出来る事なんて対してないんだが…」

言いながら胸に近づいてゆく兄。
胸板の上に鎮座する乳房は兄の身長ほどの高さは無いものの、質量では絶対にこちらの方が重いだろう。
兄は乳首に手を伸ばし、乳輪の上にポツン突き出た10㎝ほどのそれを掴んだ。

「はぅううぅう!!」

兄の立っている大地が激しく鳴動する。

「おいおい、ちょっと感じすぎじゃないか?」
「だ…だって…、お兄ちゃんに触ってもらうの…久しぶりなんだもん…」
「…なるほど、溜まってた分があふれ出てきたのか。じゃあちょっとくらいサービスしてやるかな」

兄は両手で乳首を掴むとグリグリと前後左右に動かした。

「ああぁぁぁぁあぁぁあぁぁああぁぁあっっっっ!!!」

妹の喘ぎ声が周囲に響き渡る。
身体は大きく波打ち、手は大地を掻き毟っている。

「とっとっと! こりゃしっかりつかまってないと振り落とされるな」

兄はニヤリと笑ってさらに強く乳首を握り締めた。

「あああああぁッ!! あぅっ!! あぅうッ!!」
「にしても、ちょっと乳首いじられたくらいでそこまでいくのかよ。とりあえず濡らさないようにパンティぬいどけ」
「ハァ…ハァ…、ダメ…そんな事をしてる間に火照りが冷めちゃう…波が去っちゃうの……」
「…まぁわからんでもないがな。ってお前は乳首だけでいくつもりか?」
「ハァ…1回目は……それでいい…」
「って事は2回3回といくつもりなのね。それならこっちも遠慮せずいかせてもらおうか」

再び兄は乳首をグリグリと動かした。しかし今度は前後左右だけでなく引っ張ったり押し込んだり、3次元の方向から攻めた。

「ああぁあああああああああああああああああああああああああああっっつ!!!!!」

身体を弓なりに張る妹。
この時、大量のラブジュースが溢れ、妹のパンティはぐっしょり濡れてしまった。

    ズズウウウウウウンンンン……

弓なりになっていた身体が元に戻された。

「ふぅ、あぶないあぶない。落ちるとこだった」
「ハァ…ッ! ハァ…ッ!」

妹は苦しそうに呼吸している。
1回呼吸するたびに胸板の上にいる兄の身体1メートルほど宙に浮かび上がる。

「ちょっとやりすぎたか?」
「ハァ…、ハァ…、大…丈夫…。あたしも……張り切っちゃった……だけ…」
「そっか。じゃあちょっと休憩しようか」
「あたしは…大丈夫…だけど…」
「んな事言ったってお前呼吸が乱れてるだろ。俺もちょっと疲れたからさ」

そう言って兄は乳房に持たれかかって腰を下ろした。
そんな兄を見て妹は笑みを浮かべながら、兄の言葉に従う事にした。

数分の休憩。
空には燦然と太陽が輝いているが、木陰にいるのでまぶしくはない。
妹も大分落ち着いたようだ。呼吸には先ほどまでの乱れも無く、静かに胸を上下させている。
その心地よいリズムと妹のぬくもりに包まれて、俺は段々と眠くなってきた。
そんな時、妹が話しかけてきた。

「お兄ちゃん…」
「ん?」
「気持ちいいね…」
「そうだな…」

暖かい陽気に包まれ、俺たちは淡いまどろみの中にいた。
突然妹が片手と脚を動かした。股間の間からパンティをずらしたのだ。
それをつま先に引っ掛けると、30メートルも遠くへ振り払ってしまった。
パンティはそこにあった木に引っかかった。

「あそこがスースーする…」
「そりゃ何も穿いてないんだからな」
「そう言えば、何でお兄ちゃんは服を脱がなかったの?」
「そりゃ服を濡らすつもりがなかったからさ」
「じゃあ最初からあそこはやってくれないつもりだったの?」
「前にも言っただろ。そういうのは大切な時のために取っとくんだよ」
「でも、みんな彼氏とはやってるって…」
「だからってお前もやる必要はないんだ。本当に必要になったときだけ、すればいいんだよ」
「うん…」
「なんだ? 納得してないのか? こうしてやる」

兄は下乳の部分をくすぐった。

「あははは! やぁ、くすぐったい!」

妹の楽しそうな声が響き渡る。


それからまた暫く経ったが、二人はまだ横になったままだった。

「はぁ…なんだか今日は、もうHはいいや…」
「ん?」
「こうして…お兄ちゃんと一緒にいられるだけで幸せ…」
「そっか。そいつはよかったな」

兄は妹の胸の谷間で横になった。
両脇には大きな乳房の山がそびえている。
柔らかく、暖かい、かわいい山が。

そうして目を閉じる兄。

いつしか二人は夢の中に落ちていた。



そして、そんな二人を遠くから監視する集団がいた。


    *****


突然、冷水を被せられて兄は目覚めた。
周囲は薄暗く、自分が何処にいるか分からなかった。
地面はコンクリートのようだ。コンテナのような正方形の箱が見える。

「ここは…」

辺りを見渡そうとしたところで兄は自分が縛られている事に気付いた。

「これは…!」

その時正面から強烈な光が当てられた。思わず顔を背ける兄。
不意にその光の中に人影が現れた。逆光で顔は見えない。

人影は日本語ではない言語を荒々しくまくし立てている。

「…何を言ってるのかさっぱり分からん」

人影はビクリと身体を震わせると筆者に向かって頭を下げた。
はいはい、聞き取れるようにしてやるから。

「あー、あー、オホン。私の言葉が通じるかね」
「あぁ、たった今からな」
「よろしい。さて、どうして君が今そんな目に遭っているか理解できるかね?」
「平々凡々な学生の俺がこんな目に遭う理由として考えられるのは……妹しかないな」
「その通りだ。君はなかなか頭がいいようだな」
「別に。それ以外に理由がないだけさ。あんたたちの正体も大体予想できるぞ。大方どっかの国のお偉いさんか軍人かテロリストだろ?」
「テロリストと一緒にされるのは心外だが、君の予想したとおり私はある国の諜報員を務めるものだ」
「で、自在に巨大化する妹が脅威だから始末したいか、味方に引き入れたいってところか?」
「まったく持って見事な読みだ。そう、彼女の存在は危険すぎる。もし敵に回せば非常に厄介な事になるだろう。
 だからなんとかして仲間に引き込みたいのだよ。それが不可能なら…」
「殺すのか?」

光の中で人影が肯くの分かった。

「敵に回すくらいならいっそ…な」
「ふーん、で、俺を捕まえたのは俺があいつに言う事を聞かせる事ができる唯一の人間だからだろう?」
「その通りだよ。恐ろしいまでの洞察力だな」
「今回みたいな事は初めてじゃないんだ。あいつは世界中の軍から狙われてるからな」
「ほう、我々よりも先に君に接触した者がいたのか。その人たちはどうなったのかね?」
「あいつにコテンパンにされたよ」
「ほほう、それは恐ろしい。ではさっさと用事を済ませてしまおうか」

彼が指を鳴らすと大勢の白衣を着た人間が部屋に入ってきた。

「そこまで洞察力に優れる君だ。これから何が起こるかわかるだろう?」
「薬物か何かで俺を操り人形にするんだろ。そうすれば自由にあいつを操れるようになるからな」
「ふふ、なまじ理解力のあった自分を呪うといい。その読みの鋭さのせいで、これから訪れる苦痛が予想できてしまうのだから」

白衣たちが兄を取り囲んだ。

「ほほほ、それにしてもたいした度胸だ。これから起こる地獄を知りながら悲鳴のひとつももらさないなんてね」
「肝っ玉がでかいって設定だからね」
「どうやら減らず口も達者な設定のようだ。さて、そろそろ片付けてしまうとしようかね」
「その前にちょっといいか?」
「なにかね? おおそうだ。これから君にはお世話になるのだから願いの一つくらいなら叶えてやるぞ」
「今、何時だ?」
「…時間だと? この期に及んでそんな事が知りたいのか?」
「ひとつくらいなら願い事叶えてくれるんだろ」
「まったく、厄介な男だよ君は」

言うと男は腕元に視線を落とした。

「…今は17時30分だ。これで満足かね?」
「ああ、助かったぜ。お陰であんた達があいつにコテンパンにされる時間がわかった」
「なんだと…?」
「あいつは鼻がいいんだ。今頃俺の匂いを追いかけてこの近くまで来てるんじゃないか?」
「ばかな。犬じゃあるまいし、そんなふざけた話が…」

 ピリリ ピリリ

男の懐で電話がなった。

「私だ。今忙しいのだが?」
『た、大変です! 奴がそっちに向かいました!!』
「なんだと!?」

ニヤリとほくそ笑む兄。

「ばかな! お前達はいったい何をやっていたんだ! 今日の奴はたかが14メートルなのだぞ!」
『そ、それが、突然起き上がったかと思うとすぐにものすごいスピードで走り出して…。
 数人の兵士が踏み潰され、他の兵士も戦闘不能です』
「なにぃ!?」

男の姿は逆光に包まれていたが、その顔がいったいどれだけ驚愕に満ちているかは洞察力を働かせなくても簡単にわかった。

「あいつはすぐにここに来るぜ」
「ぐぐ…! ならお前を連れて外国へ…」
「いや、もう遅い」

    ずぅ…ん………ずぅぅ…ん………ずうぅ…ん………

遠から何か重いものがこちらに近付いてくる音がする。
それに伴い地面が規則正しい感覚で揺れ始めた。

「ばかな…、速過ぎる…!」

「高飛びするんなら、俺を捕まえてすぐにするんだったな」

「く、くそおおおおお!!」

    ずうぅうん……ずううううぅん…! 

    ずどおおおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉん!!!

突然、天井を突き破って巨大な拳が侵入してきた。
その破片が内部にいたあの人影や白衣に襲い掛かる。

「うわああああ!!」

逃げ惑う白衣たちの上に次々と瓦礫が落ちてゆく。
それにあたるたび、ひとり、またひとりと頭から血を流して倒れてゆく。

    ゴン

「痛て! …ったく、俺が中にいる事も計算しておけよな」

兄にも命中していた!


手は穴の向こうに引っ込んで、今度は天井の両側面の壁から指が突っ込んできた。

    ミシミシミシ…

天井と壁の間に亀裂が入る。
コンテナの陰で頭を抱えていた元人影の男はその行為を見て唸るような声をあげた。

「ま、まさか、持ち上げる気か!?」

そのまさかであった。
巨大な両手はバコッと音を立てて、この建物の天井を取り除いてしまった。
そこから現れた妹の巨大な顔は、怒りに満ちていた。

「お兄ちゃん! 大丈夫!?」
「ああ、お前が来るまでは大丈夫だったよ」
「このぉ! よくもお兄ちゃんを!!」

今しがた取り除かれた建物の天井は、妹の手の間で粉々に砕かれてしまった。
そしてその1メートル近い拳をまだ無事だった白衣の上に叩き落した。

「ぎゃあああああああああああ!!」

    ドスン!!

白衣はバラバラに飛び散った。
そしてその手はそのまま次の白衣に向かっていく。

    ガシッ

手は白衣の上半身を掴んだ。
拳からは下半身だけが垂れ下がっていた。
手はどんどん握る力を強くしていった。

    メリメリメリ…

白衣は脚がバタバタと暴れている。
妹の手を蹴り上げる事もあったが、手の圧力は全く緩まなかった。
そして…。

    グチュッ…

巨大な指の間から血が噴き出し、脚はだらんと垂れ下がった。その脚を血が滴っていく。
さらに手は下半身も手におさめると、にぎにぎと手を動かした。

    バキバキ ボキ メチ グチュ…

音が硬い何かを砕く音から、だんだん何か柔らかいものを潰すような音へと変わっていく。
やがて妹は手を開き、そこから赤黒い丸いものを取り出して、他の白衣たちに見せた。

「はい、あなたたちのお仲間の肉団子だよ。すぐにあなたたちもこうしてあげるからね」

言うと妹は肉団子を手に戻し、思い切り握りつぶした。

    ブチュッ!!

大量の肉片が周囲に飛び散った。

ここからはただただ血煙の舞う一方的な惨殺シーンとなった。

ある白衣を摘み上げると腕と脚を引っこ抜いてダルマにしたり
またある白衣を捕まえるとそれぞれの手で上半身と下半身を掴み、雑巾の様にねじり切ったり
またまたある白衣は頭部をつかまれ、ズリュウゥという音を立てながら首を引っこ抜かれてしまった。

妹の手が動くたび、赤い鮮血が吹き上げられ、一人、また一人と白衣を赤く染めていった。

あっという間にその部屋は、真っ赤な肉片だけが飛び散る地獄へと変わった。

「お兄ちゃん大丈夫だった!?」
「さっきも言ったように、お前が来るまでは大丈夫だったよ」
「そっか、よかった。はい、手に乗って。早く帰ろ」

言うと妹は十数人の血で真っ赤に染まった手を差し出してきた。

「とりあえず手を洗って来い。このままだと服が汚れる」
「あはは、そうだよね。ごめんね」

妹は笑った。
ところがはたと笑うのをやめ真剣に俺の事を見つめてきた。

「あれ!? お兄ちゃん、ケガしてる!!」

兄の頭の上には小さなタンコブが出来ていた。
さっき妹が天井を突き破ったときに飛んできた破片がぶつかってできたのだ。

「いったい誰にやられたの!?」
「俺の目の前にいる奴だが」
「そう、こいつだね!」

言うと妹はコンテナの影に隠れていた男を掴みあげた。
それは先ほどまで逆光になっていた男だった。

「よくもお兄ちゃんをこんな目に…!」
「ま、まて! 金ならいくらでも払う!! だから…」
「うるさい!! お前の顔なんか見たくもない! えい!!」

妹は男を握っている手とは別の手を男の前に持ってきた。
その手は握るでもなく開くでもない中途半端な形をしている。
逆光の男は思った。

「ま、まさか…」

    ベチン

デコピンだった。

巨大な指先に弾かれた頭は、指に当たった瞬間粉々に吹き飛ばされ、大量の脳髄と血を周囲にぶちまけた。
その後妹は、残った頭のない身体を遠くへ思い切り投げ捨てた。

身体は200メートルほど離れた住宅街に墜落した。
バラバラに砕け散り、頭がなかった事など何の問題にもならなかった。

始末をつけた後、手を洗った妹は兄を手に乗せ家路へとついた。そらには星が浮かんでいた。

「あ〜あ、せっかく今日はお兄ちゃんと楽しい一日を過ごせると思ってたのに…」
「まぁ楽しかったじゃないか。お前だって一回いけたからいいだろ?」
「でもお兄ちゃんと一緒にいきたかったのに…」
「それはダ〜メ。ところでお前、服乱れたまま来たのか」
「うん、お兄ちゃんの一大事だったから」
「そっか。じゃあとりあえずちゃんと着なおせよ。家に着くまでの間、ポケットの中からいじっててやるから」
「わ〜い!」


妹は、笑顔で服を直し始めた。