「ふふ、さぁお兄ちゃん。今日もたっぷり遊ぼうね」
腰に手をあて仁王立ちする妹の足元で200分の1の大きさで横たわるのは兄。
約1㎝ほどの大きさの兄からは目の前にある妹の足の指の太さですら自分より大きく見える。
それがもぞもぞと動く。待ちきれないのだ。
「いくよ」
妹は片足を上げ兄に近づけていった。
5本の巨大な指がぐわっと広げられて迫ってくる。
兄の身体はその人差し指と中指によって握られるようにして持ち上げられてしまった。
ぎゅ〜っ
凄まじい圧力であった。
身体中でミチミチと言う音がした。
指の一本で車を潰せるのだ。兄一人など実に容易く握り潰せる。
「今日は汗かいちゃったから臭うと思うんだけど、どうかなお兄ちゃん?」
指を開き、兄の身体をドサッと床に降ろした妹は、その兄の身体を再び指で覆った。
兄は指の作り出す空間に閉じ込められた。
指と指の間から湧き出す汗の臭いが充満して、それは涙が出るほどの刺激臭となる。
次に妹は兄の身体を足の親指で踏みつけるとそのまま足をツー…っと横に動かした。
兄の身体は指に踏まれたまま床の上を滑る。
まるで絵でも描くように妹は兄で円を描いた。
「苦しい? 苦しいよね? 大丈夫、まだまだこれからだよ」
指を離した妹は、今度は兄の上にかかとを降ろしぐりぐりと踏みにじった。
「ああ、お兄ちゃんの身体が足の下にあるよ。重い? 重いかなあたし。 昔はよくおんぶしてくれたよね。今もできる? あたしの足の指くらいは持ち上げられるかな? 無理だよね。だってお兄ちゃん小さいもん。こんなに小さいもん」
気が付けば妹は兄の身体を何度も何度も踏みつけていた。
足の指の間でもみくちゃにし、つま先で乗って爪先立ちしてやった。
妹の全体重が兄にのしかかった。
足をどけてみるとボロボロになった兄。しかしなんとか原型は留めていた。
それを摘み上げた妹は今度は手の指で小さな小さな兄の身体を丸め始めた。
くりくりくりくり。小さな兄の身体がさらに小さくなって行く気がする。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん…」
妹の頬は赤く染まり、息が荒くなる。
明らかに興奮していた。兄を虐めるその快感に、心が満たされてゆく。
手のひらに兄を転がした妹はその身体を指先で押さえつけた。
「やっぱり苦しい? あたし指一本しか使ってないんだよ。でもお兄ちゃんよりも太い指だけどね。この爪だけでもお兄ちゃんよりも大きいよ。ね?」
兄の前に突き出された爪は薄い桜色の光沢を放っていた。
何かが塗られているわけではない。手入れが行き届いているだけだ。
その爪が、兄の身体につきたてられた。
「痛いかな? このまま力を入れたら、お兄ちゃんの身体切れちゃいそうだね。お兄ちゃんはあたしの指より弱いんだ」
爪をぎゅーっと押し込んだ。爪はまるでギロチンのように兄の身体に食い込む。
一度指を離すと今度は指の腹でぐりぐりと手のひらに押し付けた。
次に指でピンと弾き、手のひらの上で転がして遊んだ。
全身をしこたま打ちつけながら跳ね回る兄。
だめだ…かわいい…もう我慢出来ない。
過ぎた感情は極限を求めている。
「バイバイ…お兄ちゃん」
兄の上半身と下半身を左右の指で摘むと、それを捻りながら思い切り引っ張った。
ブチッ
兄の身体は真っ二つに裂けてしまった。
両の手のひらにはそれぞれ兄の上半身と下半身。
分かれてさらに小さくなった。そしてもう、元には戻らない。
「今までありがとうね」
その二つを口元に持ってくるとそれに向かって舌を伸ばした。
その時、
「ただいま」
「あ! お帰り! お兄ちゃん」
「ん? また俺の人形で遊んでたのか」
妹の手の中には布で作られた人形の欠片。
「うん」
「まったくいつもいつもそんなにボロボロにして。なんだ? お前は俺を弄びたいのか?」
「うぅん。お人形だから楽しいの。本物のお兄ちゃんにはしたくないの」
「ようわからん」
「えい」
ぎゅ〜
妹は兄に抱きついた。
「着替えてくるぞ」
歩き出した兄。
妹は兄の腰にぶら下がったまま部屋を出て行った。
今日も平和である。