※【ぼの】【バカ】 つーか【ネタ】



 『 アニキのワイシャツ着ないと眠れない! 』



「アニキ~。新しいワイシャツちょーだーい」
「だーッ! また破いたのかよお前!」

さぁ寝ようとベッドに入りかけた兄をドアを開けて入ってきた妹が止めた。
足もとまで届く長い長い茶色のロングヘアー。年齢に不相応に発育した豊満な肉体に着ているのは空色のぱんつと肌蹴たワイシャツ一枚。
だがワイシャツは長袖なのに妹の肘までほどしか届いておらず、ボタンは閉まらず全開だ。
そして胸元のボタンはほつれてなくなっており、肩と袖口はビリビリに破れている。
妹は、ワイシャツを着ているというより羽織っている形に近い。

というのも妹が身長210cmを超えた常人の1.5倍規格だからだ。
体のすべてが規格外なのである。
ともなれば、例え男の兄のものとはいえ、着こなせないのは当たり前だ。
妹は、要所要所がビリビリに敗れた小さなワイシャツを法被のように着ながら不満そうな顔をしていた。

「勘弁してくれよ…。せめて1週間はもたせてくれ…」
「だってー…、最近は体もどんどん大きくなるし」

妹はぶーたれながら着ているワイシャツをぱたぱたと動かした。
妹の巨大な乳房によって大きく盛り上がっていた胸元のギリギリ隠れていた乳首がチラチラ見える。目のやり場に困るから止めろ。
成長期なのかなんなのか知らんが、ここ数年妹はデカくなるばかりだ。
別にデカくなるのは構わんのだが、そこに俺のワイシャツを巻き込まんで欲しい。

「というかアニキが一緒に寝てくれればワイシャツ着なくて済むんだよ」
「この年で妹と一緒に寝られるか! いい加減兄離れしとけ」

俺はため息をつきながら新しいワイシャツを妹に手渡し、妹は顔を輝かせてそれを受け取った。

「やったー! …あれ? これアニキの匂いしないよ?」
「クリーニング出したばかりの奴だからな」
「そんなー。それじゃ意味ないよ~」

がっくりとうなだれる妹。

「あーあ、これ以上大きくなったらアニキのワイシャツ着れないよ。もうアニキのパンツかぶって寝るしかないのかな…」
「変態じゃねーか。つかなんでそんなに俺のワイシャツ着たがるんだよ」
「んーなんかアニキの匂い嗅ぐと安心できるっていうか…ぐっすり眠れるの」
「ワイシャツはもうないけど、Tシャツとかじゃだめなのか?」
「Tシャツだと胸がキツイかな。ワイシャツだったらほら、ボタン外せばよかったんだけど」

言いながら妹は視線を自分の胸に落とし、俺も釣られるようにして妹の胸を見てしまった。
妹の体躯は確かに規格外の大きさだが、それを除いても成長の度合いが半端ない。
俺から見たら妹の乳はバレーボールくらいの大きさがある。
そんな妹が俺のTシャツを着たらどうなるか。
俺が着ればシャツの丈は腰より下がりベルトくらいなら隠せるだろう。
が、妹が来たら恐らくシャツはこのデカい乳を覆うためにほとんどの布を取られ、シャツの丈はへそにも届かないのではないか。
というより胸を覆って終了か。スポーツブラみたいになってしまうんじゃなかろうか。

と、そこで俺は妹のギリギリシャツに隠れた乳房をまじまじと見ていたことに気づき慌てて視線を外した。
妹はそんな俺の視線には気づかず、自分の胸を見下ろしてため息をついていた。

「と、とにかく! シャツはもうないから自分の部屋に戻って寝た寝た!」
「むー! だからアニキの匂いが無いと眠れないの!」
「匂い匂いって俺そんなに独特の強い匂いが出てるのか!?」

流石に自分が周囲に臭いを振りまいていると思うとかなり嫌だ。

「別に強くないよ? ほら、花の匂い嗅ぐみたいにさー…」

と言いながら妹が上半身を倒し俺の方に顔を近づけてきた。
風呂上りの妹の顔は僅かに上気していてわずかに湿った髪が妙な色気を醸し出しており、俺はドキッとした。
1.5倍ということで大きな顔が俺に向かって下りてくる。
目は閉じられ、薄紅色のぷるんとした唇が近づいてくる。
胸が高鳴った。心臓の鼓動が速くなる。
そのまま妹の顔は俺の顔の横に来ると、俺の首筋でくんくんと匂いを嗅いだ。
鼻で吸い込む息をうなじに感じた。

「…こうやって近づくとわかるんだ。とってもいい匂い」

妹がくすっとほほ笑むのが俺にもわかった。
だが俺は、半裸の妹が目の前まで体を近づけてきて落ち着いてなんかいられなかった。

「ば、バカ! お前何やってんだ!」
「なにってアニキの匂い嗅いでるだけだよ?」
「お、俺だって男なんだからそんな無防備に体を近づけるんじゃない!」

俺は妹の体をドンと突き飛ばした。
つもりだったが妹は僅かに一歩下がっただけで、逆に俺自身が吹っ飛ばされてしまった。

 ドン!

頭を打ったような気がした。
瞬間、目の前がぼやけ、暗闇に堕ちてゆくような感覚が襲ってきた。

「アニキ!」

妹の声が空の彼方から聞こえてきた。


  *


はっと目を覚ますと視界の向こうに、心配そうに俺を見下ろす妹の顔があった。

「う…」
「アニキ! 気が付いた!?」
「気を失ってたのか…」
「ごめんね、私がアニキの匂い嗅いだりしたから…」
「…お前のせいじゃないさ」

俺は妹の顔から視線を外し周囲に目を走らせてみた。
どうやら俺は自分のベッドに寝かされているらしい。

「世話かけたな」
「んーん、私のせいだもん…」
「だからお前のせいじゃないって」
「いいの…私、部屋に戻るね…」

言うと妹は立ちあがった。
ベッドに寝ているせいからか、立ち上がってゆく妹はまるで巨大化するような威圧感を放っていた。
そんな妹に声を掛ける。

「まぁちょっと待て」
「え…?」
「頭打ったせいか、ちょっと体を動かしにくい。何かあると困るから、今日はお前もこの部屋で寝てくれるか?」
「え……それって…」
「介抱してくれたお礼だ。1日くらいいならいいさ」
「ありがとアニキ!」

さきほどまでの沈んだ表情から一変、パァッと笑顔を輝かせた妹は俺の布団を引っぺがし横にするりともぐりこんできた。

「やったーアニキと一緒に寝られるー!」
「言っとくけど今日だけだからな」
「うん! あーアニキの匂いー」

妹は俺の頭に顔を押し付けくんくんと匂いを嗅いだ。
ちょっとくすぐったいが、まぁいいだろう。
俺のベッドは妹には小さく、妹は足がベッドから飛び出し浮いている状態だ。
掛け布団もせいぜい膝くらいまでしか覆っていない。
だが妹は、とても嬉しそうな顔をしていた。

「やれやれ」

俺は笑った。
兄離れはしてほしいものだが、こうも喜んでもらえるならそれも悪くない。
そして妹は自分で言っていた通り安心したのか、あっという間に眠ってしまった。
静かな寝息が聞こえ始める。

「ふぁ…気絶から覚めたばっかりだけど、俺も寝るか…」

そして俺もまぶたをとじ、意識を眠りの海に沈ませていった。

ところで、体の周囲で動くものを感じた。
どうやら妹が眠ったまま俺の体に手をまわしてきたらしい。
妹の長い腕は俺の体を抱きしめてしまった。
更に妹の大きな右手は俺の後頭部を掴むと、ぐいと妹の方に抱き寄せた。
妹の、胸の谷間だ。

「うぇ!?」

俺は慌てて体を放そうとしたが元々体がまだ自由には動かず、加えて妹の腕に両腕ごと抱きしめられてしまっている今身動きを取る事が出来なかった。
俺は顔を妹の胸の谷間にうずめているのだ。
横に寝ている俺を胸に抱き寄せるということは妹は横を向いているということで、妹の大きな胸は上下から俺にのしかかってくる。
顔の側面に妹の乳房の柔らかさとその重さを感じていた。

「(んんー!)」

口も胸板に押し付けられて満足に喋る事も出来ない。
息をすると風呂上りの妹の暖かな良い匂いがした。
更に妹は両脚を俺の体に絡みつかせてきた。
妹の長い体が俺の体をぎゅっと固定した。もう脚を動かすこともできない。
そんな妹は、眠りながら俺の頭に顔をつけくんくんと匂いを嗅いでいる。
寝ぼけているのかなんなのか。とにかく、妹は俺よりも力があり、そんな妹が寝ていて加減をしていない状態で両手足を使って抱きついてきても、俺には抗うことは出来ないのだ。

「…んー…アニキー…」

押し付けられた唇が寝言を呟き、俺はそれを頭皮に直接感じた。
頭を手によって胸元に押し付けられ、上半身を腕に抱きしめられ、下半身を長い脚に絡みつかれた俺はもう直立不動の上体から動く事ができなかった。
魅惑的な半裸の体で俺を抱きしめてくる妹。俺はもう、妹の抱き枕でしかなかった。
むっちりとした体がぎゅうぎゅうと抱きしめてくるの。俺は妹の体以上に、男としての猛りに抗うのに必死だった。
妹相手に…! と言っても体は正真正銘女だ。男なら、誰でも求めてしまうものだった。
俺は、自分の顔の横にのしかかってくる重たい乳房の奥からドクンドクンという妹の心臓の音を聞いた。
力強く、それでいて穏やかな音が、逆に俺の猛りを鼓舞する。
が、どんなに俺の猛りが滾っても、妹に抱きつかれている俺は身動きを取る事が出来ない。
この上ない欲求不満だった。
興奮し、眠る事が出来なかった。
寝ぼけた妹がより強く俺を抱き寄せ、そのせいで俺はより強く興奮した。こんな状態で眠れるわけがない。


妹は俺の匂いを嗅がないと眠れないと言ったが、俺は妹の匂いを嗅ぐと眠れなかった。



※ワイシャツの設定はどこにいった…。