ある日の昼下がり。

「ふんふ〜ん♪」

病院の廊下を鼻歌を歌いながら歩くナース。
長いストレートヘアーがさらさらと靡く。
ふわふわと緩めのナース服だがボディのラインがはっきり見えた。
そんなナースを呼び止める声。

「おーおー、うれしそうだね冴絵(さえ)」
「あっ、先輩」

冴絵と呼ばれたナースが振り返った先では別のナースが手を振っていた。
春華(はるか)。冴絵の先輩にあたり数期先にこの病院へとやってきた冴絵と同じエリートナース。
身長の高いショートヘアー。そのボディラインは冴絵以上にくっきりと表されてる。
春華は猫のように目を光らせながらにやにやと笑う。

「なんかいいことでもあったん?」
「えへへ、今日 急なシフトで夜勤頼まれちゃいまして」

仕事を頼まれた、という割にはとてもうれしそうに笑う冴絵。
それを聞いた春華はにんまりと笑った後、大仰に頷いて見せた。

「それは大変だな。…実は私も今日は夜勤なんだ」
「え! 先輩もなんですか!?」

目をキラキラと輝かせる冴絵だった。
そんな冴絵の肩にポンと手を乗せる春華。

「うむ。お互い大変だが一緒にがんばろう」

二人はうれしそうに目を合わせた。
夜勤。それは二人にとって甘美な時間。
絶対的な至福が今晩訪れる。
それを考えると二人は今から身体が疼いてしまう。

「あ、あのっ!」

妄想に浸っていた二人に声がかけられ、そちらを見ると背の低いナースが一人。
春華が170後半、冴絵が160台中盤として、そのナースは150cmあるかないかといったところだった。
栗色の髪のショートヘアーでつぶらな瞳を光らせながら二人を見ていた。
子供のような身長に相応の身体はナース服にラインを表せずほとんどまっすぐである。
だがその瞳や仕草 小ささには愛くるしさを覚えずにはいられない。
小動物の様な新米ナース。

振り返った二人は笑顔で応えていた。

「なぁに? くーちゃん」

くーちゃんと呼ばれた本名 久子(くこ)はがばっと頭を下げた。

「わ、わたしも今日 夜勤なんです! よろしくお願いします!」
「あ、くーちゃんも夜勤なんだ」
「はい! まだみなさんのようにうまくできませんけどがんばります!」

久子はもう一度 頭をがばっと下げた。
いつも元気いっぱい、いっぱいいっぱいの彼女はすべてのセリフに「!」が付く。
そんな久子を二人は微笑ましく見ていた。

「うん。一緒にがんばろ。それにそんな頭下げなくていいよ」
「で、でも、おふたりはエリートですから!」

二人見る久子の目はキラキラと輝いていた。
憧れと羨望の光が光っている。
久子は二人と違い通常のナースなのである。
そんな久子に見つめられ照れ笑いを浮かべる冴絵。
その横で春華があごに手を当てて言う。

「でもくーは通常患者対応だろう? 私たちは縮小患者対応だからな」

あっ!
と、久子は短く叫んだ後 またがばっと頭を下げた。

「す、すみません! 未熟なわたしがお二人と一緒にだなんて…!」
「あーあー大丈夫だから! 縮対(縮小患者対応)っても暇はたくさんあるから一緒にいられるよ!」

泣き出しそうになった久子を必死になだめる冴絵。
久子が落ち着いた後 ふうと息を吐いて春華を見た。

「もう先輩、あんまりくーちゃんをいじめないでくださいよ」
「はっは、くーのあわてっぷりは見てて楽しいんだ。それより冴絵、どうせなら今日はくーも誘わないか?」
「え? でもくーちゃんは通対(通常患者対応)ですよ?」

現在、縮小病患者には特別な訓練を受けたエリート、通称「縮小患者対応」しか触れることは許されない。
院内でも縮小患者は完全に隔離されていた。
春華はにやりと笑う。

「だからさ。通対のくーに縮小患者を見せたらきっと驚くぞ。どんな顔をするのか…」

くっくっくと笑う春華を見上げてもうとため息をついた冴絵だが、それは面白いと思った。
秘密を分け合える仲間が増えるのはうれしい。

「じゃあくーちゃん、今日はよろしく」
「は、はい! こちらこそ!」

久子はがばっと頭を下げ、冴絵は苦笑した。







夜。
仮眠から覚めた冴絵と春華はナースステーション奥の茶室でおしゃべりをしていた。
時刻は11時。そろそろ一週目の見回りに行こうかという時分。
すると皆が眠りにつき静まり返る廊下からパタパタという音が聞こえてきてそしてその音の正体が茶室に駆け込んできた。

「す、すみませんー! 寝過ごしましたー!」

久子がやってきた。
慌てて着込んだのであろうナース服はところどころ乱れ髪も寝癖がついていた。
そんな久子を見て二人はくすっと笑い、立ち上がった春華は久子の服を直してやった。

「ほら、服が乱れてるぞ」
「す、すみません! ありがとうございます!」
「じゃあいきましょうか」

冴絵も立ち上がり3人はAランク病室へと向かった。

消灯していることもあり病室内は薄暗い。
冴絵は部屋の明かりをつけた。
どうせ患者たちは強制スリープのせいで目が覚めないのだから。
普通に部屋に入っていく二人の陰に隠れながらこそこそと入る久子。

「あ、あの…わたしも入っていいんですか?」
「お前もいつか縮対になるんだから今のうちに体験しておくのも悪くないぞ」
「そうだよ。早いうちになれておかないと」

言いながら冴絵は手馴れた手つきで個室の鍵を開け中に寝ていた患者をつまみ出しそれを久子のもとへと持っていく。

「はい、手ーだして」
「こ、こうですか…?」

久子は片手をおわん型にしてそっと差し出した。
冴絵は笑顔でうなずき摘んでいた患者を久子の手のひらの上に降ろした。
きょとんとした顔で見下ろす久子だった。

「それが縮小病の患者さんだよ」
「え!? これがですか!?」

驚きに目を見開いた久子は改めて手のひらの上のそれを見た。
おわん型にすぼめられた手のひらの中心にポツンと転がるそれは確かに人間だった。
ただし極小の。
この患者さんの身長は自分の人差し指の爪の長さも無い。
こんな、こんなに小さくなってしまうなんて…。
開いた口が塞がらなかった。

患者は自分の手のひらの上ですやすやと眠っている。
表情までは伺えないが心地よい夢でも見ているのだろうか。
とても気持ちがよさそうだ。
愛らしい姿に愛おしさを覚える。

「かわいい…♪」

久子は人差し指を伸ばし患者の身体にそっと触れた。
ところが、

 プピュ

指先にやわらかい感触を感じたと思ったら手のひらに赤いものが飛び散った。
指をどけてみるとそこには真っ赤な染みが広がっている。
その中に、患者が着ていた病院服らしきものがある。

「え…」

久子はその突然のことに、あまりに簡単に訪れたそれに、理解できないでいた。
自分は軽く触れただけ。
なのに手の上には赤いものが広がり、縮小患者の姿はなくなった。
どこにいった? 何が起こった?
簡単すぎてわからない。
容易くそうしてしまった。
理解できない。
本当はしているはずなのに理解できないと思い込んでいる。
理解してしまったら、自分が崩れてしまいそうだったから。

「え……え…ぁ…」

久子の顔から血の気が引き身体ががくがくと震え始める。
理解したくなくても自分の手と指に付いた赤いものの情報が急速に脳に入ってくる。
それは、血。
人間の体内を駆け巡る液体。
それが飛び散るということは、自分は、この患者を…。

頭の中が真っ赤になる。
理性が崩壊してゆく。
恐怖が、罪悪感が、声となってのどから飛び出そうになったときだった。

 ぎゅ…

久子は抱きしめられた。
久子の顔は抱きしめてくる冴絵の顔を見上げた。
冴絵は笑顔のまま優しい声で言った。

「大丈夫だよ、くーちゃん」
「せ、せ、せ、先輩……わ、わたし…!」
「違うよ。くーちゃんはあの患者さんを助けてあげたんだよ」

冴絵は血に染まる久子の手を自分の白い制服で拭いた。
久子の手は綺麗になった。
そこに一人の人間を潰した証拠などかけらも残ってはいない。

「ここの患者さんたちはね、とても苦しんでるの。生きることに疲れて、病気も治さないで、ただ毎日をなんとなく生きるだけ。何もしないうちに年をとっていつか本当に何もできなくなっちゃう。そんな人たちなんだよ。くーちゃんは、あの患者さんを苦しみから救ってあげたんだよ。だから思いつめちゃだめ」
「せ、先輩…」
「そーそ。それにこれは公にしちゃいけないんだが、縮小病を治療するには法律に違反するような処置を施すこともあって、そのために一般には知られていない新しい法律が作られたんだよ」

久子の頭を撫でながら春華は言った。

「法律…です…か?」
「うん。その内容は、『縮小病に感染した者はこの項を除くあらゆる法律の対象外とする』。縮小病の患者はどんな法律にも守られない。つまり、縮小患者は人間ではないと言ってるんだ。誤って殺してしまっても法律では罰せられない。虫を潰したのと同じってわけさ」
「む、虫…」
「そう。ほらくー」

春華はまた新しい患者をつまみ出し久子の目の前に持っていった。

「これが私たちと同じ人間に見えるかい?」

久子は春華の指先に摘まれた小さなそれを見た。
身体の大半を指の間に挟まれてしまっている。
そうだ、人間が人間を摘むなんて真似ができるはずがない。
これは、人間じゃないんだ。
くーは首をふるふると横に振った。

「見えないです…」
「うんうん。だから気にしなくていいんだぞ」

春華は笑いながら指を動かし摘んでいた患者を捻り潰した。

「さ、というわけで私たちナースには彼らを苦痛から救ってやる義務がある。今宵も精一杯働こうじゃないか」

大仰に芝居がかった風に手を広げ言ってみせる春華に冴絵は苦笑した。

「もう、先輩ったら。でもくーちゃん、先輩が言ってることは本当。この患者さんたちはね、もう人間じゃないの。だからくーちゃんが心を痛める必要はないんだよ」
「わ、わかりました」

笑顔の冴絵の目の前で久子は目をキリッとさせた。
でもやはり無理をしているところもあるのだろう。
ところどころぎこちない。
まぁまだ縮対の教育を受けていないのだから当然か。
冴絵は久子の頭を撫でた。

「じゃ、いこっか」

3人は、患者の個室に手をかけた。







今日は各々の私室ではなく使っていない病室へとやってきた。
みんなそれぞれ手に患者たちを抱えて。

「お、お二人はそんなにたくさんの患者さんを!?」

久子の声に振り返った二人の手には患者が山盛りになっていた。
対する久子の手の中にはたった5人の患者。
まぁそれが5人の人間といえば決して少なくはないが。
春華は大きくうなずいた。

「こうしている間にもたくさんの患者が待っているからな。本当ならもっと多くてもいいくらいだ」
「先輩、わざとらしいですよ。ほら、くーちゃんもおいで」

3人はベッドの上に腰掛けた。
それぞれの体重を受けてベッドがぎしぎしと音を出す。
患者をベッドに降ろした。

「この後は…?」
「こっからは自由行動さ。各自好きなように患者を使ってくれ」
「す、好きなようにと言われましても…」
「そうだな…」

ふむ…と少し考えた後、春華は制服の上着を脱いだ。

「え? な、何を…」

驚き顔を赤くする久子の前の上半身には下着を纏うのみの春華。
大きな乳房がブラの中に窮屈そうにしまわれている。
その中にメロンが入っているといわれたら一考してしまうほどに大きな乳房がである。
そして春華は山盛りになっている患者のひとりをつまみあげると、片方の胸の上に置いた。

「ほら、見えるか?」

春華は自分の胸を指差した。
久子の目にもはっきりと見える。
前に突き出した特大の胸の坂に、ポツンと転がる小さな患者の姿。
なんとも、シュールな光景。
先輩の胸の上の小さな患者何百人と集めてもあの片方の乳房の質量にも敵わないだろう。
壮大な乳房の山に登山しているようにも見えた。
久子の顔がさらに赤らむ。
女の久子から見ても春華の胸は美しかった。

「は、春華先輩…胸綺麗ですね」
「そお? まぁ今までこれのおかげで何人も男引っ掛けられたしね。ちょっと胸元開けて寄せるだけでコロっといっちゃってさ」
「そ、そうなんですか…」(赤面)
「で、本題だけど、こうやって遊ぶわけ。こんなちっぽけでも一人の人間が自分の胸に転がってるってのは結構楽しいもんだ」
「…」

久子は自分の胸を撫で下ろした。
ふくらみなんて無いに等しい平らな胸を。

「くく、そんな顔しちゃぁだめさ」
「でも…」
「ほら元気出しぃ。これあげるから」
「え?」

きょとんとした久子の顔めがけて、春華は胸に乗っていた小人を摘み上げて放り投げた。
自分の顔めがけて小さな患者が飛んでくるのを見た久子の中に危機感が生まれる。
虫が飛んでくるような感覚。
久子は短く悲鳴を上げながらそれを両手でパシンと受け止めた。
その様、まるでトト□のメイが真っ黒黒助を捕らえたときのようだった。

手を開いてみると両手のひらは赤いしみができていた。
放られた患者は、意識があったとしたら、相対的に巨大な見た目幼いナースの幅14m長さ32mにも及ぶ巨大な手のひらが自分を叩き潰さんと超高速で迫ってくるのをどう受け止めただろうか。

手のひらのシミを見て久子は「あっ」と悲鳴を上げる。

「またやっちゃいました…」
「はっはっは、それでいいんだよ。あの患者だってくーみたいなかわいい子に看取ってもらえて幸せさ。はい、ハンカチ」

春華の差し出したハンカチを頭を下げて受け取った久子はそれで手のひら拭った。
患者だった赤いシミは綺麗にふき取られ、もとのかわいい手に戻っていた。

「じゃあ次いこうか」

春華は次の患者を摘み上げた。
その時、

「う、う〜ん…」
「ん?」

摘まれた患者がうめき声を上げた。
その患者を目の前に持ってくる春華。
患者が、うっすらと目を開けるのが見えた。

「…あれ? ナースさん?」
「あちゃー眠りが浅かったか。強制スリープに効きが弱かったんだな」
「どうしたんです?」

患者は寝ぼけた顔で首をかしげていた。
ナースの指につままれている現状は、日常のことなので不思議ではない。
不思議といえばなぜナースが半裸なのかくらいだった。

しばし考えた春華はうんと頷くと久子に指示を出した。

「くー、ベッドから降りな」
「あ、はい」

言われたとおりベッドから降りる久子。
春華もベッドから降り、そして久子の足元に摘んでいた患者を降ろした。

患者はわけがわからなかった。
起きたら何故かナースの指につままれていて、そして今度は床におろされた。
で、目の前にはもうひとりのナースが立っている。
見たことの無い顔だった。あの春華というナースと比べると随分とこどもっぽい容姿をしているが。
だがそれでも縮小病の自分から見れば300mはあろうかという巨人だった。
目の前の白いナースサンダルですら、その厚みは自分の身長の2倍近くある。
その上には白いストッキングに包まれた足の指が見えた。
遥か上空から幼い顔が自分を見下ろしている。
いったい何をしようというのか。

おろした後、そこに座り込んだままの患者を見下ろす春華。
状況が理解できていないのだろう。まぁどっちでもいいことだ。
春華は久子の方を向いた。

「さぁくー、次は自分の意思でやるんだ」
「は、はい!」

久子は返事をして足元の患者を見下ろした。
小さな小さな姿だ。
先ほど手のひらに乗せたときもそう感じたが、足元にいるのを見下ろすと、その小ささもひときわ強く感じる。
同じ床の上にいるのにこんなに大きさに違いがある。
自分のつま先の前にちょこんといるそれはもう虫けらにしか見えなかった。
ううん! 久子は頭を振ってその考えを追い出した。
彼らは無視ではない。立派な人間だ。そして彼らは人生に苦しみ、自分に救いを求めている。
彼らを救うのが、ナースとしての自分の役目だ。
久子は足元の患者に言った。

「患者さん、今 助けてあげますからね」

そして久子は片足を持ち上げた。

突然、患者の目の前であの巨大なナースサンダルが持ち上がり、自分の上にかざされた。
え? わけのわからぬ患者。
白いサンダルの裏は薄汚れていて小さなゴミなどが付いていた。
だが、なぜそれが自分の上に掲げられる?
なぜ自分めがけて降りてくる?
わからない。理解ができない。
しかし患者はすでにその胸に押し寄せてくる恐怖から身体を走らせていた。
周囲がサンダルの影で暗くなる。
長さが40mを優に超えたサンダルだ。
寝起きで、足をもつれさせながら、逃げられるものではなかった。
転んだ彼の上に巨大なナースサンダルがのしかかってくる。

「う、うわあああああああああああああああ」

久子は足を下ろした。
何かを踏んだ感触なんて無かったが、足を持ち上げてみるとそこには確かに赤いしみができていた。
それを見た春華は頷いた。

「うんうん、上出来上出来。この調子でどんどん患者を救ってやんな。足りなくなったら私の持ってきた患者も使っていいから」
「はい! がんばります!」

両手の拳をぎゅっと握り意気込んで返事をした久子はサンダルを脱いでベッドの上に座り込み、そして患者をそっとつまみ上げた。
最初の失敗を教訓に、力をできる限り調節して。
右手の指先に患者を摘み、左手を右手の下でおわん型にしているのは、その後、それがベッドに垂れないようにするためである。
指先に摘まれながら眠る爪の長さほどもない患者。

 きゅ

指先にほんの少し力がこめられ、指の間から赤い飛沫が飛んだ。
小さな水滴がぽたぽたと手のひら落ちる。
その指でまた別の患者を摘み上げ同じように摘み潰す。
また次の患者も。
ときに指をくいっと動かし捻り潰したり。
そしてその顔は真剣そのもの。
久子の、いかにも『がんばってます!』という顔を見てこみ上げる笑いを、春華は必死にこらえていた。

「くく、くーはほんとにかわいいな。さて、くーに使い切られる前に、私も遊ぶとしますかね」

患者の山から一人つまみ上げ、片手でブラと乳房の間に隙間を開け、摘み上げた患者を乳首の上に降ろす。
乳頭の上に跨がせるように。
乳輪は患者の身長の3倍以上の直径があった。
もう片方の乳房にも同じように患者を配置。
すると、その患者が動き出した。

「ん? 今日はスリープの効きが悪いな。ああ、そういえば何人か呼吸の浅い患者がいたな。ガスをあまり吸い込まなかったということかね」

目を覚まし動き出した患者も特に気にせず、春華はブラを戻した。
乳房は二人の患者を乗せたまま元通りブラに包まれた。
起きている患者を乗せた右の乳首は、ブラと乳首の間に挟まれて苦しがる患者の動きを敏感に感じていた。

「へぇこれはおもしろいわ。次からは何人かスリープかけないでおこうか」

ふふ。
笑いながら春華はそっと胸を反らした。
すると乳首の患者の動きが激しくなる。
圧力が増したのだろう。
ブラと乳首の牢獄は狭まるばかりだ。

「おーおーがんばれよー。どこまで耐えられるかなー?」

更に少しずつ胸を反らしてゆく。
患者の動きがどんどん激しくなっていた。
悲鳴まで聞こえ始めた。
ブラの中からくぐもった小さな小さな悲鳴が聞こえてくる。
くく、春華は笑った。
きっと患者は自分が今どこにいてなぜこんな目に遭っているかすらわかるまい。

「ぞくぞくするな。同じ人間を、乳首に乗せているというのは。あんたちも縮小病にかかりさえしなければ、こんな目に遭わずに済んだのにな」

少し胸を揺らしてみる。
すると揺れに伴って悲鳴が大きくなったり小さくなったりした。

ふと、乳首にポツッポツッという感触を覚える。
危機に立たされて闇雲に拳を叩きつけているというところか。

「はっは、愛撫してくれるのはうれしいが、残念、その程度じゃ気持ち良くはなれないな。ほら、おかえしだ」

今度は胸を左右に振った。

「ぎゃああああああああああああ! あああああああああああ!」

悲鳴も胸と一緒に左右に動く。
ただ胸が振るわれただけで絶叫マシーンに勝る恐怖と苦痛を味わえる。
ふ、患者たちには私の胸は大きすぎたということか。

「ん?」

春華は左のブラに赤いシミができているのに気づいた。
どうやら左の乳首に乗っていた眠っていた患者はこの圧力に耐え切れなかったらしい。

「やーれやれ、まだ始まったばかりなのに。…っとっと、そうだったそうだった。私たちは患者を救ってやらねばならないんだったな。こんな風に苦しませるのはナンセンスということか。ナース、通称:白衣の天使として、いや通りすがりさん呼称:白衣の堕天使として、彼らを助けてやる義務がある」

いかにも芝居がかった風に言った後、春華は胸を見下ろした。
まだそこにかすかな動きを感じるが、さきほどまでの勢いは無い。
一連の動作で消耗してしまったのだろう。

「そいじゃいくよー」

 くん

春華は胸を反らした。

 みゅ

乳首に感じていた感触が無くなった。
そしてブラに赤いシミが染み出てくる。
ブラをはずしてみるとそこにもう患者はいなかった。
が、乳首が真っ赤に染まっているわけでもない。
患者だったものは潰れたあとみんなブラに吸収されてしまったようだ。

ブラがはずされ開放された乳房がそれを喜ぶようにぶるんと震える。

「天使様の乳首は気持ちよかったかい? じゃあ次は天使様を気持ちよくしてもらおうかな」

前に詰まれた患者の山から数人を同時に掴み取り、そのまま胸を鷲づかみにした。
患者たちは一斉に弾けとび、手に感じる感触がぬるぬるしたものになる。
そのまましばらく胸を揉みしだいた後、手をどけてみるとそこに患者たちの原型は無く乳房も真っ赤に染まっていた。
その胸をぐいと持ち上げ表面を乳首に向かって舌で舐め上げる。
すると真っ赤に染まっていた乳房のそのラインだけが肌色を取り戻していた。

「ふふ、この酸味がたまらない」

新たに患者を摘み上げ、乳首で捻り潰す。
患者だったものが乳首にこびりつき、自分の乳房を咥えた春華は乳首をぺろぺろと舐め回した。
元患者は春華の舌に舐め取られ、やがてゴクリという音ともにのどを下っていった。
手と乳房に付いた血を舐め取ってゆく春華。
舌なめずりをしてにやりと笑ったその顔は妖艶な美しさを放っていた。

「さぁお楽しみはまだ始まったばかりだ」

患者の山に、春華の血に染まった手が迫る。







しばらくして、患者の山はきれいさっぱりなくなっていた。
あたりには無数の血飛沫がぽたぽたと飛び散り、あるところには原型をとどめた患者のパーツが転がっていたりした。
地獄絵図。
ベッドの上は血に染まっていた。
そんなベッドに半裸で腰掛ける血にまみれた乳房をあらわにする春華。

「ふぅ…こんなもんかね」

指に付いた血を舐め取りながら言う。
そして久子の方を振り向いた。

「くー、そっちは終わったかい?」
「はい! 終わりました!」

にこっと綺麗な笑顔で笑う久子。
だがその頬には血飛沫が飛び散り、手は血で真っ赤に染まっていた。
特にあの受け皿を担っていた左手にはおわんの中に大量の血が溜まり波打っていた。
縮小した人間ならあの中でおぼれてしまうほどの量の血だ。
夥しい量の血に染まりながらもニコニコ笑う久子を見て春華は苦笑した。

「くっくっく、初めてでこれか。くーはきっと大物になるよ。さて、そう言えば冴絵は…」

見ればベッドの端でこちらに背を向けてもそもそと何かをしている冴絵。

「冴絵ー、何してるん?」

肩越しに冴絵の前を覗き込んだ。
冴絵は、片手で開いた割れ目の中に、患者をぽつんぽつんと落としていた。
指先で一人ずつ丁寧に摘み上げ慎重に落とし、何人かがそこに溜まると、膣をきゅっと締めた。

 プシュウ

するとそこから前に向かって赤い飛沫が勢い良く飛び出した。
まるで赤い花火のようだ。
飛沫が収まるとその血の滴る割れ目をまたぱっくりと開いて患者を落とし始めた。

ふと、春華は気づく。
ベッドに腰掛ける冴絵の両脚ふとももの間には例の患者たちがいるのだが、その患者たちがみな目を覚ましているのだ。
全員が完全に覚醒している。
そして現状置かれてるそこから必死に逃げようとしているが背後には冴絵の巨大な割れ目。左右には巨大な太もも。そして前方には高さ数百mのベッドの断崖。
逃げ道が無いのである。
彼らは冴絵の膣から噴き出した赤い飛沫を受け真っ赤に染まっていた。

またひとり、冴絵の指によって持ち上げられた。
彼の悲鳴が空へと消えてゆく。
冴絵の指の間で患者がばたばた暴れるが冴絵はにっこりと笑ったままだ。
わずかに開かれた目は恍惚に濡れていた。
そしてそんな暴れる患者を割れ目の上に落とした。
患者は絶叫を残しながら割れ目へと落ちていった。
彼が落ちると割れ目はばくんと閉じられまたきゅっと締められた。

 ブシュウ

再び赤い飛沫が放たれ、そこにいる残りの患者たちを更に赤く染め上げた。

がしっ。冴絵の手が患者を数人まとめて掴む。
そのまま手を顔の前に持ってくると顔を上に向け口を開ける冴絵。
手を口の上に持ってきて、

 ぎゅ

手を握った。
拳の下と指の間から、赤い汁がぽたぽたと滴り冴絵の口の中に落ちてゆく。
冴絵の口の中が赤く染まる。
何滴かは頬に落ちそこに赤い線を残した。
口の中にたまったそれをごくりと飲み干し口から血臭に満ちた吐息を漏らした。

「おいし…」

恍惚に満ちた表情。
口の端から血が滴り、それを舌で舐め取った。
患者たちの恐怖は最高潮である。

また一人の患者がつまみ上げられ、目の前に持っていかれた。
患者の目の前には、彼の身長よりも大きな巨大な目があった。
虚ろな瞳のまま、くりくりと見つめてくる。
巨大なナースの少女はにこりと笑った。
その口から巨大な舌が飛び出てきて患者の身体をぺろぺろと舐め回した。
分厚く巨大な舌が患者の身体を嬲る。
纏う唾液は彼の身体をずぶ濡れにし、強制的に口や鼻から進入して呼吸を阻害する、
散々舌に弄ばれ消耗した彼はその舌先に乗せられた。
彼の目の前には巨大な暗黒の穴、口。
舌が、ゆっくりとその中に戻ってゆく。
彼をそこに乗せたまま。
彼の悲鳴が、舌とともに口の中に消えていった。
ぱく。口が閉じられ、その後、ごくりとのどが鳴らされた。
彼がどうなったかなど、わざわざ議論する者はいなかった。

何人かは自ら死を望んでベッドの外へと飛び降り、数百mを落下して床に叩きつけられ命を落とした。
その数百mの間、左右に見えるのは白いストッキングに包まれた巨大な足。
膝から下、ふくらはぎから足首まで。
白いナースサンダルを履いた足はしっかり床を踏みしめている。
彼らにとってこの命費えるに十分な高さである数百mとは、結局のところ彼女の脚の長さにもならないのだ。
それらを悟りながら、彼らは床にダイブしていった。

残り数人。
不運にもここまで捕まらず、飛び降りて自害する勇気もない患者たち。
そんな彼らを見下ろして微笑みかける冴絵。
一人ずつ丁寧に摘み上げ、今度は落とすのではなくその割れ目の中に直接降ろした。
全員を割れ目の中に移動させる。
丁寧に扱われたので彼らに外傷は無い。
彼らは、真っ赤に染まる洞窟の入り口に立たされていた。
冴絵はそんな彼らを指で置くに押し込んだ。
そして指でそのまま内部をかき混ぜ始める。
一人遊びをしようというのだった。
すでに患者たちの血で内部は濡れきっており指でいためることも無い。
たった今挿入された患者たちは、ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てる洞窟内でその指と膣壁によって潰されていた。
すべての患者を消費した後も指は動き続けた。
冴絵の口から小さな喘ぎ声が漏れる。
ぐちゅっ。ぐちゅっ。その音はいつしか病室内に聞こえるほど大きくなっていた。
そして、

 プシャァアアア!

快感が一気にキュンとなって果てた。
割れ目から赤みを帯びた粘液が大量にあふれ出てきた。
そこらかしこに患者の成れの果てが浮かんでいた。
息を整えながらそれらを見下ろして、冴絵はにっこりと笑顔になった。


「冴絵…」

声がかけられ、振り向いてみると春華と久子が自分を見ていた。

「あれ…先輩…くーちゃん…。もしかしてもう終わっちゃってた?」
「冴絵先輩…」
「いや、お前はほんとすごいわ…」

二人の呆然とした顔を見て、冴絵は「?」と首をかしげた。







後始末を終えた三人はナースステーションへと戻っていた。

「あー楽しかった」
「どうだった、くー?」
「は、はい! その…と、とっても楽しかったです」
「そーかそーか。また一緒にやろうな」
「はい! 是非!」
「うんうん。ところで冴絵、なんでお前の患者はみんな目を覚ましてたんだ? スリープが効いてたはずだろ?」
「えへへ、実は今日夜勤だって言われたときにあらかじめあの患者さんたちのスリープを切っておいたんです。だって動いてくれたほうがこっちも楽しいじゃないですか」
「恐ろしい奴…」

それから3人は緊急の呼び出しも無いままに、残りの時間をおしゃべりなどをして過ごした。
翌日、また患者が失踪したと騒ぎになったが3人は異常は無かったと答えた。