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 〜 魔王クラナ 〜


   「雑談」

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 クラナ 「とまあそういうわけで今回はこのようにセリフメインでいくことにした」
 ダイン 「なんだいきなり」
 クラナ 「本編では語られぬ裏話や小ネタをごにょごにょ」
 マウ 「そんなのがあるんですか」
 エリーゼ 「ポロリもあるよ」
 ダイン 「何の? 本音の? まぁ好きにしてくれ」
 クラナ 「うむ。だがとりあえずは下ネタなのでお前は外で待ってろ」
 ダイン 「え?」

  バタン

部屋から追い出されるダイン。

 クラナ 「これでよし」
 エリーゼ 「え〜、ダインいないの〜?」
 クラナ 「話の内容はダインのことだから我慢しろ」
 マウ 「では本題に入ります」


  *
  *
  *


 エリーゼ 「そういえば本編のあたしたちは知らないかも知れないけど、クラナちゃん、ダインとエッチしたんだよね?」
 クラナ 「同じサイズでは一回だけな。異サイズでは何回もしたぞ」
 マウ 「そ、そうなんですか…」(赤面)
 クラナ 「自分の膣をダインが歩く感触は他では得られんな。あまりの快感に身体中がゾクゾクするが、それよりも同サイズでしたときの方がはるかに満たされる」
 エリーゼ 「でも…エッチしたってことは、ダインのおち○ちんも見たんだよね?」
 マウ 「うぇぇえええ!?」
 クラナ 「ま、まぁな…。…いくらお前でも流石にその部位の呼称くらいは知ってるか」
 エリーゼ 「あたしたちまだお風呂でも見たことないよ。どうだったの?」
 クラナ 「ど、どうだった………そうだな、まぁ思っていたよりはなかなか…」
 マウ 「な、なかなか…」(赤面)
 エリーゼ 「大きかったの?」
 クラナ 「ああ。最初、入るかどうか不安だった。なんとか入れはしたが余裕がなくてそれ以上は…」
 マウ 「うぅぅ…」(赤面)
 エリーゼ 「へーいいなあ。あたしもやりたい」
 クラナ 「本編で待て。お、なんなら3人同時に相手してもらうか」
 マウ 「えぇえええっ!?……パタ」(赤面、失神)
 エリーゼ 「あ、面白そうー」
 クラナ 「うん、そうだな、これはいい考えだ。ダインの理性を吹っ飛ばす鍵にできそうだな」
 エリーゼ 「やったー! でもクラナちゃんキツかったんでしょ? あたしのに入るかな?」
 クラナ 「なに、回数を重ねれば段々と合うようになっていく。そうだ、ひとつコツを教えておこう。いいか、こういうときダインはかなりの奥手だから何をするにもまず自分から攻めるんだ。きっかけを与えてやらねばあいつは動こうとしない。最初はこちらがリードして、あとはあいつに任せるんだ」
 エリーゼ 「ふーん、具体的にはどうするの?」
 クラナ 「思いっきり抱きついてぎゅっと胸を押し付けながら唇を重ね手を背中に回しそっと…—」


  パキン(ドア真っ二つ)


 クラナ 「む!」
 ダイン 「なんの話をしてるんだぁああああああああああああああああああああ!!」


  *
  *
  *


 クラナ 「では次の話だ」
 エリーゼ 「あれ? さっきのお話はもう終わりなの?」
 クラナ 「今回はあんな風にどうでもいいような話中心で行く」
 ダイン 「次もまともな話じゃなかったら…」
 マウ 「ダインさんが腰の剣に手をかけましたよ!」
 クラナ 「二人とも首に注意しておけ。まぁ安心しろダイン、今回の話題はただの愚痴だ」
 ダイン 「愚痴? 誰のだ?」
 クラナ 「作者の」
 十六夜 「あーあ、もうちょっと考えて書けばよかった」
 クラナ 「ということだ」
 ダイン 「なんだそれ…」
 クラナ 「いや正直やっちまったなというか、その場の思いつきというか、でな」
 ダイン 「わかんないよ。具体的には?」
 クラナ 「7話だ」
 ダイン 「7話? 『魔力ってなにさ』の回か?」
 クラナ 「うむ。あの回…」
 ダイン 「…」
 クラナ 「書かなきゃよかった」
 ダイン 「なんだとぉ!?」
 マウ 「何故さっきからクラナさんが代弁してるんです?」
 十六夜 「やっぱ自分で喋るとはずいじゃん」
 クラナ 「そういうわけだ」
 エリーゼ 「で、なにが愚痴なの?」
 クラナ 「簡潔に言うと、魔力の説明にあの中二的に専門ぶった説明はいらなかったかなと思っている。やはり魔力はもっと万能なものにしておくべきだったか…と」
 ダイン 「でもあの時は必要だからああしたんだろ?」
 クラナ 「のちのマウの蘇生に条件を付けたかったのだ。でなければ死んだらみんな生き返らせればいいやとなってしまうだろう? あと設定を固めておきたかったというか、中二病が悪化したというかそのなんだ」
 マウ 「筆者さん、そういう設定を考えるの好きなんですもんね」
 クラナ 「エリクサの設定もそうだ。使いすぎたら魔物化って最早毒だろう。しかももう使用限界ギリギリとか」
 ダイン 「まぁまぁ。でもその設定を生かす話も考えてるんだからいいじゃないか」
 クラナ 「無い方がはるかに楽に話を書けるし他にも色々できた。例えば…」

  ギュン (ダイン、突然宙に飛び上がる)

 ダイン 「ぬお!」
 クラナ 「こうやって物体を飛ばす事だって可能だった」
 ダイン 「今やってるじゃん!」
 クラナ 「これは先の設定に基づいて無理やり飛ばしているに過ぎん。空気中の魔素を動かして風を作りお前の身体を浮かび上がらせる云々…という」
 ダイン 「同じだって。細かい設定あってもなくても」
 クラナ 「設定があると、説明しにくい現象を実現出来ないのだ。そら、これはどう説明する?」

  ボン

 ダイン 「うわ! …何も変わらないぞ?」
 エリーゼ 「あ! ダイン!」
 マウ 「え! こんな…!」
 ダイン 「え!? な、なんだよ! どうした!?」
 クラナ 「ほれ」(鏡を差し出す)
 ダイン 「ん? 誰だこれ…………って、あああああああああああ!! 俺、女になってる!」
 クラナ 「な? 説明できんだろ。設定が無ければこんなことだってできたのに…」
 ダイン 「で、できなくていいよ! 元に戻してくれ!」
 クラナ 「いいじゃないか、なかなか似合ってるぞ。原型を留めつつも、長い髪、豊満な乳房、くびれた腰、健康的な尻。……な、なんか妙な感じだ…」
 ダイン 「は、早く元に戻せ!」
 クラナ 「いやちょっと待て…スカートとか似合うかも」(ボン とダインにスカート装着)
 ダイン 「こ、こらあああああああああああ!! 何やってんだ!!」

涙目になりスカートを抑えながらもじもじとするダイン。

 クラナ 「こ、これは…」(赤面)
 エリーゼ 「な、なんかダインかわいいよ…」(赤面)
 マウ 「い、今、胸がキュンとしちゃいました…」(赤面)
 ダイン 「な、なんだ!? なんで皆してそんな目で見る!」
 クラナ 「…。なぁダイン…」
 ダイン 「う… な、なんだよ」
 クラナ 「着せ替えとか…」
 ダイン 「いやだああああああああああああああああ!!」

泣きながら走り出したダインはテーブルから飛び降りた。
高さ数十mあるが心の極限状態とスカートのお陰で無事に着地、疾走する。

 エリーゼ 「待って〜ダイン!」(手のひらビッタン)
 ダイン 「うわ潰れる!」
 マウ 「ダインさん待ってください!」(ビッタン)
 ダイン 「え、マジ!? やめて!」

ダインを捕らえようと二人の巨大な手が次々と繰り出されるが、ダインは持ち前の反射神経でそれらをかわし続ける。
その度に長い髪が靡き、スカートが翻り、胸が揺れ、エリーゼとマウのボルテージが上がった。

 エリーゼ 「あぅ〜やっぱりダイン速い〜!」
 クラナ 「だが今の私達からは逃れられん。ほれ」

  ひょい

クラナが指を動かすとダインの身体は宙に飛び上がりやがてクラナの手のひらの上に着地した。

 ダイン 「え!? ず、ずるいぞ!」
 クラナ 「くくく…おかえりダイン。さぁ、楽しませてもらおうか…」

見上げたクラナはニヤリと笑い、ダインには巨大な手が差し出されてきた。
手のひらの上に座り込むダインは後ずさりしながら少しでもそれから離れようとするがこの手の上に逃げ場など無い。
首根っこを摘まれ宙吊りにされたダインのスカートに、クラナの指が迫る。

 ダイン 「わ! わぁ!!」
 クラナ 「な、なんか背徳的な気分に……。ちょ、ちょっとめくって見てもいいか…?」

気付けばクラナの頬は赤く染まり息も荒い。
さらに横からはマウとエリーゼが同じ様に鼻息荒く覗き込んでくる。
3人の巨大娘が見守る中央で、ダインの穿くスカートをクラナの指が摘んだ。
そしてその指が、ゆっくりとスカートを持ち上げる。

 ダイン 「や…っ! やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


  *


 クラナ 「見事だダイン。まさかこの私に一撃を入れようとは…」
 エリーゼ 「いた〜い…」
 マウ 「す、すみませんでした…」

居並び正座する巨大娘達の頭にはデカいたんこぶができていた。

 ダイン 「つ、次やったら今度は峰打ちじゃすまないからな!」

目に涙を溜めながら剣を構える男に戻ったダイン。
両刃で峰打ちができるのもダイン故である。

 クラナ 「本編とは関係ないとはいえ魔王に手傷を負わせられたのだ。もう少し喜んだらどうだ?」
 ダイン 「喜べるかあ! この状況で何を喜べる!? しかもクラナとエリーゼだけじゃなくてマウまで!!」
 マウ 「す、すいませんすいません! つい…」
 クラナ 「フッ。まぁとにかく魔力に設定をつけなければこういう遊びが楽にできたわけだ。やはり無い方がよかっただろう?」
 ダイン 「ここまでの流れのどこにも俺が喜べる理由は無かったよ! 設定はあっていいから! 無い方が迷惑だから!」
 クラナ 「そうか。ちなみに『女の魔力』と呼ばれるのは女性ホルモンの素が魔素であるからであってな、お前の中の魔力を操れば女にすることも可能だと……」
 ダイン 「いらん設定作るな! 泣くぞ!」
 クラナ 「すでに泣いているではないか」
 エリーゼ 「つまり設定はあっても無くてもいろいろなことができるってことだね」
 マウ 「最初に言ってたことと変わりましたね」
 クラナ 「! 本当だ! つまりどっちに転んでもダインは弄ばれたということだ。なんだ、7話はあってよかったのか」
 ダイン 「いやだ!」
 クラナ 「だがもう設定がどうこうで解決出来ない問題もあるがな」
 マウ 「なんですか?」
 クラナ 「服の巨大化縮小化だ」
 エリーゼ 「あ」
 クラナ 「魔力が染み付いたらサイズが変えられるっておかしいだろう。その理由なら椅子も机も家もダインもサイズ変えられるぞ」
 マウ 「でもずっと身に着けてるとその存在を忘れるものってありますよね」
 エリーゼ 「眼鏡とかコンタクトとか湿布とかカツラとかね」
 ダイン 「カツラ…」
 クラナ 「そう、あまりに慣れすぎてまるで身体の一部になってしまうかのような感覚。それこそが物質巨大化縮小化の極意。意識しなければ感じられないものは最早一心同体として一緒にサイズを変えられる…………やはり無理があるな」
 エリーゼ 「ちょっとね」
 クラナ 「つまり設定なんて最初からあってないようなものだったのだ。ふふ、考えるだけ無駄だったな」
 ダイン 「…じゃあ何か? さっき俺が弄ばれたのは…」
 クラナ 「いやぁあれはなかなかよかった。ププ! スカートを抑えて涙ぐむ姿が…」
 エリーゼ 「とってもかわいかったよね〜」
 マウ 「そうですね」

やんややんや楽しそうに笑う女子達。
ひとり爆沈するダイン。

 クラナ 「くくく…そうだダイン、次は女中の服なんてどうだ?」
 ダイン 「……」

  プチン


  *


 「すみません、アイスくださ〜い」
 「はーい。どんなのがいいかな?」
 「イチゴ味のタワー」


  *


玉座の間。
倒れ伏す3つの巨体。
その頭には先ほど作られたたんこぶの上にでんでんとまるでみかんを重ねたかのように新しいたんこぶが作られていた。
それを作った張本人ダインは、涙を流しながら部屋を出て行った。


  *
  *
  *


玉座の間に二人きりのクラナとダイン。
玉座に腰掛けるクラナ。
テーブルの上のダイン。
二人は同じ様にだらーんとだれきって片手を使って顔をぱたぱたと仰いでいた。

 クラナ 「暑い…」
 ダイン 「夏だからな…」

時は夏。
扇風機もクーラーも無いこの世界、諒をとるのも簡単ではない。

 ダイン 「日は入ってこないっていうのに…蒸し暑くてたまらん…」
 クラナ 「魔力で風を起こす気にもならん…」

ぐだー。
ひたすらにだらける二人。

 クラナ 「あーもう、我慢ならん!」

ポイポイっとブーツを脱ぎ捨てるクラナ。

 ダイン 「こら! それで歩き回る気か」
 クラナ 「ブーツの中はサウナみたいな暑さなんだぞ。そんなもの二つも履いてられん」
 ダイン 「だけどそれじゃ直に足付く事になるだろが。タイツ汚れるぞ」
 クラナ 「それもそうだ。なら…」

  グイ

 ダイン 「うぉ!?」

ダインの乗っているテーブルを持ち上げたクラナはそれを玉座の前に置きなおした。
そして。

  ズドン

テーブルの上に足を乗せた。

 クラナ 「これなら汚れまい」
 ダイン 「なにすんだよ!」
 クラナ 「床に降ろすなと言ったのはお前だろう。はぁ、まぁ多少は涼しくなったか」

タイツに包まれたクラナの足のつま先が、まるで暑さから解放されたことを喜ぶように動かされた。
だがテーブルの上のダインにとってはそれだけで地面がグラングランと揺れ動く。
実際ダインから見るクラナの足は高さ20数mの黒い物体である。
それが脚を組まれて二段重ねになってつま先を動かせばこの狭く細い脚のテーブルのバランスなどブレまくりなのだ。
見上げればデデンとそこにあるのはタイツに包まれたクラナの足の裏。
そして先ほどまでブーツを履いていたこともあって足が置かれた瞬間からテーブルの周囲の気温が上がった気がした。

 ダイン 「どかせクラナ! お前なんて格好してんだ!」
 クラナ 「別に誰かが見てるわけでもあるまい。見てても構わんが」
 ダイン 「俺がいるよ! ここに!」
 クラナ 「そこから見えるか? まぁお前ならむしろ見ろと言いたい」
 ダイン 「やかましいわ! とっととこれをどけろっての!」

バシバシとクラナの足を叩くダイン。
だがクラナから見ればそれは自分の足の横で小さなダインが小さな手でペチペチと叩いているようにしか見えない。

 クラナ 「くくく、お前は本当にかわいいなぁもう」
 ダイン 「な、なんだよ」
 クラナ 「そら」

クラナが指を動かすとダインの身体がふわりと宙に浮かび上がった。
例によって風を操ったのだ。
そしてダインはクラナの足の指の上に降ろされた。

  ポフ

 ダイン 「なんでこんなところに…」
 クラナ 「お前は本当に小さいなぁ」
 ダイン 「わ、悪かったな」
 クラナ 「くく、謝ることではないだろう。…ただ、そういう小さなお前がちょこちょこ動いているとな…—」
 ダイン 「…?」

組んでいた脚が解かれ、もう片方の足がダインの乗っている足に近づいてくる。
ダインの目の前はクラナのタイツに包まれたつまさきによって占領され、一帯が暗くなった。
そして。

  むぎゅ

足の裏と足の甲の間で挟みこまれた。

 ダイン 「ぎゅ…!」
 クラナ 「—…無性にいじめたくなる」

タイツを履いたクラナのつま先の間でぐりぐりとこね回されるダイン。
痛みこそ無いがその圧力と閉塞感は凄まじく、なにより蒸し暑い。

 ダイン 「ちょ…クラナ…!」
 クラナ 「くぅ〜…お前の感触がこそばゆい…。このままつま先で握り締めてやりたいが…」

ダインの目の前のつま先の指がグワッと広げられるのを感じた。

 クラナ 「それは流石にやりすぎだろう」

クラナは押し付けていた片足をどけた。
そこでは疲労と蒸し暑さに打ちのめされ指の上にうつぶせになるダインがいた。

 ダイン 「暑い…死ぬ…」
 クラナ 「はぁ…そうやって這い蹲るお前を見ると心がきゅんとする…」
 ダイン 「このドSが…」
 クラナ 「Mな巨大娘は損だぞ。何からも刺激を得られないからな」
 ダイン 「知るか。とにかくもう降ろしてくれっての。汗臭い…」
 クラナ 「そうか? 一応気を遣ってるんだが」
 ダイン 「真夏のブーツに気を遣うもくそもあるかい。大分汗掻いてるだろ。タイツ越しでもわかるぞ」
 クラナ 「ふむ…………臭うか?」
 ダイン 「…わりと」
 クラナ 「違う、汗の臭いじゃない」
 ダイン 「じゃなんだよ」
 クラナ 「足だ」
 ダイン 「は?」
 クラナ 「足の臭いはどうかと訊いている」
 ダイン 「何が違う?」
 クラナ 「汗の臭いは一時的なものだが足の臭いは私が私である限り永続的なものだ。どれだけ月日が流れようとかわることは無い。で、ちゃんと洗ってはいるわけだが、やはり臭ったりするものなのか?」
 ダイン 「お前これが本編と関係ないからって無茶苦茶言ってるだろ」
 クラナ 「本編の私はこんなことを気にするほど細かい女ではない」
 ダイン 「合ってるじゃねーか。だけど……汗の臭い以外は気にならないな。どこを嗅いでもクラナの臭いしか…」
 クラナ 「それは足の臭いと違うのか?」
 ダイン 「身体のどこでも同じ臭いだよ。クラナの香り。………さっきから発言がウザイな。臭いフェチ化してるよ俺…」
 クラナ 「私の香りか…」

  ふわっ

ダインの身体が浮かび上がりクラナの手の上へ。

 ダイン 「やっとどけてくれたな…ってうぉ!?」

手のひらに置かれたダインの目の前にクラナの鼻が迫る。
ダインの身長よりも大きな鼻。下方から見上げるので鼻の穴も見える。
その穴に周辺の空気がゴウッと吸い込まれた。

 クラナ 「(くんくん)……お前は汗の臭いしかしないな」
 ダイン 「…。そりゃ俺だって汗掻いてんだから。てかさっきまで誰かの足に挟まれてたお陰で余計に汗掻いたし臭いも着いたよ」
 クラナ 「そうか。確かに私も胸の谷間とかベトベトだ。シャワーでも浴びるか」
 ダイン 「そうだな」

クラナは立ち上がった。


  *
  *
  *



 クラナ 「では次だ」
 ダイン 「さっきから話がポンポン飛ぶな」
 クラナ 「今回のテーマは『一貫性の無い話』だからな」
 ダイン 「あほか」
 クラナ 「さて 次の話のテーマだが…」
 ダイン 「うん?」
 クラナ 「マウって使いにくいよな」
 ダイン 「何言ってんだ!」
 クラナ 「真面目で素直で淑やかで品行方正でドジっ娘でもなくこういった特番でなければ暴走することもない。さらに周辺には絡める対象がお前しかいないから必然的に出来ることも限られてくるし、ネタが作りにくいのだ」
 ダイン 「褒めてんの? 貶してんの?」
 クラナ 「ドジっ娘属性さえあったなら「きゃっ!」と尻餅を着いてダインを潰すくらいはさせられたものを…」
 ダイン 「俺的にはすっごいありがたいなそれ」
 クラナ 「完璧超人過ぎるのも困りものだ」
 ダイン 「いいことじゃん。お陰で俺達は毎日楽させてもらえてるんだぞ。お前も野菜食べるようになったし」
 クラナ 「絡みがないではないか絡みが!(机バンバン) マウを生かすために私は身を粉にしてお前を投入しているのだぞ!」
 ダイン 「いらんから。て言うかマウはそんな積極的に絡むためにいるわけじゃないから」
 クラナ 「え、マジっすか!?」
 ダイン 「キャラ変わるな。マウはマウのままでいいんだよ」
 クラナ 「ちぃ…こうなったら街の周辺の荒事はすべてマウに解決させる荒事バスターズでも開業するか」
 ダイン 「やめろ。やめれ」
 クラナ 「だってそうでもしなければマウの影が薄いだろう!」
 ダイン 「巨大娘同時に3人以上動かすのは難しいんだよ(十六夜的に)! ってかお前とエリーゼで十分破壊活動してるのにマウまで加わったら街なくなるわ!」
 クラナ 「ふ…3人も必要無い、マウ一人で十分だ。マウにその気が無くても…『1.マウを街の横に立たせる。2.後ろから突き飛ばす。3.街の上に倒れこむ。4.街滅茶苦茶。5.胸の形に窪みが』…で可能だ」
 ダイン 「じゃ、俺 修行があるから」
 クラナ 「どこへ行く」
 ダイン 「戯言ならエリーゼにでも聞かせてやれ」
 クラナ 「戯言ではない。マウの存在を空気にしないための大切な会議だ」
 ダイン 「だから空気じゃないって」
 クラナ 「そもそもマウはカウンタータイプだからこっちから振ってやらないとアクションに至らないのだぞ」
 ダイン 「なんだよカウンタータイプって」
 クラナ 「能動的ではなく受動的にアクションを実行する方針の巨大娘のことだ。つまりマウは自分から何かをしようとはしないが何かをされたときにそれに対抗して行動を起こすタイプだと言っているのだ」
 ダイン 「あーはいはい」
 クラナ 「ちなみにエリーゼは能動型だ」
 ダイン 「それは——言われなくてもわかる…」
 クラナ 「ただやられたときのカウンターは能動時よりもはるかに凄まじいがな」
 ダイン 「それも——わかる…」
 クラナ 「私はどっちだと思う?」
 ダイン 「どっちでもない」
 クラナ 「ほう?」
 ダイン 「お前、気分で行動するだろ」
 クラナ 「くく、なるほど。風林火山で言うところの林か山か」
 ダイン 「いやいや、明らかに火だから」
 クラナ 「それだと私がしょっちゅう暴走しているように聞こえるぞ」
 ダイン 「俺の心と身体の両方がとっても穏やかに休まる日がないのは何故だと思う?」
 クラナ 「お、そういえばマウにも欠点らしきものがあったな」
 ダイン 「話変えんな。…で?」
 クラナ 「うむ。あいつはまだ、巨大に慣れていない」
 ダイン 「?」
 クラナ 「つまり微細な力加減が上手く出来ないのだ。人間だった頃の物を持ち上げる感覚と魔王となった今の物を持ち上げる感覚は違うことに順応しきれていない。お前、マウに摘まれる時キツイだろ?」
 ダイン 「…。実はかなり…」
 クラナ 「そうだ。魔王が人間を摘むのは恐ろしく繊細な作業なのだ。マウも人間の頃の小さなものを摘む感覚でお前を摘んでいるが、それではお前の身体はもたん。楽にするためにはもっと微力で摘み上げる必要がある。もっと弱い力をコントロールする術を身につけねばな」
 ダイン 「なるほど…。…そういえばこの間—」


  *


  食堂・テーブル

 マウ 「ダインさん、テーブルを拭きたいのでこちらの小さいテーブル等をどかしてもいいですか?」
 ダイン 「ああいいよ。俺も手伝う」

ダインはテーブルをどかし、マウはそこに残る椅子をどかすべく摘もうとした。
が。

  バキ

 マウ 「あ!」

指を開くと砕かれて粉々になった椅子だったものの木片が付いていた。

 ダイン 「…いや、椅子も俺がどかすから…」
 マウ 「す、すみません…。では私はこちらの調理鍋を…」

と、コンロの上にあった大型の寸胴調理鍋を摘もうとした。
が。

  メキ

 マウ 「あぁ!」

指を開くと潰されてヒラヒラになった調理鍋だった鉄板がくっついていた。

 ダイン 「…いや、全部俺がどかすから…」
 マウ 「す、すみません! 本当にすみません!」


  *


 ダイン 「—て、こともあったな…」
 クラナ 「そういうことだ。悪いことでは無いが、少し己の怪力に無頓着だな。意識している時ですらそうなのだ。無意識や突然となったら加減などまるでできんだろう。例えばダインを手に乗せているときに驚かされでもしたら思わず『ギュッ! プチッ』ということも…」
 ダイン 「ありそうで怖いからやめてくれ…」
 クラナ 「マウは馬鹿じゃない。頭も良いし理解もできている。だが慣れ親しみ無意識になった感覚はそう簡単に修正できるものじゃないからな」
 ダイン 「…大変だな」
 クラナ 「まぁ大変なのはマウ自身じゃなくてお前の方だが。なるべく死なないでくれよ」
 ダイン 「なるべくもなにも死ぬつもりなんてないから」


  *
  *
  *


 エリーゼ 「そういえばウチってキャラクターの紹介とかってないの?」
 クラナ 「ない」
 マウ 「なんでですか?」
 ダイン 「十六夜さんがなにも考えてないから…」
 十六夜 「いや、考えてはいるんですよ。ただ明記しないほうが色々便利」
 クラナ 「昔の『妹』のときにもそうだっただろう? 下手な設定を公開するとあとで後悔するという…」
 ダイン 「やめれ、お願い」
 クラナ 「うむ」
 エリーゼ 「でも身長はちょっと喋ってたよね」
 マウ 「掲示板で言ってましたね」
 クラナ 「それでも具体的には何も決まっていないがな。あのときはああ言ったがキャラクターの大きさはシーンごとに脳内で微妙に変わるんでなんとも言えん」
 ダイン 「え、お前等身長変わってるの?」
 クラナ 「人間だって朝と夜では身長が違うだろう。いや、原理はまったく違うが。まぁ十六夜にとって私達の身長はさほど重要ではないのだ。必要なのは、普段は圧倒的な大きさを誇る私達だが、縮小するとダインよりも小さいということだ。こうすることで大小のギャップが生まれたりなかったり」
 ダイン 「ようわからんが、そういうもんなのか」
 エリーゼ 「体重は?」
 クラナ 「それも同じ様なものだ。まぁ通常の私達とダインの体重は比べるまでもないが」
 マウ 「だ、男性よりも重いと言うのはやはりちょっと…」
 クラナ 「くくく、そんなこと言ったって今のお前より重い男などこの世のどこにもいないだろう。例えばお前が小山に腰掛けたらそこはお前の尻の形に窪むんだぞ」
 マウ 「そ、そんなに重いんですか!? ず〜ん…」
 ダイン 「お、落ち込むなよ。そんな気にするなって」
 クラナ 「まぁ身長や体重など見えるものは大体、「ダイン > マウ > エリーゼ ≧ 私」だ。縮小時だがな。多少の誤差も設定しているが。そんな極端な身長の差は考えていない」
 マウ 「言動からエリーゼちゃんが一番身長低く見え易いですよね」
 ダイン 「それを言うならマウが一番大人に見えたりするけど」
 クラナ 「それらは想像の自由だ」
 ダイン 「…。それって結局何も決まってないのと同じじゃん」
 クラナ 「だから最初に言ってるだろう。何も決めとらん。身長も体重も胸のサイズもな」
 エリーゼ 「おっぱい?」
 クラナ 「『魔王クラナ』は完全なファンタジーということでな、まぁ最初は単発で終わるつもりだったんだが、書き始めるときに具体的な数字の描写はしないと決めたのだ。私達の身長が???mと明示されたことはないだろう?」
 ダイン 「…だったかなー」
 クラナ 「表現するときは何か別のものを比較に出して大きさを比べるとしたのだ。例えば城より大きいとか山の中腹ほどの高さだとか足のサイズは家何個分だとか。多少の数字は使うがそれでも浮動ではないビシッと固定されたものはないはずだ。そもそも、普段の私達の大きさがお前達の100倍であると書かれたこともないしな」
 ダイン 「えっそうなの!?」
 クラナ 「掲示板の方では書いたが、本編ではまだ無い。だからと言って今更サイズが違うと言うつもりも無いが、大体そんな大きさだということだ」
 マウ 「でも…100倍って結構大きいですよね」
 クラナ 「うむ、ダインの身長は私達の指の太さよりも少し大きい程度だからな」
 ダイン 「確かに…」
 クラナ 「イラスト描くとき結構面倒なんだぞ。二人の顔を描くときはダインを別枠にするか遠近法でダインを大きく見せるしかない。今のところ十六夜にそんな技量は無いが」
 エリーゼ 「私達、もっと小さくても良かったかもね」
 クラナ 「だがすっきりした倍率の方が話を作るうえで混乱しないという利点がある。例えば私達が56.27倍の巨大娘だとしたらそれはそれは計算が面倒だろう」
 ダイン 「いねぇよそんな微妙な倍率の巨大娘」
 クラナ 「いやいるな。十六夜は巨大娘を『x倍の少女』などと表現するが作者によっては『xmの少女』ということがあるだろう? このとき『300mの少女』がいたとしよう。では300mとは普通の人間の何倍だ?」
 ダイン 「え? …えーっと、女の子なんで大体160㎝と仮定した場合だと…」
 クラナ 「『300mの少女』は『187.5倍の少女』となる。どうだ? これで少女の大きさを別の対象物と瞬時に比較できるか?」
 エリーゼ 「?」
 ダイン 「ま、まて…」
 クラナ 「家の大きさが6mとして『100倍の少女』から見ればそれは6㎝の家だ。では『187.5倍』の少女から見たらそれは何㎝の家だ?」
 ダイン 「えーっと、6÷187.5だから…」
 クラナ 「面倒だろう? だから私達の大きさは『100倍』というすっきりした大きさでいいのだ。本編中では大体そんなモンだろうとしか描写されていないが」
 ダイン 「『50倍』とかでもよかったんじゃないの?」
 クラナ 「お前の身長を170㎝位と仮定して、『50倍』から見ると3.4㎝か? 私の親指の長さも無いな」
 ダイン 「に、『20倍』でも…」
 クラナ 「『20倍』から見ると8.5㎝か? まぁ中指よりは多少長い感じか」
 ダイン 「……いいよもう100倍で」
 クラナ 「だから本編では明記しとらんと言うに。ま、100倍になった理由としては、あの頃の十六夜は1000倍以上の巨大娘に強い萌えを感じていたからな。だがその大きさではキャラクターを満足に絡めることもできんし、しかし圧倒的な大きさを維持したいという思いの末考えた結果、100倍に落ち着いたのだ」
 マウ 「そうだったんですか」
 エリーゼ 「へ〜」
 クラナ 「今回は特番だからこういった具体的な数字で計算しているが普段はしない。それは、そこが化学や高度な文化の無いファンタジーな世界を演出するためでもあるのだ。一応これでも、気をつけてはいるつもりなんだぞ」
 ダイン 「へぇ、割と考えてるんだ」
 エリーゼ 「よくわかんないけどね」
 クラナ 「くく、まぁつまり気にするなということだ。あいまいな描写の中でいったいどれほどの大きさなのかは読者の想像にゆだねられる。私達の身長も胸の大きさもな」
 エリーゼ 「私はマウちゃんのおっぱいの大きさとか知りたかったけどな〜…」
 マウ 「え…!」
 ダイン 「ま、身長とか数字以外にもあるだろ設定って。性格とか過去話とか」
 クラナ 「過去話はいずれ本編でやるとして性格は説明するまでもないと思うが。見たままだ」
 ダイン 「もっちょい詳しく」
 クラナ 「では私、ダイン、エリーゼ、マウの順に、大人、大人、子ども、大人、でどうだ?」
 ダイン 「性格でもなんでもないしアバウトすぎる。…ていうか、お前が大人?」
 クラナ 「む…文句でもあるのか?」
 ダイン 「わがままなマセガキ」
 クラナ 「ほほう…。ではそのわがままなマセガキがお前を豊満な大人の象徴へと案内しよう」

摘み上げられたダインはクラナの胸の谷間に埋められた。
ただこの季節、汗ばんで凄まじく蒸し暑い。

 ダイン 「暑ーっ! なんかぬめぬめするし」
 クラナ 「お前がそこの汗をすべて舐め取ったら出してやる」
 ダイン 「バカ言ってないですぐに出せ! 暑くて死にそう!」
 クラナ 「圧苦で死にそう? そんなに強く締めているつもりはないんだがな。まぁとにかく私はわがままなんでお前の意見など聞いてやらん。じゃあな」

クラナの指がダインを乳房の狭間へと押し込んだ。
汗を掻いていたこともあってするりと挿入できた。

 エリーゼ 「あーずるいクラナちゃん! あたしもあたしも!」
 マウ 「わ、私は遠慮しておきます…」(ポッ)
 クラナ 「くく、暴れているのを感じる。だが汗で滑るようだな、いつもより手ごたえがない。…ふぅ、毎日こうしてダインと遊んで、私は幸せだ」
 エリーゼ 「そうだね〜」
 マウ 「そうですね」
 クラナ 「しかしこうも暑くては何もする気が起きんな。ダインのこともあるし、またシャワーでも浴びるか」
 エリーゼ 「賛成ー!」
 マウ 「いいですね。では私は着替えを持ってきます」
 クラナ 「頼む。ダイン、もう少しの辛抱だからな。それまでくたばってくれるなよ」

クラナ達は風呂へと向かった。


  *
  *
  *


 ダイン 「なぁ…ひとつ思ったんだけどさ…」
 クラナ 「なんだ?」
 ダイン 「イラストの俺って…ロクな目に遭わないよな…」
 クラナ 「イラストは日々の生活の顕著な一辺を切り取ったものだからな。趣向的にもそういうシーンが選ばれる」
 ダイン 「平穏を与えてくれるのはマウだけか…」
 クラナ 「まぁ諸刃の剣のようなものだ。ところで今回の私のイラストだがあれは尻の形を表現するために下着を透けさせたまでで服がぺらっぺらに薄いわけではないからな」
 ダイン 「なんだよいきなり」
 クラナ 「ああしないとそれが尻だって分からなかったんだよ。作者」
 ダイン 「てかイラストの俺はなんでああなった? なに、あのシーン」
 クラナ 「私が玉座の上にいるお前に気付かずに座って「あ」と呟いてるシーンだ」
 ダイン 「気付いてくれよ…。なんで俺そんなところにいたんだろ」
 クラナ 「玉座に染み付いた私の尻の臭いでも嗅いでいたんじゃないのか? あそこに座るのは私だけだからな、純度100%で私の臭いがするはずだ」
 ダイン 「しねぇよそんなこと!! 大体俺一人じゃ玉座に上れないだろ!」
 クラナ 「ふ…。過程などどうでもよいのだ。大事なのは結果…お前がどうなったかということだからな。なんだ、お前は尻の下に敷かれたかったのか。言えば比喩にも文字通りにも敷いてやったものを」
 ダイン 「んなわけあるか! ……ってなんでこっちにお尻向ける!? なんで降ろしてくるの!? えっちょっと待…」
 クラナ 「(ストン)…ふぅ。…。さすがに服と下着越しだとよくわからんな。本当にそこにいるのか?」

と、クラナがお尻を持ち上げて下を見てみるもそこにダインはいなかった。

 クラナ 「おや?」

そのときダインはイラストのようにクラナのお尻に張り付いていたのだった。


  *


 ダイン 「…」
 クラナ 「くくく、いやすまん。まさか本当に張り付いているとは」
 ダイン 「重すぎて潰れるかと思った」
 クラナ 「潰れるのが普通だがな。そういえばイラストではエリーゼの胸に挟まれていたがどうだった?」
 ダイン 「暑くて苦しくて死ぬかと思いました」
 クラナ 「エリーゼは胸を布で締め付けているから私よりも良く締まるのだろう。だが夏とは言え胸の間は男の楽園だろ?」
 ダイン 「命すり潰すところを楽園なんて呼ばねぇよ! 簡単に言ってくれるけどこのサイズ差で肉に挟まれるのは死活問題なんだぞ!」
 クラナ 「まぁこちらもイクラや生卵の黄身を摘むより繊細な技術を要求されるわけだが。人間は貧弱でいかん」
 ダイン 「魔王と比べるな。…しかしエリーゼは、こう…あれな格好をしてるよな」
 クラナ 「素直にエロいと言え」
 ダイン 「言えるか!」
 クラナ 「そうだな。あの程度の服ではエロとは言わんな。ただ露出が多いだけだ。その辺は作者の力量不足と思って諦めれ」
 ダイン 「いやいいから。どうでも」
 クラナ 「ま、エリーゼがあんな格好をしているのは単純明快、動き易いからだ。走るも跳ぶも泳ぐも自在だろう?」
 ダイン 「毎日同じ服なのか…?」
 クラナ 「アニメキャラだってほぼ連日同じ服だ。その辺は考えないで察してやれ」
 ダイン 「ますますどうでもいいわ」
 クラナ 「でだ、思ったのだが…」
 ダイン 「ん?」
 クラナ 「イラストのマウの頭からティッシュが出てるんだが、いつからあいつはティッシュのボックスケースになったんだ?」
 ダイン 「違う!」
 マウ 「あれはヘッドドレスなんですよ! 確かに、描き終わったとき「うわ、ティッシュだ」て思いましたけど!」
 クラナ 「ナプキンでも可」
 ダイン 「だから違う! ヒラヒラしたものが描けないだけなの!」
 クラナ 「その程度の腕でよくイラストを描いてあまつさえ投稿しようなどと思ったものだ」
 ダイン 「描きたくなってうpしたくなったんだからしょうがないだろ! ノリだよノリ!」
 クラナ 「もっとレベルを上げてもらわねば私の肉体美を披露できん。このボンキュボンの体形を…」
 ダイン 「いらん。モザイクでも張っとけば適当にエロっぽく見える」
 クラナ 「人を卑猥物の塊みたいに言うな。…ん? …そうかそうか(にやり)、つまりお前は私の裸を他の者に見せたくないと言っているんだな」
 ダイン 「…? は?」
 クラナ 「そうヤキモチを妬いてくれるなダイン。お前の気持ちは嬉しいが私とて持って生まれた美体を活かすことが女としての使命なのだ。安心しろ、身体は晒しても心の内まで見せるのはお前だけだよ」
 ダイン 「…。でもクラナ、子ども体形だし」
 クラナ 「その口がそういうこと言うのか。んん?」(ぎゅー)
 ダイン 「(ぎゅー)イダダダ! だって十六夜、童顔童体しか描けないんだから子どもにしか見えないじゃん。イラストにエロ無いよ!」
 クラナ 「エロは難しいのだから仕方が無いだろう! 乳首の形や色合いって気を使うのだぞ!」
 ダイン 「知るか! そんなに大変ならデフォルメして局所に「×」とでもやっとけ!」
 クラナ 「そんな兎のマスコットの口みたいな描き方で男の煩悩を刺激できると思うな!」
 ダイン 「もともと十六夜の絵で興奮できるわけないだろ! 絵本の方がまだ感動できるわ!」
 クラナ 「うるさい! やめろ! もう泣くぞ!!」

泣いた。


  *
  *
  *


 クラナ 「なぁダイン」
 ダイン 「なんだ?」
 クラナ 「うむ。お前はダインだ」
 ダイン 「へ?」
 クラナ 「エリーゼ、マウ、そして私はクラナだ」
 ダイン 「?」
 クラナ 「気付いたか? みんな名前の最後の文字の母音が違うことに」
 ダイン 「あ」
 クラナ 「私は『あ』、エリーゼは『え』、マウは『う』。これらはあえて被らないように考えて付けられた名前なのだ。小さなところでコツコツと細工をすることでキャラクターに微妙に違う独自性を与えられる。少なくともレギュラーメンバーは被らせられん」
 ダイン 「また妙な小細工を」
 クラナ 「まぁな。だがそれを考えるのも楽しいしそれだけキャラに愛着が沸くというものだ。各々に少しでも独自性を与えてやりたいというな」
 ダイン 「俺は『ん』なわけだが」
 クラナ 「それはお前の独自性だ。『あ』『い』『う』『え』『お』いずれにも属さないお前は他とは違う存在であるという位置着けという、な。まぁ要するに主人公であるということだ」
 ダイン 「俺、主人公だったの!?」
 クラナ 「いや、正確には私のつもりだったが、まあいい。だが私とエリーゼ、マウの関係の中心にいるのはお前だ。特別な位置のキャラクターとして『ん』を最後の母音としている」
 ダイン 「面倒なこと考えるのな…」
 クラナ 「うむ。しかし…ちょーっと失敗があってな」
 ダイン 「なに?」
 クラナ 「マウ、シャル、ベル、あのシリアスストーリー時に新規参入したキャラクター達は、みんな母音が『う』なのだ…」
 ダイン 「あらー…」
 クラナ 「しかも発音も二文字。シャルとベルにいたっては『ル』で文字まで被ってる。はぁ…」
 ダイン 「でも考えてつけた名前なんだろ?」
 クラナ 「一応な。まぁマウ、シャルまでなら良かったんだ。同じ二文字で母音が『あ・う』で被ってるが…。だがベルは本当は別の名前を付けるつもりだったんだ」
 ダイン 「そうなのか。じゃあなんてベルに?」
 クラナ 「思いついたから。『フレア…フレアいいなぁ。なんか思いつかないかなぁ。メガフレア、ギガフレア、テラフレア・エクサフレア、ルナフレア、ティナフレア…』」
 ダイン 「全部どっかで聞いたことあるな。特に最後の二つとか大丈夫か?」
 クラナ 「で、そのうち…『…ベル、ベルフレアか。あ、いい感じ。五文字だし』ってことで決定となったわけだ」
 ダイン 「なんか五文字だから採用されたように聞こえるぞ」
 クラナ 「日本人は奇数の文字数が好きらしいぞ。俳句とかその最たるものだ。で、その結果ベルフレア完成。で愛称はベルとなったわけだが…」
 ダイン 「被ったと」
 クラナ 「…なんかもう、被ってもいいかなって。レギュラーじゃないし」
 ダイン 「まぁ気にしないのが一番楽だからな」
 クラナ 「うむ。…そうだ、ついでに言えばシャルのペットの『フォブ』『レイ』『カーラ』にもネタがある」
 ダイン 「ん?」
 クラナ 「あれは『フォビドゥン』『レイダー』『カラミティ』から来ている」
 ダイン 「激しくどうでもいいわ。それにブラックドッグなんだから黒い方の三連星から持ってくればよかっただろ」
 クラナ 「そうするとジェットでストリームなアタックが必要になるじゃん」
 

  *
  *
  *


 エリーゼ 「ダイン遊ぼ〜!」
 ダイン 「いいよ。なにして?」
 エリーゼ 「えへへ、鬼ごっこ」
 ダイン 「…。やっぱ無し」
 エリーゼ 「えー!」
 ダイン 「危ないだろ」
 エリーゼ 「危なくないよ!」
 ダイン 「お前、前に思いっきり踏み潰そうとしたの忘れたのか!?」
 エリーゼ 「今はそんなことしないよ〜。それにあれは靴だったから危なかったの。だから靴脱げば大丈夫だよ」

言うとエリーゼは靴を抜いた。
皮袋製の靴からエリーゼの巨大な足が解放されペタンペタンと床に降ろされた。

 ダイン 「いやいや、靴関係ないから。お前の体重乗ったら同じだから」
 エリーゼ 「でも足なら柔らかいよ?」
 ダイン 「いやいやいや、柔らかさ関係ないから。お前の体重乗ったら同じだから」
 エリーゼ 「ふ〜ん。でもいいや。そっとやるからね」

ダインの抵抗空しく鬼ごっこは開始された。
にっこりと笑ったエリーゼはダインに向かって足を踏み降ろした。

 エリーゼ 「えい♪」(ズシン)
 ダイン 「だぁ!(避ける)…こらぁ!」
 エリーゼ 「やっぱりダインはすごいやぁ! 簡単に避けちゃうね」
 ダイン 「お、お前なぁ!」

目の前にはエリーゼの足。
ダインの100倍。家よりも大きな素足である。
足に架けられた金の輪っかが踏み降ろした衝撃でクルンと回った。

 エリーゼ 「次、いくよ〜」

  ズシン  ズシン

エリーゼの足が爆撃のように踏み降ろされる。
それを肉体活性で避けるダイン。
ダインが自分の足をサラリとかわすたびにエリーゼの顔はぱぁっと輝いた。
実際、ダインにとっては半ば命懸けのこの鬼ごっこも、エリーゼにとっては本当にただの遊びだった。
ダインも、それは分かっている。
エリーゼが本気を出したら、例え気力と体力と魔力の全力を振り絞ったとしてもエリーゼからは逃げられないだろう。
エリーゼも、遊びとして、ダインが確実に避けられるであろう速度を保って追いかけている。
本当はダインと遊べればなんだっていいのだ。
傍から見ているものがいれば、それは一人の女の子が室内を笑顔でぺたぺた散歩しているようにまぁ和やかなものに見えたかもしれない。

 ダイン 「…ハッ、そうだ! 鬼ごっこは鬼にタッチされれば立場が逆になって追いかけられる心配はなくなる。かと言ってエリーゼにタッチされるのはあまりにもリスキー。ならこっちから…」

  ズシン

次のエリーゼの一歩を避けたダインは避けた先でくるりと踵を返しエリーゼの足に向かって走った。

 エリーゼ 「あれ?」

そしてダインはそこに踏み降ろされているエリーゼの巨大な足の指にペタンとタッチした。

 ダイン 「ふぅ…。じゃあ今度は俺が鬼だな?」

と、見上げたエリーゼはきょとんとしていた。
だがやがてにっこりと笑ったかと思うと…。

 ダイン 「あれ?」

突然、ダインの目の前の指ががばっと持ち上げられダインをその下に押し倒した。

 ダイン 「うわっ!」

エリーゼの足の指に握りこまれるようにしてのしかかられたダイン。

 エリーゼ 「えへ、違うよダイン。タッチしたら交代じゃないよ。タッチしたあと鬼から離れたら交代なんだよ。だからまだあたしが鬼。逃げられたらそこからダインが鬼だよ」
 ダイン 「に、逃げるって…ここから!?」

今ダインを押し倒し包み込んでいるのは大木のような太さを持つ足の指なのだ。
それが自分の身体をガッシリと押さえつけてる。
エリーゼからほんのわずかな力しかかけられていないのだろうが、ダインにとっては持ち上げることはおろかピクリと動かすことも不可能なほどに重圧がかけられているのだ。
位置的には中指の真下。だが指一本ですら力の差は歴然である。
更に足の指の真下であるということで、夏場、靴という密閉された空間にたまった汗の染み込んだ臭いが、ダインの呼吸を阻害する。

 ダイン 「だから臭いフェチかっての。…そんなこと言ってる場合じゃない」

全力で指をどける。
持ち上げることはできなくとも、自分の身体を指の下から滑り出すことはできるはず。
ずるり。ずるり。身体を横に滑らせる。
やがて薄暗い足の下から若干光が見えるところまで移動できた。指の間だろう。
とにかく、鬼か否かは置いといて、脱出が先である。
ちなみにエリーゼからは、自分の足の指の間からダインの細い細い腕飛び出て指の表面をぺちぺち叩いているのが見えた。

 エリーゼ 「ダインかわいい〜♪ そっか、ダインはあたしの指の長さよりも小さいんだもんね。ちょっと苦しかったかな?」

エリーゼは足をどけた。

 ダイン 「あれ?」
 エリーゼ 「ごめんねダイン、苦しかった?」
 ダイン 「暑くて苦しくて死ぬかと思いました」
 エリーゼ 「本当にごめんね。…あ! そういえばマウちゃんがアイス作ってくれてたよ! 食べに行こ!」
 ダイン 「お、そりゃいい」
 エリーゼ 「うん! はい、乗って」

しゃがみこんだエリーゼはダインに手を差し出した。
毎度思うが、しゃがみこんだエリーゼのこの光景は凄いものだ。

立ち上がったエリーゼは部屋を出て食堂へと向かった。

 ダイン 「あれ? お前、靴は?」
 エリーゼ 「裸足の方が床が冷たくて気持ち良いよ」

ペタペタという足音を響かせながらエリーゼは走り去っていった。


  *
  *
  *


 クラナ 「ふむ…」

なにやら口をもごもごと動かすクラナ。

 ダイン 「どうした?」
 クラナ 「どうやら先ほど食べた牛の骨が歯に挟まったらしい」
 ダイン 「いつの間に食った。気になるなら爪楊枝でもとってくれば?」
 クラナ 「面倒」
 ダイン 「あそ…。なら好きにしろ」
 クラナ 「もごもご…。…お、そうだダイン、ちょっと取って来てはくれないか?」
 ダイン 「…は?」
 クラナ 「だから私の口の中に入って歯に挟まっている骨を取ってきてくれと言っている」
 ダイン 「断る。人を爪楊枝代わりにするな」
 クラナ 「頼む。お前だけが頼りなのだ」
 ダイン 「だから爪楊枝取りに行けって」
 クラナ 「面倒だと言っただろう!」
 ダイン 「なんで逆ギレしてんだ! 俺だって口に放り込まれたくなんかない!」
 クラナ 「別にとって食うと言っているわけではないぞ」
 ダイン 「食われてたまるか。大体口に入ったら濡れるじゃん。着替えたり面倒だよ」
 クラナ 「なんだ、やはりお前も面倒を嫌っているだけではないか」
 ダイン 「そこにかかる負荷や危険性を考えればどっちの面倒を諦めればいいかは簡単に分かるよな?」
 クラナ 「うむ。お前が爪楊枝代わりになればいい。濡れた服は乾かしてやる」
 ダイン 「…。だから万が一にも飲み込まれたら危険だと言ってるんだよ!」
 クラナ 「その時は吐き出せばいい。流石に数秒で消化されるということはあるまい」
 ダイン 「…」
 クラナ 「頼むよダイン」

クラナは手を合わせてウインクをした。

 ダイン 「…。…わかったよ。でも絶対に変なことするなよ」

指先に乗せられたダインはクラナの口の前に連れて来られた。
目の前にはクラナの薄紅色の唇がその端を歪めて存在していた。
表面は艶やかで光沢を放ち瑞々しい。触れたことがあるが、とても柔らかいのだ。
だがその幅は、ダインが両手を広げてもまるで覆うことの出来ない大きなもの。
周囲は呼吸のために微かな風が吹いていた。

 ダイン 「はいはい、じゃあ口開けて」

目の前の唇が上下に動き口が大きく開けられた。
がぱぁと開けられた口内は赤い内壁を粘膜で覆われ光を反射してぬらぬらと光る。
上あごと舌の間には唾液が糸を引き、真白く綺麗で岩のように大きい歯がずらりと並び、それらに守られるようにして中央にある舌は人間のベッドの数倍の広さを持っていた。
それらの奥、身長ほどもある口蓋の向こうは光の届かぬ暗黒の洞窟だった。
もしも落ちれば二度とは出でてくることは出来ないだろう文字通り魔王の作りし魔宮。
そこから吐き出される空気は湿気を帯びてダインの髪を靡かせた。
今まで何度かここに突入させられているが、それでも内に恐怖を感じていた。

 ダイン 「やっぱ怖いよな…」

口内のいずれのものも、それは物を食べるために存在する。
立ち並ぶ歯や食べ物を噛み千切りすり潰し、舌はそれらを喉の奥へと導く。
柔らかい内壁に掴まるところなどない。通常は、放り込まれたら最後なのだ。
クラナは牛の骨が挟まったと言った。そう、牛の一匹などパクンと楽に入れるのだ。

 ダイン 「で、どの辺?」

クラナの舌がぐわっと持ち上がり奥歯の並ぶ一箇所をぐりぐりと押さえつけた。

 ダイン 「なるほど。行くけど、本当に何もするなよ」

口内に侵入した指先から舌の上に降りるダイン。
その瞬間、舌がビクンと脈打ち、バランスを崩したダインは歯に頭をぶつけた。

 ダイン 「いたっ」

だがそれはクラナが意識して動かしたのではなく、口内にものが入ってきてそれを受け止めた舌の無意識な動きだったのだ。
ダインは頭を撫でながら下の上を四つんばいで進んでゆく。
舌の表面には唾液が滲みダインの服は濡れていた。
確かにクラナの口の中は広いが無限の空間というわけではない。
すぐに目的の奥歯の手前まで来ることができた。
薄暗い口内で目を凝らして見ると、歯の間に確かに骨が挟まっている。ダインから見れば結構な太さ。

 ダイン 「ったく、どこで捕まえたんだよ…」

ダインはその骨を掴むとぐりぐりと動かしながら引っ張った。
やがてそれはスポッと引っこ抜け、ダインは舌の上に転がった。

 ダイン 「これでよし。さっさと出よ…」

と、ダインが文字通り出口に向かおうとしたとき、口内にかなりの量の唾液がたまっていることに気付いた。
口の中に自分を含んでいるからだろう。舌の上はそれほどではないが、その下ではジャブジャブと音を立てて流れていた。
飲み込みたいのを我慢してるんだな。そう思いながら進んでいたときだった。

 クラナ 「……ッ」

ダインはクラナの声にならない声を聞いた。
同時に激しく動き始める口内。

 ダイン 「まさか…」

ゴゥン…。
這っていた舌の角度が傾斜へと変わり唾液達が後方に向かって流れ始める。
単純明快。たまりにたまった唾を飲み込もうとしているのだ。
無意識。生理的現象と言ってもいい。それはそれほどまでにありふれかつどうしようもない現象。
ただそこに、一個の人間であるダインは巻き込まれようとしていた。

 ダイン 「うぉ…!」

しがみつくことも爪を立てることも出来ないこの舌の上、翻弄され投げ出され、向かうはあの暗黒の洞窟。
生還することの出来ない、魔王の坩堝。

 クラナ 「…ん…ッ」
 ダイン 「ちょ…ま…! クラナッ!」

  ゴクン

飲み込まれた。
大量の唾液が喉を下ってゆく。
やがては胃へと到達し一緒に飲み込んだものを消化するだろう。
だが今回は、唾液以外に喉を下ったものはいなかった。

 ダイン 「………助かった……」

ダインはそこからほご真下に広がる暗黒の穴を見つめていた。
今は、口蓋垂(のどちんこ)に抱きついていたのだ。
飲み込まれる刹那、舌の上から飛び上がったダインはそこにある唯一掴めるものに一縷の望みを託し抱きついたのだった。
何とか誤飲は回避できた。
そして、

 クラナ 「ケホッ」

吐き出された。
クラナの手のひらの上、ベトベトになったダインがいた。

 クラナ 「…」
 ダイン 「…」
 クラナ 「…すまん」
 ダイン 「…今後からは爪楊枝を使うように」


  *
  *
  *


ベッドの上。

 エリーゼ 「ねぇ…ダイン…来て…」

頬を赤らめたエリーゼが胸の布を外しながら言う。
布から解放されたとき、大きな乳房はぷるんと震えた。
手に乗せられたダインは今度はあらわになったエリーゼの乳房の上に降ろされた。
大きな乳首を跨ぐようにして座るダイン。
エリーゼがやや上体を倒し、ダインは乳房の山の上に立つような格好になった。

 ダイン 「いくぞ…」
 エリーゼ 「…うん」

ダインは自分が立っているピンク色の地面を撫でた。

 エリーゼ 「はぅ…っ!」

ビクンと震えるエリーゼの乳房。
同時に乳首も突起が大きくなる。
その表面を掴み、思い切り力を入れた。

 エリーゼ 「あぅぅ!」

エリーゼの声が部屋に響く。
両手を自分の胸に被せた。
ダインもその間に挟まれることとなったがそれでもダインは手に力を込めるのをやめなかった。
ぎゅっと胸に押さえつけられる。
いくら柔らかくともこの体格差では危険な行為。
だがダインはエリーゼの好きなようにさせていた。

エリーゼの両手が知らず内に自分の胸をもみ始める。片方の乳房にはダインを挟んだまま。
ぐにぐにと変形する胸と押さえつけてくる手の間でダインは乳首を愛撫し続けていた。
だが、

  カリッ

 エリーゼ 「ッツ!?」

突然の凄まじい刺激に思わず手を離すエリーゼ。
その刺激は、ダインが乳首に噛み付いたために走ったものだった。
解放されたダインは乳首を足がかりにして跳躍するとエリーゼの顔の上へと降り立った。
そしてその薄紅色の唇にそっとキスをして、言った。

 ダイン 「さぁ、開けてくれ…」
 エリーゼ 「うん…」

ダインはエリーゼの腹の方へと降りていった。
エリーゼは履いている布を、そっと足の方へ降ろして行く。
エリーゼの下半身があらわになった。
腹の上からそれを見下ろすダイン。

 ダイン 「またあとでな」

笑ったダインは、エリーゼの脚の間の局所へと身をもぐりこませていった。


  *


 エリーゼ 「…って夢を見たよ」
 ダイン 「やめてくれ…」
 クラナ 「くく、私の次はエリーゼか。となると最後はマウだな」
 マウ 「えぇ!?」
 ダイン 「やめてくれってば! 俺はケダモノじゃない!」
 クラナ 「十分に獣じみた素質を持っていると思うんだが」
 ダイン 「だからやめてくれよ! 俺は…俺はなぁ!」
 クラナ 「わかったわかった。そう熱くなるな。お前が一応誠実な人間なのはわかっているよ」
 エリーゼ 「ねぇねぇダイン、夢と同じことしてほしいな〜」
 ダイン 「しないよ!!」


  *
  *
  *


 クラナ 「いいか、巨大娘に常識を求めてはいかん。なぜなら巨大娘自体がすでに非常識だからだ。科学的に存在出来ないことも証明されている。1万歩ゆずって存在できたとしても短時間で巨大化してゆく娘は存在せん。有り得んのだ」
 ダイン 「なんだ突然」
 クラナ 「いや、なんとなく」


  *
  *
  *


 クラナ 「…そろそろ終わりにするか」
 ダイン 「そうだな」
 エリーゼ 「は〜い」
 マウ 「私の出番が少ないです…」
 ダイン 「あー…」
 クラナ 「落ち込むな。お前はエリーゼや私と違ってじわじわダインをいたぶるタイプでは無いから仕方が無いのだ。生か死か。お前の力はそれほどにダインにとって脅威だ」
 マウ 「ガーン!」
 エリーゼ 「きっとダイン踏んじゃっても気付かないよね」
 ダイン 「そ、それは嫌だな…」
 クラナ 「まぁいい。いつかマウの特集でもやろう。朝から晩までマウのほんの些細な行動がダインにとって生死を分けると」
 ダイン 「企画的にはいいかもしれないがキャラ的にはやめれ」
 エリーゼ 「あたしの特集は?」
 クラナ 「最早今更だろう。お前は今のままで十分だ」
 ダイン 「じゃあそろそろほんとに締めないと」
 クラナ 「そうだな。座談形式で本編無視の話だったからのりのりで筆が止まらなんだ。もう少し続けたいが、とりあえず7月中のうpが約束だからな」
 ダイン 「またいつかやればいいさ。ネタに詰まったら」
 クラナ 「今も詰まっているわけでは無いが…ただなんとなくハングリーさが失われている気がする。モチベーションが上がらないのだ」
 マウ 「懐かしいマンガと懐かしいゲームを引っ張り出したせいだと思いますけど…」
 エリーゼ 「夢中だったよね」
 ダイン 「内輪ネタはやめような」
 クラナ 「ま、とにかくここまでにするぞ」
 ダイン 「あいよ、お疲れ」
 マウ 「お疲れ様です」
 エリーゼ 「お疲れ〜♪」



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 〜 魔王クラナ 〜


 「雑談」 END

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 クラナ 「じゃ、打ち上げするか」
 ダイン 「すんの!?」