1倍男子と100倍女子共学の学校での出来事。



「ほらほらぁ、もっと頑張ってくださいよ~」

100倍女子からすれば低めの椅子にしかならない男子用の武道館に座る女子。
その右足はローファーと白い靴下から解放され素足になっている。
そしてその足の指の間には4人の男子が挟み込まれていた。
親指と人差し指の間に挟まれるのは空手部主将。その隣には柔道部主将。その隣には剣道部主将。その隣には合気道部主将。
5本の指の4つの股すべてに、この武道館を使用する部活の主将たちが囚われていた。

「ふふ、格闘技の部活の首相なのにわたしの足の指にも勝てないんですか~? 弱すぎますよ先輩~」

くすくすと笑いながらそれぞれの部活の首相を挟んだ足の指をくにくにと動かす女子。
屈強な格闘男児たちを束ねる3年の主将たちが、今年入学したばかりの1年の女子の足の指によって弄ばれている。当然少女に格闘技の経験など無い。男達の血のにじむような稽古の日々は、なんの稽古もつけていない少女の足の指にも勝てないものだった。

武道館に座る女子の足はかかとを地面にズシンとつけ、つま先を浮かせている状態だった。
全長23mの足のつま先は地面から10mほどの高みにあり、足の指に挟まれる主将たちからすれば家の屋根ほどの高さに囚われているようなものだった。

突然女子が踵を軸に足を左右に振り始めた。ぶんぶんと左右に動く巨大な足。屈強な男たち4人の悲鳴のコーラスが聞こえた。

「あははは、こんなことで悲鳴あげちゃうんですか~? ダメですよ~もっと鍛えないと~」

少女の笑い声が主将たちの悲鳴をかき消した。

もちろん主将たちとて何もしていないわけではない。その屈強な肉体に筋肉を盛り上がらせその肉の檻から脱出しようとしていた。
だが大木のように太い足の指は彼らがどれだけ力を込めてもビクともせず、彼らのその屈強な肉体を挟んで離そうとしない。
そして女子は特に足の指に力を込めているわけでもなかった。ただ単に、そこに4人を挟み込んだのである。女子がまったく力を込めていない状態ですら、主将たちには抵抗することのできない強大な圧力となって襲い掛かっていた。

だから、女子がほんの少しでも足の指を握ろうものならそこに囚われる主将達は潰れんばかりの凄まじい圧力に襲われるのである。
きゅ。足の指がにぎられ、間の主将たちの体をメリメリと締め付ける。男達の鍛え抜かれているはずの肉体は今にも捻り潰されてしまいそうだった。
鍛えに鍛えた筋肉の鎧を纏う肉体は、女子の足の指の前にまったくの無力だった。

握るのがやめられれば、未だに足の指に囚われたままだが、男達は圧力の解放から盛大に息を吐き出した。搾り尽くされた酸素を吸引しようと全身で呼吸をする。
しかしそれも、女子がまた足の指を握れば無意味になっていた。


右足の指の間でぐったりとなっている主将たちを見下ろしながら女子は言う。

「これでそれぞれの部活で一番強いみなさんよりも、わたしの方が強いってことですよね。今からみなさんはわたしの舎弟です。ペットでもいいですよ。これからはわたしの言う事に従ってくださいね」

それを聞いて指の間に囚われる主将たちは暴れた。なんとかこの指の間から逃げ出そうと主将のプライドなどかなぐり捨ててもがいた。
しかしそんな事でどうにかなる女子の足の指ではない。

「あはは、まだ納得できないみたいですね。そうですね、では今日一日使ってみなさんをしっかりと躾けしてあげます」

言うと女子は男子用武道館の横にある男子用運動部宿舎の上にかぶせるように置いておいた右足用の白いソックスを手に取ると、それを主将たちのいる右足のつま先の前に持って行った。
主将たちの目の前に、巨大な白いソックスの入り口がぽっかりと口を開けている。

「次にここから出て来るときはちゃんとお利口さんになっててくださいね」

主将たちは悲鳴を上げた。
しかし足はそのままソックスの中に侵入し奥まで到達した。
女子は靴下を履いた。
もう足の指の間の主将たちがそこにいるなど外からは全く分からない。

同じく、男子用運動部宿舎に立てかけておいた全長23mの足を内包する為の右足用のローファーを取り、それに右足を滑り込ませる。

「よいしょ」

両脚にローファーを履いた女子はすっくと立ち上がった。
武道館の屋根は、座っていた女子のお尻の形に陥没していた。
立ち上がった女子は履いた靴を鳴らすため、右足のつま先を地面にトントンと打ち付けた。
100倍女子の巨大なローファーが打ち付けられ周囲にはズドンズドンと衝撃が走り、つま先を打ち付けた地面の箇所は大きく抉れていた。

そして女子は男子用武道館を後にし、100倍女子の1年の教室に向かって歩き始めた。
女子には聞こえなかったが、女子が右足を地面に下すたびに靴の中に響いていた悲鳴は、女子が歩を進めるたびに、次第に聞こえなくなっていった。