※いっいーさんの「スライム」を見ててピコーン!
 ただしキャラクターはみんな女よ。


  ズウウウウウウウウウウウウウン!

    ズウウウウウウウウウウウウウウウン!

轟く轟音。震える大地。
石造りの建物はガラガラと倒壊し、その瓦礫が逃げる人々に襲い掛かる。
その振動に人々は立っていることも出来ず、頭を抱えながら地面を這い蹲り瓦礫の落ちてこない場所へと避難していった。

  ズウウウウウウウウウウウウウン!

    ズウウウウウウウウウウウウウウウン!

規則的に繰り返される地震は間違いなく自然のものではない。
街の近くの山ではガラガラと土砂崩れが起きていた。

その時、逃げ惑う街の人々は気付いた。
その山の向こうに立つ、巨大な人間の存在に。

「あー、あったあった」

巨人は山を跨いで街の目の前に立ち、この街を見下ろしてきた。
皮製のブーツはたった今跨いだ山の7合目ほどの高さがあり、風に靡き雲を散らすマントはこの街を覆って余りある大きさがある。
腰には鞘に納められた剣がかけられているが、あんなものが振るわれればこの大陸は真っ二つに裂けてしまうだろう。
皮製の軽装の衣服はミニのスカートとなってヒラヒラと揺れ、盛り上がった胸の向こうにはキラキラと輝く大きな目。その目の中には期待と、今度こそという覚悟が込められていた。
それを見上げる人々の心の中には恐怖と畏怖が湧き上がる。1000倍の大きさの大巨人が現れたのだ。彼女は、いったい何が目的なのか。

「よーし! 今日こそは!」

巨人は胸の前でぎゅっと拳を握った。
そして…

  ズドォォォォオオオオオオオオオオオオオン!!

おもむろに片足を上げると、街の中へと踏み降ろしたのだ。
街の何区画もが、あの巨大なブーツの下敷きとなった。そこにあった家々や人々がどうなったかなど、考えるまでも無い。そしてその足の直撃を免れた人々も振動と突風で宙に吹っ飛ばされ、やがて瓦礫の上へと墜落した。
ブーツはすぐに持ち上げられまた別の場所へと踏み下ろされた。そしてまたすぐに別の場所へ。街の無事なところを次々と踏み潰してゆく。
人々は悲鳴を上げながら逃げてゆくが、無情な巨人はそんな彼等の上に足を降ろす。嬉々とした表情だ。わくわくを抑えられない子どもの様だ。
街の外へと脱出する一団がいた。馬や馬車を駆り出し全速力で街から離れていった。だが…。

「あ、こら! 逃げるな!」

  ズドォォォォオオオオオオオオオオオオオン!!

突如飛来した巨大なブーツによって踏み潰され、ブーツがどけられたあと、そこは深さ数mの巨大な靴型の窪みが出来た。
一人の脱出者も許されないまま、人々はその廃墟と化した街の中で震えながら神に祈っていた。祈りが届くよりも、ブーツが踏み下ろされるほうが早かった。街は、一人の生存者も残さずに踏み潰され尽くした。


  *


「ふぅー、こんなもんでいいかな?」

額の汗を拭う巨人。
そして再び胸の前で拳を握りながらたった今踏み潰した街を見下ろしていた。

「さぁこい! こい! こい〜!!」

念じるように、期待を込めた瞳でじーっと街を見下ろすが、いつまで経っても変化は無く、巨人はため息とともに落胆した。

「はぁ…まただめだった…」

その時。

  ズウウウウウウウウウウウウウン!

    ズウウウウウウウウウウウウウウウン!

再びあの巨大な足音が轟いた。
剣を携えた巨人の背後、山の向こうにもう一人の巨人が現れたのだ。
三角帽子を被ってローブを纏い、その手には装飾の施された杖を持っている。
三角帽子の巨人は無表情のまま抑揚の無い声で言う。

「なにやってるの…? 勇者…」
「あ、魔法使い。小人を仲間にしたいんだけどさー、倒したあと全然起き上がってくれないのよ。もう何千匹も倒してるのよ?」
「…小人は、仲間にならない…」
「え、そうなの!? なーんだ、がんばって損した〜」
「いいから早く来て…。僧侶がごはん作ってる…」
「えーでももうドラゴンのつくだ煮とか嫌よ? あれって骨が歯に挟まるんだもん」

勇者と呼ばれた巨人は頭の後ろで手を組み山を踏み台にしてひょいっと軽くジャンプした。
そして巨人達は、現れたときと同じ様に地響きを立てながら歩き去っていった。

あとには踏み砕かれた山と、無数の足跡の中に原型も留めないほど粉々にされた小さな小さな街だったものだけが残っていた。


※きょ、許可取ってないけど二次創作じゃないし…。すんませんでした。