危険度:【A】
ジャンル:縮小男
大きさ:100分の1
属性:『上履き入り』『呑み込み』

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教室で。

 燕世 「答えなさい! 奈緒! この3人の中で一番かわいいのは!?」
 昴 「…」
 命 「えっ!?」
 奈緒 「答える意味は?」
 燕世 「いいから答えなさい! あなたは誰が一番だと思ってるの!」
 和馬 「フッ。そんなもの訊かれるまでも無くいいんちょウォオ!?」(プチュ)

100分の1に縮められ掴みあげられた和馬は 燕世の脱いだ上履きの中に放り込まれ、燕世は上履きを履いた。

 燕世 「さぁ!」
 奈緒 「そうだな。強いて言うなら無闇に人を潰さない奴かな」
 燕世 「てい!」(指パチン)
 和馬 「うぉ!?」(復活)
 燕世 「ふふ、これで私が一番ね!」
 奈緒 「そういうことにしておいてやれ。でないとやかましいから」
 昴 「…了解した」
 命 「は、はい…」
 奈緒 「大体そういうのは人それぞれってもんだし。俺にそういうこと考えてる余裕は無いの。学校では燕世。家では結月が暴れてんだから」
 和馬 「ま、昔からそうだよな。でも誰でも1番になりたいもんだし、そういう考え方は続かないぞ」
 奈緒 「まぁな。とりあえず燕世と結月が暴れなくなったら考えてもいいと思う」
 和馬 「そりゃ無理だ。俺が悪かった。でも考えてみれば、いや考えるまでも無くFCの存在する委員長だろ。榊原は良くも悪くも中性だな。基本的に目立たないし」
 昴 「…必要ない。…顔が割れると動きにくい…」
 和馬 「で、燕世はダントツビリ」
 燕世 「ちょっと! なんでよ!?」
 和馬 「お前が今までやってきたこと考えてみろ。どこに人気の出る理由がある。あ、でも名前は知れてるな。国連のブラックリストに載ってるそうじゃん? そこは一番だよ」
 奈緒 「先月まで燕世と結月で1 2トップだったらしい」
 燕世 「ぐぬぬ…」
 和馬 「ほらほら人気があるぞ。よかったな。俺は委員長さえいればいいけど」
 燕世 「がー! そんなにタマがいいならひとつになるといいわ! バシルーラ!」

ヒュン。和馬は消えた。

 奈緒 「いや、おい」
 燕世 「ふん! イジゲンに飛ばしてやったわ」
 奈緒 「二次元?」
 燕世 「二次元なんて行けるわけないでしょ! 行けるなら私がいきたいわよ! あ、ここ二次元だった!」
 奈緒 「だから異次元ってどこだよ。次元の狭間か?」
 燕世 「それはデジョン。それに異次元じゃないわ。胃次元よ」
 奈緒 「は?」
 燕世 「ふふ。100分の1に縮めてタマの胃の中に飛ばしてやったわ。今頃、内部にものを感じた胃から分泌された消化液で溺れてるでしょうね」
 命 「えぇー!?」(ガバッとお腹を押さえる)
 燕世 「あ。あんまり動かない方がいいわよ。動くと胃液が波打って和馬沈んじゃうから。まぁ遅いか早いかの違いだけどね。明日の朝になったら出てくると思うから、その時に会ったらよろしく言っといて」
 命 「きゃああああああ!!」

命は駆け出した。
トイレに行ったのだろうか。

 燕世 「くく、あんなに慌てちゃって。かわいいわね」
 昴 「…悪魔か…お前は…」
 奈緒 「今のは酷いだろ」
 燕世 「冗談よ。和馬はほら、ここ」

言うと燕世は片手の人差し指をピンと立てた。
するとその指先に抱きついている100分の1の和馬の姿があった。

 和馬 「え、燕世! お前、流石に消化はないだろ!」
 燕世 「どうせ殺しても死なないんだからいいじゃない。それに、私はまだ許して無いわよー…」

指先の和馬を見下ろす燕世の口元がにやりと笑い、和馬は寒気を覚えた。

 燕世 「あーん」

がぱっと開けられた口の中に入ってゆく和馬を乗せた指先。
薄暗く、湿気の多い空間。生暖かい吐息が和馬の身体を撫ぜる。
和馬の背後、下方から、紅色の巨大な下がむくりと動き出し、指先に抱きつく和馬の身体を下から舌先で掬い取った。
舌はその上に和馬を転がしながら元の位置へと落ち着き、その間に指は口の外に出て唇ははむっと閉じられた。
しばしもごもごと口を動かしていた燕世は、やがてゴクンと喉を鳴らし、唾液と共に口の中に入っていた者を呑み込んだ。
ほう…っと吐息が漏れる。

 燕世 「私は明日の朝まで出すつもりないから」
 奈緒 「お前な…」
 昴 「…組織が危険視して抹殺を命じたのも頷ける…」

いつものことだった。