ゴリ押しである。


  『 妹 + 女神 』




女神検定というものが存在する。
受かると女神になれる。


 *


俺の妹がその女神検定を受けると言い出した。

 兄「なんで?」
 妹「受かると勉強とかしなくてもいいんだよ! テストとかもないの!」

意気込む妹のスペックは

 年齢:14
 身長:150cm
 体重:43kg
 B:90cm
 W:55cm
 H:84cm
 髪型:ストレート そしてピンク
 備考:若干頭のでかい砂時計体型。バカ。過去に男子に背中から抱きついて鼻血を噴き出させた経験あり。

検定そのものは1日で終わり費用も無料である。
ダメもとで受けるのもいいだろう。

 兄「まぁてきとーにがんばってこいよ」
 妹「いってきまーす!」

そうやって妹の姿を見送ってから1時間後、妹は女神になって帰ってきた。


 *


女神になった者は天界というところで過ごす。
行き来は自由にできるので、部屋を分けたかお隣さん感覚である。

ある日、天界で暮らす妹からメールが届いた。

「遊びに行くよ」

直後、

  ずずぅぅうううううううううううううううううううううん!!

凄まじい振動が世界を揺るがした。
よっこらせと椅子から立ち上がった兄が窓から顔を出すと地平線の上に空に向かって伸びる二本の肌色の柱が見えた。

 妹 「お兄ちゃん来たよー」

轟く妹の声。
その声を辿って上を見るも肌色の柱は青い空に吸い込まれその上までは見えなかった。

 兄「でかすぎて顔見えないぞ」
 妹「あれ? そう?」

再び妹の声が轟いたあとあの肌色の柱が動き始めた。
まるで倒れるように傾く柱。
やがてそれは途中で折れ曲がり重なった。
柱の先は一つにつながりその上には更に大きな肌色の柱があった。
ちなみに妹と兄は普通に会話できたりする。

 妹「これで見えるかな?」

兄は青い空の向こうにうっすらと妹の笑顔を見ることができた。

女神となった妹のスペックは

 年齢:14
 身長:150km
 体重:43000000000000t
 B:90km
 W:55km
 H:84km
 髪型:ストレート そしてピンク
 備考:若干頭のでかい砂時計体型。バカ。過去に山に躓いて素っ転び街を壊滅させた経験あり。

全長23kmの素足で大地を踏みしめ雲の高さよりも遥か高みまで伸びる膝の上に手を置きその更に上から地上を見下ろしている。
そして全裸である。曰く、女神サイズの服が無いからだとか。
女神検定の項目には「全裸でも構わない」というものがあり妹は一発合格したらしい。流石は風呂上りにタオルのみを巻いてコンビニまでコーヒー牛乳を買いに行ったことのある奴。常識は通用しない。
しゃがみこんでも高さ数十kmある妹は付近に大きな影を落としていた。その全体重が乗り地面にめり込む足の指ですら太さ1kmあり周辺の山に匹敵するものである。
雲は踝の高さを漂い、丁度今 妹の股間の真下になっている街からは雲の向こうに妹の割れ目を見る事が出来ていた。街の上空を妹の股間が埋め尽くしているのだった。

そんな女神である妹が体を横たわらせ始めた。しゃがんでいた体勢から立ち上がって僅かに後退したあとそこにあった山を捻り潰すように膝を着き両手を大地に沈み込ませながら支えにして体を倒しうつ伏せになる。両手を重ね合わせてその上にあごを乗せ、目の前にある兄のいる街を笑顔で見下ろした。妹としては地面にべったりと寝転んだ形であるがそんな妹の顔の前を雲が横切ったりしている。

 妹「この方が良く見えるよね」
 兄「そだな。まぁはっきり見えるのは鼻くらいまでで目の高さになると霞んできてるけど」

 寝そべり街を見下ろす妹の顔のその顔は標高20000mを超える山である。台になっている重ねられた手だけで高さは3000mを超え、その上に乗せられた顎の上に見える薄紅色の唇に縁取られた口の高さも7000mは下るまい。下唇の厚さだけでも1000mはある。太陽に照らされその瑞々しさに煌いて見える。更に上には山よりも高い妹の鼻。いわゆる鼻の高さにおいては、鼻の高さに自信のある世界中のどんな美女も妹には敵うまい。高さ1000mを優に超えているのだから。妹の鼻で登山をする事も出来る。そんな妹の鼻の下には二つの穴が開いていて呼吸のたびに街中の人間の吸い込む量よりも遥かに膨大な空気を吸引する。鼻の下を漂っていた雲が吸い込まれ始めたかと思うとあっという間にその姿を消してしまったのが街中の人間から見えた。そしてその更に上にはまるで昼の空に輝く月のような二つの瞳があった。

大地の上にごろんと転がった妹は目の前の兄のいる街を見下ろしながら足をパタパタと動かしていた。
長いストレートヘアーがバサリと広がり背中と大地を覆っている。
仕草だけならばただうつ伏せになって寝転がっているだけだが、その寝転がっているのは身長150kmの女神。一つの県に収まりきらない巨人である。
頭がA県にあれば足はB県にはみ出る。それどころか、場所によっては下手をすれば日本海と太平洋に同時に触れることができる。
手を前に、足を後ろにピーンと伸ばせばそれぞれ別の海まで届くのだ。
そんな巨大で女神な妹が横たわれば当然その下敷きになるものもある。今、妹の体の下ではいくつもの街が潰れていた。しかし妹にとって街などコケのようなもので言われるか注視していなければそこに街があるのはわからないのだった。

 兄「ちなみに今お前街の上に乗ってるからな」
 妹「そうなの?」

両手を支えにして上半身だけを持ち上げた妹。勢いもあり持ち上げた瞬間圧迫から開放された大きな胸がぶるんぶるんと揺れその表面に付いていた街だったものを振るい落とした。
妹からすれば100mの超高層ビルですら1mmという砂粒のような大きさになりさがる。まして普通の家屋など0.1mmにも満たない。今しがた持ち上げられた乳房には家やビルや車などが無数にくっついていた。特にそれが顕著なのは起伏に富んだ乳首で、皺の間にはビルが挟まり乳腺には家が詰まっていた。ちょっとくっついた土は住宅街が丸ごとへばりついているのである。
妹が上半身を上げた下、先ほどまでうつぶせていた場所には二つの大きなクレーターが出来上がっていた。胸が押し付けられていた場所だ。それぞれ直径20kmほどの大穴となり深さも霊峰富士が逆さに入って余りあるほど。そこには二つの街があったのだが押し付けられた女神の乳房のおかげで丸ごと消え去っていた。

 妹「おっぱいちょっと汚れちゃった」

言いながら妹は片腕の肘を着き体を支えもう片方の手で胸に付いた街を払い落とした。
手で街が払い落とされるたびに大きく柔らかい乳房はゆっさゆっさと揺れ弾み、その光景は目の前にある兄のいる街から丸見えだった。大地を通じて、その乳房が揺れる動きで街が震えていた。大気がゴウゴウと風を巻き、雲さえも揺れ動く乳房に巻き込まれて散らされる。キメ細かい肌の皺にさえ入ってしまうような小さな家は無視され大きなビルなどだけが狙って振り落とされて行った。

 兄「あんまり胸揺らすなよ。街中の男が見てるぞ」

と兄は言ったが例え揺らさなかったところで結果は変わらない。妹から見る街は地面に広がる数cmのシミでありその気になれば地面に指を突っ込み街を丸ごとその手に救い上げてしまうことのできる大きさである。つまり街が妹の目の前にある以上そこから見える景色の半分近くは妹の体であり胸なのだ。そして押し付けてハミ乳になればこの街より一回りも二回りも広大な面積をその下敷きにできる巨大な乳房は二つもありそれらは街中の人間の目の前で大きく弾んでいたのだ。

 妹「あそっか。みんな喜んでる?」
 兄「んじゃないか? さっきお前の方に向かって走っていく連中がいたぞ」
 妹「そっかー喜んでるのかー。もうちょっと近づけてあげようかな」

妹は街に向かって胸を近づけ始めた。匍匐前進の要領でほんの少し前に進み街が胸の下に来るように移動した。街の上空は妹の上半身に覆われ街全体が影に包まれ暗くなる。そんな街の真上では二つの乳房が揺れていた。ひとつひとつが世界最高の山よりも大きい。そんなものを二つもぶら下げる妹は笑顔のまま胸を下ろしていった。上空から乳房の一つが街に狙いを定める。たっぷりとしたそれが街の空を支配した。ピンク色の乳首は直径3kmを超えその中央にツンと飛び出る乳頭も1km近い大きさがあった。そんな乳首はすでに街の上空1000m地点まで下りてきており真下の都心部には甘ったるいミルクの匂いが漂い始めていた。そこから見上げる空は乳頭の先端しか見えなかった。1000mも上空の出来事だが人々はそれに触れられるのではないかと錯覚するほどの距離感を感じていた。

そしてそれは現実になる。更に下降を続けた乳房はやがて先端である乳頭で街に触れた。そこにある高層ビル群と乳頭の先端同士で接触したのだ。200mを超える超高層ビルもあった。ビルが乳頭を支えたようにも見えたがそれも一瞬の事で乳頭に触れた瞬間ビルは先端部分からさらさらと崩れていった。途中から他の高層ビルもそれに参加したが皆が乳頭の降下する速度を微塵も緩めることなく、その速度のままに崩された。人々から見ればピンク色の空が落下してきたようなものでビルはそれを受け止めるのになんの役にも立たなかったのだ。

やがて乳頭はそこにあったビル群を押し潰して降下を止めた。乳頭の先端が地面に着いたところだ。先端は地面に着いたのに乳首は地面にもビルにも触れていない。ツンと飛び出たその乳頭だけで周辺の高層ビルの高度よりも大きいのであった。200mの高層ビルも妹にしてみればたかが2mmであり100mが平均の高層ビル群など1mmの砂粒の集まりのようなものだった。ただ敏感な乳首で触れたのでそれらが潰れるくしゃっという感触は感じる事ができた。直径1km近い範囲が乳頭の下敷きになった。

 妹「ん、ちょっとくすぐったい」

直径10kmほどの街はそれよりも遥かに大きな乳房によって覆われている。街のどこから真上を見上げてもそこには妹の乳がある。街の中心部分は乳首によって頭上を占領され、高さ1000mという雲よりも低い位置をピンク色の空が埋め尽くしていた。夜のような暗さ。周囲3kmをまるで巨大宇宙船が飛来したかのような巨大な乳首が支配した。そしてその中央にはその宇宙船から下ろされた乳頭という直径1km弱の巨大な柱が地表を貫き超高層ビル群を押し潰していた。妹にとっては街など砂をばら撒いたか薄っぺらい苔のようなもので何十と言う高層ビルを乳頭の先に捕らえたとしてもくすぐったさ以上の感触は無い。仮にこのまま胸を動かせば街に突き刺さった乳頭はビル群も住宅街もゴリゴリと削りながら移動して後に幅1km深さ数百mの巨大な溝を残すだろう。無論、妹にそんなつもりはない。もっとも、すでにいくつもの街が妹の下敷きになり、さらにはこの街の中心部も乳頭の下敷きになっているが、みんな大好きおっぱいなので文句は出ない。ちなみに兄の家は街の直径を1から5とすると2の辺りにいるので乳首の直撃は当然免れている。

 妹 「結構、人がいっぱいいるところにくっつけたつもりだけどどうかな?」
 兄 「とりあえずビル群はボロボロだ。あと、今1万人くらいがお前の乳首に登り始めてるから」
 妹 「そうなの? 全然わかんないけど」

妹から見る人間の大きさは約0.02mmでこれは髪の毛の太さの0.08mmの4分の1以下ということになる。体重70kgの人間が1万人と登ったところでその重さは妹感覚の0.0007gであり、それは簡単に計算すると砂の一粒の4分の1ほどの重さである。それの重さを体感するのは難しい。すでにいくつかのビルや住宅街を丸ごとくっつけているにもかかわらずその重さすら感じられていないのだ。仮に町中の人間30万人が登ったとしても重さは0.021g、砂粒7個分の重さだ。もともと膨大な質量を有するその乳房の前では、人々の体重など無いに等しかった。
妹の乳首に取りついた人々は山肌のような皮膚の表面を上り始めていた。上空の乳首に繋がる高さ1km幅1kmのピンク色の柱、乳頭に1万人が取りついていた。

その時、妹が何かを感じるように顔を上げた。

 兄 「どした?」
 妹 「お仕事のテレパシーが来た。また外の国の人が戦争を仕掛けてきたみたい」

そう言う妹の瞳は、今は兄を捉えていない。
頭の中に、様々な情報が流れ込んできているのだろう。

『女神』の仕事とは自分の管理する地区を護ることだ。昨今は世界情勢が悪化し日本全土のどこに戦争の火種が飛び火するかわからない。しかし日本全土に配備できるほど日本の軍備は充実しておらず、結果、この地域ごとに独立した管理体制と治安維持体制を確立すべく『女神制度』が導入されることとなった。
自分の管理する地区の近くに敵対勢力が近づけばそれを殲滅する。『女神』の仕事の中で最も大切なものだ。妹だけでなく、他の『女神』になった少女達も同じように動いている事だろう。

 妹 「ごめんねお兄ちゃん。ちょっと行ってくるよ」
 兄 「ああいってこい」

そして妹は立ちあがり、その侵略者たちがいるであろう場所に向かって、全長23kmを踏み下しながら歩き去っていった。
乳首に、1万人の人間を乗せたまま。


 *


 妹 「ただいま~」
 兄 「おう。早かったな」
 妹 「あんなちっちゃいのに時間なんかかからないよー」

町の横に立つ妹は言った。
実際、本当に大したことなどないのだろう。戦車など妹からすれば0.2mm程度の大きさだ。例え1000輌集まろうと片足を踏み下すだけで全滅させられる。大型戦艦も1mm~3mm程度。直径1kmの妹の指がちょんと触れるだけで海の藻屑だ。それ以前に、妹が海に足を入れるだけでその波に巻かれ沈没してしまう。航空機は妹が歩くだけでその巻き起こされた風に巻かれ落ちてゆく。歩くまでも無く、足の指をパタパタ動かすだけで周辺の航空機は全滅させられるかもしれない。直径1km全長3kmの足の指がうねりを上げながら動くのだ。山脈のように巨大な指が動けば動く空気は凄まじく膨大なものになる。コントロールを失った航空機はそのまま墜落するか、妹の足の指に激突して砕け散るしかない。たとえ激突されても、妹は気づきもしないだろうが。

 妹 「でもごめんね。なんかその攻めてきた軍隊の国に報復する準備をするって言うから、今日はもう戻らなきゃいけないの」
 兄 「気にするな。それがお前の仕事だろ」
 妹 「うん、じゃあまたね!」

言うと妹は手を振りながら光に包まれ消え去った。

 兄 「報復かー。10万倍の大きさの女神が数人投入されるんだから、そりゃ相当なものになるだろうなー」

言いながら兄は自分の家から見える限り周囲を見渡した。街の中央は妹の乳首によって壊滅し、周辺の街も妹が寝転がった時に押し潰されている。街の手前には超巨大なクレーターが二つ残され、それはいつか雨水がたまって巨大な湖になるだろう。
他にも妹が知らないうちに押し潰していた街や山などがいくつもあり、見渡せる景色は大分変わっていた。
そしてこれらは、妹のほんの遊び心の余波で生まれたに過ぎない。なら、その妹達『女神』が本気で戦闘に臨んだらどうなるのか。国が亡びるだけで済むのか。下手をすれば大陸ごと沈められてしまうかもしれない。

 兄 「まぁ別にいいけど」

部屋に戻った兄はケータイを手にすると妹にメールを打った。

 『連れてった1万人はちゃんと世話しろよ』


 *


それから数日。
例の国に対して報復は行われ、その国は地図上から消え去った。同時にその国のあった土地も海中へと没し消え去ったため、現在新しい世界地図を製作している途中である。
そのあと再び妹が遊びに来たとき、例の1万人も街へと戻された。彼らは今日までずっと妹の乳首の上で暮らしていたらしい。

そして今日も妹は遊びに来ている。兄のいる街の横に寝そべり、街を見下ろして「にへら~」と笑っている。それは再び街の横に二つの巨大なクレーターが作られ、多くの街がその体の下で押し潰されているという事だ。投げ出された全長80km近い脚は膝から先をパタパタと動かして妹のご機嫌さを表している。その足が地面にズドンズドンと叩きつけられるたびに周囲から街や山が消えて行っている事に、妹は気づいてはいない。

 兄 「ふむ。このペースで行くと数日中にこの地域にある街はここだけになるな」

ズドン。またひとつ街が消えた。