俺は、空中にいる。
空を飛んでるわけじゃない。ただ、今いる場所が地面から遠く離れているだけだ。
俺は今、百数十mもの高さに張られた直径1mほどの太さの粗い綱の上を、しがみつくようにして進んでいた。
綱渡りだ。ぶっといロープは俺が乗ったところでビクともしないほど頑丈ではあるが、命綱も無しに百mもの高さを進んでいくのは心臓が縮こまるほどヤバイ。
超高層ビルの間を綱渡りするのと同じだ。たまにテレビでもやってるが、画面越しでもビビッてしまうような迫力のものもあるのに、今はまさに自分自身の命と体を使ってそれを体験している。
俺のしがみついているぶっといロープは上を普通に歩けるほどの太さがあるが、こんな高いところで手離しをする度胸は無いし、何よりこの頑丈なロープは常にグラグラと揺れているのだ。
それはロープを支えるもの自体が揺れていることと、この真横から常に吹き付けてくる突風が原因だった。
俺はロープにしがみついたまま、突風の吹きつけてくるほうを睨みつける。

轟々と吹き付ける風に顔をしかめながら見た先には、ニヤニヤと笑う巨大なハルの顔があった。
こちらを見下ろすような感じだ。俺からすれば見上げるようなアングル。

何故このアングルになるのかと言えば、俺は今、ベッドに寝転がったハルのむき出しになった胸の左右の乳首の間に張られた糸の上にいるからだ。
胸板から聳え立つ二つの乳房はそれぞれが十分に小山サイズであり、その頂である乳首と乳首を結び谷間の上に張られたロープは高層ビルを眼下に見下ろせるほどに高い。
ロープはハルの微かな所作で大きく揺れる。更にハルの呼吸が突風となって勢い良く吹き付けてくる。あの二つの巨大な鼻の穴から出てくる風は台風のそれのようであった。

俺は妹の胸の間に張られた糸の上に乗せられ、その突風のような鼻息に晒されていた。


  *
  *
  *


始まりは少し前、家に遊びに来たアスカがハルと結託して俺を陥れた。
例のアプリであっという間に縮小させられ1/1000サイズの2mmにまで縮められた俺はアスカの指先の上に乗せられる。
右手人差し指の爪の上。結構な面積があり車10台くらいは停められそうだし、家も建てられそうだ。
見るからに頑丈そうなアスカの爪は拳で叩くとコンコンと硬い音が鳴った。光沢を放つほどにキレイな爪の上は滑りそうなほどツルツルで指の形に少し丸みを帯びている。
しかしその巨大さのお陰で下手に動かない限りここから落ちることはなさそうだ。
広大な爪の地面。その生え際から先までは十数mもあり、歩いたとしても十何歩か必要だ。
ただの指の爪なのに。

 アスカ 「うんうん、我ながら正確な縮小効果だ」

俺を乗せた指先を目の前に持ち上げて覗き込むアスカが頷きながら言う。
縦の長さが10mくらいある、スクリーンみたいに巨大な目がパチクリと瞬きをする。アスカの目に俺の姿が映っていた。
まつげはどれも俺の身長の数倍の長さがあり、俺が乗ったところでわずかにしなる程度、折れてしまうことはないだろう。

目の前をアスカの目が、そうでなくとも眼前の光景はアスカの顔の目元に占領されてしまった。もう正面はアスカの目元以外に何も見えない。
視界を埋め尽くすほどに巨大なアスカの顔は、町の一区画ほどの巨大さがある。あの広大なほっぺの上に住宅地を建設することもできる。
今のアスカは顔のどのパーツも家より大きい。目も、鼻も、耳も、口も。
今の俺にとっての家はアスカにとっての数mmの小粒だ。瞬きをすれば、まぶたの間でぐしゃりと潰してしまえるだろう。鼻息でバラバラに吹き飛ばしてしまえるだろう。耳の穴の中にすっぽりと入ってしまうだろう。あのプルンとした唇でのキスに、家は一瞬も耐えることができず潰されてしまうだろう。その後は、アスカの唇にくっつくゴミになってしまう。
瞬きや呼吸、小さな仕草で住宅地を破壊し得る兵器のごとき顔が目の前を占領しているのだった。

不意に、周囲が暗くなる。
何かと思い顔を上げれば、頭上から別の巨大な指先が迫ってくるのが見えた。
逃げようにもここはアスカの指先の上で、1/1000サイズの俺にとっては高さ数百mの高所。
万が一にも転落すれば命の無いこの場所でとっさに動くことはできず、俺はそのまま降下してくる指先の下敷きになった。
ずむ。その指先はアスカの指先に乗っかり、指の腹で俺を押し潰した。

 ハル 「ふふ、ほんとゴミみたいな小ささですよね」

横から指を出してきたハルがニコニコ笑いながら言う。
アスカの爪の上に乗せた指をふるふると動かして、その下敷きにしている俺の体をくるくると丸める。ハルから見れば今の俺なんて消しカスよりも小さくて柔らかい存在だ。軽く指を動かすだけで簡単に丸めることができる。
逆に俺からすればハルの指先は車ですら1秒で丸めてしまう巨大で強大な存在だ。車でなくとも、この巨大な指でツンとでもつつかれたら家でも潰されてしまうだろうし、小さなビルなんかも、上からそっと押されるだけでグシャリと潰れてしまう。
建築物さえ潰してしまえるハルの指に、生身の俺の体が抵抗できるはずもなかった。

 アスカ 「あはは、ハルちゃん、そんなことしたらシュウが潰れちゃうよ。今のシュウはご飯粒よりやわらかいんだから」
 ハル 「あ、そう言えばそうでしたね」

ハルが笑いながら指を引っ込めると、その下からボロボロになった俺の体が転がり出てきた。
妹に指を軽く押し付けられただけで、俺の体はボロ雑巾のようになってしまった。
まさにアスカの爪の上に乗るゴミ状態である。

 シュウ 「お、お前らなぁ…」
 アスカ 「ふむ、内臓あたりが潰れちゃったかな? まぁ五体残ってるだけ十分か。さすがあたしのモルモット」

言いながらアスカは俺を乗せていない方の手でスマホを取り出しポチポチと操作し始めた。
俺からは見えなかったが、スマホの画面には俺のステータス画面のようなものが映し出されていて、HPが残り一桁になり黄色に変色していた。
それをMAXまで回復させるアスカ。すると俺は全身に感じていた激痛と疲労が嘘のように消えた。

 アスカ 「これでよし」
 シュウ 「なんで俺のステータス管理してんだよ」
 アスカ 「にしし、便利でしょ。状態異常もしっかり管理できるんだから。性欲だって操作できるんだよ」
 ハル 「うわ、それ凄いです…。そのアプリ、あとでわたしにももらえますか?」
 アスカ 「いいよー」
 シュウ 「やめろ」

指先に俺を乗せたままケラケラと笑いあう巨大な妹と幼馴染に、その爪の上から抗議する。


  *
  *
  *


俺は今、広大な平原の上に立っていた。
緩やかな曲線を描く地面以外には何も無い殺風景な場所。

当然、ただの地面ではない。俺は眼前に聳え立つ二つの山を見上げた。
標高は百数十mほどであろうか。山としては決して高くは無い。だが現にそれをこうして見上げねばならない事に意味があった。
二つの山は横に並んでいる。俺からはその谷間の向こうを望むことができるのだが、その谷間の向こうからは、ハルの巨大な顔がニヤニヤ笑いながら見下ろしてきていた。

ここはハルの腹の上だった。上半身裸になったハルがベッドに横になり、俺を腹の上におろして見下ろしてきているのだ。眼前に聳え立つ二つの山は、ハルの乳房だ。
もともと大きな乳房は相対的に1000倍の大きさになり、更に麓である胸板から見上げるとまさに本物の山のような迫力である。
建造物で言えば東京ドームほどの大きさだ。横幅の大きさこそ東京ドームには及ばないが、高さは圧倒的に抜きんでいる。仮に今のハルの乳房に東京ドームを被せたとすれば、幅こそすっぽりと収まるが、山頂はドームを突き破って出てしまう。ドーム球場のドームを突き破って巨大な乳首が出てくる様は異常なまでにシュールだろう。
本物の山のような迫力で聳え立つ妹の乳房。高い高い二つの山の間には深い深い渓谷ができている。ダムくらい余裕で建造できてしまうサイズだ。
そんな谷間からは常に風が吹きつけてきている。髪がバタバタと仰がれるような突風だ。胸の谷間を見下ろしているハルの鼻息である。あの二つの巨大な鼻の穴から放たれた凄まじい鼻息はこの胸の谷間に吹き付けてきて、二つの乳房によって風を中央に集められ、より強力な突風になっている。
同時に、その突風の吹きつけるリズムと重なって、俺の立っている地面がゆっくりと上下する。ハルの呼吸によって胸元が隆起しているのだ。あの山のように巨大な乳房でさえ上下している。
天然の山のように巨大な乳房。そしてそんな山のような乳房さえも上下させるハルの呼吸。
俺からすれば本物の山のように巨大なハルの乳房だが、そんな巨大な乳房さえも当たり前のように上下させてしまうハルの無意識の呼吸。
圧倒的なまでに、圧倒的なまでに強大な存在だった。

 アスカ 「どうだいシュウ? ハルちゃんの胸をその麓から見上げるのは?」

あの巨大な乳房の山の向こうから、アスカの巨大な顔が現れた。

 シュウ 「…結構、ビビッてる…」
 ハル 「あは、大丈夫だよお兄ちゃん。おっぱいは怖くないですよ~」

子供をあやすような言い方をするハル。
ハルがクスクスと笑うと地面が激しく揺れて俺は立っていられなかった。

 アスカ 「ほらハルちゃん、そうやって胸元覗いてると首痛くなっちゃうでしょ。スマホで見られるようにしておいてあげたから」
 ハル 「わぁありがとうございます」

アスカからスマホを手渡されたハルは画面に目を移した。
そこには、肌色の大地の上で呆然と立ち尽くす俺の姿が映し出されていた。カメラなんて設置してないのに。

スマホの画面で俺の動向を見られることを確認したハルは胸元の俺を覗き込むために持ち上げていた頭をベッドにおろした。
谷間の向こうに見えていたハルの巨大な顔が消えた。直後、ズズンと地面が揺れる。ハルの頭がベッドにおろされたからだろう。
今、谷間の向こうにはハルのアゴしか見ることはできない。

 アスカ 「んじゃシュウ、ハルちゃんのおっぱいに登ってくれる?」
 シュウ 「はぁ?」

山の向こうから見下ろしてくるアスカに、俺はげんなりした顔で返した。

 シュウ 「登れるわけないだろ、こんなの」

俺は目の前にある乳房のひとつを指差した。胸板の上にズムっと鎮座する巨大な乳房は、実際に山と呼ばれる地面の隆起となんらかわらない大きさがあるのだ。
それに登れとは、ガチの登山をしろということである。
ここから見るハルの胸は下乳になるわけだが、その麓はほとんど垂直だ。斜面というより壁だ。登山というよりロッククライミングが必要なレベルだ。
そんなものに体一つで登れとは無理と言うものだ。ハルの肌は、相対的に1000倍の大きさになってもキメ細かくスベスベだ。とっかかりなんてありはしない。手がかりも足がかりもないのだ。
道具があったとしても不可能だろう。ザイルもクイも今の俺の力ではハルの強靭な皮膚につきさせるとは思えない。柔らかな乳肌はぷにっとへこむばかりで、ザイルを跳ね返してしまう。
いや、そもそも、妹の体にザイルを打ち込むなんて考えたくも無いことだ。

などと俺が二の足を踏んでいると、

 ハル 「お兄ちゃん、早くしてよ」

ハルの体の上にハルの声が轟いた。それは空気を震わせると同時に、地面であるハルの体も大きく揺るがした。

 シュウ 「む、無理だって。こんな壁みたいに垂直なのに…」
 ハル 「はぁ…もう、そっちがダメならこっちから登ればいいでしょ。おっぱいは上側の方が傾斜がゆるやかなんだから」

上空からハルの巨大な指がおりてきて、自身の首のほうをツンツンとつついた。
確かに下乳の絶壁具合に比べれば、上乳のほうの傾斜はゆるやかに見える。
それでも、登ることが不可能ではないというだけの話だ。
とっかかりもない急斜面を登って、もしも転んでしまえばそのまま麓までノンストップだ。
妹の乳房から転落死なんて、笑い話にもならない。

などと思っていると、

  ズム

あの首もとをつついていた指が飛来して俺の上に突っ込んできた。
指先とお腹の間で押し潰される俺。そのまま指がグリグリとにじられる。

 ハル 「お兄ちゃ~ん、早く言うこと聞かないと、お兄ちゃんを使ってオナニー始めちゃうよー? お兄ちゃんを指先に乗せて、アソコをぐちゅぐちゅ掻き混ぜちゃうの。妹の愛液の中で溺れちゃうんじゃないかな。そのままアソコの中に取り残されちゃったりして。そしたらこんな小さなお兄ちゃんを探すことなんてできないんだから、もう二度と出て来れないよね。お兄ちゃんは一生わたしのアソコの中で暮らすんだよ?」

ぐりぐりと押し付けられる巨大な指を通して、ハルの言葉が脳を揺さぶるほどの衝撃となって耳に飛び込んできた。
喋っている最中、指の動きがどんどん強くなっていた。自分で言っていたことを想像して、自分で興奮してしまったのだろう。
ここで言うことを聞いておかなければ、本当に実行しかねない。
巨大な指がどけられたあと、またボロ雑巾のようになっていた俺はアスカに回復を頼み、観念してハルの乳房に登ることにした。


  *
  *
  *


今はハルの右の乳房に登っていた。
首方面からは確かに傾斜は上れないことはない程度のものだった。
しかし立ったまま歩くのは厳しかった。両手も着き四つんばいの格好で、滑り落ちないように登っていく。

なお、まだ登り始めて間もないが、俺は心身を疲労していた。
というのも、ここに来るまでの間、ハルの腹の上からここまで歩いてくる間のことだ。
この巨大な胸の間の広大な谷間を通過していたときの事である。


  *


 シュウ 「…」

俺は半ば呆然としながらそこを通過していた。
左右には山の如き巨大な乳房が聳えたち俺を見下ろしてくる。
頂なんて見えなかった。丸い肌色の山だ。二つの乳房をその麓である胸元から頭上に見上げるというのは、自分の小ささを実感するのに十分だった。普通は、乳房を胸元から見上げるなんてことはできない。しかし今の俺は蟻よりも小さな小粒であり、巨大すぎるハルの乳房を見上げ仰ぐなど造作も無いことだった。

ハルの体の上ということでこの肌色の大地は全体的に温かい。
谷間に吹き付けるハルの呼吸は、ハルが頭をベッドにおいたことで大分おとなしいものになっていた。そうでなかったなら、こうして谷間を歩いて通過することなどできす、彼方に吹っ飛ばされてしまったであろう。今のハルの鼻息は住宅街の一角を消し飛ばしてしまえるほどに強力なのだ。それがこの谷間で更に強力になったものを、生身の体で受け止められるはずもなかった。

地面であるハルの体は、ハルの所作以外にも常に揺れていた。
特に谷間を歩いているときなどは足を取られそうになった。
この胸板の奥底に内蔵されている、ハルの心臓の鼓動だ。ドックンドックンと脈打つハルの巨大な心臓は俺の歩いている胸板を大きく揺さぶる。
ハル自身にとっては気にも留めないほど微かな震えであろうが、砂粒のような大きさにまで小さくなってその胸板の上を歩く俺にとって、その揺れは地震のようなものだった。
一定の間隔でズン、ズン、と突き上げるように揺れる。ちゃんと地面を踏みしめなければ転倒してしまう。
これはハルが俺を困らせようとイタズラでやっていることではない。ハルも本当に意識していない、ただの心臓の鼓動のせいだ。人間として当然の現象、それが俺にとっては注意し意識しなければ怪我をしかけないほどの大きな現象であった。

それだけなら大した問題ではなかった。ただ、注意して歩けば済んだ話。
しかし、

 ハル (ふふ…お兄ちゃんがわたしの胸の谷間をちまちまと歩いてきてる。この点がお兄ちゃんなんだよね…? 小さすぎて歩いてる感触なんて全然無い)

スマホの画面で俺の動向を観察していたハル。

 ハル (わたしのおっぱいと比べるとホントちっちゃいなぁ。おっぱいと比べると砂粒みたいに小さいんだから、そんな砂粒みたいなお兄ちゃんから見たらわたしのおっぱいはきっともの凄く大きいんだよね。ちょっとだけイジメちゃおうかな)

クスクスと笑ったハルはスマホを一度置いて、両手をそれぞれの乳房の左右に添えると胸をゆっくりと寄せた。
自然体であった乳房が、中央に向かって寄せられる。
それは俺にとって大問題だった。
突然、左右の乳房山が動き始めた。俺の歩いている谷間に向かって迫ってきたのだ。左右の乳房両方が。
山が動くという超常現象にも怯まされたが、何よりもその乳房が俺のいる谷間を挟む込もうと迫ってきているのが衝撃だった。
俺は慌てて走り始めた。一刻も早くこの谷間を通過するために。
しかし迫ってくる乳房の速度はあまりにも速く、そして谷間を走り抜けるのに俺はあまりにも小さくてノロかった。
左右に山として聳え立っていた乳房は、すでに岩壁となって左右に迫っていた。すでに谷間は光を遮られ暗くなり始めていた。
山と山がこの谷間を押し潰してくる。こんな巨大な乳房の間に挟まれたら一巻の終わりだ。山と山の間に挟まれて、助かれるはずが無い。

 シュウ 「うわあああああああ!」

俺は悲鳴を上げながら走った。しかし左右から迫る乳房は容赦なくこの谷間を押しつぶし埋め尽くしていく。
そして、

  ずずうううううううううううううううううん!

乳房は完全に寄せられた。

ハルは胸をぎゅっと寄せた。
横で見ていたアスカが笑う。

 アスカ 「あはは、ハルちゃんってばいじわる~。そんなことしたらシュウ潰れちゃうかもよ?」
 ハル 「大丈夫ですよ、ちゃんと加減してますから。それにお兄ちゃんだって全身をおっぱいに挟まれて楽しんでるかもですし」

そう言いながらハルは寄せた胸を更にズリズリとこすり合わせた。
谷間にあったものをすり潰すような動きだ。

 ハル 「さて、どうお兄ちゃん? 気持ちよかった?」

寄せていた胸を開いてみる。
すると胸の谷間の真ん中あたりにポツンと転がる点があった。

 アスカ 「あ、いたいた。おーいシュウー生きてるかーい?」

ハルの胸の谷間に手を伸ばしたアスカは爪先でツンツンと触れてみる。

 シュウ 「げふ! ごふ! つ、潰す気か!」
 アスカ 「おー良く生きてたね」

指を引っ込めたアスカはポチポチとスマホを弄り始める。
倒れていた状態からなんとか体を起こすと地面がグラリと揺れ、地平の彼方からハルの巨大な頭が持ち上がってきた。

 ハル 「どうだったお兄ちゃん? 1000分の1サイズで全身パイズリされる気分は」
 シュウ 「殺す気かっての!」
 ハル 「だって、こんなにちっちゃいお兄ちゃんが胸の谷間をちまちま歩いてたら、虐めたくなっちゃうのは仕方ないじゃない」

ヘラヘラと笑いながら言うハル。
このヤロウ…。俺は拳を握り締めた。
しかしこの大きさの差では何をしても無駄なので、とっととこいつらの欲求を満たして終わらせることにする。
俺は立ち上がって歩き出した。


  *


などということがあったからだ。
すでにクタクタであるにも関わらず、その上 山にまで登らねばならないとは…。俺は修行僧か何かか。

這いつくばってハルの乳房を登っていく。
傾斜は急だがすべりはしないので、バランスを崩したりしない限りは転がり落ちる心配はなさそうだ。
とっかかりこそ無いが、乳房の肌は吸い付くほどにキメ細かく瑞々しい。このまま大の字になれば、ピッタリと張り付いてしまえそうだ。
だがそれはできない。俺の背後からハルが見つめてきているからだ。
流石のハルも今 胸を揺らそうとはしてこなかった。どうなるかはわかりきっているからだろう。ようやく五合目あたりに差し掛かったところだが、ここでハルが胸をぶるんとでも揺らそうものなら俺は数十mの高さから放り出され胸板に墜落するか乳房の斜面を延々と転がり落ちていってしまう。
そうならないように俺は慎重に山を登っていく。息を切らし、汗水を流しながら。

 ハル 「ん…お兄ちゃんがわたしのおっぱいに登ってる…!」
 アスカ 「ハルちゃん胸おおきいからねー。シュウも大変だね」

上空に いたずら好きな二人の巨大悪魔女神の声が轟いて世界をビリビリと震わせる。その振動と衝撃で手を滑らせそうになるから黙っていてもらいたいものだ。ハルが喋ると地面であるハルの体も振動するのだから。
つまり俺の上っている山は常に地震に見舞われている。ハルの呼吸によってゆっくりと上下し、ハルが喋れば空気も地面もぶるぶると震え、少しでも体を動かせば幅数m揺れ動くのだ。
文字通り生きた山を登っているのだから揺れるのは当然。しかしその揺れは可能な限り最小に抑えたい。
幸いにも今上っている右胸は心臓からもやや遠いおかげか、鼓動による揺れは少ない。ハルの巨大な心臓の鼓動も、ハルの巨大な乳房の膨大な脂肪に相殺されているのだろうか。

そうまでして登っていく進行方向、山の山頂方向は丸い地平線みたいになっている。
普通の山が三角形に近い形に対し乳房であるこの山は半円に近い。麓付近は勾配がキツイが山頂に近づくほどに緩やかな傾斜になる。
つまり斜面を登っている途中の俺からは山頂は斜面の死角になって見ることができない。まるっこい乳房の、肌色の流線形の地平線だけが、進む先にあった。

しかし登り続けていると、その肌色の地平線の先からピンク色の突起が顔を覗かせた。
登り続けるほどに、全容がゆっくりと見えてくる。
まぁそれが乳首であることは見た瞬間にわかっていたことだが。ようやく、この乳房山の山頂にある乳首を視認できる程度まで登ってきたわけだ。
その乳首、乳頭が根元まで見えるほどに登ると、今度は地面が肌色からピンク色に変わった。
乳輪のあたりまで来たのだ。やっと、乳房の山頂にある乳首のもとにたどり着いたのだった。
乳輪の中に踏み込む一歩手前から乳首を見渡してみる。
と言っても、乳首は乳房の表面からちょっと膨らんでいるので俺からは反対側を見ることはできなかった。
右から左まで、結構な距離を取っている。一回り小さなグラウンドくらいの広さは有りそうだ。

 シュウ 「…でっかい乳首だな…」
 ハル 「へ、へんなコト言わないでよ」

背後からハルが巨大な顔を真っ赤にして抗議してきた。

 シュウ 「いやしかしホントでかいって…」

俺はハルの乳頭の根元に立って乳頭を見上げていた。
高さおよそ8m、横幅も10mと、家よりも大きい。ピンク色の円筒形の物体だった。
表面はツルンとしているイメージだったが、結構ゴツゴツしている。この隙間に乳腺があるのかなー。

 ハル 「うわー…お兄ちゃんホントにちっちゃい…」

と言うハルの声が背後から聞こえたので振り返ってみれば、ハルが俺を見ながら鼻息を荒くしていた。
なるほど、ハルから見れば俺は背後の乳頭のスクリーンの中にすっぽりと収まってしまっているのが見えるわけだ。横に並ぶより、はっきりと大きさが比べられるのだろう。

 ハル 「ねね、写真とってもいい?」

ハルがスマホを取り出して見せてきた。

 シュウ 「…好きにしろよ…」

拒否権なんて与えないくせに。
俺はため息をついた。

ピロリロリン。ハルのスマホのシャッターが切られた音だ。


  *


 シュウ 「…とにかく、これで終わりだよな。早く元の大きさに…」
 ハル 「登って♪」
 シュウ 「…」

俺の言葉を、ハルがニッコリと笑いながら封殺した。

 シュウ 「…。いやでもこんなデカいものに…」
 ハル 「登って♡」
 シュウ 「…」

再度、俺の言葉を封殺するハル。巨大な笑顔が、鉄壁の要塞として俺の前に立ちはだかる。
しかしそんなことで俺は負けない。

 シュウ 「いや無理なものは無理で…」
 ハル 「ん…なんか乳首がかゆいかも」

言うとハルは右手の人差し指を俺の目の前に突き立てポリポリと掻き始めた。
しかしポリポリというのはハルにとってであって、俺の感覚では家さえも突き潰せる巨大な指先がズンと突き立てられ、その巨大で頑強な爪で地面をゴリゴリと削っているのである。
自動車も一瞬で粉々にすり潰してしまえるような凄まじい威力だった。
指は俺の周囲をひとしきり掻いたあと空へと去っていった。

 ハル 「ふぅ、すっきりした。それでなんだっけお兄ちゃん?」
 シュウ 「ぜひ登らせていただきます」

ニッコリと笑うハルに、俺も笑顔で答えていた。


  *


 シュウ 「ハァ…」

げっそりとしてため息をついた俺は目の前の巨大な乳頭を見上げた。
家よりも大きなピンク色の巨岩、という感想が正しい。
こんなものに登れるはずもない。恐らくハル達も俺が登れるとは思っていまい。俺が必死になっても乳頭にすら登れない様を観察して楽しむつもりなのだろう。このドSどもが…。

が、俺にも勝算はあった。
ハルの乳頭は確かに巨大だが、この巨大さともなればちょっとしたシワや溝などが足がかりになる。十分なとっかかりがある。
つまり、登れないことはないのだ。ただそれでもこのほとんど垂直に近い絶壁をロープもザイルもなんのサポートも無しに登るのは難しい。

 シュウ 「ハァ…」

俺はもう一度ため息をつき、そして乳頭の表面のシワの一つに手をかけた。
指をかけた部分には確かなぬくもりがあった。今から登ろうとしている巨岩がハルの乳頭である証だ。グイと力を込めてもビクともしない。これなら、手の滑らせない限り指が外れる心配も無いだろう。
手に次いで足もシワの一つにかける。もう片方の足も。両手両足すべてを、ハルの乳頭の表面に当てがった。地面を離れ、完全に乳頭に組み付いた。
少しずつ、体を上に持ち上げていく。まるでロッククライミングだ。前に少しだけ経験しておいたのがここで役に立っている。一時ハマっただけのことだったが、まさかこんなところで役に立つとは。
だが岩山を登るための技術が妹の乳頭を登るために役立つというのもなんか複雑な気分だ。そういう技術がなければ、今のハルの乳頭には登ることができないということだ。
有史以来、誰も登ったことのないハルの乳房という山。その山の最初の挑戦者となれたことを喜ぶべきか否か。アホか。

少々問題が発生した。
それはこの乳頭、ひいては乳首の範囲に進入したときから感じていたことだが、周囲にやや甘ったるい空気が漂っていた。
妙に鼻孔をくすぐる。温かくて甘い香りのする空気に頭がクラクラした。
そしてその正体は、乳頭を登り始めて、乳腺の一つの側に来たところで判明した。

 シュウ 「…まさか、ハルの母乳の匂いか…?」

乳腺のひとつから噴き出すように出てくるその香り。乳腺に顔を近づけて鼻を一度だけスンと鳴らしたら一瞬で脳がとろけてしまいそうなほど強烈な甘さ。
俺が登ってきた、この山ほどに巨大な乳房の中に内包された途方もない量のミルクが、その排出口である乳腺から匂いだけ噴き出させている。
凄まじい威力だった。甘ったるさだけではない、脳幹を、本能をダイレクトに刺激する香りが、俺の体に染みわたり麻酔のように痺れさせた。
体が反応してしまう。ズボンの前部がググッと膨れ上がった。

 シュウ 「くっ…し、鎮まれ俺…!」

気絶しそうなほど、意識を失ってしまいそうなほど強烈なフェロモン。
このとんでもなく強力な香りは、長いこと嗅いでいては脳が壊れてしまいそうだ。
今のハルは、乳首の匂いだけで俺を圧倒できてしまうのだ。

俺は頭をブンブンと振り、乳頭の表面にゴンゴンとたたきつけてなんとか正気を保つ。
とっとと登り切って終わりにしてしまおう。でなければ頭がおかしくなってしまう。
俺は歯を食いしばって登乳頭を再開した。


  *


そうやって乳頭を登っていくシュウを見つめていたハルは、シュウをからかってやろうという気持ちはなくなっていた。
その代わりに、胸がトクントクンと高鳴ってくるのを感じる。

 ハル (の、登ってる…。お兄ちゃん、わたしの乳首に登ってる…。今のお兄ちゃんなんて乳首にくっつくゴミみたいに小さいんだから、そんなお兄ちゃんから見たらわたしの乳首は凄く大きいはずなのに…。家くらいの大きさはあるんじゃないかな。今のお兄ちゃんの何倍も大きいし。でもお兄ちゃんはよじ登れちゃうんだ。ゴミみたいに小さいのに、家くらいに大きな乳首によし登れちゃうんだ。凄い…)

息を荒くしながら乳頭をよじ登る兄を見つめるハルの目の中には♡が入っていた。
胸と股間にキュンキュンくる。小さいながらも力強い兄の姿に興奮していた。体がうずく。

そんなハルの興奮が、シュウを襲った。


  *


ググ…ググググ……!

乳頭を登っていた俺は、突如周囲が揺れ始めたのに気付いた。
同時にそれがただの揺れでないことにも。
揺れる、というよりも動く。しかも右に動く左に動くという、そういう動くではない。
乳頭が動いていた。脈動するように。登るためにとりついていた表面の形状が変わっていった。
乳頭表面のシワの位置が、溝の形が、それらがどんどん変わっていく。登っている壁が動くのではなく、壁の形そのものが変わっているのだ。

 シュウ 「な、なんだ!?」

ゴゴゴゴと振動する乳頭の壁面に、振り落とされまいとへばりつく俺。とっかかりを掴む手や足に力を込める。
しかしそのとっかかりなどの形や位置がどんどんかわってしまうので、結局俺は振り落とされ数mを落下して乳頭のふもとの乳輪に墜落した。
体を打ち付ける。いかに女の子の乳首とはいえ、この大きさでたたきつけられれば地面ほどに痛い。俺は痛みに顔をしかめた。

そうやって地面に倒れる俺の目の前で、あの巨大な乳頭がさらに大きくなっていくのを見た。膨れ上がっていった。グム…ッグム…ッと。ググ…ググ…と。
ただでさえ大きかった乳頭が、さらに一回りも大きくなってしまった。

自分がより小さくなった気さえして、俺は痛みも忘れ呆けていた。
すると横からアスカの巨大な顔がのぞき込んでくる。

 アスカ 「あはは、ハルちゃん乳首起っちゃったね」
 シュウ 「なに…?」
 アスカ 「ふふ、シュウってばハルちゃんの乳首が勃起するときの振動で振り落とされたんだよ。そんなに揺れがキツかったの?」

巨大なアスカの顔がニシシと笑う。
勃起。あの巨大な乳頭全体が震えるほどの大揺れの正体がただの勃起とは。
言ってしまえばそれはただの生理現象。生理現象程度の揺れにも勝てないのか。
改めて1000倍の体格差の次元の違いを見せつけられた。身震いとも呼べない乳首の勃起の震え、それさえも俺にとってはしがみついていることもできない大揺れだった。
さらに巨大化した乳頭を見上げながら、今のハルの圧倒的な力強さをこの小さな体にまさに痛いほどに感じる。

などと思っていた時だった。

ふいに、ハルの巨大な指が襲来し乳輪の上に転がっていた俺をつまみ上げた。
ただでさえ痛みを感じていた体に、今度は潰されそうなほどの圧力が襲い掛かる。
しかしそれはほんの一瞬だった。俺をつまんだ指はどこかへと移動するとすぐに俺を解放した。

一瞬のことだったが、俺にはその光景が見えていた。
ハルが指を開いて俺を解放した直後、落下していく俺の視界に入ってきたのは、あの巨大な乳頭の頂上だった。
俺の体は乳頭の上で解放されていた。俺の体は乳頭の上に落下し、そのまま中央に火口のように口を開いた乳腺に飛び込む。

 シュウ 「な…っ!」

ピンク色の乳頭の頂上に開いた暗い裂け目。その中に落下した俺は狭い洞窟内をぶつかりながら転げ落ちていく。
ようやく落下が止まった時には、そこは光も届かないほどの奥底だった。
全身をひどく痛めつけていた。あまりの痛みに体が動かない。

 シュウ 「イテテ…! ハルのやつ…」

俺がハルへの悪態をついた直後だった。

 ゴギュ!

一瞬で、この閉塞的な空間の密度があがった。隙間がなくなった。
俺のいる洞窟が、ぎゅっと締まったのだ。
俺は周囲の洞窟壁でもある乳線の内側の肉壁にギュウギュウと押しつぶされた。


  *


シュウを乳腺の中に入れたハルはその乳頭を右手の指でコリコリとこね始めた。
さきほどシュウが必死に上っていた巨岩のような乳頭が、ハルの指の中でくにくにと形を変える。
左手はパンツの中へと忍ばされていた。
ハルはオナニーを始めた。熱くて荒い吐息が自身の乳房に吹き付けられる。

 ハル 「んん…お兄ちゃん、わたしの乳首の中にいるのかな…それともおっぱいの中まで落ちちゃったかな…。そうだったらミルクの中で溺れちゃうかも…」

右手で乳房をもみながら左手で陰核を愛撫するハル。
殷賑はぐちゅぐちゅといやらしい音を立てていた。

 ハル 「あぅ…わたしのおっぱいの中にお兄ちゃんがいる…! 大好き…!大好きお兄ちゃん…!!」

右手の中で乳房をぎゅっと掴み、陰核を刺激して絶頂へと上り詰めるハルは、体をギュッとこわばらせた。

プシュウ!
穿いていたパンツが一瞬でぐっしょりと濡れる。


  *
  *
  *


ベッドの上、ぐったりと体を横たわらせるハルは多少息を切らしながらも心地よい浮遊感に包まれていた。
その横、終始ニヤニヤ笑いながら見ていたアスカ。

 アスカ 「はいお疲れさま。気持ちよかった?
 ハル 「はい……最高です…」

まだオナニーの余韻に浸るハルがやや力無く答える。

 アスカ 「んじゃシュウの奴と取り出してやるとしますか。……あれ?」

言いながらアスカはハルの乳首に目を向けた。
その乳首は絶頂を経て勃起が収まり元に戻っていた。

 アスカ 「元に戻っちゃってる。乳腺も閉まっちゃってるし、すぐに取り出すのは難しいかも」
 ハル 「ふぇ…? お兄ちゃんは大丈夫ですか…?」
 アスカ 「んー、ステータスでは瀕死っぽいけど、まー生きてるから大丈夫でしょ。(ハルの乳頭をツンツンつつきながら)シュウー聞こえるー? というわけだからしばらくそこで暮らしててよ。そのうち出してあげるから」

乳首の中から抗議の声が聞こえたような気がしたが、気のせいだった。

 アスカ 「ハルちゃんもお願いね」
 ハル 「わかりました。ふふ、わたしのおっぱいの中にお兄ちゃんがいるんだ…。これじゃあ毎日オナニーしたくなっちゃう」

そう言って微笑みながらハルは兄の入っている右の乳房を愛おしそうに撫でた。


 おわり




 ハル 「そう言えば冒頭にあった乳首の間の綱渡りのシーンは…」
 アスカ 「話の都合でなくなりました(ゝω・´☆)てへぺろ」