熱帯雨林のように蒸し暑く、薄暗い檻の中に、俺は囚われの身となっていた。
手足の自由が利かないわけではないが、動かすことはできない。俺のいる場所が酷く狭い場所だったからだ。
幅にして1mほどの足場。あとは断崖。足場からの落下の危険があった。
それにまたがる形でようやく体を安定させている俺は更なる安定を求めて、その足場の飛び出る壁に両手を広げた大の字の形でへばりついている。
何故 それほどまでに安定にこだわるのかと言えば、この足場とそれに連なる壁が上下に揺れているからである。
ある程度の規則性をもって揺れ動く足場の上、俺は振り落とされまいと慎重にならざるを得なかった。

俺は大声で助けを求めるが、それは周囲にいる彼女たちの耳には届かなかった。


  *
  *
  *


休日の朝。
俺が1階で朝食を摂っていると、2階から慌てた様子のハルが駆けおりてきた。

 ハル 「うわー! 寝坊したー!」

髪も整えないような状態で荷物をひっさげリビングに駆け込んでくるハル。

 シュウ 「おす。随分と遅いな。今日はアスカたちと海に行くんだろ?」
 ハル 「そうだよー! ちゃんと目覚ましセットしてたのにー…」

バタバタと行ったり来たりするハル。
慌てすぎて何をしたらいいかもわからなくなってる。


今日 ハルはアスカたちと海に行くらしい。
集合時間は朝8時。起床7時50分。

飛び起きたハルは朝食よりも何よりも風呂場に駆け込んだ。
曰く、汗を洗い流したいらしい。
これから海に行って水に浸かるであろうにそんなこと気にしなくても。と思うのは俺にデリカシーが無いからだとよく言われる。

まぁ、タオルを持ち込むのを忘れたハルもアレだが。

脱衣所。
俺はハルのタオルを籠に入れた。

 シュウ 「タオルここ入れとくぞ」
 ハル 「うん! ありがとうお兄ちゃん!」

半透明なドアの向こう、シャワーの音の滴る風呂場から妹の返事が聞こえた。

で、タオルを籠に入れ脱衣所を出ようとしたとき、不意に、別の籠に入っているハルの着替えが目に入ってきた。
そこにあったのは服と、水着。
つまりは、水着の上に服を着てしまおうということなのだろう。
いくら時間がないからってそこまでハショらなくても…と思う。

そしてその水着は、先日、ハルとアスカが試着(巨大化)してみせたあの青いビキニだった。
今でこそ無造作に置かれてパッと見なんだかわからない布であるが、これが一度水着と認識できれば、その先に待つのは脳裏に浮かぶそれを身に着けた女性の姿だ。男の妄想力って凄い。
まぁそれを身につけるのはハルで、実際に身につけたのを見てしまっているのだから妄想するまでもなく思い描けるわけだが。
ぶっちゃけハルの全裸なんてもう何度も見てしまっていたわけだが、水着になるとまた違う。
水着と女の子。最強の組み合わせの一つである。
かつて見たハルの水着姿を思わず思い浮かべゴクリと唾をのんでしまった。

そんな自分をごまかすように、俺は少しだけと言い訳しつつハルの水着を手に取ってみた。
手にしたのはビキニのトップだった。パーツとしてみればヒモと三角の布。ただそれだけである。
たったこれだけの面積で体を覆う。いや、ほとんど覆えていない。
そしてこんな水着を着けるまでに至った妹の成長を思いつつ、また同時に成長した妹の水着姿に迫る男たちの毒牙の心配を……。

「……いや、ないな…」

俺はかぶりを振った。
ハルひとりならまだしもアスカを含めあのGTS研究部のメンバーと海に行くのだ。
言い寄る男どもなど片っ端から排除(縮小)されてしまうだろう。むしろその男たちの身の安全の方が心配だ。


などと思っていた、その時である。

  ぐにゃり

 シュウ 「!?」

視界がゆがんだ。同時に急速に意識が遠のいていく。
手に摘んでいた水着の端を落とし、そのまま尻餅を着いてしまう。
が、硬い床に倒れこんだはずなのに、尻はその場にバフッと沈み込んだ。

 シュウ 「? 痛くない…?」

尻に痛みが無いのを自覚したときにはもう目眩は治まっていた。
しかし視界は、まだ歪んでいるのではないかと思えた。
そうでは無かった。
目に見える景色そのものが違っていたのだ。

一言で言ってしまえば、目に見えるものすべてが巨大化していた。
目に見える、見慣れた脱衣所の風景が100倍もの大きさになっていた。
俺は100分の1サイズに縮小化して、妹の着替えの上に尻餅を着いていたのだ。

なんでこんなことになってしまったのかを考察する前に、

ガラッ!

風呂場の戸を開けてハルが脱衣所にやってきた。
妹が風呂から出てきた脱衣所にいる自分。という構図に思わず隠れなければと思う俺だったが、ドアの向こうからやってきた、巨大な全裸の妹という凄まじい光景に、思わず動きを止めてしまった。
シャワーを浴びたばかり。まだ拭いてもいない体は全身を水に濡らしている。
豊かな肢体が、とてつもなくエロく見えた。

 ハル 「タオルタオル!」

ハルは慌てた様子で籠からタオルを出し全身を拭き始めた。
胸板にくっつくでっかい乳房がハルの激しい動作にぶるんぶるんと揺れ動く。
動いたとき、乳首の先端から水滴が飛び散った。
あまりにも、官能的な光景だった。
思わず見入っていた。
うっかりと、股間が反応していた。

 ハル 「あぁ時間が無い~!」

ハルが悲鳴を上げる。
言いながら着替えに手を伸ばしていた。
俺が乗る着替えに だ。

俺は巨大な手が高速で迫ってくるのをただ呆然と見上げていた。
反応なんて出来る速度ではなかった。逃げる時間なんてなかった。

ハルの巨大な手は、俺が乗っていた着替え、ビキニのトップをがしっと掴むと大急ぎで身につけた。
悲鳴を上げる暇も、振り落とされる暇さえもなかった。
ビキニのトップ部分の上に俺を乗せたまま、ハルはトップを装着した。
一瞬で眼前に迫ってきた妹の巨大な乳房はそのまま俺に激突し、俺はビキニと乳房との間に挟みこまれた。

俺をトップの中に入れてしまっていることなど慌てているハルは気づかない。瞬く間に着替えを終わらせ、速攻で髪を縛り、二つのツインテに纏め上げた。
鏡の向こうにはツインテを揺らす、ブラウスとミニスカと黒ニーソ絶対領域の少女。
その服の下に水着を着ているなんてわからない。
そしてその水着の中に兄を入れているなんてもっとわからない。

着替え終えたハルは脱衣所から飛び出た。

 ハル 「お兄ちゃん! 行って来ます! …あれ?」

だがリビングにて声を掛けたはずの兄はいなかった。
首をかしげる妹だが、時計を見た瞬間兄の不在などどうでもよくなった。

 ハル 「あわわわわ! じゃ、じゃあお兄ちゃん! 行ってくるからね!」

妹は姿の見えない兄に声を掛け家を出て行った。
当然、その声はしっかり兄にも聞こえていた。



  *
  *
  *



というわけで俺は今もハルのビキニに囚われたままだ。
今は規則的な上下の揺れが俺の体を揺さぶっている。ハルの歩行の振動だろう。
真っ暗なこの場所だが、分厚い服の生地の向こうからは数人の少女の話し声が聞こえてくる。
GTS研究部のメンバーと合流したのだ。
その彼女たちと合流するまでの、駅までの猛ダッシュはとてつもない揺れで、俺は妹酔いしそうだった。

  *

家を出たハルは駅に向かって大急ぎで走り始めた。
タッタッタッタ! スニーカーで地面を蹴り、腕を振り、ツインテールをなびかせて、一直線に駆けていく。
が、そうなるとハルの大きな胸は、特に今 ブラで支えられていない胸は、上下左右にたっぷんたっぷんと跳ねまくる。
絶叫マシーンも悲鳴を上げるほどの大揺れの中、俺の悲鳴などは到底ハルの耳には届かない。
上に向かってロケット発射のように急速浮上した。そのとき下に向かってかかるGに体を押し潰されそうになった。
かと思うと次の瞬間には下に向かって勢いよく落下した。浮遊感に全身の血液が逆流したかのような気持ち悪さを覚える。
かと思えばまた急速に浮上した。下に向かって落下していく途中からの急速浮上は体により凶悪なGをかけてくる。
上下だけではない。胸が左右に振られれば俺も一緒に振り回される。右に行ったかと思えば左に。かと思えばまた右に。
とにかく上下左右に振り回されるビキニの中、俺にできることは両手両足でハルの乳首にしがみついて、乳頭の上から振り落とされないようにすることだけだった。

  *

なんとかかんとか、駅に到着するハル。
他のメンバーはすでに集合していた。

 コノハ 「ハル遅ーい!」
 ヒメ 「もうこのまま置いていってしまおうかと思いましたよ」
 ハル 「はぁ…はぁ…。ご、ごめーん…」

肩で息をしながら頭を下げるハルだった。

 アスカ 「あららー。随分と急いできたみたいだねー」
 ミナミ 「う、うん。まだ電車が来るまで時間あるから大丈夫だよ!」
 ヤマト 「まぁ、何かあったのでないならいいですわ」

いつものメンバーが一言一言ハルを迎え入れる。

 アスカ 「…ところで、やっぱりシュウは来ないって?」
 ハル 「あ、はい。『男ひとりだと居辛いからお前らだけでいってこい』て言ってました」
 ミナミ 「えぇー男のシュウ先輩がいてくれたほうが安心できそうだけど…」
 ヒメ 「いえこれは……逃げられましたね」
 アスカ 「だねー。きっとなにかしらされると思って避けたんだね。今日はただ集まって遊ぼうってだけなのに」
 ヤマト 「普段 むちゃくちゃな実験に付き合わせてばかりいるから避けられるんですわ…」
 ハル 「あはは…」

能天気に言うアスカにヤマトはため息をつき、ハルは苦笑した。
ちなみに当の俺はと言えばハルのビキニの中でぐったりとしていた。天変地異のような大揺れで体力を根こそぎ持っていかれ死体のように動かない。さらには、ハルはここに来るまで走ったからだろう。ハルの体が熱を帯び、その体温で発せられた空気が服の中、この水着の中に満ちてきていて、中はじっとりと蒸し暑く、俺は息苦しさすら覚えていた。
とんでもない湿度だ。不快指数120%。
そしてハルが汗をかくせいで俺のへばりつく乳首もぬるぬると濡れてきた。お湯のように温かい汗がハルの乳房からも湧き出てきて、そこに囚われる俺の体をぐっしょりと濡らしている。
実際にはそこまでの量ではないが、疲弊しきった俺は、汗と熱と湿度の中で溺れそうな感覚だった。

 アスカ 「んじゃみんなそろったし、そろそろいきますかー」
 一同 「おー」
 コノハ 「いえーい、今日は泳ぐぞー! ……ところでハル?」
 ハル 「ん?」

ハルの後ろに回るコノハ。
そして両手をハルの左右から伸ばすと、
グワシッとハルの胸を掴んだ。

 ハル 「ひゃっ!」
 コノハ 「あ、やっぱり~。ハルってば下に水着着てきたでしょー。走ってくるとき胸がやたら弾んでたからもしかして~…って思ってたんだよね」

服の上からハルの胸を掴んだままグニグニと手を動かすコノハ。
ハルの大きな乳房がコノハの手の中で柔らかく変形する。

その間、乳頭に跨り、乳輪に抱き着くようにグッタリともたれかかっていた俺は、突然の背後からの圧力に潰されそうになっていた。
ハルの巨大な乳房にもたれかかる俺ごと、コノハの巨大な手が胸を揉む。コノハの手や指が服越しにもハルの胸に沈み込む。
俺からすれば小丘ほどの大きさもあるハルの乳房は俺が何をしたところでビクともしないが、コノハの手はたやすく押し潰し変形させる。
それはつまり、とてつもない弾力で跳ね返してくる乳房と、とてつもない力でそれを押し潰す手のひらとの間に挟み込まれるという事だった。
俺の体を正面からグイグイと押し返してくる乳房と、背後からグイグイと押してくる手。
それぞれがそれぞれ俺の体を前後から凄まじい力で押してきて、俺の体は今にも潰れてペッタンコになってしまいそうだ。

 ハル 「も、もうー! コノハやめてよー!」
 コノハ 「にゃはは。ブラではなく水着越しの胸もいいものですな~」

 ヤマト 「アホですわ…」
 ヒメ 「救いようがありませんね」
 ミナミ 「あ、電車が来ちゃいましたよ!」
 アスカ 「突撃ー」

皆は電車に乗り込んだ。


  *


電車に乗ってからの数十分は平穏だった。
揺れらしい揺れは電車そのものの揺れかハルが身じろぎしたときくらいのもの。
ハル自身が落ち着いたこともあってかこの密閉された空間の気温もおさまり、電車のエアコンのおかげでそれなりに過ごしやすいものだった。

ただやはりそれでも、ハルに気づいてもらうことはできなかった。
どれだけ声を張っても、電車のガタゴトという音と、俺を閉じ込める膨大な質量の乳房とミッチリと張ったビキニに遮られ、ハルや他のメンバーの耳にまで届くことは無かった。
乳輪を叩いて俺の存在を知らせようとしたが、それは水着がズレたのかと感じたハルが手を押し付けて位置を調節しようとし、水着と乳首の間にいる俺はゴリゴリとすり潰されかけたので二度とやるまいと誓った。

 シュウ 「くそ……どうしたらいいんだ…」

ハルの乳首にへばりついたまま、俺は呟いた。
人肌のぬくもりの乳輪の向こう、巨大な脂肪の塊の奥底からドックンドックンとハルの心臓の鼓動の重低音が聞こえてくる。
あまりにも平静だ。ハルは、俺の存在になんか気づいちゃいない。
はぁ…ため息が出る。

 シュウ 「……いや待て」

割と快適な空気と乳輪のぬくもりと重低音の鼓動を子守歌にまどろみかけていた俺はふと思う。
気づいてもらってどうするというのだ。今ここで気づかれても、状況はつまり、『妹の着る水着に紛れ込んで着いてきた変態兄貴』という位置づけだ。今更かも知れないが社会的に終了のお知らせである。
なら今は待ち、せめてハルが一人になったタイミングを見計らって気づいてもらうのはどうか。ハル一人の時なら、俺がここにいたと気づいても、何かしらの事情を理解してくれるかもしれない。
少なくとも、コノハやヒメの目の前ではヤバい。

そう思い至った俺は、今この瞬間は、身を伏せることとした。
なんとかハルひとりになる、その時まで。
ハルの乳首の上で、そっと息を殺しながら。

 ハル 「でさー」

その乳首の持ち主は周囲のメンバーと楽し気におしゃべりしている。水着の中に兄を連れてきていることなどまるで気づいていない。
無邪気な妹の着る水着の中、乳首に乗って息を殺す自分が、あまりにも情けなかった。


  *


海。

 アスカ 「到ちゃ~く!」

着替えてビーチにやってきたアスカが腕を大きく振り上げながら言った。
赤いビキニに支えられた大きな乳房も大きく弾む。

 コノハ 「いやーここまで長かったな~」
 ミナミ 「よかった。人もあまりいないみたいだね」
 ヤマト 「電車を乗り継いだ甲斐があったというものですわ」

それぞれがそれぞれ水着に着替え終えている。個々の細かい描写はめんどくさいので省く。
ちなみにアスカ・ハル・コノハ・ヤマトの4人が大、ヒメとミナミの二人が小である。

 コノハ 「んじゃ早速泳ぐとしますか!」
 ヤマト 「まずは準備運動をなさい」
 ヒメ 「というかみんなで泳ぎに行ってしまうと荷物だけが残ってしまいますよ」
 ハル 「そうだね、とうしようか」
 アスカ 「んー、じゃまずは近場で遊んで、終わったら交代で泳ごっか」

わいわいと準備を進めていく一同。
シートを敷き、パラソルを設置し、荷物をまとめ、準備運動を済ませる。
ただそれだけの、当たり前の時間。
それなのに、それだけなのに、俺は地獄の中にいた。

 シュウ 「死ぬ…」

電車の中ではクーラーが効いていたが、屋外の海にそんなものはない。
気温、体温が一気に増した密閉空間で、さらにそれがぶるんぶるんと跳ね回るとなれば最早天地無用の生死不明。
上も下も生きてるか死んでるかもわからない状態だった。
すでに今のハルは水着のみ。服からすらも解放された胸は軽快に弾むものだから、俺にとっては一時たりとも休む間の無い絶叫マシーンのようなものだった。
ハルがただ歩くだけで上下にグワングワンと振り回される。荷物を抱え込めば荷物と胸との間でギュウギュウと押し潰される。
準備運動の間などはあっちにこっちに殺人的な加速をするのだからもうたまらない。
妹が海に来てその準備をするだけで、俺は死にかけていた。

が、ここでふと気づく。

 シュウ 「あれ? これ、ハルがこのまま海に入ったら、俺本当に死ぬんじゃね?」

もしもハルが海に入れば、当然水着の中の俺も海の中に入る。というか海中に沈む。
すると当然水着の中にも海水は入ってくるわけで、そうなると逃げ場の無いここでは完全に水攻め状態。
妹のビキニから脱出できずに溺死することになる。

いや、仮に脱出できても今の俺は100分の1。つまり他のものはすべて100倍の大きさになっている。100倍の大きさの海の中に放り出されて、無事でいられるはずがない。
穏やかな波も、俺にとっては大津波だ。泳げるわけがなかった。
小魚やクラゲなど、怪獣みたいな大きさだろう。喰われる。
もし砂浜にたどり着くことができたとしても、そこは100倍の大きさの観光客たちが闊歩する巨人の世界だ。まったく気づかれぬうちに踏み潰されるだろう。
どうあがいても絶望。マジでやばい…。

な、なんとか海に入る前に気づいてもらわなくては…!
俺は慌ててハルの乳首を叩いた。

とその時、

 アスカ 「ほんじゃ最初はビーチバレーでもしますか」

アスカの声が聞こえた。
ビーチバレーをする。それはつまりすぐ海に入るわけでは無いということ。
ふぅ…ちょっと安堵する俺。

が、すぐに気付く。

 シュウ 「なにぃいいいいい!? ビーチバレーだとおおおおお!?」

ビーチバレーと言えばボールを打ち合って激しく動いてあれやこれがたっぷんたっぷんと弾みまくるビーチの最高競技!
ただしそれは見物するに限り、小さくなってそれに巻き込まれるのはゴジラの足元をウロチョロするようなもの。
水没の危機は一時去ったが、代わりに大怪獣の戦争に放り出されてしまった。

何とかしようと思って慌てているうちにすでにゲームは始まってしまった。
チームA:アスカ・コノハ
チームB:ヒメ・ミナミ
チームC:ハル・ヤマト

 アスカ 「んじゃまずはAとBで対戦ねー」

簡単なラインを引いて試合が始まった。
ペチンという音と共にサーブが放たれる。
山なりの緩やかな放物線を描きながら相手コートへと向かっていったボールはその下で控えていたヒメによってしっかりとレシーブされ、それをミナミがおっかなびっくり打ち上げ、ヒメがアスカ達のコートへ打ち返す。
それを今度はコノハが受け止め、アスカがレシーブし、コノハが決める。
パス、という音がした。

 ハル 「はい、Aチームに1てーん」
 コノハ 「へへーん! やりい!」
 ヒメ 「あらら、先制点は取られてしまいましたね」

まずはAチームが1点取ったらしい。
などと言う状況は、すべてビキニの中の俺には見ることができない。
ただ、それぞれの声や音などから予想はできた。
しかし今の俺のやるべきことは試合の様子を予想することではなく、ハルに気づいてもらっての脱出だった。
今、ハルは審判をしていてほとんど動かない。最大のチャンスだった。このチャンスをものにすべく俺はさっきからハルの乳首を叩きまくっているのだが、

 ハル 「コノハ、ないっしゅー!」
 コノハ 「どんなもんよー!」

みんなで遊びに来ていて浮かれているハルには気づいてもらえなかった。必死に叩いてるのに…。

そして俺の努力は完全に無駄に終わり、ハル達のチームの番が来てしまった。

 アスカ 「次はあたしたちとハルちゃんたちのチームの番だね」
 ハル 「負けませんよー」

サーブはアスカ達のチームかららしい。
それに備えてハルがやや前かがみになり、そのせいで俺は乳房にのしかかられる形になった。

 アスカ 「いくよー。ってい!」

アスカのサーブ。

 ハル 「えい!」

ハルが受け止め、

 ヤマト 「はい!」

ヤマトが整え、

 ハル 「てやっ!」

ハルが撃ち込む。

 コノハ 「おっと!」

やや体勢を崩しながらもコノハが受け止め、

 アスカ 「ほーい」

それをアスカが完璧にフォローし、

 コノハ 「そいやぁ!」

コノハが決める。

  バシッ

ボールはコートの砂浜に打ち付けられた。

 コノハ 「いえーい!」
 アスカ 「いえーい!」

 ハル 「うーやられた」
 ヤマト 「あの二人の運動神経は並ではありませんからね」

ふぅーと息を吐き出す二人。


その頃、俺はほぼ死んでいた。
時間にしてほんの数秒だった。なのにその間のハルの動きは俺にとっては天変地異もビックリなすさまじいものだった。
大気圏突入と脱出を連続して行っているかのような重力と加速度の暴力。

 ハル 「まだまだー!」

ゲーム再開と同時に俺の地獄も再開。
位置を移動するためにハルがズシンズシンと歩けばその分だけ俺を捕える乳房もゆっさゆっさと上下にはずむ。
急な方向転換をすれば左右に大きく揺れる乳房によって俺の体も激しく振り回される。
アタックのときに軽く飛び上れば軽い浮遊感の後に急速落下と着地の凄まじい衝撃。
ボールを追いかけるためにヘッドスライディングで飛び出せば隕石に抱き着いたまま大気圏突入するような気分だ。
ハルの一挙一投足が、俺にとって天災クラスの破壊力だった。

そんな自分の動きが兄をボロボロに打ちのめしているなどとは知らないハルはノリノリで動き回り続けた。


  *


ゲームも終盤。なんだかんだとアスカとコノハに食らい下がるハルとヤマト。
点数はアスカ達が上だが、まだ巻き返せる差である。

 コノハ 「ここで一気に決めちゃうよー!」

トーンと大きく飛び上がったコノハは高い打点から強烈なサーブを繰り出した。

 ハル 「っとと!」

なんとかそれを受け止めるハル。
しかしボールは無事だったものの、ハル自身は威力に負けて砂浜にうつ伏せに倒れてしまった。
ズザーと砂浜を少し滑る。
慌てて起き上がろうとするハルだが、そのとき、胸を覆っていたビキニのトップがはらりと落ちてしまった。

 ハル 「え…? きゃあああああああああ!」
 アスカ 「お?」
 コノハ 「あら」

ハルは慌てて胸を隠した。

 ヒメ 「おおーっと! これはラッキースケベなエロスハプニングです! ハルのたわわなふくらみが公衆浴場で大衆の面々の前に晒されてしまいました!」
 ミナミ 「そ、そんなこと言ってる場合じゃないよ!」

 ヤマト 「ハル、大丈夫ですの?」
 ハル 「だ、大丈夫…。すぐに着けるから」

言いながらハルは左手で胸を隠したまま右手で落ちた水着を拾い上げる。
するとその下から、指先ほどの小さなものが転がり出てきた。

 ハル 「え?」

見慣れたその存在の正体に、ハルはすぐ気づいた。

 ハル 「え……」
 シュウ 「おす……」

ぐったりとしたまま手を上げるシュウ。

 ハル 「ええええええええええええええええ!?」

再び上がるハルの絶叫に、メンバーが首をかしげる。

 アスカ 「どったの?」
 ヤマト 「まさかヒモが切れてしまいましたの?」
 ハル 「え!? あ! な、なんでもない! なんでもないの! あはははは」

とっさにシュウを摘まみ上げたハルはそれをボトムの中に放り込むとトップを胸に付けた。

 アスカ 「ほい再開ー。今のは無効ってことで」

再びコノハからのサーブでゲームが始まる。
それをハルが受け止めて、ヤマトへと渡し、ハルが相手コートへと撃ち返す。

だが、ハルの動きは目に見えて悪くなっていた。

 ヤマト 「ハル?」
 ハル 「あははは、ゴメンゴメン。ちょっと調子狂っちゃったかな」

あはははと笑ってごまかしたハルだった。
が、その内心は、

 ハル (あううううう! 水着の中にお兄ちゃんがいて、集中できるわけないじゃん!!」

羞恥でいっぱいだった。スイッチの入っていないハルはいたってノーマルである。
今だって意識すればそこにシュウがいるのを感じることができる。咄嗟のことだったし、他に選択肢がほとんどなかったとはいえ、ボトムの中に放り込んでしまったのだ。
自分の股間の真ん前にシュウがいる。割れ目の真ん前だ。ビキニの生地と、自分の股間との間にぴっちりと挟まれ身動きが取れないようだ。
いや、それだけで済んでいるだろうか。手入れはしてきつもりだが、陰毛が絡みついてたりはしないだろうか。今のシュウにとって自分の陰毛は強靭なロープほどの長さと頑丈さがある。絡まれば身動きは取れないだろうし、自分があまり動き回ればそのまま締め付けてしまうかもしれない。
それ以前に今日はこの水着をずっと着ているのだ。この暑さの中 走ったりなんだりで汗もかいた。臭ったりはしないだろうか。
というか割れ目の前にいるということはこのまま動き回ればそのまま割れ目の中に入ってしまうのではないだろうか。そうなればほんの少しでも力加減を誤ればうっかりと潰してしまう。でなくとも奥の方に入ってしまってはそれだけで命が危うい。
そもそもなんでお兄ちゃんはこんなところに…。

などとハルが頭の中でグルグルと考えていると、

 ヤマト 「ハル!」
 ハル 「え?」

眼前にボールが迫っていた。

  ベチッ!

 ハル 「にゃ…っ!」

見事な顔面ヘディングでボールを撃ち返すハル。
そのまま後ろに倒れてしまった。

 ヤマト 「大丈夫ですの? さっきから動きが悪いですわよ?」
 コノハ 「ちょっと休もっか?」
 ハル 「あ、あははは。じゃあちょっとだけ。あ、わたしトイレに行ってくるね」

起き上がって体の砂を落としたハルは妙な走り方で去って行ってしまった。

 ミナミ 「なんかハルちゃん変だったね。そんなにトイレに行きたかったのかな」
 ヒメ 「いえこれは…あの日ですね」
 ミナミ 「ヒメちゃん…」
 アスカ 「……」

  *

   バタン

トイレの個室のドアを閉め、ボトムに手を突っ込んでそれを摘まみだすハル。

 ハル 「どういうことなのお兄ちゃん…」

摘まみ上げたシュウを目の前に持ってきてにらみつけるハル。
ゴゴゴゴゴ…という効果音が俺には聞こえた。

 シュウ 「どういうこと、と言われてもだな…」
 ハル 「なんでお兄ちゃんがここにいるの!? どうやってここまで来たの!? なんで私の水着の下から出てきたの!? …まさか、最初からわたしの水着の中に入ってたの!!??」

ハルの怒りのボルテージが上がっていく。
俺を摘まむ指には最低限の力加減がされているが、それに摘ままれる俺の体はメキメキと潰され始めていた。
冷や汗がだらだらと滴り落ちる。弁解しようにもハルの言う通りなので弁解のしようが無い。
もうこれは潰されるしかない。

などと俺が覚悟を決めると、

 アスカ 「まぁそう怒らないで」

横のトイレの壁から、アスカの顔がぐにゅ~と浮かび上がってきた。

 シュウ・ハル 「ぎゃああああああああああああああああ!!」

俺たちはそろって悲鳴を上げた。

 アスカ 「あははは。二人とも驚きすぎ」
 シュウ 「驚くわ! 壁から人の顔が出てきたら驚くわ!」
 ハル 「そ、そうですよ!」

顔面蒼白になる俺たちの前に顔だけ出して笑うアスカ。そのまま体の残りの部分も出てきた。

 シュウ 「な、なにやったんだよ…」
 アスカ 「ん? ただの壁抜け」
 ハル 「そ、それはもうやめてください…。心臓が止まるかと思った…」
 アスカ 「ダメー? いつか肝試しで使おうと思ったんだけど」

それに試された肝はことごとく潰れるだろう。

 アスカ 「でさ、ハルちゃん。シュウを怒らないであげて。きっと痴漢防止剤が働いちゃったんだよ」
 ハル 「あ…」
 シュウ 「痴漢防止剤?」
 アスカ 「そそ。スプレーでね、これを吹き付けておいたものに男性が下心を持って触るとその男性は縮んじゃうの。今日の海水浴のためにハルちゃんの水着に吹き付けてたんだけど、シュウったらうっかりハルちゃんの水着に触っちゃったんでしょ」
 シュウ 「あ、あぁ…、確かに朝シャワー浴びてたハルにタオル届けに行ったときに…」
 ハル 「あぅ…」
 アスカ 「うんうん。そのあと色々な偶然が重なってハルちゃんの水着の中に入っちゃったんだね。まぁ無事でよかったじゃない」
 ハル 「うん…。ごめんねお兄ちゃん、わたしのせいで…」
 シュウ 「いや…、もとはと言えば俺がハルの水着に触ったりしたからだし…」
 アスカ 「そだね。痴漢防止剤が作用したってことはつまりシュウはハルちゃんの水着持って欲情してたってことだしね」
 シュウ 「ブホッ!?」
 ハル 「な、なに言ってるんですか!」
 アスカ 「だって痴漢防止剤は邪な事を考えてなければ作用しないし、作用したってことはそうゆーことだよね。ハルちゃんの水着持って、いったいどんなこと想像してたのかにゃー?」

いつの間にかハルの手のひらに乗せられていたシュウと、シュウを手のひらに乗せていたハル。
二人の顔が真っ赤になる。

 アスカ 「にゃははー。まぁすぐに元の大きさに戻してあげるから。理由はともあれ折角来たんだし、一緒に遊んで行ったら?」
 シュウ 「…まぁ、財布も何も持ってないから一人じゃ帰れないんだけどさ…。水着も何も持ってきてないぞ」
 アスカ 「大丈ー夫。それはあたしがちゃんと持ってきてるから」
 シュウ 「なんでだよ…」

  *

 ヤマト 「おかえりなさい。って、あら? 何故シュウ先輩がいらっしゃいますの?」
 アスカ 「へへー。荷物番として召喚しました」
 ヒメ 「ナイスです部長。これでこそ夏の風物詩、エロハプニングが拝めるってもんです」
 コノハ 「お、いいねー。先輩、まずはあたしでハプニングってみますか?」
 ミナミ 「せ、先輩の前で水着なんて…、ちょっと恥ずかしいかも…」
 コノハ 「……それで、なんでお二人は赤くなってますの?」

 シュウ・ハル 「何でもない…」


  *


その後、みんなが海へと繰り出している間、俺は荷物番をしていた。
うだるような暑さも、パラソルのおかげでだいぶ軽減できる。
日陰、シートの上に座って呆然と海を眺める。

そこへ、飲み物を持ったハルがやってきた。

 ハル 「コーラ飲む?」
 シュウ 「おぉ、サンキュー」

手渡された冷たい缶のタブを引く。プシュッという音が炭酸の爽快感を表しているようだ。
缶に口を着け、流れ出てくるコーラをゴクゴクと飲むと体の中で炭酸が弾ける。

 シュウ 「ふぅーっ、うまい」
 ハル 「ふふ、よかった」

そのまま俺の横に腰を下ろすハル。
そのまましばし、二人で海を眺めていたが、

 ハル 「でもホントにビックリしたんだからね」

ハルが切り出した。

 シュウ 「…スマン」
 ハル 「まぁ気付かなかったわたしも悪かったけど…。ってなんか空気重くなっちゃうよ。お兄ちゃん、日焼け止めオイル塗って」
 シュウ 「なんでそうなる。てか塗ったんじゃないのか?」
 ハル 「これって何度も塗るものらしいよ。汗かいたりタオル使ったりすると取れちゃうんだって」

はい。とオイルのボトルが渡された。 

 シュウ 「…ていうかこれ塗ろうとして変な気起こしたらまた縮むんじゃないか…?」
 ハル 「大丈夫、それはさっきアスカさんが解除してくれたから」

言いながらハルはシートの上にうつ伏せになった。
その時、ビキニのトップのヒモもほどかれ、背中だけなら全裸である。

 シュウ 「…そこまでするのか」
 ハル 「そ。さっきまではお兄ちゃんが勝手にわたしの体を堪能してたんだから、今度はわたしの意思で堪能させてあげる」
 シュウ 「どういうことよ」

ふふん、と鼻を鳴らすうつ伏せのハル。

そんなハルの体を見下ろしているわけだが、正直、わざわざ触れなくとも十分に官能的だった。
やや水にぬれた一糸まとわぬ背中の稜線は、完璧なまでの美しさである。
要所要所のゆるやかなに描かれたカーブの完成度。磨き抜かれた陶器のような煌き。
ただ見ているだけでも生唾ものだ。

さらに、うつ伏せになっているせいで押し潰されハミ乳となった乳房が、真後ろからでもはっきりと見える。
やわらかく豊かなふくらみが、背後からでもはっきりと自己主張していた。

これからこの体にオイルを塗るのだ。
股ぐらがいきり立つ。

ゴクリと唾をのみながら、おそるおそるその背中に手を伸ばす。
触れた手はオイルのせいもあって摩擦なくその肌の上を滑っていく。
触れた手のひらにはオイルの冷たさの向こうにハルの体のぬくもりが感じられた。やわらかな肌はまるで吸い付くように手にフィットする。

当然ながら普通の大きさのハルの体は俺と比べて小さい。
オイルも手を4~5回も往復させれば背中全体を塗り終えてしまう。

 ハル 「じゃあ次はお尻の方ね」
 シュウ 「まだやるのか…。正直キツい…」
 ハル 「あははは。じゃあわたしの勝ちだね。それはそれとしてお願い」

何の勝負をしてたんだ…。
と思いつつも頼まれたから…と自分に言い訳しながら続けて手をお尻の方に動かしていく。

こちらは水着に包まれているが、それでもその圧倒的な面積を前にしては微々たるものと思わざるを得なかった。
二つの山は触れるだけで形を変えてしまうほど柔らかく、あと少し手に力を込めれば指が埋まってしまいそうだった。
その感触のあまりの甘美さに耐えるのが辛く俺はさっさと終えてしまおうとしたが、ハルからの要望でしっかりとオイルを塗ったくることになった。
やわらかな尻を何度も何度も撫でまわし、手のひらをぐいぐいと押し付けて擦り込むようにして塗っていく。
水着に隠されている部分にまで手を差し入れ、ギリギリのところまで塗り込んでいく。

それが終わると今度は太ももを要求された。片方の太ももを両手で包み込むようにしながら塗る。もう片方の太ももも同じように塗る。
すると今度は膝から先も要求された。膝から裏からふくらはぎから足首まで、ハルの足の細さを手のひら全体に感じながら塗っていく。
それも終わると今度は足首から先まで要求された。足の甲もかかとも足の裏もじっくりと塗り込み、さらには指の間にまで丁寧に塗っていく。

その時、俺はハルが体をビクンビクンと痙攣させているのに気付いた。

 シュウ 「……。お前…」
 ハル 「えっ!! 違うよ!? イってないよ!?」
 シュウ 「……」

わずかに振り返ったハルは目がトロンとしてやや上気していた。

 シュウ 「俺にオイル塗らせてそれをオナニーにしてたな…」
 ハル 「あ、あはは…。あまりに気持ちよくて…」

うつ伏せのままハルが苦笑した。
こっちは必死に堪えてるってのに…。

俺は歯噛みしながら作業を続ける。
オイルを塗られた肌は日陰にありながらもキラキラと煌いて時折まぶしさに目が眩む。
今はその手に納まるほどの広さの背中だが、先ほどまでの縮められた状態でならとても広く感じられた事だろう。
幅は20mを優に超え、家を数軒建てる事もできるし、体育館だって乗せられそうだ。
その場に立ってみたら肌色の広場みたいに見えるのだろうか。
やわらかな肌の地面は俺の体重を受け止め僅かにへこみながらもしっかりと支えてくれるはずだ。
大地として十分に成り立つだけの存在感がある。
100分の1サイズの俺が背中の上を歩き回ればハルはきっとくすぐったさに身をよじり、地面であるハルの身体が動けば俺はたまらずすっころんでしまうはずだ。
いや、オイルを塗ったあとならば表面はとても滑りやすくなって歩くどころかただ立つことも難しいかもしれない。
1倍の俺からすれば魅惑的な背中の起伏も、100分の1の俺からすれば隆起した大地みたいなもの。オイルを塗られた斜面のような勾配は登ることもできないだろう。
妹の背中の上でつるつるとすべって満足に移動もできない。もしもその状態で先ほどのようにハルがオナニーを始めてしまったら、ビクンビクンと激しく揺れ動く背中の上、俺は早く収まってくれるのを這い蹲りながら待つことしかできないだろう。

などとシュウが考えている頃、

 ハル (はぁ~…しあわせ~…?)

寝そべって体にオイルを塗られているハルは恍惚の極みにあった。
自分の体の上を兄の手が這いずり回り、一部の隙間もなく差し込まれる。
背中も、腕も、お尻も、脚も、そのつま先までもじっくりと余すところなく兄の手によって塗り潰される。
全身が染まっていくような気がした。暑い中にひんやりとしたオイルを温かい兄の手で塗られ夏の海風すら涼風に感じられるほど体が熱くなる。
できることなら背中だけでなく前も塗ってほしいが、人の目のあるビーチでそれはできない。我慢するしかない。もどかしい。だが、それがいい。
おあずけを食らうことでより一層気持ちが昂る。今 与えられているご褒美に全力で集中できる。
にへら~と締まりのなくなった口元からはよだれが滴っていた。
あまりの心地よさに眠気すら感じる。ゆるやかなまどろみの中に心をたゆたわせる。
やがてその意識は幸せに包まれとろけていった。

 シュウ 「ハルー…」
 ハル 「あ…」

意識の遠くから聞こえるシュウの声にハルはゆっくりとまぶたを開けた。
どうやら本当に寝ていてしまったらしい。頭の中がまだぼやけている。

 ハル 「寝ちゃってた……。ごめんねお兄ちゃん」

シュウにオイルを塗らせたまま眠ってしまった。だがそれだけ気持ちよかったのだから仕方が無い。
ハルはあくびをしながらゆっくり体を起こした。
すると

 シュウ 「わ、わわわ」

シュウの慌てた声が聞こえた。
まだ目が覚め切らないからだろうか。兄の声が遠く聞こえる。

 ハル 「んー…どうしたの?」

目をこすりながら振り返ると、そこにシュウの姿は無かった。
ついでにビーチも無かった。

 ハル 「…え?」

頭が覚醒へと向かう。
ぼやけていた視界が一気にはっきりする。
周囲に広がるのは1000分の1サイズの町並み。
ハルは1000倍に巨大化していた。

 ハル 「えええええええええええええ!?」

寝てる間、いつの間にかの巨大化。
ビーチの、さきほどまで遊んでいた場所はとっくに自分のおなかの下になっていた。
さっきまでは遠くに見えていたいくつかも海の家も、巨大化の際 体の下に巻き込んでしまったようだ。
体の左半分は砂浜を超え海へと進入し、右半分はビーチの後ろの防風林やその向こうの家々などを押し潰している。
巨大化の際に押しのけた大量の砂が水着の股間のあたりで小さな盛り土になっていた。
慌てて上半身を起こすと水着を取っていた乳房がぶるんと揺れ、巨大化に巻き込まれへばりついていた小さな小さなパラソルやシートなどが振り落とされた。
身長1600mになったハルは、海岸線1600mを完全に押し潰していた。


   *


 アスカ 「いやーめんごめんご」

パラソルの下、アスカが平謝りする。

 シュウ 「一時はどうなることかと思ったぞ!」
 ヤマト 「まったくですわ…」
 コノハ 「間一髪って奴だよね」
 ヒメ 「とてもいい走馬燈が見られました」
 ミナミ 「はわわわわ…」

同じくパラソルの日陰の下、一同が思い思いの言葉を吐き出す。
そんな中でひとり、シュウの影に隠れて涙目のハル。

ビーチはすっかり元通りに戻っていた。

 アスカ 「時間も巻き戻したし、もう誰もハルちゃんの巨大化を覚えていないよ」
 シュウ 「つーかなんで巨大化したんだよ…」
 アスカ 「痴漢されたら相手を縮める痴漢防止剤でトラブルになっちゃったから、逆に痴漢されたら巨大化するアイテムを使ったの。そしたらハルちゃんにオイル塗るシュウが欲情しちゃっt」
 シュウ 「待て。もういい…」

俺はアスカをとめた。

 アスカ 「まぁつまりシュウが悪いってことで」
 シュウ 「お前だろおおおお!! いや俺だけど…!!」

ぐぐぐぐ……結局のところハルに欲情してしまった俺が悪いわけで…。
そのせいでハルをこんなに怯えさせてしまった。

 シュウ 「悪かったな、ハル…」
 ハル 「お、お兄ちゃんは悪くないよ…! わたしがオイル塗ってって言ったんだし…。でも本当にお兄ちゃん潰しちゃったかと思って怖かった…」

俺に縋りついたまま震えるハル。
いや、すでに何度か潰されてるような気もするけど。

 アスカ 「ギリギリでハルちゃんの耳の穴に飛び込んで正解だったね。おかげでハルちゃんも起こせたし」
 コノハ 「耳の穴の中って結構面白かった! 今度小人いれてみよ!」
 ヒメ 「小人を入れたたまま耳掃除すると、きっとすてきな悲鳴が聞こえますね」
 ミナミ 「ひ、ヒメちゃん…」
 ヤマト 「あんたたち…」

コノハとヒメの様子にミナミとヤマトがため息をついた。

 ヒメ 「ところでシュウ先輩、そんなにいきり立つほど欲情したんですか?」
 シュウ 「んぐっ?」

じろーりと流し目で見てくるヒメに言葉が詰まる俺。
そんな俺を見てにやりと笑うヒメ。

 ヒメ 「折角なのでわたしたちにもオイルを塗っていただきましょう」
 コノハ 「お、いいね~。先輩、どーですか?」

コノハとヒメが俺に迫る。

四つん這いのコノハが近づいてくると水着に包まれながらも胸板からぶら下がる、アスカにも匹敵する大きな胸がぶるんと揺れた。
対して逆に一切の成長を感じさせないロリコン御用達のヒメの体は、俺の心に背徳的な罪悪感を植え付ける。

相反する性の極みを体現する二人がじりじりと迫ってきて、複雑な感情が絡み合い、俺はわずかに後ずさることしかできなかった。

 ヒメ 「ほらほらセンパ~イ、まっさらな幼女のカラダを先輩の精液で白濁色に穢してみたくありませんか?」
 コノハ 「ニシシ、先輩、あたしもカラダには結構自信があるんですよ」

にじり寄る二人の体は、すでに手を伸ばせば届く距離にある。
思わず生唾を呑む。
俺の手が俺の意思を無視して動き出そうとしたとき、

 ハル 「だ、ダメー!」

ハルが間に割り込んできた。

 コノハ 「ちぇー。もう少しだったのに~」
 ヒメ 「触られればそれをネタにゆすれると思ったのですが」

二人はあっさり引き下がった。
結局のところ遊びだったのだろう。
激しく心臓に悪い。

はぁ…。ため息が出る。

 アスカ 「そーそー。シュウはハルちゃんのだもんね」
 ヤマト 「はぁ…オイルならわたくしが塗って差し上げますからそこに横になりなさい」
 コノハ 「あ。サンキュー」
 ミナミ 「ヒメちゃんもあんまりシュウ先輩からかっちゃだめだよぅ」
 ヒメ 「いえいえ~。ああも素直に反応していただけるといじり甲斐があるというもので」

それぞれシートの上に寝転がってオイルを塗り始める。
圧力から解放された俺はほっと息を吐き出した。

 シュウ 「ふぅ…ありがとうな、ハル」
 ハル 「べ、別にお礼を言われるほどじゃないよ」
 アスカ 「うむ。お礼はカラダで返さないとね」
 シュウ・ハル 「え?」

見ればアスカが手にオイルを持っていた。

 アスカ 「シュウも塗ったげる。ハルちゃんも手伝って」
 ハル 「は、はい!」

その後、俺はハルとアスカの手で全身にオイルを塗ったくられた。
さきほど俺がしたように指の先まで念入りに。

ていうか塗り方がエロい。
四つの手が舐めまわすように俺の体の上を這いずり回り、脇の下から腰にかけて、胸から腹にかけて、まるで俺の体の形を確かめるようにゆっくりと動く。
耳には吐息が吹きかけられ、へその中まで塗り込まれる。
あー! ハルは背中を塗るのに胸を押し付けてくるし! アスカは水着の中まで手を入れてくるし!
結局 俺は二人に前後からサンドイッチにされ全身オイルまみれになったのだった。


  *


その後、俺たちは浮き輪などを使って海に入った。
なんでオイル塗ったんだよ。

 シュウ 「はぁ…」

溜息をつく俺は浮き輪の中に入って波間に浮く。
ぷかぷかと波任せに揺蕩う間はあらゆるシガラミから解放される。
すべての力を抜いて浮き輪に身を預け、ただただ陽の熱さと海の冷たさの狭間に漂い続けていた。

などとやっていると、ハルが泳いで近づいてきて浮き輪に掴まってきた。

 ハル 「お兄ちゃんは泳がないの?」
 シュウ 「俺は浮いてるだけでいいよ。もう今日はどっと疲れた…」
 ハル 「あははは、ごめんね」

浮き輪に掴まりながらハルが笑う。
G研のメンバーたちは少し離れた浅いところで騒いでいた。
どうやらヤマトの背後から忍び寄ったコノハとヒメがヤマトのビキニを剥ぎ取ったようだ。
激怒したヤマトが胸を押さえながら二人を追いかけている。

 シュウ 「何やってんだアイツら…」
 ハル 「ヤマトっていつも二人にからかわれてるんだよね」
 シュウ 「良い反応するからな…、同情するよ…。そういやアスカはどこいったんだ?」
 ハル 「ゴムボート借りてくるって海の家に行ったよ」

ハルがビーチの一点を指さした。そこには確かに海の家があり、家の前にはたくさんの浮き輪やボートなどが並べられている。
なるほどな。

 シュウ 「ならアスカが来るまでもう少し待ってるか」
 ハル 「うん、そうだね」

俺は浮き輪の穴に入り両腕を寄っかからせている。
その俺に、ハルは腕を回してよりしっかりと抱き着いてくる。

 シュウ 「…そんなことしたらまたデカくなるんじゃないのか?」
 ハル 「ちゃんとくっついてる方が楽なんだもん。それにお兄ちゃんが変な気起こさなきゃ大丈夫だしね」

などと言いながらハルはさらに体を密着させてくる。
水着に包まれた胸が体に当たり甘美な弾力を感じる。
変な気を起こすなというのが無理なものだ。
しかもそんなぐりぐりと押し付けられては股間の魚雷が発射態勢にはいってしまうぅ。

 シュウ 「だからそんなに押し付けるなっての!」
 ハル 「あ~ん、お兄ちゃんのイケず~」

俺が腕を振りほどくとハルが演技がかった声を出した。

その時、事件が起きた。
押し付けられていた胸を払ったとき、やたらアグレッシブに動く胸が視界に入ってくる。
確認しようとしてハルの方を向いたとき、その理由はすぐわかった。
ビキニというのは非常に面積の少ない布だ。
しかしその少ない布すら纏っていないそれがそこにあった。

ハルのむき出しの胸が、波間にプカプカ浮いていた。

 シュウ 「おまっ! それ…!」
 ハル 「え? ……きゃあああ!!」

気付いたハルが慌てて腕で胸を隠し体を首まで海中に沈める。
どうやら俺に胸を押し付けている間にこすれて水着が取れてしまったようだ。
慌てて周囲を見渡すが水面にはどこにも浮いていない。沈んでしまったのだろうか。

と、とにかく水着を探さないと…。と思った矢先、

  ググ…ググググ……!

ハルの体が大きくなり始める。

 シュウ 「いぃ…!」

俺が驚く間にもハルの体は少しずつ巨大化を続けていた。
水着が取れてしまって恥ずかしくなり、オイルの効果で巨大化し始めてしまったのだろうか。他人の興奮以外に自分の羞恥も巨大化の引き金になるのか。
ただ 海に入ってオイルが落ち、巨大化のペースが遅くなっているのだろう。先に比べるとかなり緩やかだ。

とは言えそれは解決にはつながらない。
結局のところ、巨大化は続いているのだ。
ここにはスマホも無ければアスカもいない。巨大化を止めるすべは無い。

 シュウ 「お、落ち着けハル! それ以上デカくなるな!」
 ハル 「わ、わかってる…。わかってるけど…」

ハルは涙目で訴える。
確かに、突発的な感情などすぐにどうにかできるものじゃない。
しかしハルは目をギュッと閉じて集中し、なんとか気持ちを抑えようとした。
おかげで、巨大化はすぐに止まった。

 シュウ 「お、おう、よくやったな…」
 ハル 「う、うん……わたし、見られてない?」
 シュウ 「ああ、誰も気づいてないみたいだな…。比較物の無い海の上だし、そうやって肩まで沈んでればすぐにはバレないだろ」

俺は周囲を見渡してみたが他の観光客がこちらのことを気にした様子は無い。
少しであるが、沖に出ていたのが幸いだった。
だが状況が好転したわけでは無い。すぐに水着を探し出さなければ…。

 シュウ 「俺が探してくるからお前はここにいろ。浮き輪で少しでも体隠しとけ」
 ハル 「うん…」

浮き輪から出た俺はその浮き輪をハルに預けた。
今のハルは2倍程度の大きさにまで巨大化してしまっている。
俺の使っていた浮き輪は俺の胴体が通るほど穴の大きいものだが、今のハルが持つと、まるで子供用のように見える。

とにかく、もう一度海面を見渡して、水着が浮いていないことを確認した俺は、大きく息を吸って海中へと飛び込んだ。
視界はそんなに悪くない。何mか先までは問題なく見通せる。

潜ってすぐにハルの体が視界に飛び込んできた。
海面から頭だけを出しているハルだと、目の前にいてもその大きさを実感しにくいが、潜って体を見てみると、巨大化しているのがよくわかる。
水面から降りてくる光を帯びて、そのお腹はキラキラと輝いていた。
そして俺の身長ほどもある長い脚が、立ち泳ぎのためにゆらゆらと動かされている。
それだけで まるで人魚のように見えた。

水中でキョロキョロと辺りを見渡す。
波はおだやかで体が引っ張られるような感覚は無く、泳ぐのも潜るのも難しくはなさそうだ。
それにこの穏やかさなら水着もそう遠くまでは流されていないはず。

そして案の定、水着はすぐに見つかった。
ハルの後方の海底に沈んでいたのだ。
何故、ビキニのトップという小さな布をすぐに見つけることが出来たのかは、それを手に取ってすぐに分かった。
大きくなっている。
どうやら持ち主であるハルの巨大化に連動して大きくなるようだ。

俺はヒモの端を持ってビキニを持ち上げてみた。
ビキニはヒモの端から端までで俺の身長くらいの長さがある。
小さな三角形の布は俺の顔面を覆い尽くせるほど広かった。
妹のビキニに顔をうずめるなど、最初に脱衣所で水着を手に取って縮められたのが自業自得と言われんばかりの妄想に、俺は頭を振って正気を取り戻す。

しかし同時に違和感にも気づく。
水着が大きすぎる。
それだけじゃない。徐々に大きくなっている。
ハルが羞恥心に耐えられなくなって再び巨大化が始まってしまっているということだった。

周りを見ればハルの姿はすぐに見つけることが出来て、俺はそう遠くまで離れていなかったのだと思ったが、それは違った。
ハルが大きくなっていた故に、距離感を見誤ったのだ。
最初はゆらゆらと立ち泳ぎしていたハルの足だが、今は海底にしっかりと着いている。
これ以上の巨大化は、流石に隠しきれそうに無い。
俺はすぐにハルのもとに戻った。

 シュウ 「プハッ…。大丈夫か」
 ハル 「う、うん…」

俺はビーチを向いているハルの背後から話しかけた。
ハルの体は明らかに先ほどよりも大きい。本来の3倍か、4倍ほどだろう。顔だけで、俺の胴体ほどの大きさがある。
俺がハルの後ろから声をかけたのも、今のハルの大きさならばハルの背後に回れば俺はハルの体に隠れて見えないからだ。俺の体がハルの前にあっては俺との比較でハルの巨大化が知られてしまう。
ハルは涙目のまま俺の渡した浮き輪をギュッと掴んでいる。さっきまでの浮き輪は頭からかぶって首にかけるくらいは出来ただろうが、今は頭の上に乗っかってしまうだろう。もう浮き輪も通ることが出来ない。
そんな浮き輪は巨大化したハルの手の中で今にも破裂しそうなほどすさまじい力で掴まれている。

 シュウ 「ほら、早く着けろ」

俺は拾ってきたビキニをハルに手渡す。
慌ててそれを付け始めるハルだが、

 ハル 「あぅぅ…上手く着けられない…」

焦りと、波の中とあってうまく着けられないらしい。

 ハル 「お、お兄ちゃん、結んで」

ハルがこちらに背を向けてきた。
突然 目の前が、ハルの背中の肌色で埋め尽くされる。

 シュウ 「マジか…。ヒモ同士を結ぶだけでいいんだよな」
 ハル 「うん…」

もじもじと動くハルの背中越しに声が聞こえてくる。
俺はハルの大きな体の左右からウミヘビのように伸びている二本のヒモを手繰り寄せると、それをグイと引っ張って結び合わせる。
だがこれが、なかなかに重労働だった。ヒモは大きくなっているゆえに指で摘まむのではなく手で掴まねばならない。そして、力を込めてヒモ同士を引き寄せあうのだが、それぞれがもの凄い重量で、引っ張ってもすぐに戻ってしまうのだ。
どうやら4倍ほどの大きさに巨大化してしまったハルの胸の膨大な重量に加え、それが波に揺れたぷんたぷんと動くせいで引っ張られてしまうようだ。
ビキニのヒモひとつ結べないのか…。

 シュウ 「ハル、胸押さえててくれ…」
 ハル 「あ、ごめん…」

顔を赤くしたハルは自分の胸をぐいと押さえつけた。
するとヒモはすんなりと結ぶことが出来た。
とりあえずは、これでいい。
しかし、

 シュウ 「小さくならないな…」

俺は未だ4倍サイズのハルの顔を見上げた。

今回のハルは対痴漢用のアイテムのせいで大きくなっている。羞恥やら性的理由が原因だ。
で、この手のアスカのアイテムは大抵それらの感情を発散させたときに解除される。
つまり…

 ハル 「ここでしないといけないってことだよね…」
 シュウ 「だよな…」

ハルのため息が俺の顔に突風のように吹き付けられた。
アスカを呼びに行ったりスマホを取りに行ったりする時間は無い。ハルを一人にするのも不安だ。なら、そう言うことになるのだろう。

 ハル 「お、お兄ちゃんも手伝ってくれる? ひとりだとちょっと…」
 シュウ 「そ、そうだな…」

こちらを意識していないとはいえ、流石に公衆の面前でオナニーするのは気が引けるのだろう。
俺としてもハルを元に戻すためならは、致し方無いと思った。

いなや、ハルは俺の高等部に手を添えると、やや上を向かせ、そして俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
唇を重ねた、というには少し語弊がある。ハルの唇は俺の顔を半分ほど覆ってしまったのだから。
今のハルが4倍なら俺の体は4分の1の42.5cm。床に立ったハルの膝の高さとほとんど同じだ。そして顔の大きさはおよそ6.25cmになる。市販の卵くらいの大きさだ。ハルからすれば卵にキスしているようなものだろう。
だが俺からすればハルの唇を押し当てられたことで顔の半分は隠されてしまう。海に長時間使ってなお熱い唇の温かさとしっとりとした感触に、顔の半分が埋まる。
巨大な唇が吸い付いてちゅぱちゅぱと音を立てる。そのたびに俺は頬の肉や唇をひっぺがされそうな吸引力を受けた。
わずかに顔を出してきた巨大な舌は当然 俺の口には入らなかったが、それでも強引に侵入を試みた舌先のせいで俺の口の中はハルの唾でいっぱいだった。

俺の顔面を舐め尽したあと、ハルの大きな顔は俺から離れていった。
唾まみれの顔をぬぐったあと見上げたハルは目がとろんとしていた。
スイッチ入るの早いな。

そのあと、俺の目の前にあったのは、波間にプカプカ浮かぶ巨大な乳房だった。
もはや俺の顔なんかよりもはるかにデカい。両手を広げて、ようやく乳房の片方に抱き着くことが出来る。重量感たっぷりに浮かぶそれはたとえ片方でも持ち上げることはできないだろう。
そんな乳房の右胸に、さきほど俺が拾ってきたビキニに包まれる右胸に、俺は抱き着いた。
やわらかさもあるが十分な張りもある。抱き着けばわずかにへこむがそれ以上に強い弾力で押し返され、抱きついても乳房を変形させることはできない。
抱きついたビキニの生地には、その向こうにある硬いものの感触がはっきりと感じられた。そこにあったはずのニプレスは、さきほど水着が取れてしまったときに一緒に流されてしまったのだろう。
青い強靭な生地にビンと天を張るほどに力強くハルの乳首は勃起している。波にゆらゆら揺らされるせいで乳房に抱き着く腕にも力が入らないが、俺はハルの硬く勃起した乳首に、水着越しに噛みついた。
ハルにとってもそれは甘美な刺激だったのだろう。ハルは小さく喘ぎ、左手で左胸を水着ごと揉み、右手を股間に忍ばせている。
ハルはそれぞれの手で違う場所を攻めることができる。しかし俺は全身を使っても乳房ひとつが限界だ。だからそこに全力を注ぐ。
水着越しに手をぐりぐりと押し当てたり、両手で掴んで捻じ曲げようとしたりした。
ハルの乳頭が本来直径1cmくらいなら今は4cmくらい。缶ジュースの缶くらいの大きさだ。口に含むのは難しいが、だからこ力を込めて歯を立てられる。

俺の動きに合わせて左胸と股間をいじるハルの手の動きも加速した。
直後、ハルが体を強張らせる。
すぐに、ハルがイったのだとわかった。
しかしハルの大きさは変わらない。まだ、満足できていないからだ。

 ハル 「お兄ちゃん…」

ハルがモノ欲しそうな声を出しながら見下ろしてきた。
意図を察していた俺は海中に潜った。

広い広いハルの腹の前を通り、水深数mの位置まで潜る。
到着したのはハルの股間の前。俺が到着すると同時、ハルの大きな手が現れ股間を覆っていた水着をずり下げた。
海中でむき出しになるハルの股間。整えられた陰毛が、波で海藻のように揺れる。

ハルも本来ならここで結合することを望んでいただろう。
しかしここは海中だ。長時間は保てない。だから俺はハルの股間によると、マンコに右腕を突っ込んだ。
すでに一度絶頂を迎えているハルの膣は俺の腕をやすやすと呑み込んでいく。ハルの中は熱くべっとりと濡れているのが腕全体に感じられた。俺の腕は、ほとんど根元までハルのマンコの中に消えている。

腕を突っ込んだ俺はその腕を前後に動かし始めた。出したり入れたりのピストン運動。ハルの熱くてやわらかくてブヨブヨした膣内を爪を立てるように掻き毟ってやった。
するとハルの膣が一気に締まり俺の腕をギリギリと締め上げてきた。指一本動かせないほど凶悪な圧力が腕全体を包み込む。こんなに締め上げられては血圧も計ることができない。
それでも俺は膣の力が弱まる瞬間を狙って腕を動かし続ける。俺の息が切れるか、ハルがイクのが先か、時間との勝負だった。

その結果は、俺の勝ちだった。


  *


なんとか元の大きさに戻ることが出来たハル。
ただ2回イッて体に力が入らなかったので、浮き輪に入れさせて牽引して浜まで戻ってきた。
見れば他のメンバーはシートに集まって休憩している。アスカがレンタルしたのであろうゴムボートもそばに置いてあった。


ハルが放出した大量の愛液は海で洗い流されている。バレることは無いだろう。
ハルの顔がやや赤く、歩き方もおぼつかないが、多分大丈夫だろう。
むしろ、色々あってギンギンになったまま、それを発散する暇が無かった俺の股間がヤバイ。やや前かがみで、隠しきれるだろうか。

そうやってシートに近づいていくとアスカが手を振った。

 アスカ 「おかえりー。って二人ともなんか変だね? だいじょぶ?」

アスカが首を傾げ、立ち上がり駆け寄ってくる。
一目見ただけで気づくとは流石だと言わざるを得ない。

 シュウ 「なんでもない。ちょっと疲れただけさ」
 アスカ 「そう? ならいいけど。……あ」

俺の方に駆け寄ってきたアスカが砂に足を取られ前に向かってすっころんだ。
ガッ! その途中で、前に突き出されていた両手が俺の水着を掴む。
ズルッ!! そして転ぶ勢いのままに、一気に足元までズリ下ろした。

 シュウ 「ぬぉっ!?」
 アスカ 「あ」
 ハル 「あぁ!」
 コノハ 「おー」
 ヤマト 「うぇ…っ!」
 ヒメ 「あら♪」
 ミナミ 「えええええ!」

ズリ下ろされた衝撃でブンブンと揺れるギンギンのちんぽが、6人の眼前に公開された。
直後、



  ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!



6人が1000倍に巨大化した。
瞬間 ビーチのほとんどが彼女たちの尻や体の下敷きとなった。
砂浜にいた他の観光客は巨大化したヤマトとヒメとミナミの尻に巻き込まれ、伸ばされていたコノハの脚は海とは反対にあった住宅街に向かって勢いよく伸び大量の家々をその逞しい巨脚の下に巻き込んで押し潰した。
海の方はハルが巨大化した際に侵入した足によって大渦が発生し、そこに浮いていたすべての人々を海の藻屑へと変える。

6人が巨大化しただけで、ビーチは完全に壊滅していた。

 アスカ 「いやー。もうオイルは海水で洗い流されてほとんど効き目が無かったはずなのに一瞬で全員1000倍まで巨大化させちゃうなんて、シュウのギンギンおちんちんのパワーはすごいね」

すっころんだ状態から体を起こしたアスカが胸に着いたビーチの大半の砂を払い落としながら言った。
俺はと言えばアスカの手の指先の上に乗せられていた。すんでのところでアスカに掬い上げられたのだ。でなければ、6人の誰かの体の下敷きになっていただろう。

 ハル 「はぁぁ、ビックリした…」

僅かに頬を染めているハルがアスカの前に座り込み、その指先の上に俺がいることを確認する。

残りのメンツは、
ヤマトは顔を真っ赤にして俯いており、コノハは「ほー」と感心したような顔をしており、ヒメはニコニコ笑っており、ミナミはポカンとしたまま固まっていた。
4人が4人、それぞれ衝撃を受けていたようだった。

俺はアスカの指の上、こそこそと海パンを履きなおす。

 シュウ 「で、でもどうすんだよコレ…」

指の上から身を乗り出して見下ろすと、ビーチだけでなく、周辺の町にまで被害が出ているのが分かった。
それだけ、6人の巨大化の衝撃がすさまじかったのだ。

 アスカ 「どーするって言っても、まずは元の大きさに戻らなきゃだけどそのためには気持ちを発散させなきゃいけないし。シュウ、全員相手できる?」

無理。
先ほど4倍のハル一人でも手いっぱいだったのだ。
1000倍の巨人を6人も相手するなんて不可能である。
ていうかそもそも手ぇ出せるか!

 アスカ 「じゃあしょーがないっしょ。巨大化するときスマホは持ってなかったし、なら気持ちが落ち着くかオイルの効き目が切れるまで時間潰せばいーよ」

そうして6人は偶然ミナミが持っていた故に一緒に巨大化していたビーチボールで遊び始めた。
ボールが跳ねるたびに誰かが走り、そのたびに1000倍サイズの巨足が地面に振り下ろされる。
主に波打ち際で行われていたが、それは1000倍サイズの6人にとっての話で、実際は沖合に数kmも進むときもあれば、内陸に入り町の中にまで侵入することもあった。
足が海に入っていればその巨大な足によって海が激しくかき混ぜられ海岸に津波が押し寄せ、陸に踏み下ろされれば家々を踏み潰し町の中に巨大な足跡を残す。
6人の大巨人がビーチボールで遊ぶ様を背景に、海岸沿いの町の人々が悲鳴を上げながら逃げ出していく。泣き叫ぶ人々の背後では常に大巨人の足音と楽し気な笑い声が轟いていた。

6人は足元の事をまったく気にしていない。そこに逃げ出そうとする人々の集団があろうと平気で足をおろす。それともボールに夢中で足元を見ていないのか。
ミナミがボールを取り切れず尻もちを着いたとき、そこにいた人々は空から落下してくる水着の巨大尻を見てどう思っただろう。
コノハがヘッドスライディングで飛び込んだとき、広大な範囲が 押し付けられた乳房の津波に巻き込まれてすり潰された。コノハはすぐに立ち上がって体勢を直したが、そのときゆっさゆっさと揺れる乳房を包む水着にいくつもの家や車が押し込まれ挟まっているのには気づいていなかった。
ヒメは足元の小人に気づいていて、むしろわざと取りにくいボールを飛ばし他のメンバーを人々の上に転ぶよう仕向けている節がある。
ヤマトも気を遣っているようではあるがボールを見上げるために地面を見られず、さらに運も悪いのか、なぜか学校や病院など重要な施設ばかり踏み潰していく。

そのうち、軍も出撃してきた。
しかし陸の戦車などは6人が歩き回る際に次々と踏み潰され、海の船舶は巨脚によって巻き起こされた大波で転覆し、空の戦闘機は6人の巨大な身体に激突して砕け散った。
意識して殲滅するまでもなく、6人がビーチボールで遊ぶ最中で軍はいつの間にか全滅していた。

その様子を、砂浜の俺たちのシートの上から見上げている俺。
アスカがこのシートの上に俺を降ろしたのだ。
絶え間なく揺れが発生し、砂浜の砂は巻き上げられ、波は津波となって襲い掛かるも、このシートの上だけは無事だった。
12個の巨大な足も、このシートだけは絶対に踏みつけなかった。
俺にできることは何も無い。俺はクーラーボックスの中から飲み物を取り出し、聳え立つ6人の巨人を見上げながら一気に呷った。



ようやくオイルの効果が切れた時には陽は沈みかけ周辺の町は完全に踏み尽くされていた。