※破壊系。金髪碧眼青ビキニのむっちんぷりんでぱっつんぱっつんとか大好きです! エライ条件絞り込んでるけど。
 ただやりたかっただけなので、ストーリーとか気にしないように。



 「 超巨大水着美少女侵略? 」



それに最初に気付いたのは演習中だった軍の船だった。
ソナーに突然の反応。巨大な何かが船の直下にある。
担当は慌てて上官に申告しようとしたが、その時にはすでに事態が進行し始めていた。
直後、船底部に何かがぶつかった、と思えば船はそのまま海上に持ち上げられ始める。船の真下の海が盛り上がっていく。
大量の海水を押しのけて海中から浮上してくる何かは、全長100m近い船を軽々と押しのけ、そして渦の中で転覆させた。
数百人の乗員を乗せた船はあっという間に海中に消え、代わりに海中から巨大な頭が顔をのぞかせた。

  *

海沿いの街の人々がそれに気づきざわめき始める。
遙か海の向こうに、人間が立っているからだ。
目測でどう見ても、あの辺りで足が着くとは思えないのに、そこには人間の上半身が見えていた。

巨人だ。
女の巨人だ。
腰ほどまで伸びる金髪。
青いビキニで、その大きな乳房を申し訳程度に覆っている。
この陸地に向かって進んできているようだった。
上半身しか見えなかった姿が、だんだんと下半身まで見えるようになってきた。
むっちりとした太ももでザブザブと海を割りながら歩いてくる。

だが待て、まだ巨人はあんなに遠くにいる。なのに何故、すでに体のほとんどが見えているのだ?
住民たちはすでに上の方を向き始めていた。巨人の姿を見上げ始めていた。なのに巨人は、まだ海の中にいるのだ。
気づけば埠頭には巨人の足が巻き起こした波が津波になって押し寄せ始めていた。
小さな船が転覆し波に攫われていた。

人々は、あまりに現実離れした光景に呆然とし我を忘れてしまっていた。
一部の人間がこの異常を危険と悟り逃げようとし始めたときには、海から引き抜かれた足が彼らの上に振りかざされた時だった。

  *

すぐに空軍がやってきた。
すでに演習中の軍艦の異常を受けて出動していたのだ。

戦闘機のパイロットたちは、視界に飛び込んできた光景に背筋が冷たくなった。
ありえないほどに巨大な人間が街の上に足を踏みおろしそこに立っていた。
高高度を飛んでいるからこそ、その異常さが際立つのだ。
巨人の全長は1600mはあるのではないか。
長い金髪と青いビキニを纏った姿は非常にグラマーだ。だが興奮を覚えるような余裕はない。
顔にはまだあどけなさが見え、巨人の女が少女である事をにおわせる。
目をぱちくりとまばたかせ、きょとんとした表情で辺りを見渡している。状況が呑み込めていないのか。

だがそんな巨人の表情とは裏腹に、その足元では街が壊滅的被害を被っていた。
埠頭は巨人の起こした津波によって洗い流され海に引きずり込まれ、足が下されたことで多くの建物が倒壊している。
周囲に見える家やビルなどの大きさと比べてもその足は巨大だった。巨人の大きさから見るに240mはあるだろう。
いったいどれほどの区画があの足によって踏み潰されたというのか。

すでに攻撃許可は出ている。
戦闘機たちは巨人の周囲に展開し攻撃を開始した。

  *

俺は目の前に展開された光景の異常さに思考が停止しかけていた。
なんだこれは? こいつは人間なのか? こんな巨大な人間がいるのか?
その身長の高さは山のそれだ。天然自然の創造物でようやく到達できる高さだ。
人間には作れぬ高さの建造物。つまりこの巨人は人が作ったすべての建築物を見下ろせるという事だ。
俺たちが飛行機という文明の利器を使いようやく昇って来れる高さを、この巨人は自分の脚で立つだけで到達している。
恐ろしいほどの大きさだ。
人間が、一人の少女が、ただ立つだけで低めの雲にまで届いている。
その巨人は周囲を飛ぶ俺たちを目で追いかけ始めた。まさに目についたのだろう。
動きは有機的で非常に滑らかだ。ロボットとかそういうものの類ではない。青い瞳が目の前を飛び交う戦闘機を追ってはまた別のものに目移りしている。
俺は少し離れたところを飛んでいたので気づいたが、そうやって俺たちを目で追いかけるために巨人が動くとき、足踏みするように動かしたその足の下で街が踏み潰されている。
高層ビルも普通の家も関係なく、あの巨大な足はそれらをぐしゃりと踏みつぶし周囲に砂煙を巻き上げていた。
足を動かすほどに新しい場所が足の下敷きになった。街が壊滅してゆく。巨人がわずかに動くだけでだ。
まだ逃げ遅れている人がいるのだろうか。だとしたら真上にあんな巨大な足が掲げられれば逃げられようはずもない。
逆算すれば、彼女が普通の人間サイズだとすれば俺たちは2mmもないゴマ粒のようなものだ。あの足の指ですら見上げるほどの巨大さだ。家の屋根の上に立ったとしても、指の方が大きいだろう。
彼女は目の前を飛び交う戦闘機に夢中だが、足元に街がある事を気にしている素振りは見せない。自分が街の上にいる事も、無数のビルと家を踏み潰している事にも気づいていないのだろう。
人々は、自分たちがそこに存在していると気づかれる事も無く踏み潰されているのか。

そうこうしているうちに俺も巨人へと接近していた。
背後から時計回りにぐるりとまわりこみ、あの恐ろしく長い金髪のカーテンを終えて体の前面部に回り込もうとしていた。
近寄ってみると改めてその巨大さがわかった。先ほどまで視界のほとんどを空の青さが占めていたのに、今はその前面を肌色が埋め尽くしていた。これがすべて巨人の肌なのだ。体全体のたった一部分でしかない。それだけで、このコックピットから見えるものすべてを埋め尽くしてしまえた。
俺は今、巨人の胸の横を飛んでいた。あり得ない大きさだ。この視界を埋め尽くすものは乳房なのだ。
巨人の巨大さを抜きにしても大きな乳房。人間にすれば90cmの後半か。そんな乳房は今、俺の前に山の様な威圧感を放って存在していた。
その大きさはおそらく980mにはなるだろう。1km近い胸囲があるということだ。
グラマラスな体型が相まって、胸板から肉の球体がぶら下がっているように見える。直径数百mにはなるだろうか。
なんと片方の乳房だけで100万tもの重量がある。その中に格納された膨大な量のミルクはタンカー数隻を満杯にしてしまうだろう。
だがそんな乳房の絶大な重量も、巨人の総重量およそ5000万tに比べれば微々たるものだ。人類の規格外の重さと言っていい。人間の作ったものに、彼女よりも重いものはないのではないだろうか。
そんな巨体に踏みつけられて、形を保っていられるものなど無い。あの巨人が踏んだものはすべてぺちゃんこに潰されてしまうのだ。

そして俺はといえばその巨大な乳房の周囲をぐるぐると周回して飛行していた。恐ろしく巨大な乳房の魅力に惹きつけられてしまったようだ。女性の魅力の一つである乳房は、こんな巨大になっても男を引きつけるらしい。乳房と言うただ一部分が、俺の視界を埋め尽くすほどに大きい。逆だ。こんな巨大な乳房の前には俺なんてゴミのようなものだ。蟻の一匹にも劣る。仮に俺があの乳房にへばりついたとしても、この巨大な少女は気づきもしないだろう。俺が不躾無礼にその乳房の表面に顔を押し付け舐めまわしたとしても、少女の皮膚はその事を脳に伝えたりしない。もしかしたらちょっとした感触程度は感じるかもしれないが、それも少女にとっては、そこに手を伸ばしポリポリと掻く程度の感触にすらならない。敏感な皮膚のちょっとした感触、俺の全身全霊の無礼な行為はその程度におさめられてしまう。これがこの巨大な少女と俺の差だった。俺と言う存在の全力は、少女に気付いてももらえないのだ。
そんな妄想が俺の頭の中を駆け巡った。出来る事なら今すぐこのコックピットを飛び出してそうしたい。例え自分が両手を広げようとまったく覆う事の出来ないこの巨大な乳房をこの手に触ってみたい。俺は任務を忘れて少女の乳房を眺めていた。まるで惑星の周囲を回る衛星のように、少女の胸の周囲を飛び続けた。この巨大な乳房は少女が僅かに身を動かすのにつれてゆっさゆっさと重々しく揺れる。重厚感とやわらかさが、その動きだけで感じられた。凄まじい抱擁感を醸し出している。もしも彼女が俺と同じただの人間サイズだったなら、俺は決して彼女を手放しはしないだろう。この手の中に抱きしめて二度と放したくない。それほどに少女が愛おしくなっていた。他の連中が何故この少女を攻撃するのかわからない。ミサイルや機銃が次々とこの少女のさらされた美しい素肌に命中している。無線で彼らにありったけの罵詈雑言をぶつけてやりたかった。
だがその直後、彼女を攻撃していた連中は彼女の巨大な手によってはたき落されてしまった。少女が、目の前を飛び交う虫を嫌ったのだろうか。あの恐ろしく長く恐ろしく巨大な左手が動くたびに仲間の戦闘機が次々と落とされてゆく。戦闘機が飛んでいたところを巨大な手が通過すると、あとには何も残らないのだ。戦闘機は消えてしまった。少女が手の甲で払いのけ、戦闘機はその手の甲に激突し粉々に砕けバラバラになって地表に落ちていった。俺は丁度少女の左側を飛行していた。巨大な腕が大気をかき混ぜ凄まじい突風を巻き起こしながら俺のすぐ近くを通過した。機体がコントロール不能になる。このまま落下するのか。残っているのは俺と、俺よりもさらに左を飛行する一機だけだった。直後、

  ズドン!

凄まじい衝撃が戦闘機右舷から衝突し、俺は意識を失いかけた。俺は消え入りそうな意識の中で、これは少女の手によって叩き落とされたのだと思った。が、それは間違いだった。少女の手によって叩き落とされたのは左舷のもう一機の戦闘機の方で、俺は、少女がその一機を落とすために左を振り向いたとき、一緒に動いてきた巨大な左胸に激突されたのだ。巨大な乳房は底を飛んでいた俺の戦闘機を軽々と吹っ飛ばし、俺の戦闘機はボロボロになって落ちていった。手のひらほどの衝撃はなかったのだろう。あの柔らかな乳房だからこそ、この程度で済んだのだ。手のひらで粉砕されることは無かった。だが壊れた事に変わりは無い。すでに操縦をできず、またできたとしても飛ぶ事など出来ない戦闘機は地面に向かって落ちていった。あの恋い焦がれた巨大な乳房に跳ね飛ばされ叩き落とされた。意識を失う直前にそう考えられた俺はある種の幸福で満ちていた。気を失いながらも幸福に包まれたまま俺は地面に墜落した。

  *

周囲を飛ぶ戦闘がうっとうしくなりそれらを払い落とした少女だが、最後の一匹と思わしき虫を落としたとき、自分の左胸に何かが触れたのを感じだ。
「?」何かと思って見てみれば、例の黒い虫がひゅううううと落ちてゆく。今、自分の乳房にぶつかったのだろうか。胸にぶつかって落ちてしまうとは。ちょっとその虫がかわいく思えた。
少女は左手を伸ばすとその落ち行く虫を優しく受け止めた。
目の前まで持ち上げてその小さな虫を観察してみる。ボロボロだが、まだ生きているように思えた。
すると何を思ったのか、それを見てくすっと笑った少女は右手で右胸を支えているビキニのトップをずらし、左手に乗せていた戦闘機を出てきた乳首の上に乗せるとビキニを元に戻した。戦闘機は、あの巨大な青いビキニの向こうに隠れてしまいもう外からは見えなかった。
戦闘機を入れた右のビキニのトップを優しく撫で、少女は再び笑った。
ここに入れておけば落としてしまう事は無い。
よくわからない虫も落とし終えたし、なんか妙にかわいく思える虫も手に入ったし、少女は意気揚々と歩き始めた。
戦闘機を乗せた胸をゆっさゆっさと揺らしながら。

  *

空軍は全滅した。彼らという存在と命は巨人の足止めにしかならず、またその足止め自体も意味としてはあまり意味が無いものだった。
結果として巨人は巨大な足でその港町をぐしゃぐしゃに踏み潰してしまった。
空軍が街の上で巨人を足止めしてしまったためだ。
街の上で振り向いたり歩いたりしたために、ただ通過するだけの場合よりも数倍ものダメージを被った。

そして巨人は今、自分が今その足の下に何を踏んでいるのか気にした様子も無く、内陸に向かってズシンズシンと歩を進めている。
なんと時速4000km。音速を超えた速度で日本を横断していた。
こんなにも巨大な人間がこんなにも速い速度で移動すれば、その巨体を追いかけるように凄まじい量の大気が掻き混ぜられる。
竜巻などが発生していた。
雲さえかき分けて歩いていた。
この速度は日本海側から太平洋側まで10分とかからず横断できる速度だ。
恐ろしい速さである。人間が歩こうが車に乗ろうが同じことだ。ジェット機でさえ追い抜かれてしまうかもしれない。
人々が巨人の襲来に動き出す前に、巨人はそこに到達しているのだ。
上空から、地面を踏むことでちょっと薄汚れた巨大な足の裏が迫り、街をズシンと踏み潰して、遥か彼方へさってゆく。途中、いくつもの街や村が踏み潰され壊滅した。まるごと消え去ってしまったものもある。
だが少女自身は、冷たい風を肌に感じ、長い金髪を靡かせて、気持ちよさそうに歩いているだけだった。

その目はきょろきょろと常に辺りを見渡している。
何かを探しているようにも見えるが。

とその時、少女の顔の前で爆発が起きた。
驚いた少女はバランスが崩れ尻餅を着いてしまった。
そのせいで、少女の青い水着に包まれた巨大なお尻は、直下にあった街を押し潰し吹き飛ばしてしまった。

爆発は、軍の用意したミサイルである。
少女の前方にはたくさんの戦車が並び、少女の襲撃に備えていた。
しかしその戦車は、今少女が尻餅を着いたせいで総崩れになっていたが。

凄まじい砂煙を巻き上げながら尻餅を着いた少女。
脚は軽く開かれ、両手は背中側に回され体を支えている。
つまり戦車たちの目の前には脚をM字開脚した少女が尻餅を着いているのだ。
戦車たちは、ほとんどその足の間にいるようなものである。
恐ろしく魅惑的な光景が目の前を埋め尽くしていた。

そんな少女に、戦車たちは次々と砲弾を放った。
周囲からもミサイルが飛んでくる。
だが少女は、どちらも気にしたそぶりは見せなかった。
ただ目の前の更地に、豆粒の様な戦車が並んでいる事に興味を示したようだ。

少女はそのまま四つん這いの姿勢になり戦車たちに詰め寄った。
ズシンズシンと大地がグラグラ揺れ、戦車たちは揺れに翻弄されて動けなくなる。
目の前の頭上、胸板からぶら下がる山のように巨大な乳房がぶるんぶるんと揺れていた。

そして少女は戦車隊に片手を伸ばすと、その人差し指の先に戦車を捉え、そのまま地面に押し込めてしまった。
戦車の一台が、あまりにも簡単に潰されてしまった。
指が地面から抜けたとき、そこには大穴があるばかりで戦車の姿はどこにもなかった。
あっという間に、20mもの地下に埋められてしまったのだ。

戦車たちは慌てて反撃を開始したが、それはただ少女を喜ばせるだけに終わった。
にっこりと楽しげに笑った少女は次々と戦車を押し潰し始めた。
まさに豆粒のように、指先に小さな戦車をちょんと捕える。
それだけで戦車は動けなくなってしまう。
そしてそのままゆっくりと戦車を押さえつける指先に力を込めるのだ。
戦車の小さな車体はメキメキと音を立て始めるが、中にいる人間は天蓋を巨大な指先によって押さえつけられてしまって外に出る事が出来ない。
彼らは狂ったように悲鳴を上げて天蓋を叩いた。
だがやがて戦車は指の圧力に負けて指と地面の間でぷちりと潰されてしまった。
それが、戦車が半数以下に減るまで繰り返された。

残りの戦車も似たようなものだ。
ハイハイの状態から先ほどの尻餅を着いた格好のような座り方に座り直した少女は、今度は足を使って戦車を潰し始めた。
土に汚れた巨大な足の裏が上空に掲げられ、戦車に逃げる暇を与える事無く踏み潰し、そこに巨大な足跡を残した。
ズシンズシン!
両足をパタパタ動かして次々と戦車を踏み潰してゆく。
ときにその巨大な足の親指と人差し指の間に挟まった戦車を、指を動かしてゆっくりと磨り潰した。
その戦車はまるでアルミ箔のように薄く平らに伸ばされてしまった。
摘まみ上げた戦車をそのまま指の間で挟み潰したり、手のひらに乗せた戦車をデコピンでペチっと弾き飛ばしたりした。
遊んでいるのだ。
少女を迎え撃つために展開した戦車たちを使って楽しんでいるのだ。
少女は今、くすくすと笑いながら戦車をデコピンで弾き飛ばした。
硬く巨大な煌めくような爪に激突された戦車はぐしゃりと潰れながら数千mもの彼方へ飛んで行ってしまった。

  *

「くそ! くそっ!」

俺は戦車の中で悪態とついていた。
覗き見たスコープの向こうで、地面に座り込んだ巨大な女が、仲間たちの戦車を次々と潰しているのが見えた。
あの巨大な手や指を攻撃しまくったが、それは微塵も怯むことなく仲間の戦車を摘まみ上げ、そして指の間で捻り潰した。
俺の乗る誇り高い戦車が、ただのひとりの少女を前に全くの無力だった。

「もっと近づけ! あの女の体に直接叩き込んでやる!」

俺は戦車の操縦桿を握る仲間に叫んだ。
だが戦車は動かない。
見ればそいつは恐怖にガタガタと体を震わせていた。

「何やってる! 動かせ! 狙い撃ちにされるぞ!」

俺は罵声を浴びせたが、仲間は動かなかった。
目の前で圧倒的な力の差を見せつけられて、馬鹿になってしまったようだ。
座席から飛び上がった俺は仲間の胸ぐらを掴み揺さぶろうとした。
だが、胸ぐらを掴んだ直後、仲間の拳が俺の頬を殴ったのだ。
仲間は悲鳴を上げ、天蓋を開けると外に飛び出して行ってしまった。逃げ出したのだ。

「ま、待て!」

俺も慌てて天蓋から顔を出したが、仲間はわき目も振らず逃げていってしまった。
恐怖に、使命感よりも自分の命を選んでしまったのだ。
決して間違っているわけではないが…。
が、直後。

  ズシィイイイイイイイイイイイイイン!

地面が凄まじく揺れた。
巨人が別の戦車を踏み潰すために足を踏み下ろしたのだ。
その大揺れであの逃げ出していた仲間は足を取られ地面を転がった。
が、次の瞬間、その凄まじい揺れによって地面に亀裂ができ、仲間はその中に呑み込まれ消えてしまった。
俺は歯を食いしばって車内に戻ると、先ほどまで仲間が座っていた座席に着いた。
この戦車は車体を動かす者と砲座に構える者ふたりがいて初めて機能するのだ。つまり、仲間がいなくなった今、俺が車体を動かさなければならない。
俺は桿を握る手に力を込めた。



ところが戦車が動かない。
さきほどの凄まじい揺れで地面の上を跳ね飛ばされたせいか、故障してしまったようだ。
もうこの場から動かせない。
まだ砲座の方は生きているのか? そうならば攻撃することは出来る。
俺はそちらの座席に戻ってスコープを覗き込んだ。
すると、あの巨人と目が合ったのだ。
巨大な手が、この戦車目掛けて近づいてきているところだった。
俺は慌てて引き金を引き、その手に砲弾を撃ち込んだ。
だがこれまでと同様、手は全くひるむことなく迫り続け、この戦車を捕えてしまった。
潰される!
俺は覚悟し目を閉じた。

 メキメキメキ!

車体が拉げる凄まじい音がし、車内が一気に狭くなった。
電子機器がバチバチとショートし、火花を散らした。
しかしそれ以上潰れる事は無かった。

「…なに?」

きつく閉じていた目を開きかけたとき、車体がギュン! と凄まじい速度で加速し俺は更に狭くなった車内の壁に叩きつけられた。
加速はすぐに収まった。俺は何が起きてるのか確認すべくスコープを覗き込んだ。だがそこには何も見えない。壊れてしまったようだ。
俺は天蓋を開け、ゆっくりと顔を出してみた。
するとそこには、青い壁が広がっていたのだ。
空ではない、巨人の、青い瞳だった。
戦車は巨人の目の前に持ち上げられていたのだ。
ぱちくりと、径10m以上もある巨大な目がまばたきしている。
その目の焦点がキュッと合う。天蓋から顔を出した俺を見つけたのだ。
俺は慌てて天蓋を閉じた。
直後、再び高速で戦車が移動し、そのあと、上下にガックンガックンと揺れ始めたのだ。
俺は戦車の車内で跳ね回り、全身にあざを作った。
壁という壁に叩きつけられていた。
ピンボールのように跳ね回る俺の体。しかしこの凄まじい揺れの中では、俺は痛みを叫ぶ余裕すら与えられなかった。
上下すらも無い。巨人が俺の乗った戦車を転がしているとしか思えない。
そして、天蓋が下に来たとき、俺の体はその天蓋をこじ開け、戦車の外に放り出されてしまった。
だがその直後地面にぶつかった。数mも落下しなかったのではないか。
軋む体を押さえ、痛みをこらえながら見るとそこは肌色の平原だった。目の前には巨人のあの巨大な顔。つまり俺は、手のひらに乗せられてしまったのだ。
そして上空には俺の乗っていた戦車とそれを摘まむ指。
つまりは、俺をふるい落とすために戦車を上下に振っていたということだろう。
見上げれば、巨人の巨大な青い瞳は、明らかに俺を捉えていた。

俺が手のひらに出てきたのを確認した巨人はにっこりと笑うと俺が乗っていた戦車を捻り潰し放り投げた。
そして手のひらの上の俺をじっと観察し始める。
凄まじい威圧感だった。
この何もない平原。それすらも巨人の手のひらの上であり、その上から巨大な瞳が俺をじっと見つめているのだ。
体中がビリビリと震える。これが、視線の力なのか。このまま見つめられていると、視線だけで磨り潰されてしまいそうだ。

やがて俺の体は、太さ15mもありそうな巨大な指で摘ままれた。
今にも潰れてしまいそうな凄まじい圧迫感。体がミチミチと音を立てた。
すでに十分に痛めつけられている俺は意識を失いそうだった。
このまま潰されてしまうのだろうか。それともペロリと呑み込まれてしまうのだろうか。
指の間に摘ままれては、もう外の様子をうかがうことは出来ない。

だが直後、その指が消え去った。
俺を、解放したのだ。
だがそこに地面は無く、俺は空中にいた。
途端に落下し始める俺の体。
そしてその落下の先では、少女が自分のビキニのボトムをぐいとひっぱり、股間との間に隙間を開けていた。
俺の体は、あの茂みが生い茂る少女の水着の中に向かって落下しているのだ。

「うわああああああああああああああああああ!!」

俺の悲鳴は100m以上もの距離を落下する間ずっと発せられていた。
やがてそれは俺の体と共に少女の股間の茂みの中に消え、それを確認した少女はボトムを元に戻した。

  *

立ち上がった少女は残りの戦車を残らず踏み潰した。
これでもう、攻撃してくるものはいない。
少女は空に向かってん~っと伸びをした。大きな乳房がぐいと突き出される。

その時少女は、遠くの空にピンク色の煙が昇っているのを確認した。
それを見た少女はほっと胸をなでおろしてそちらに向かって歩き始めた。
足の下には、やはりたくさんの街を踏み潰しながら。

  *

少女は泳いでいて日本に流れ着いてしまっただけなのだ。
いわば迷子だった。
だが少女に場所を知らせるための狼煙を見つけ、仲間がいるであろうそちらに向かって去っていったのだ。

少女としてはちょっと陸に上がって休憩しようとしただけのこと。
だがそれだけで、多くの街がぐしゃぐしゃに滅ぼされてしまった。
しかし少女はと言えば、その迷子のおかげで小さなおもちゃを二つ手に入れる事ができご機嫌だった。
帰ったら何をして遊ぼう。
それが自然と少女を笑顔にし、嬉々として足もとの街を踏み潰させた。