※気づかない破壊系。
「 炬燵の上 」
「ただいまー」
「あ、おかえりなさーい」
「うーやっぱり外はまだ寒いね」
「あはは。早く奥に行って温まりなよ」
*
街は突然夜になった。
いや違う。何か巨大なものが街上空を覆ったのだ。
何が起きたのか。
人々がそう考えたときには、それは街を押し潰していた。
*
「はぁ~あったか~い」
両脚と両手をコタツの中に突っ込みそこに感じるぬくもりにふぅと息を吐き出す。
そのまま体をコタツのテーブルの上にのしかかるように倒した。
楽な姿勢だった。
大きな胸がテーブルに押し付けられていた。
*
この時、少女の大きな乳房の下で街が押し潰されていた。
毛糸のセーターに包まれたそれは何もしていなくても大きく盛り上がり、柔らかく伸びるセーターの生地は大きな胸の形をくっきりと表している。
テーブルの上には10万分の1の大きさの街が広がっていた。
100mの高層ビルでさえ1mmになってしまう大きさだ。
まず、少女がコタツに入った時点で、テーブルの淵近くの街の上空を、胸元からドンと飛び出た大きな胸が占領した。
人々が感じた巨大な物体とは、少女の大きな乳房の下乳だったのだ。
そして少女はそのまま倒れるようにテーブルに体を預けた。
結果、その大きな胸がそこにあった街に押し付けられた形になる。
街のなにもかもが、雲よりも高い上空から隕石のように下降してきたとんでもなく巨大な胸の下敷きになって押し潰された。
胸のトップは胸板から15cm以上も飛び出ているような巨乳なのだ。
セーターの生地を押し上げできた盛り上がりは山の様な大きさで、街の人々から見ればまさに山が落ちてきたようなもの。
街が10万分の1に縮んでいるのなら押し付けられた胸の横幅は30km以上になる。
セーターのまるっこい盛り上がりは、片方だけでも街の都心部を丸ごと潰してしまった。
ビルなどいいとこ1mm2mm。住宅街にある普通の家なんて0.1mmもない。人間は0.02mmだ。
四捨五入して4000mの富士山も、少女から見れば4cmの小山。その胸板からぶら下がる大きな乳房の方が富士山よりも大きい。
人々は悲鳴を上げる間もなく押し付けられた途方も無い乳房によって潰され、彼らの血肉はセーターに染み込んで行った。
更にハミチチとして広がった胸はより広範囲を呑み込み、結果、街二つが丸ごと少女の乳房で押し潰されてしまった。
*
テーブルに突っ伏していた少女のところに、別の少女がお茶を持ってやってきた。
その少女が首をかしげる。
「あれ? その辺に街なかった? 縮めておいといたんだけど」
言われて体を起こしてみるとテーブルの上には二つのクレーターが残り、その周囲に小さな街の郊外がわずかに残るばかりだった。
街は、巨大な乳房を恐ろしいほどの重量で押し付けられたせいで直径20km超、深さも3km近い巨大なクレーターに変わっていた。
少女が身を起こしたとき、押し付けられていたセーターの盛り上がりから、その繊維の間に挟まった高さ100mほどのビルなどがぽろぽろと零れ落ちた。