「へぇ、ほんとにみんなちっちゃい。これが地球かぁ」

辺りを見渡すセーラー服の少女は周辺に乱立する高層ビルの何倍もの身長だった。
ほとんどのビルがローファーを履き黒いソックスに包まれた彼女の脚の足首ほどの高さしかなく、極めて高いものであっても膝の高さには到底届かなかった。
少女の大きさは1000mを楽に超えているのだ。

「え〜っと、勧告出してから10分待ったし、もう地球人もいないよね」

言うと少女は50mにも満たないビルの密集しているところに足を踏み降ろしながらズンズンと都心の街中を歩いていった。

 *

少女が現れ勧告が出された瞬間、街中が悲鳴と狂気の渦に叩き込まれた。
人々は一斉に少女とは逆の方向へと走り出した。
だが平日、この都心の全ての人々が同時に逃げ出そうとすれば、街は大変な大混乱に包まれる。
無数の人々が走り出し、無数の車が走り出し、街中のあちこちで事故が発生した。
人並みと人並みがぶつかり合い、屋外なのにまるで満員電車の中のようだ。
車などまともに走ることが出来ず、人々はその車の上をバタバタと駆け抜けていった。
そして、あっという間の10分。
未だ人々がごった返すこの街の中心目指して巨人が動き始めた。
黒光りするタンカーのように大きな超巨大なローファーがぐわっと持ち上がったかと思うとこの都心では比較的低い部類に入るビルが密集している部分へと下ろされていった。
しかしそこは、周辺のビル内にあった雑貨店などから逃げ出てきた人々であふれ帰っていた。
人々は、自分立ち目掛けて降りてくる超巨大なローファーの靴の裏を見上げ悲鳴を上げる暇さえなかった。
それほどまでにローファーはあっさりと踏み下ろされ、そして次の一歩のためにもちあげられていった。
少女にとっては前に進むためのたった一歩。焦らすことも溜める必要も無い。
足がどけられた後、そこにあったビルたちは原型も残らぬほど粉々に踏み潰され、周辺のビルもその衝撃で倒壊し瓦礫の山となっていた。
人々の姿などどこにも見当たらなかった。

 *

「もう誰もいないってわかってるから歩き易いなー。くす、今だけこの街は私ひとりのもの♪ なんちゃって」

自分のおかしな想像をくすくすと笑いながら少女は目的のものを探して都心を闊歩していた。
実際、人がいないわけがない。
街は依然、逃げ惑い混乱する人々で溢れかえっている。
だが少女から見れば砂粒のように小さい地球人がこのビルの乱立し視界の悪い街に溢れていたところで、少女には見えないのである。
地球人はすべて脱出したものと思っている。10分あれば可能だろうと。
10分。確かに少女の感覚での10分間ならそれこそ見えない距離まで逃げ切る事は可能だっただろう。
だが少女は、彼等が1000分の1の大きさであることを失念していた。
例えば彼等が走る速度を時速30㎞(100m12秒計算)で維持し障害物も何も気にせずに直線に逃げたとしても、少女にとってそれは10分で5m離れたに過ぎないのである。
10秒で約10㎝弱しか進むことが出来ないのだ。
それに追いつくのに一歩進む必要は無い。
というより10秒では地球人は彼女の足の長さすら走りきる事が出来ないのだ。
そして現実は無数のビルが乱立し人々で溢れかえる街中である。
走り逃げるなど、それ以前に前に進むことすら困難だった。
故に少女はもう地球人のいない無人の街と思っていたが、実際には 狂乱し逃げ惑うばかりになった人々が道路に溢れかえり本来よりも悪化した状況に陥っていたのだ。
そうとは思わずそこにいる地球人たちの上をスタスタと歩きながら少女はきょろきょろと辺りを見回していた。

「あ、これなんかいいかも」

少女の視線が、一本のビルへと注がれた。
周囲の低層ビルの中にニョッキリと背伸びしたそれは200mほどの超高層ビルのひとつだった。
ズンズンとそれに歩み寄った少女はしゃがみこむとそれを間近から観察した。
その間、そのビルを含む周辺は超巨大少女の作り出す影にすっぽりと覆われ、更にそこにいる人々からはしゃがみこみM字になった脚の間、ミニスカートの中を見れてしまった。
前面に対してオープンにされたそこはスカートの作る淡い影に包まれその白いパンティに現実的な演出を加える。
人々の見上げるそれは決して夢物語ではないれっきとした現実なのだ。
公開されている少女の股間だが、誰のそこまで手が届かなかった。
今、少女の下にある低層ビルでは、少女の股間までの高さは無かったからだ。
しかし、そのビルの屋上にいた人々は、空を埋め尽くすその圧倒的なパノラマに言葉を失っていた。
超巨大で広大なパンティ。
手を伸ばせば届きそうな、だがそれはあまりの大きさの差が生み出す錯覚の、凄まじい光景。
人々からは、それこそ生地の、繊維の一本一本まで見えそうな距離だった。
少女の股間を覆うパンティの幅は、このビルの幅よりも広かった。
そして左右には黒いローファーと黒いソックスを履いた超巨大な足。
間違いなく、このビルの一棟は、少女の脚の間に捕らわれていた。
少女はそのビルの表面にふれた。
ごつごつとしているが作りは繊細で、なにより太さがいい。

「うんうんいい感じ。…とっても、おいしそう」

くすりと笑った少女は立ち上がると履いていたパンティをするりと脱ぎ捨てた。
再び腰を落とすとパンティを横にあった別のビルにぱさりとかけてまた例のビルへと向き直った。
今、彼女の下の人々からはとてつもない光景を見ることができていた。
ミニスカートの中の薄暗い空間に少女の性器が完全にあらわになっていたのだ。
先ほど真下のビルから男達は歓声を上げたことだろう。そこにいたとしたら、だが。
そこにいた人々は、少女がパンティを脱ぐために立ち上がったとき巻き起こった風によって宙に攫われそのまま地面へと落ちてしまっていた。

  ズシン!

少女が腰を動かした。
あのビルに、一歩近づいた。さらに一歩。
ビルは、完全に少女の股間の前にあった。
高さ200m。これなら少女の性器にふれることができるだろう。ふれてしまうのだ。
この高さでもしゃがみこんだ少女の股間程度の高さしかない。
このビルの内部の人々はガラス越しに見える光景に恐怖し皆が我先にと下層へと下って行った。
しかしエレベーターも階段も無数の人間を許容できず望むような速度では動けなかった。
少女は少し腰を浮かしてビルの屋上を入口の位置に定めると、腰を落とした。
すでに準備はできている。じらす必要は無かった。

  ぬぷ…っ

少女の陰唇がビルの屋上を咥えた。
超高層ビルの屋上が、少女の性器に入れられた。

「んん…」

少女の微かなあえぎ声が街中に響き渡る。
ビルの硬い表面が少女の膣を刺激する。たまらない。
少女は更に腰を落とした。
ビルがどんどん少女の中に消えてゆく。
膣の中に飲み込まれてゆく。
陰唇から溢れる愛液がビルの表面を伝って地に落ちた。
ガラスの向こうに逃げ惑う人々の姿が見えたが、その階層もやがて陰唇に包み込まれ見えなくなった。

ビルのほとんどが少女の膣に消えた。
あふれ出る愛液はすでにビル全体を覆いビルの周囲に水溜りを作り始めていた。
辛くもビルから脱出した人々はその夥しい量の愛液の中で溺れることとなった。

程よい深さまでビルを挿入した少女は暫くその余韻に浸っていた。
まるでその形に感じ入るように。
そして腰はゆっくりと動き出した。
上下にゆっくりと。
腰が上がるのに伴って、今まで膣に飲み込まれていた部分がまた顔を出した。
ガラスが割れ、内部に愛液が侵入していた。
やや粘性のある洪水が内部へと侵入し、オフィスにあった机や棚を押し流しているのが見えた。
その部分はまたすぐに膣の中に呑み込まれ見えなくなった。

「あぅ……あぁ!」

少女の喘ぎに呼応するように大地全体が地鳴りを上げた。
腰を動かす動きで街が揺れている。
周辺では倒壊する建物まで現れ始めた。
そして少女の近所では、ビルが少女の陰唇を出たり入ったりするときのぐちゅっぐちゅっという音が響いていた。

ビル内部は次々と愛液に浸水されていた。
発生源は屋上の方にあるのだ。上層から次々とあふれ出ていた。
割れた窓ガラスから進入した愛液は周囲のものを押し流しながら下層へと向かってゆく。
人がどこにかくれていようと見逃されなかった。

ぐらぐらと凄まじく揺れ動くビルの中、資料室に隠れている者がいた。
無数の棚と書物の詰め込められた部屋の中、今は振動でほとんどの資料が床に散らばるが、彼女は部屋の隅で小さくなって震えていた。
だが次に振動が襲ってきたとき、部屋の壁の一部にヒビが入った。
更に同時に部屋のドアが吹き飛び、そこからあの愛液が流れ込んできた。
狭く他に出入り口もないこの部屋の中ではもう逃げることなど出来ない。
あふれ出てくる津波に呑み込まれ翻弄される女性。
この津波の正体がなんであるかなど女性には分かっていた。
これは愛液だ。
それも、自分よりも年下の女の子のものだ。
それが今、自分をこうして溺れさせている。
愛液は部屋にたまる一方で、外に流れでは行かない。
もうその水深は、足を着くことが出来ないほどだった。
ガボガボ…!
口に入ってくる嫌なにおいの愛液を吐き出しながら女性は泳ぎ続けた。
こんなところで、こんな惨めな死に方はしたくなかった。
その時、ヒビの入っていた壁が崩れた。
あまりの水圧に耐え切れなくなったのか。
これはチャンスだ。と、思ったのも束の間、壁の向こうからは更に大量の愛液が流れ込んできた。
部屋の中は一気に満水になり、水位は天井にまで届いた。
空気すら失った女性は、やがて動かなくなって底へと沈んでいった。

トイレの個室に隠れている男性がいた。
隔壁が降りた先のトイレには愛液は進入して来れないと踏んでのことだった。
その案は成功した。
トイレの中には愛液は入ってこなかった。
個室の中で男性は、早くこの災難が終わってくれることだけを祈り続けていた。
ところが、その個室に愛液が侵入してきた。
それは扉からではなく、天上のダクトとトイレからの逆流だった。
突然頭に振ってきた愛液とあふれ出てきたトイレの水に男性は悲鳴を上げながらドアを開き、トイレから逃げ出した。
だが男性がトイレから出た瞬間、降りていた隔壁をふっとばし、愛液の鉄砲水が彼に襲い掛かった。
廊下を走ってきた鉄砲水は彼を飲み込むとそのまま下層へと下っていった。

自分が性器に差し込んでいるビルの中でたくさんの人々が溺れていることなど露知らず、少女は自慰にふけっていた。
今は腰を上下に動かすのではなく、ぐりぐりと捻っている。
咥えられているビルを支点に少女の身体がぐりぐり動く。
へんな言い方をすれば、それはビルという鉛筆を少女と言う鉛筆削りに差し込んだように。
少女の喘ぎ声が一段と大きくなる。
ビルの角ばった表面が少女の膣内に突き刺さるその微細な感触を味わっているのだ。
そして周辺の被害も拡大した。
特に足周りでは振動が縦ではなく横向きに変わったことで倒壊するビルが続出した。
あの少女のパンティを被せられていたビルも、その揺れとパンティの重さに耐え切れずに倒れていた。
ただ上層部はパンティの布地に守られたのか奇跡的に崩壊はしていなかったという。
プシュウ。
陰唇から愛液が噴き出した。
下に出来ていた水溜りにぼたぼたと落ちる。
あふれ出てきたものが止められないのだった。
少女の下周辺にはまだ多くの人々が残っていた。
少女が自慰を開始してからの揺れは立って歩くことすら不可能な震度だ。
地面に這い蹲った人々に出来ることは、そこからあの巨大な少女のビルを咥えた性器を見上げることだけだった
特に腰を捻るような動きをするようになってから大地が横に動くような振動が発生するようになった。
さきほど車が宙に浮かび横っ飛びをしていた。
地面の上を転がるのは人々だけではない。横転した車やビルの瓦礫などもだ。
人々はそれらからも身を守らねばならない。
さらにさらに恐ろしいのはあの性器から愛液が飛び散ってくることだった。
たった一滴の愛液でも粘度を持ったそれは直撃すれば車でさえ押し潰してしまう。
人間が触れればひとたまりも無いそれがピチャピチャと雨の様に降り注いでくるのだからたまったものではなかった。
じんわりと湿り気を帯びた空気とツンと酸味のある匂いがここ少女の股の下、スカートの下に充満する。
周辺は地獄のような風景なのにそこにいる男達は本能で股間を膨らませざるを得なかった。
そのときである。

  プシャァァァアアアアアアア……!

性器から大量の愛液が噴き出した。
それらは地面に降り注ぐと洪水となって周辺にいた人々を押し流した。
少女が絶頂を向かえたのである。
差し込んでいたビルの窓ガラスからも液が飛び出ている。

「はぁ…はぁ…」

力を抜き、快楽の余韻に浸る少女。
そして、ゆっくりと立ち上がろうとしたときだった。

  グシャ

「?」

股間に違和感を感じた。
スカートをめくり覗き込んでみると、なんと自慰に使っていたビルが根元で折れてしまっていた。
ただ上層部はそのままで、つまりは少女の陰唇に咥えられたまま持ち上げられてしまったのである。
少女は股間に手を伸ばし、自分の性器に刺さっているビルの根元を摘むと、ぬぷりと引き抜いて、それを目の前に持ってきた。
摘み上げられ逆さになったビルは愛液ででろでろになり、ぽたぽたと愛液を滴らせていた。
自分の自慰の成果だった。
はした無いことをしてしまったかなと思う。
目の前のそれは、行為の象徴なのだ。
少女はまるで自分の恥を消し去ろうとするように、ビルを遠くへと放り投げた。

「でもとっても気持ちよかった。…そうだ! どうせこんなにたくさんあるんだから、ひとつくらい持って帰っても大丈夫だよね」

立ち上がった少女は辺りを見渡して適当なビルに目を止めた。
このビルにもまだたくさんの人がいたが、少女はビルを根元から折って持ち上げると、再び股間へと差し込んだ。
まだ濡れている膣は楽々とビルを受け入れ、先程よりも低かったビルはその全てが少女の膣内に納まってしまった。

「あらあら、全部入っちゃった」

笑いながら少女はポケットからナプキンを取り出して自分の股間を丁寧に拭った。
毛についている水滴まで見落とさなかった。
そして置いておいたパンティを拾い上げると中に入っていたビルの瓦礫を払って穿いた。
これでもう、少女はどこから見ても普通の女子高生である。
内部に、生きた数百人を内包したビルを挿れていること以外は。

「また来よう♪」

少女は笑顔で立ち去って行った。
足の下に人々を踏み潰しながら。