※破壊系。



 「 未熟な魔法少女3 」



ある日。
登校した少女は自分の席に着いた。
少女は椅子に座るとき、スカートがお尻の下に来るよう内側に巻き込むのではなく、お尻の下にならないよう外に垂らす癖がある。
つまりはお尻のほっぺと下着が、直に椅子に触れる形で座るわけだ。

そして少女は今日も気づかない。自分が今座ろうとしている椅子の上に小さな街があったことを。

大きさ実に100万分の1。
10kmが1mmにまで小さくなる縮図である。
仮に街の直径が30kmだとしたら、この椅子の上では3cmになる。
逆に少女のお尻の幅が30cmだった場合、この椅子の上では300kmになる。
それは関東のほとんどを下敷きにできてしまう大きさだ。
現に、今この椅子の上にはそれ相当に広大な土地と無数の街が存在していたが、少女はまったく注意する事無くお尻をペタンと下した。
お尻のほっぺに、この椅子の冷たさを感じるのがちょっと好きだった。
座ったらちょっとお尻を動かして丁度いいところを探すのだ。



直下にあったいずれの街も、空が肌色に変わってしまった事に答えを見いだせなかった。
分かっているのは、それがこの街の上に向かって落下してくる事のみ。
人々は悲鳴を上げて逃げ始めた。
しかし、あの巨大なお尻からすれば0.0017mmしかない人々が、彼らから見て300km尻の範囲からどうやって逃げようと言うのか。
何百万と言う人々がたった一人の少女のお尻を見上げて悲鳴を上げた。

  ズゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!

だがそれも、少女のお尻が下されると全く聞こえなくなった。
直下にあった街は、そのお尻のむっちりとしたお肉の表面でプチプチと潰れ、体重を受け、横に広がった肉はさらに多くの街を下敷きにした。
少女が座った衝撃とその時発生した風圧は椅子の上の街をすべて粉砕した。
そのあとお尻がぐりぐり動かされたせいで、万に一つも生き残りがいる可能性はなくなった。

今自分のお尻で無数の街と数百万の人々を押し潰した事など全く気付かない少女は、普通に授業の支度をはじめていた。



帰宅した少女は自分の部屋の席に着き宿題を始めた。
その時、椅子の上にはやはり100万分の1の街がいくつも点在していたのだが、少女はストンと腰を下ろした。
当然、学校と同じようにまた数百万人が犠牲になった。
だがここで奇跡が起きた。
これが学校の椅子とは形が違ったからかもしれない。
とにもかくにも、無事だった街があったのだ。
それは白いパンツをはいた少女の、丁度お尻の割れ目の下に来た街だった。
お尻のお肉の直撃と、むにっと広がったお肉の下敷きになるのを避けたのだ。
その街からは、空一面を少女の白いパンツのたった一部が覆っているのを観察できた。
ほぼ真下にあるのだから。
直径10mmほどの街から見る少女のパンツは凄まじい大きさだった。
なんと形容していいのかわからない。もはやこのお尻だけで小惑星サイズなのだ。

しかし、ひょんなことで彼らの奇跡も終わってしまった。

  ぷ~

少女がおならをしたのだ。

「あ」

少女はちらりと自分のお尻の方を見たが、ここは自分の部屋で、別に他の誰かがいるわけでもないので、気にすることなく机の上にノートに向き直った。
この時すでに、例の街は消え去っていた。

  ブォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

それは凄まじい爆風と爆音を伴ったとんでもないガス爆発だった。
空を覆うパンツの白い生地の向こうから100倍少女のおならがこの街に襲い掛かったのだ。
少女がおならをした瞬間、街はまるで砂を息で吹き飛ばすようにふわっ…と消えてしまった。
一瞬にして、すべてを粉砕されていた。
強すぎる風は街ごとすべての建物を磨り潰し粉々に砕いた。
人間など消えるようにはじけ飛んでいた。
今の少女のおならは、下手をすれば台風さえ吹っ飛ばせる破壊力を持っているのだ。
街の一つが、その直撃を受けて無事であるはずも無い。
パンツに覆われて見えなかったが、その向こうにある肛門は皺まで入れれば直径2~30kmはある。
そこにあった街よりも大きい。
そこから噴出されたガスは直下にあった街を一発で吹っ飛ばしてしまったのだった。

また自分がお尻でいくつもの街を押し潰し、そして今度は更におならで一つの街を消滅させたことなど、やはり少女は気づかないのだった。