なんか突っ走った…。

※この作品はIフィールドによって保護されています。
 基本情報:牛。100倍。擬人化・コスプレ・マクロかは脳内補完で。



  『 もう「酪農」関係なくね? 』



「はぁ…『牛乳風呂』…ですか」

牧場主は渡された名刺を見ながら頭を掻いた。

「はい。貴方の牧場で作られる牛乳は素晴らしく良質でその上お値段も安いとわたくし共の業界でも大変有名でして、これだけの牛乳を「飲む牛乳」としてだけ販売するのはもったいないと思い、こうしてお訪ねさせていただきました」

スーツをピッと着こんだセールスマンが満面の笑みを浮かべながら言う。
所謂、事業の拡大や開拓を担う会社の人で、これまでにも数々の会社の事業拡大に貢献してきたとか。
今回は、この牧場が「飲む牛乳の販売」のみを生業としているところに目をつけ、より事業の拡大が見込めるとみてやってきたらしい。

「いかがでしょう? 今の時代、酪農業も専門職のみでは経営が成り立たなくなりつつあります。貴方の牧場はまだ大丈夫ですが、時代の波はいつ動くかわかりません。そうなったときに助けとなるのが副業です。安心して経営のできるうちに、別の仕事を始められてはどうですか? 貴方の牧場で作られる牛乳を使った牛乳風呂なら、すぐにでも仕事を軌道に乗せられますよ。牧場の収入も今よりも大幅に増えるでしょう」

「はぁ…」

セールスマンが笑顔のまま放つ怒涛の言葉に圧されながら、牧場主は困った顔をする。

「でも別に儲けたくてやってるわけじゃないし…」
「ですが不況の波は確実に迫っています。いざという時の為にも収入源となる仕事は増やしておいた方が安泰ではないでしょうか。何でしたらまずはお試しという事で試験的に小さな牛乳風呂を設置しお客様の反応を見て頂くのはいかがでしょう。実際にお客様が喜んでくださる姿をご覧になっていただければお心が変わるかもしれませんし。もちろん、それらの諸経費などはこちらで用意させていただきますのでご安心ください。まずは我々の提供いたしますプランがお客様にどれだけ求められているかを知っていただければと思います」
「はぁ…」

すらすらと流れるように出て来る言葉の波に乗せられながら牧場主はまた頭を掻いた。

「…ま。お試しならいいか」

牧場主は契約の判を押した。
その時、セールスマンが一瞬だけニヤリと笑ったのに、牧場主は気づかなかった。

  *


翌日、大量の重機がこの牧場の中に運び込まれた。
それらは牧場の一角に無思慮に穴を穿ち、掘り返した土をトラックでどこかへと運んでゆく。
ガラガラと鳴り響く重機の重低音。重機から吐き出される黒煙はまるで火事のそれのようだった。

そんな無数の重機たちを遠巻きに見守る牛たち。
自分達の牧場に知らない連中が出入り草原を荒らしている様を見てそわそわしている。
心配そうにきょろきょろとする若い牛。
ムッとした表情で重機を睨みつける幼い牛。
何を考えているのか、くすくすと笑う年長の牛。
他にも何頭もの牛が草原の果てや山の向こうからその重機たちを見つめていた。

若い牛は、自分の足元に牧場主が来たのに気付いてその場にしゃがみこんだ。
しゃがんだところで、その高さは100m弱あるのだが。
心配そうな表情で自分を見下ろしてくる牛に、牧場主は大丈夫だと手を振った。

「『牛乳風呂』を作るんだよ。悪いもんじゃないから安心して」

牧場主が笑いながら言うと若い牛はコクンと頷いて見せた。
そして、自分の巨大な胸にそっと手を当てて重機たちの方を見た。
妙な胸騒ぎを、牛は感じていた。


  *


数日経って、小さな露天風呂の原型みたいなものが完成した。
まだまだ試作の段階だが、すでに大きめの岩などで湯船が形成され、立派な露天風呂の形になっていた。
完成はまだ遠く工事も始まったばかり。これから牛乳風呂の管理をする事務所などが建てられることになっている。


  *


事務所の建設が始まった。中々に大きな施設になるらしく広範囲が掘り返された。
土台が作られ始め、同時に新たな露天風呂になるであろう穴も掘られ始めていた。


  *


事務所の建物づくりが始まった。すでにいくつかの柱が立っている。
また、別の建物の土台であろう建築も始まっていた。
更に広範囲の草原が開拓され、作業は着々と進んで行った。


  *


若い牛は疑問を持っていた。
牧場主からの話では試験的に牛乳風呂を設置導入してみるとの話だった。
試験的。つまり小規模でいいはず。なのに何故こんな広範囲を切り開く必要があるのだろう。
牛が見渡した先には縦横共に数千mと開拓された土地が広がっていた。
数十と作られた仮の露天風呂らしきもの。建設の始まったいくつもの建物。
これは、試験的と言うレベルを超えている気がした。

若い牛が他の牛に相談してみると、他の牛たちも同じような疑問を持っていたらしい。
もともと自分達の家である牧場を勝手に蹂躙されて不満を募らせていた牛たち。
思考も、悪い方向へどんどん冴えてゆく。
そして牛たちの耳は、今日は現場を確認するために来ていたのだろう例のセールスマンの声を聞いた。
巨大な牛たちは人間の言葉くらい聞きつけられる聴力を持っている。そしてその範囲は、数kmに及ぶ。
セールスマンが、牧場主を部下に相手させている間に、現場の人間と話をしていた。

その話を聞いた牛たちの耳と眉が一斉にピクッと動いた。
一言で言うならば、すべてはウソだった。
牛乳風呂うんぬんの話は。これがすでにウソだった。

セールスマンの正体は黒い実業家と繋がりのある地上げ屋で、彼らはアミューズメントパークを作る計画を練っていた。
そのための土地に、この広大な牧場が選ばれた。
これまでの経緯から正面からの地上げは難しいと判断した彼らは牧場主に牛乳露店風呂を作るというウソの計画を持ちかけ、牛乳風呂を作るように見せかけて実際はそのアミューズメントパークの建築を始めていたのだ。
これで開拓範囲が異常に広かったのも納得できた。
同時に、彼らが牧場主を追い出そうと計画しているのもわかった。

牛たちの頭に、一気に血が上った。
興奮し、自分のお尻を自分のしっぽで叩く牛まで現れた。
まるで闘牛の牛が目の前に赤いマントをちらつかされたような気迫。
牛たちは、一斉に走り出していた。


  *


突如、凄まじい勢いで走り寄ってくる巨大な牛たちの姿に、セールスマンを含む作業員たちは悲鳴を上げた。
目の前で火の七日間が実現しているかのような恐ろしさだった。
体長160m前後になる、十数頭の巨大な牛が作業員たちをぐるりと囲み見下ろした。

そんな光景を見てきょとんとしていた牧場主を年長の牛が手に乗せて立ち上がる。
年長の牛は若い牛を呼び彼女に牧場主を預け離れているように言った。
若い牛は言われた通り牧場主を手に乗せたままその場を立ち去った。

牛たちに囲まれ身を寄せ合って震える作業員たち。
彼らを囲む牛たちの一頭、幼い牛はすっと片足を持ち上げると、彼らの使っていた重機のひとつの上にズシンと踏み下した。

 ずどぉぉぉおおおおん!!

爆発の様な凄まじい揺れと音。そこにいた作業員たち全員が地面にひっくり返った。
幼い牛が足を持ち上げるとそこには彼女の足跡が開拓された地面の上にくっきりと残っていた。
その中には、重機であったであろうシミが出来ていた。あまりの圧力に圧縮されてしまったのだ。
それを見て作業員たちは益々震え上がった。持ち上げられた巨大な足から、へばりついていた土がパラパラと落ちる。

それを皮切りに他の牛たちも一斉に重機を踏み潰し始めた。
ショベルカー。ブルドーザー。トラック。そこにあった様々な重機や車が、その何倍も大きな足によって次々と踏み潰されてゆく。
大きな重機も、牛たちから見れば数cmのおもちゃだ。それもアルミ箔で作ったような柔らかい装甲だ。踏み潰しても痛みなどまるで感じない。怪我など考えられない。なんの躊躇も遠慮もなかった。

十数頭の牛たちが足踏みでもするようにして次々と重機を踏み潰してゆくその渦中に、作業員たちは囚われていた。
自分達の周囲に、全長24mほどもある巨大な足が次々と落下してくるのだ。
逃げ回った。悲鳴を上げて逃げ回った。だかここは牛たちの群れの中。どこを向いても足がある。
十数頭の牛たちの足元で何十人もの作業員たちが逃げ回っていた。
まだ重機から下りていない作業員がいたりしたが、彼らは自分の乗る重機目掛けて巨大な足が落下してくるのを見て転がり落ちるように大慌てで出てきた。
直後、彼の乗っていた重機は巨大な足の下に消えてしまった。
足が持ち上がると、そこにはたった今まで自分の乗っていた重機がペチャンコにされていた。そこに自分がいたかと思うと鳥肌がたった。

十秒と経たぬうちにすべての重機が踏み潰された。
無数に穿たれた足跡の中に、ペチャンコにされた重機のなれの果てが見える。
そんな足跡と、それらを残した巨大な足の周囲で、ガタガタと震えながら腰を抜かす作業員たちがいた。
肌色の柱にも見える巨大な脚。それが無数に乱立する世界。

再び作業員たちを取り囲む牛たち。
一人も逃がさない、と言う覚悟が、地面を踏みしめる彼女たちの足に見て取れる。
そんな牛たちの彼らの処遇に対する総意は、幼い牛を筆頭に踏み付けるというので一致していた。
作業員たちは震え上がった。
牛たちが、たった今何十台もの重機をものの数秒で踏み潰したその足で、今度は自分達を踏み付けようとしているのがわかったからだ。

だがそんな牛たちを、年長の牛が制した。
そんなことより…と。

年長の牛は、丁度いいから彼らの提案した牛乳風呂を彼ら自身に体験してもらおうと他の牛に言った。
お互いに顔を見合わせる牛たち。
やがて全員がにや~っと笑った。

直後、数頭の牛が穴を掘り始めた。
両手を使ってザクザクと穴を掘ってゆく。
それは、開始数秒にして、作業員たちが数週間かけて掘った穴の大きさを遙かに超える大きさになっていた。
彼女たちが片手で土を掬い取るその量は、トラック数台を満載にしてしまえるほどだった。
そんな巨大な手で掘り抜かれ、そのアミューズメントパーク建設の為に開拓された土地には、直径数百m深さ数十mにもなる超巨大な大穴が作られた。あっという間の事である。
まるで隕石でも落ちてきた跡のような巨大な穴だ。
その穴に、穴を掘っていた牛たちとは別の牛たちが近寄り、自分の乳を搾り始めた。
いくつも並ぶ巨大な乳房から、大量のミルクが迸り穴の中に注がれてゆく。
すぐさまその穴の中にミルクが溜まり始める。水面に落ちるミルクの水柱が小気味よい音を立てる。
数頭の牛たちが放つ膨大な量のミルクは、あっという間にそこにミルクの池を形成した。いや、湖と呼べる大きさかもしれない。直径は数百m。最低でも200mはある。
広大な牧場に、真っ白なミルクの湖が生まれたのだ。
だがこれは湖ではない。
本来の計画で作られるはずだった、『牛乳風呂』。

ある程度のミルクが溜まったのを確認した年長の牛は足元でガクガクと震えるセールスマンや作業員たち数十人をみな牛乳風呂に放り込んだ。
ザブンザブンとミルクの中に飛び込んでゆく作業員たち。無数のミルククラウンが形成された。
真白い海のような牛乳風呂の中、「ぷはぁ」と顔を出した作業員たちは、自分達が本当に牛乳風呂の中にいる事を悟った。
搾りたてのミルクはまだ温かい。

彼らは、こんなにも大量の牛乳を見た事が無かった。
町中の店の牛乳を買い占めても、これだけの量にはならないだろう。それを、この牛たちはあっという間に用意して見せた。とんでもない埋蔵量だった。
もしかしたら、こんなウソの取引ではなく、最初からこちらを目的に取引していた方が良かったのではないか。波打つ巨大露店牛乳風呂の中、セールスマンは思った。
だが、それももう遅い。

牛乳風呂の淵から彼らを見下ろしてくる巨大な牛たち。
たった今、街中の牛乳量を超える量のミルクを絞り出したというのに、彼女たちの顔は満足していなかった。もともと、満足したことのない彼女たちだ。今日は、いつも以上に絞り出せる貴重な日だった。

牛たちは再びお乳を搾り始めた。
乳房の先から、大量のミルクが絞り出されミルク風呂に注がれる。
だが、十数という巨大牛たちが一斉に絞るミルクは、セールスマンたちにとってはミルクの大豪雨か滝の様なものだった。
水面に爆撃の様に降り注ぐミルク。ミルクの爆弾がセールスマンたちに襲い掛かった。
ズドドドドドドド!!
それは彼らを波に飲み込み、水中に沈め、渦に巻き込んだ。
降り注ぐ豪雨も、渦巻く水面も、すべてが牛乳だった。甘く、おいしい。
彼らに襲いかかるそれらは、同時に彼らを癒しもしていた。
彼女たちのミルクを、利用しようとした罰か。
牛乳を笑う者は牛乳に泣く。
聞いたことも無い言葉だが、彼らはそれを命懸けで体感していた。


年長の牛は他の牛たちに乳を搾るのを止めるように言った。
これ以上搾り続けると彼らが溺れる可能性とミルクが溢れる可能性があったからだ。
牛たちはまだ物足りなさそうだったが、渋々了解した。

年長の牛が見下ろした牛乳風呂の水面では数十人の人間がアップアップと溺れかけていた。
たった今までこの水面は大豪雨の降り注ぐ大嵐だったのだから。

牛乳風呂は短いところでも直径は200m。巨大な牛たちでも手の届く距離ではない。
波に巻かれたセールスマンたちは風呂の中央辺りに寄せ集められていた。

年長の牛はくすっと笑ったあと、その牛乳風呂に足を入れた。
水面に、波紋が広がってゆく。
そのまま、膝よりも少し上ほどの深さの牛乳風呂を、二本の脚でザブザブとかき分けながらセールスマンたちのいる中央目指して歩いてゆく。
巨大な脚の作り出す波と渦は風呂全体を激しく波立たせ、あっという間にセールスマンたちを飲み込んだ。
そんなセールスマンたちを水中から救い上げ、風呂の周囲で見守っている他の牛にポイポイと放り投げ渡してゆく年長の牛。
彼女の逞しく巨大な二本の脚が作り出す波と渦は彼らを一気に数十mもの深みに引きこんだが彼らはすぐに巨大な指によって摘み出されていった。
ほとんどの作業員を救出し終えたとき、周囲で待つ牛の手には数人の作業員が乗せられていた。
そして最後の一人、セールスマンは、波打つ水面から目の前に聳え立つ年長の牛を見上げていた。
二本の巨大な脚。膝から下が牛乳の中に沈んでいるとはいえ、頭頂部までは100mもの高さがある。
巨大な牛は、微笑みながら自身の両脚の間にいるセールスマンを見下ろしていた。

そしてそんなセールスマンも、ついには巨大な指によって摘まみ上げられ、牛乳風呂から脱出した。
そのまま、年長の牛の目の前まで持ち上げられる。
水面からの高さは100m近い。温かな牛乳風呂に入っていたところから一気に高みに連れてこられ、彼は寒気を覚えた。冷えた牛乳のせいもあるだろう。
しかし彼が体を震わせるのは寒さからだけではない。
自身を摘まむ巨大な指。その指の持ち主の巨大な顔が、目の前にあった。
巨大な顔は、にっこりとほほ笑んでいた。
しかしセールスマンは、体の震えをより一層大きなものとした。
その笑顔の発する発する圧力が、彼を震え上がらせているのだ。
もう二度と、こういうことをしてはいけませんよ?
無言の笑顔の圧力が、彼を縮み上がらせた。

空は。夕焼けに染まりつつあった。


  *


彼を含め全作業員が、牧場前の駐車場に放り出された。
彼らの前には、十数頭の牛が並び彼らを見下ろしていた。
作業員たちはみな脚をもつれさせながら全身牛乳塗れのまま逃げ去っていった。

ふぅ。

牛たちは安堵の息を漏らした。


 ズシン

   ズシン

とそこに、牧場主を連れていた若い牛が戻ってきた。
牧場主はセールスマンたちのことを聞いたが、年長の牛は彼らは契約を破棄して帰ったと伝えた。
見上げればすでに空には星が輝き出し、山の上には大きな月も顔を出していた。
綺麗な夜空である。

一人だけ参加できなかった若い牛は頬を膨らませた。つつきたくなる柔らかそうな膨らみ方だ。
そんな若い牛を見てくすっと笑った年長の牛は牛乳風呂に入るように勧めた。
牧場主と二人でだ。


  *


巨大露店牛乳風呂に浸かる若い牛。
その胸に谷間に、牧場主を置いて。
巨大な乳房に囲まれ、牧場主の周囲はミルクの波が安定していた。
若い牛が多少動いても、波に巻かれることはないだろう。

さきほどまで頬を膨らませていた若い牛だが、今は牧場主と共に入浴と言うシチュエーションに胸を高鳴らせていた。
自分の胸の谷間に牧場主がいる。頬は赤く染まり、顔はにんまりとにやける。

そんな二人を、他の牛たちがうらやましそうに見ていた。

そして年長の牛は、そんなみんなを見てくすくすと笑いながら月を見上げていた。


 ~ おわり ~


  *


偽取引により白紙に戻された牛乳風呂の件だが、牛たちが作ったモノが思いのほか好評となり実際に人間用の大きさで作られる事となった。
上質な牛乳で作られた風呂は美肌健康効果があると話題になり多くの観光客を引き寄せた。

また巨大な牛とともに入浴できる試みも好評で、巨大露店牛乳風呂で牛と戯れたいとする観光客が続出した。
前かがみになり湯から上半身を出した牛の背中を、全長数十mにもなる牛乳スライダーとして遊ぶ事が出来たり、牛の乳房の谷間にもたれかかり、左右から優しく包み込んでくる乳房の間でリラックス入浴出来たりとアトラクションの幅も広い。
近日、巨大露店牛乳風呂を拡張するという話も出てきていた。
すると今度は牛乳風呂に浸かる巨大牛の周りをボートを漕いで回ったりということも出来るようになるかもしれない。
最初、セールスマンが持ちかけてきた牛乳風呂案は、予想外の大好評となり牧場の大きな目玉となった。
牛乳は売れるし観光客と戯れて牛たちも遊ばせる事が出来るしと、最初は及び腰だった牧場主も大満足の結果である。
何故彼らは突然計画を破棄したのだろう? あの日、何が起きたのか知らない牧場主は首を傾げるばかりだ。
しかしとにかく彼らのお蔭でここまで賑やかになれたのだ。彼らには感謝しなくては。

牧場主は、澄み切った青い空を見上げて思った。