※【破壊】【蹂躙】



 『 林業 』



 ギュィィィィィィィイイイイイイイイイイン!!

チェーンソウの音がやかましく鳴り響く。
そこにいる男達は重いチェーンソウを持って樹海を開拓しようとしていた。
だがそれは全くと言っていいほど思い通りに進まない。
彼らの前にはまだ見上げるほどに巨大なそれが先も見えぬほど鬱蒼と生い茂っている。
彼らは、まだその一本も切り倒せていないのだ。

 ギュィィィィィィィイイイイイイイイイイガガガガガガガガガガ……!!

「くそっ! こっちもダメになっちまった!」

男は悪態をつきながら自分の持っているチェーンソウのボロボロになった刃を見下ろした。
本来規則的な感覚で並んでいるはずのその刃の歯の数々は無くなったり曲がったりしている。
ぐちゃぐちゃになってしまった刃はもう何も切る事が出来ないだろう。
これで壊れたチェーンソウは3つ目である。

だがチェーンソウ3つ分の刃を受けながらも、それは未だそこに聳え立っていた。
直径1mほどの太さの、黒々とした陰毛である。

突如、巨大な声が大気を震わせながら彼らに降り注いだ。

『ねぇ、まだ終わらないの?』

あまりの巨大さに大気がゴゴゴゴと鳴動する。
男達は耳を押さえ悲鳴を上げながらその場にうずくまった。
見れば遥か遥か彼方から、山のように巨大な顔が不満そうな表情で見下ろしてきていた。

男達がいるのは彼らの1万倍も大きな少女の股間である。
陰毛の生え際。
背後には少女の巨大な上半身が山脈のように続いている。
少女は上半身は服を着て、下半身のスカートと下着をずり下している格好だ。
ベッドの上に仰向けに寝転んで、手には雑誌を持ち、男達の作業が終わりまで暇で仕方ないと言った様子がありありと窺がえる。

彼らから見る少女の陰毛は恐ろしいほど巨大だ。
直径約1m。その全長は数百mという凄まじい長さなのだ。
それが、彼らの前方をみっしりと埋め尽くしている。
陰毛のジャングルがそこにあった。
彼らはその陰毛の処理を命じられたのだ。

だがそれはあまりに過酷な作業だった。
すでにチェーンソウを3つもダメにしているのに未だ一本も切り倒せず、また少女の体温と発汗により男達の立つ肌色の大地は非常に蒸し暑い。
十数人の男達は全員が汗だくになっていた。
更には若干小便臭い空気が彼らに凄い不快感をもたらした。
吐き気がするような空気だ。
少女の香りと小便の臭いの入り混じった蒸し暑い空気が、男達を精神的にも肉体的にも痛めつける。

『ったく使えないわねー』

再び少女の巨大な声が轟き、男達はその場に突っ伏してそれに抗った。
隠されない嘲弄と理不尽な命令と非人道的な扱いに男達は怒りを覚え歯噛みしていた。
だがそんな男達も、今は少女の巨大な声に抗う事で精いっぱいだった。

『さっさと終わらせてよ。でないと一生その大きさにするからね?』

男達の中に、今度は恐怖が湧きあがった。
一生この大きさ…。
こんな、毛じらみにも劣る大きさで一生を凄さねばならないのか…。
チェーンソウを持ち寄っても陰毛の一本も切り倒せない存在。
少女にとっては、自分達などまさに毛じらみの様なものだろう。害が無い分、余計に無意味な存在だ。
この少女が自分達を縮めた張本人でなければ、ここに自分達がいる事にすら気づかないだろう。
十数の男が必死に手を振って呼びかけても、少女は気づきもしないはずだ。
大勢の大の男達が、自分の股間の陰毛の森の中で手を振っているなんて…。

男達は恐怖に駆られ、跳ねるように起き上がると陰毛を切り倒しにかかった。
せめて一本だけでも。自分達の存在が無意味で無かったという証の為にも。
すでにチェーンソウは3つダメになってしまったが、その甲斐あってか、その陰毛はあと少しで切り倒せそうだった。
男達は残りのチェーンソウでその一本を集中的に狙った。
1つ。また1つ。少女の巨大な陰毛によってチェーンソウがダメになってゆく。
だが確実に、切れ目は陰毛を侵食していっていた。
そして遂に、

 メキメキ…

陰毛が音を立ててしなり始めた。
根元に切れ目が入ったことにより、陰毛が自重を支えきれなくなったのだ。
男達の間に歓声が上がった。
だが直後、悲鳴に変わる。

直径1m。全長数百mのぐわっと倒れてきたのだ。
それはまるで細い塔か柱が倒れるかのような威圧感を持っていた。
塔の先端が、うねりを上げながら倒れてくる。
男達は慌てて陰毛の倒れる方から避難した。

 ズズゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!

巨大な陰毛が倒れ去った。
今は、直径1mの巨大な横倒しの巨木だ。
何百mも先まで続いている。
見上げていた時も巨大だったが、横にしてみても恐ろしく巨大だ。
自分達が倒したのだ。
遂にやったのだ。
男達は手を取り合って喜んだ。

 ポリポリ…

男達は全滅した。
手を取りあって喜んだ直後、直径100mを超える超巨大な指が襲来し、彼らの居る陰毛の生え際を掻いたのだ。
あまりに一瞬の出来事だった。
男達はその巨大な指の襲来に気付く間もなくその指と股間の肌の間で磨り潰されてしまった。

『あ、しまった…』

少女の巨大な呟きが大気を震わせた。
そしてその巨大な指が股間から離れると、その裏と股間の皮膚には少量の赤いシミがついていた。

雑誌を読んでいた少女だが、男達が切り倒した時、陰毛が倒れた衝撃を痒みとして感じ、無意識のうちに片手を股間へと伸ばし、気付いたときには掻いていた。
指を持ち上げてみると陰毛の生え際と指の裏に小さな赤いシミが着いていた。
これが、そこにいた十数人の男達のなれの果てである事はすぐにわかった。

『あーあ、やっちゃった…。これだけ小さければ痒みも感じないと思ったのに』

少女はため息をつきながら指先と股間部に着いた赤いシミをティッシュでふき取る。

『やっぱり1000分の1くらいの方がいいかしら。でも前にやった時は男達が歩くだけでむず痒くてすぐに掻いちゃったのよねー』

言いながら少女は起き上がり下着とスカートをはき直す。
今しがたまで男達が苦労して切り開こうとしていた陰毛達は白い下着とスカートの中に収められ消えていった。
少女は気が付かなかったが、この時、一本の陰毛が股間から滑り落ちていっていた。