※時事ネタ。
※手抜きである。



  『 サンタ帰宅 』



 「くぅ~疲れました」

ガチャリとドアを開けてうちに帰ってきたサンタ。
サンタの家ってログハウスなイメージ。

そうやってサンタが返ってくると部屋の床に小さなものがゾロゾロと出てくる。

 「ただいま。トナカイさん」

トナカイと呼ばれた、ソレは「ワーワー」とサンタを出迎えた。
首から下は人間だが頭はトナカイ。全身茶色だ。キモ。

そんなトナカイたちのいる部屋を、サンタはブーツを履いたままズシンズシンと横断する。
自分たちの10倍の大きさのサンタが踏み下ろされるたびに、その場所にいたトナカイたちはサーッと引いて足の踏み場を作る。手慣れたものである。

そのさなかにサンタは帽子や白い袋やサンタ服を脱ぎ捨てる。
そしてサンタサイズのロッキングチェアーに腰掛けると履いていたブーツもポイポイと脱いで放った。
あっという間にブラとパンツの下着姿になるサンタ。

そうしているとトナカイたちはサンタの脱ぎ捨てた巨大な衣服を大勢で回収してどこかへと運んでいった。
あのブーツもそう。自分たちがすっぽりと入ることの出来るほどの巨大なブーツをずるずるとどこかへ引きずっていった。


サンタが椅子に座ると、その横に備えてあった小さなテーブルにトナカイの一人が巨大グラスに飲み物を入れて持ってくる。

 「ふふ、ありがと~」

グラスを手に取り呷るサンタ。
ゴクッ ゴクッ という音が部屋に響く。

 「ぷはぁ! やっぱり仕事のあとはコレですね~」

サンタ。こう見えて1500歳をとうに超えている。



 「さて、仕事終わりのケアが大切です。お願いしますね」

サンタが言うと、何人(匹)かのトナカイたちがサンタの足元に集まってきた。
椅子が高いので床に付かないサンタの足。トナカイたちの頭上に、10倍の大きさの素足があった。

そうやって集まったトナカイたちはサンタの巨大な足に手を伸ばすのだが、その手には何か動くものが握られていた。
人間である。
普通サイズの大きさの人間が、自分たちの10倍の大きさのトナカイの手に捕まっているのだ。
人間たちは泣き叫びながら暴れていたが、無表情のトナカイ頭たちは気づいていないかのように手を動かしている。

そしてトナカイたちは、サンタの巨大な足の指たちに、手に持った人間たちを挟み込んでいった。
トナカイの10分の1サイズの人間は、サンタの100分の1サイズ。
人間たちは、自分たちの身長ほどの太さもある巨大な足の指の間に次々と挟み込まれていった。

そしてそこは、とてつもない悪臭に包まれていた。
全宇宙のこどもたちに一晩でプレゼントを届けて回ったのだ。その間 履きっぱなしだったブーツの中にはじっとりと汗を掻いていた。その偉業の結果に、人間たちはさらされているのである。

じっくりと蒸しあげられた足から立ち昇る臭いは、人間たちには致命的な刺激臭だった。
鼻で息をすれば鼻がもげそうなほど、目を開けば目が潰れそうなほど、口で吸い込めば喉の奥までただれそうなほどの悪臭。

人間たちはあまりの悪臭に狂ったように暴れた。
しかしサンタの巨大な足の指はびくともせず、むしろそのかすかな抵抗を楽しもうと、サンタに足の指を動かさせる結果になった。

人間たちに与えられた役目は消臭。
サンタの足の臭いが収まるまで、その匂いに晒され続ける。
しかし中にはあまりに凶悪な臭いに耐えきれず息絶えてしまう人間もいた。
そういった人間は指の間から取り除かれ、すぐに別の人間が補充される。
息絶えた人間は、トナカイに食べられていた。

トナカイたちは足のケア以外に、肩を揉んだり足の裏をマッサージしたりと、サンタの全身をケアしている。
サンタの従僕たるトナカイの務め。その巨大なるサンタにすべてを捧げているのである。


窓の外には雪が降り、暖炉の火のみが部屋を暖かく照らす。
ゆらゆらと椅子に揺られるサンタと、そのまわりでせっせと働くトナカイたち。
そして随所で犠牲になっている、多くの人間たち。

足の指以外にも、脇の下に挟み込まれていたり、ヘソの中に押し込まれていたりしている。
酒のつまみとして口に放り込まれている者もいれば、サンタの1000分の1サイズにされ酒の中に放り込まれ、酒と共にその巨大な口の中にゴクゴクと飲み込まれていく者もいた。

 「ふぅ。とは言えこのままでは風邪を引いてしまいますし、まずはお風呂に入って温まることとしましょう」

サンタがそう言うとトナカイたちが歓声を上げた。
椅子から立ち上がったサンタはズシンズシンと地響きを縦ながら風呂場へと向かって歩き出し、それにたくさんのトナカイも続いていった。
そのサンタが歩く途中で、足の指に囚われていた人間たちは全滅していた。