第4話:寄り道(破壊・残酷描写あり

 窓香の気まぐれにより100分の1に小さくなってしまった地仁田、どこかへ飛ばされてしまったキョソ。 そしてこれまた窓香の気ま

ぐれで密偵作業を続けることになったのですが・・・


地「・・・」

窓「どうしたの?」

地「いや、なんでもない。」


 窓香の左胸ポケットの中にいる地仁田。 外の風景を見ようとよじ登ろうと試みるも、窓香が歩くことによる震動でどうしても振り落と

されてしまう。 3回目の挑戦で窓香「くすぐったいからやめて!」と一喝さえ、やめることにした。


地「・・・」


 途方もなく小さくなってしまった地仁田は元に戻れるのであろうか心配だった。 キョソ君はどこへ行ってしまったのか? まさかこの

気まぐれ女に何かされたのではないのか? あり得る、どこかへ飛ばされたなんて言っていたが気がつかないうちに踏み潰してしまっただ

とかもしくは食べられてしまったのではないのか? 考えれば考えるほど窓香が信用が出来なくなり、また、それ以上に自分もいつか同じ

事をされてしまうのかもしれないと言う恐怖が彼を襲った。 自分ではどうすることも出来ない。 なんでこんな女を仲間になんかしてし

まったのだろう? 惨めさと悔しさも滲み出てきた。 様々な感情が混ざり合ってきて訳が分からなくなりいつの間にか涙があふれてきた




窓「・・・それでさぁ〜。」


 窓香は誰かと話をしている。 うるさい。 普段女の子が喋っている時もやかましく感じることもあったが音量はその100倍だ。 た

まったものではない。 ・・・胸の音だけ聞いていよう。 そうすれば落ち着いて寝ていられる。 地仁田は必死になって寝ることに集中

した。


1時間後・・・


窓「おーい」


 窓香の一声(まぁ地仁田にとっては轟音)で目を覚ました。 どうやらある程度の聞き込み調査が終わったようであった。


窓「今トイレの中にいるんだけど報告するね。 んとねぇ、最近虫が大量発生してて困ってるんだって、それと校舎別館が何となく物々し

いんだって。 で、その虫なんだけど赤い血を出すの。 最初蚊だと思ったんだけど飛ばないから違うのかな?って きもいからちゃんと

見てないって言ってたよ」

地「それってまさか・・・」

窓「まだ確証はないけどね、校庭の隅々まで見れば小人さんが見つかるかもね。」

地「そういえば校長室の裏の部屋でメイドさんがミニチュア模型でストレス発散してたけどもしやあのミニチュアって本物なんじゃ・・・



窓「ぇ・・・」


 突然黙り始める窓香。


地「ん? どうした?」

窓「なんで・・・」

地「?」

窓「なんでそれを早く言わないのよー!」


 大轟音。 思わず地仁田は気を失いかける。 その声は怒ってるのだか喜んでるのだか分からない感じだ。


地「いたたた・・。 えっと、確かあんたの部屋の近くになかったか?」

窓「全っ然気がつかなかったわ! なんでそんな楽しいこと教えないのよ! ・・・行くわよ」

地「どこに?」

窓「決まってるでしょ? そのミニチュアのある部屋よ!」

地「え・・・でも密偵の方は?」

窓「そんなの後回しよ。 もちろん・・・どこか教えてくれるわよね?」


 駄目だこの女、気まぐれすぎる。 でも・・・こいつには逆らえない。


地「・・・分かったよ。 でもこのままじゃ何も見えないからポケットの上をよじ登らせてくれないか?」

窓「・・・ん〜よじ登ってもすぐ落ちちゃうでしょ? 背中に乗っけてあげるから髪にでもしがみついてよ」


 そういうと窓香は地仁田をそっと引っ張り出し背中に乗っけた。 試しに地仁田は窓香の髪の毛を握った。 しかし窓香の髪の毛はツル

ツルしてて掴むことが出来ない。


窓「世話が焼けるわね・・・。」


 窓香は地仁田を髪の毛で慎重に縛り付けた。


窓「どう? 痛くない? これで更に髪の毛にしがみつけばまず落ちないでしょ?」

地「あぁ、ありがとう」


 何もかもが100倍の世界。地仁田は外の世界を見れることによって更に惨めになっていった。


窓「ここなのね?」

地「あぁ」


 ドアを開ける。すると丁度メイドさんは「ストレス発散」の最中だった。 どうやら窓香達が入ってきたことに気がついていないようだ




メ「あはは! どんどんお掃除してあげますからね! 逃げても無駄ですから♪」

小人達「うわぁぁ! 巨大メイドだー! 逃げろー!」


 ほうきを振り回す度にビルが一つ、また一つ原型を留めなくなっていく。壊された破片やメイドさんの足の下敷きになったのは何人でた

のであろう? もはやこの街が全て破壊されるのは時間の問題であった。 100分の1サイズになって改めてその光景を見た地仁田は恐

怖を感じられずにいられなくなる。 対して窓香は目が輝いている。少し顔も赤い。 そして・・・


窓「ちょっとちょっとメイドさん〜! ほうきなんて振り回したら駄目だよ。 あっという間に終わっちゃうじゃない! そう・・・楽し

みは長く・・・ね?」

メ「ぇ?」


 突然の来訪者に困惑するメイドさん。それ以上に混乱したのは小人達であろう・・・


小「なんだなんだ!? もう一人巨大娘がいるのか?! もうお終いだぁー!」


 思わず立ち止まってるメイドさんや小人達とはおかまいなしにメイドさんに近づいてゆく窓香。 ずん・・ぐしゃっ、ずん・・ぐちゃっ

。 メイドさんの目の前まで来た窓香。 その間だけで一体どれだけの小人が潰されたのだろう? 地仁田は想像したくもなかった。 巨

大な肌色の柱が4本もある光景は 明らかに異常だ。 小人達は二人の行動に振り回されるしかない。


窓「良い? さっさと壊すんじゃなくてね。まず立ち止まって笑ってやるのよ」

 
 ふん、と鼻で笑い髪を振り上げた。地仁田のいる方で。 なすすべなく飛ばされてしまう地仁田。 揺れはすぐ収まった。 何とか落っ

こちていない。


窓「あらごめんね? 君がちっぽけ過ぎて忘れてたよ。 まぁ、覚えてたら注意してあげるわ」


 突然艶っぽい声になる窓香。Sっ気はあるだろうなと感じてはいたがまさかここまでだとは・・・。


窓「皆さ〜ん! このメイドさんを「教育」をしようと思います。 ・・・もちろん協力するわよね? 虫以下の価値しかないんだからそ

れぐらいしか価値を見出せないでしょ? 協力する人は私達の前に集合ね、時間は10分。」



 ずどぉぉぉん! 言い終えると窓香は思いっきり踏みつけた。 その音は街全体に響いた。 思わず地仁田も落ちそうになる。 しかし

そんなの窓香のしったことではない。 踏みつけた場所からは白い煙が上がり、辺り30数メートルは吹き飛んでいた。高さ3メートルは

あろうローファーは全てめり込んでルーズソックスしか見えなかった。 道路は跡形もなくなくなり大きな穴が出来上がっていた。 不敵

な笑みの窓香。


メ「あの・・」

窓「あぁ、まぁ10分間待っててよ。それとくれぐれもほうきは使わないでね? それじゃあつまんないでしょ?」

メ「はぁ・・・」


 一人だけの楽しみを邪魔されたことで少しむっとしているメイドさん。 しかし、お客様を無下にするわけにもいかずこらえるしかない




窓「・・・」


 あんなことを言われて小人達は当然行くわけがない。窓香はイライラし始めた。 仁王立ちで腕を組み、先ほどとは逆の足で「だん・・

だん・・」と貧乏ゆすりを始めた。 余計怖くなる小人達。 怯えながらも仕方なく少数が窓香達の前に集まりだした。 地仁田は、窓香

の顔を横から見て自分が言われた訳でもないのに怯えきっていた。 メイドさんはふと、地仁田の存在に気がついた。


メ「あの・・・その背中についてるのは?」

窓「あぁ、これ私のペット。」

メ「ペット!?」

窓「おいしそうだけど食べさせてあげないから」

メ「いや・・・あの・・・」


 もうどこからつっこんだら良いか分からない。ついさっきまで「ストレス発散」に酔いしれていたメイドさんは窓香の登場ですっかり正

気を取り戻していた。地仁田は自分をペットだと言われたのに何も言えなかった。言い返せる訳が無かった。頭の中はすでに真っ白になっ

ていた。


窓「そろそろ10分ね、・・・たったこれだけ? まぁいいわ」

メ「これから何を始めるんですか?」

窓「うふふ、ひ・み・つ♪」

メ「はぁ・・・」


 こうして窓香による「メイドさん教育」が始まりました。