<主な登場人物>
①健人(けんと・高校2年生)
 正義感の強い男子高校生。梨花と付き合っていたのだが…
身長は173cm。
②梨花(りか・高校2年生)
 健人の彼女。黒のサラサラヘアーが美しい清楚な女子高生だったが…
身長160cm。足の大きさ24cm。体重51kg。スリーサイズは上から84・60・88cm。

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1.健人と梨花の関係


昼休みになった。俺と梨花は手をつないで廊下を歩いている。
今日は俺と梨花が付き合ってちょうど1年だ。
心なしか梨花はウキウキしている。
梨花は物静かで品のある女子だ。
その清楚さに俺は心惹かれたのだ。

梨花「健人? 今日は何の日か知っている?」
健人「あぁ、俺たちが付き合い始めた日だろ。もう1年か……」
梨花「覚えてくれたんだ……。嬉しい!」

梨花は俺の腕をぎゅっと抱きしめた。
梨花の髪の毛はサラサラとなびき、シャンプーの甘い香りが漂う。
さらに梨花のふんわりとした笑顔に俺は思わず赤面した。

健人「あのさ……。ちょっと話があるんだけど……」
梨花「きゃっ! 足元に虫が!」

俺と梨花の足元を一匹の虫がカサカサと動いていた。
カメムシだろうか?その虫は俺たちから離れていった。
するとその虫の進行方向には2人の女子高生が歩いている。
金髪にピアス、極端に短いスカートにかかとを潰したボロボロの上履き。
俺たちと同じ学年のギャル系女子高生がその虫に近づいている。

女子A「はぁ? うちらの足元に虫が寄ってきたんですけど?」
女子B「マジキモイ! こうしてやる!」

ギャル系女子高生は足を振り上げ、その虫に向けて振り下ろした。
その虫はぶちゅっとあっけなく踏み潰されてしまった。
そしてギャル系女子高生はグリグリとその虫を踏みにじった。

女子B「虫を踏むとかマジ快感なんですけど! 見てよこの姿!」
女子A「アハハハハ! めっちゃ潰れてるじゃん! キモ~イ!」

もう一人のギャル系女子高生も潰れた虫をグリグリっと薄汚れた上履きで踏みにじった。

梨花「虫さん可愛そう……。虫さんだって一生懸命生きているのに……」

梨花は泣きそうな声で俺にしがみついた。すると俺は2人のギャル系女子高生と目が合った。

女子A「なんだよあいつ。男に抱きついてやんの。ガキか?」
女子B「男とイチャイチャしてムカつく! さっさと行こうよ!」

二人のギャル系女子高生は俺たちにガンをつけて立ち去った。梨花はビクビクしていた。




昼休みが終わろうとしたとき、俺は梨花に報告しなければならないことがあったのだ。

梨花「話って何?」
健人「実は俺、新しく好きな子ができたんだ」
梨花「…‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え?」
健人「だからその……。梨花と別れたいんだ。今まで楽しかった。ありがとう」
梨花「………ウソでしょ……。信じられない! 健人のバカ!」

梨花は目に涙を浮かべて俺の肩を両手で押し、そのまま振り返って駆け足で去っていった。

2.梨花、巨大化


放課後、梨花は一人で公園のベンチに座っていた。健人と2ショットの写真を見ながら泣いている。

梨花「なんでよ……。私の何がいけなかったのよ! 健人のバカ! バカァ!!!」

梨花は思わず立ち上がり、天に向かって叫んだ。
すると公園を散歩していたおじいちゃんが尻餅をついて驚いた。

お爺「な、なんじゃ! 女の子がどんどん大きくなっている!?」

突然梨花が巨大化した。あっという間に100倍もの大きさになった。梨花本人も驚いている。

梨花「ほえぇ~! なんでおっきくなっちゃったの!?」

梨花の視界を妨げるものは何一つない。
下を見ると米粒みたいな人間がうろちょろしているのが目に入った。
梨花はオロオロした。だが、巨人の梨花が足を動かすだけで地震が起き、周りの人間は悲鳴をあげながら梨花から離れていった。

梨花「どういうことなの? 私は巨人になっちゃったの?」

梨花は前へ一歩踏み出すと、足元にあった車を一台踏み潰してしまった。
メキメキと無機質な音を立て、車はあっという間に梨花のローファーの下でぺちゃんこになってしまった。まるでアルミ缶を踏み潰すように。

梨花「きゃっ! 車を踏んじゃった……。ごめんなさい……」

梨花は足を動かすと再び足元にあった車をメキメキと踏み潰してしまった。
道路には梨花の靴跡がくっきりと残っており、ところどころヒビが入っていた。

梨花「ど、どうしよう。このまま一歩も動けないよぅ~……」

梨花がモジモジしていると、梨花の足元に学校の男子たちが集まってきた。
みんな上を指差して喜んでいる。

男子A「見ろよ! パンツが丸見えだぜ! 真っ白だ!」
男子B「でっけぇ~。 高層ビルみたいだな!」
男子C「とりあえずパンツの写真だけ撮っておこうぜ!」

思春期の男子たちは巨大女子高生のスカートの中を覗き、興奮状態だ。
その光景を梨花は赤面しながら見下ろした。
すると、梨花は足を振り上げ、男子高校生へ向けて勢いよく踏み下ろした。

梨花「私のスカートの中を覗かないでください!!!」

どすぅぅぅぅん!!! ブチブチブチ!!!


梨花は男子高校生たちをローファーで踏み潰した。地面にはくっきりと足跡を残し、先程まで元気に動いていた男子高校生たちがピクリとも動かずに地面にめり込んでいた。

梨花「ど、どうしよう……。人を踏み殺しちゃった……」

梨花は申し訳なさそうに自身が踏み潰した男子高校生の成れの果ての姿を見下ろした。
だが、梨花の心の奥では別の感情が芽生えようとした。
足元でブチッと潰れた感触にドキドキしていた。
虫も殺せない梨花が人を踏み殺した快感にほんのりと浸っていた。
すると今度は二人のギャル系の女子高生が梨花に近づいた。

女子A「げっ! 昼休みに男と抱きついた女じゃね? なんで怪獣みたいにでっかくなっているんだ?」
女子B「ヤバくない? 逃げたほうがいいよ!」

昼休みに虫を踏みつぶした二人のギャル系女子高生だ。
梨花は腰を下ろし、その二人の女子高生を摘んだ。
その女子高生たちはジタバタとするも梨花の丸太のような指がピクリとも動かない。
ひたすら悲鳴を上げていた。梨花は二人の女子高生を顔に近づけ、その悲鳴を聞いた。

梨花「私にビビっているの?」

しばらく沈黙が続いた。
通常の大きさであれば怖くてビビってしまうような外見のギャル系女子高生が梨花に命乞いをしている。
梨花はニンマリとして口を開いた。

梨花「私のことが怖いのかな?」
女子A「ふざけるな! 離せこの怪物女!」

口答えする女子高生に対して梨花は指に力を入れた。
二人の女子高生は悲鳴をあげ、助けを乞うた。梨花はその姿を見て鼓動が高まった。

梨花「うふふふふ……。もう私に怖いものはないのね……」

梨花は摘んでいた二人の女子高生を遠くへ投げ捨てた。そして、目の前にあるマッチ箱のような家を踏みつぶし、その家はあっという間に木片と化した。さらに逃げ惑う人に向けてローファーを踏み下ろした。

町人A「助けてぇ!」
町人B「ひぎゃ!」

どすぅぅぅぅん!!! ブチブチ!!!


梨花は町人の悲鳴にお構いなく次々と踏み潰していった。

梨花「そうだ! この体で健人に仕返しをしよう! 私がいるのに新しい女の子を作るなんて許せない……。健人を踏み潰してやるんだ!」

梨花の表情は大きく変わった。
ふんわりと優しい笑顔は今では微塵も見られない。
まるで魔王のように蔑んだ表情で街を見下ろす。
梨花はズシンズシンと足音と地響きを立てて街中を歩き始めた。
これから巨大女子高生梨花の仕返しが始まる。

3.梨花の仕返し


梨花「健人~、どこにいるの?」

梨花はズシンズシンと足音を立てながら街中を闊歩する。
梨花の足元で悲鳴をあげながら逃げ惑う人々を次々と踏み潰し、健人を探している。
道路にはテニスコートぐらいの大きさの足跡が多数存在し、梨花に踏み潰された人たちがこびりついている。

梨花「やだぁ~……。また人を踏み殺しちゃった……。んも~! 私の足元をうろつかないでほしいわ!」

梨花は足元をうろつく人間にイラついていた。
悪びれた様子はなく、さらに直進する。
すると、学校へ到着した。校庭で野球部が練習をしている。

顧問「なんだあれはぁ!」

学校で一番恐くて厳つい野球部の顧問が上空を指差した。
その顧問の真上には薄汚れたローファーの靴底が君臨する。
そして、その巨大なローファーが顧問に迫り来る!

どすうぅぅぅぅん!!! ぐちゃ……


生徒に恐れられた教師が梨花の一踏みであっけなく潰されてしまった。

梨花「あっ……。先生を踏んじゃった。ごめんなさい」

梨花はそっけない表情で靴底にへばりついた先生を見下ろした。そして腰を下ろし、校舎の中を覗いた。

梨花「健人? どこにいるの?」

校舎の中に健人はいなかった。
いるのは逃げ惑う多数の生徒と教師である。
悲鳴をあげて蟻のようにちょこまか動く人間に、梨花はニヤニヤしていた。そして立ち上がった。

梨花「うふっ! なんだかゾクゾクしてきたわ! そうだ! 今から学校をお尻で潰しまぁす♪」

梨花は、自身の膝の高さにも及ばない校舎に腰かけた。
まるで隕石のような巨大なお尻が校舎に襲いかかる。
校舎はガラガラと大きな音を立てて崩れていった。
あっという間に梨花のお尻の下敷きとなってしまった。
瓦礫の合間には多数の人間が見られた。

梨花「うふふふふ。学校が潰れちゃった♪ これで明日から学校に行かなくていいのね! なんだか嬉しいわね!」

梨花は腰を上げ、パンツにくっついた瓦礫や潰れた人間を手で払い落とした。

健人「と、とんでもないことになった……」

俺は、学校から4km離れた駅前にいる。遠くから梨花の暴れっぷりを冷や汗かきながら見ていた。

梨花「健人? 早く出てきなさい!」

梨花がズシンズシンと足音を立てながら俺の方へ歩き始めた。
梨花は足元にある建物を踏み潰したり蹴飛ばしたりしてあっという間に駅に到着した。
俺は見上げると、紺のソックスに包まれた二本の塔のような脚、そして巨大なパンツが目に入る。
今まさに俺は、梨花の真下にいるのだ。

――見つかったら殺される!

俺は、近くの建物の中に入ろうとした。
しかし、入口からパニック状態の人々が押し寄せ、俺は人混みに飲み込まれてしまった。
すると、この人混みを梨花は蔑んだ笑みで見下ろした。

梨花「そうだ! 人間たちをローファーの中に入れてみよっと!」

梨花はニコニコしながら右足のローファーを手に取り、シャベルで土をすくうように足元の人間をすくい上げた。ざっと30人は梨花のローファーの中に閉じ込められただろう。俺は、一度巨大なローファーに掬い上げられて宙を舞ったが、そのまま地面に落下した。するとローファーの中に閉じ込められた人たちが悲鳴をあげた。おそらくローファーの中は強烈な臭いだろう。街中をひたすら歩き続けた梨花のローファーの中はムレムレだろう。想像しただけでも恐ろしい空間だ。すると気づいたら、俺の目の前には白い五本の指が存在していた。見上げると、梨花は紺のハイソックスを駅ビルに掛けていた。

梨花「うふふふふ。今度は素足で街を壊してみようかな?」

梨花の巨大な素足が俺の目の前にある。汗をかいたせいか梨花の素足周辺は異様に湿度が高い。
そして鼻にツンとくる臭いに俺は咳き込んだ。
すると梨花は突然大きな声を上げた。

梨花「健人! 見つけたわ!」

俺に気づいたようだ。
逃げようにも梨花の素足の臭いに悶絶し、あっという間に梨花につままれてしまった。
俺の目の前には梨花の巨大な瞳、そしてうるおいのある唇。
梨花の表情はあきらかに不機嫌だ。
このまま俺はどうなってしまうのか。
思わずしたを見ると、ここは上空160mくらいか。あまりの高さに俺は気を失いそうになる。

梨花「アハハハハ。怖い? ここから落ちたら死んじゃうもんね! ほぉら」

梨花は俺をブラブラと揺さぶった。
梨花にとってはお遊びのつもりでも、俺にとっては地獄のような時間だ。
絶叫マシンに乗ったようで気分が悪い。
梨花が一歩踏み出した時、足元にいた人達が梨花の巨大な素足によって踏み潰されてしまった。
梨花は思わず喘いだ。

梨花「うっそ~……。素足で人間を踏み殺すと気持ちいいかも……」

梨花はうっとりしている。
虫も殺せない梨花が巨大化したことによって人が変わってしまった。
こんな残酷な梨花を見たことがない。

梨花「そうだ! いいことを思いついたよ。健人? 私の足の裏を見てね」

俺は地面に下ろされた。
そして梨花は素足を持ち上げ、俺に近づけた。
梨花の巨大な素足には多数の人間がこびりついている。
思わず俺は膝をつき、体を震わせた。

梨花「今から健人を踏み殺してあげるね! 私の足の裏にこびりついてこれからも一緒にいようよ」

梨花は素足を振り上げた。周りの人は悲鳴を上げながら逃げ惑う。
しかし俺は、恐怖のあまり足がすくんで動けない。
周りは梨花の素足の影に覆われる。
そして上空には白い素足が圧倒的な存在感を示す。

――逃げなければ殺される!

頭ではわかっていても体が動かない。
徐々に梨花の素足が近づいてくる。
それを俺は黙って見上げるしかできなかった。
手に届く距離に梨花の素足が迫ってきた。
梨花の足の臭いが充満している。

健人「ちくしょう!!!」

どすぅぅぅぅぅん!!! ブチッ!!!


梨花は容赦なく健人を踏み潰した。
健人の周辺にいた街の人たちも一緒に梨花の素足の下敷きになって命を落とした。
道路が陥没し、凄まじい振動によって近くの建物も倒壊した。
周りの車も潰され、炎上している。

梨花「うふふふふ。健人め! ざまあみなさい!」

梨花は足の裏にこびりついた健人を見下ろし、きゃっきゃと笑いながら飛び跳ねた。
ズズンズズンと地響きを立てて飛び跳ね、足元にあった車や小さな建物はぺちゃんこに踏み潰された。
すっかり満足した様子だ。
すると梨花の体はどんどん小さくなっていった。
うっぷんを晴らしたためか、梨花は元の大きさに戻ったようだ。
梨花も最初は何が起こっていたのか把握できなかった。
しかし、近くにあった脱ぎ捨てられた巨大なローファーや駅ビルに掛けてある巨大な紺ソックスを見て梨花は赤面した。さらに周りの巨大な足跡が自分のものであると知ると思わず走り出した。

梨花「は、恥ずかしい!」

いつもの梨花に戻ったようだ。
しかし、梨花の足裏には健人の死骸がこびりついている。
巨大化する梨花は一体何者なのか?
再び巨大化するのか?
真相は明らかにならないまま月日は過ぎていった。

(終)