突然体が小さくなった俺。
身長は1cmぐらいだろうか。
いつもの道に生えている草がまるでジャングのように生い茂る。
俺のそばにあるアルミ缶はまるで家のような大きさで中に入って生活できそうだ。
だがそんな悠長なことを言っている場合ではないのだ!

「アハハハハ! 死んじゃえこびとさん!」

10歳くらいの女の子が俺に向かって次々と靴を振り降ろす。
少女が靴を振り降ろすたびに激しく地面が揺れる。
地面に落ちている小枝を踏みつけて真っ二つにし、セミの死骸をつま先で軽々と蹴飛ばして俺に接近する。
とうとう逃げ場がなくなった。

少女「アハハハハ! バイバイこびとさん!」

少女の靴底がじわじわと俺に接近する。
俺は周りを見渡し、空き缶を見つけ、その中に入った。

どすぅぅぅぅん!!!


かろうじて少女の靴を回避し、空き缶の中に身を隠すことに成功した。

少女「こびとさんが消えちゃった……」

少女が歩くたびに発生する地響きはだんだん小さくなり、この場から離れたようだ。
空き缶の飲み口から少女の行方を確認し、空き缶から脱出する。
しかし、再び地響きが起こり、身を隠そうと空き缶の方を向く。
すると巨大なローファーのつま先が空き缶を高々と蹴飛ばされたのだ。
俺は恐怖を感じ、見上げた。
そこには制服姿の女子高生二人がその場で立ち止まり、会話を始めたのだ。
そびえ立つ巨塔のような脚、そしてスカートの中の白い下着。
真下から見上げる巨大な女子高生の迫力は息を呑むほどだ。
俺はそのまま座り込み、女子高生たちの会話を聞いた。

愛梨「先輩? そんなにこびと遊びは楽しいんですか?」
美波「そうね。楽しいわ! 特に素足で踏み潰すのがクセになるわ~」
愛梨「踏み潰すって……。大丈夫なんですか? 人殺しじゃないですか~」
美波「こびとを殺しても人殺しにはならないわ! 愛梨ちゃんだってよく虫を踏み潰すでしょ? 罪にはならないわよね?」
愛梨「それはそうですけど……」
美波「それと同じよ。虫と同じ大きさで存在価値のないこびとを踏み潰しても何の問題もないの!」
愛梨「虫を踏み潰してぺちゃんこにするのは爽快ですけど、こびとを踏むってどんな気持ちになりますか?」
美波「爽快よ! むしろ虫を踏み潰すより快感~」
愛梨「そうなんですか~。ちなみに先輩はこびとを見つけたらどうやって踏み潰すんですか?」
美波「そうだね~。キーキー叫びながら逃げるこびとの真上に素足をセットするの。そして思いっきり踏みつけるの!」
愛梨「そしたら一瞬でぺちゃんこじゃないですか!」
美波「そうだよ! 私が素足を降ろしただけでこびとたちはピクリとも動かなくなるの~! ウケるわ!」
愛梨「へぇ~。まるで虫けらみたいですね!」
美波「なかには私の足裏にへばりつくこびともいるわ! ちょ~惨めだと思わない?」
愛梨「アハハハハ! キモっ! っていうかそのこびとをどうするんですか?」
美波「ティッシュで拭き取る時もあれば、そのまま歩いてこすり落とすかな~」
愛梨「もはや扱いが人間じゃないですね!」
美波「だってこびとは人間じゃないもん! 虫やゴミクズと同類よ!」
愛梨「でも一気に踏み潰したらそれで終わりじゃないですか?」
美波「愛梨ちゃんいいね~! そうなの! 最近はじわじわ踏み潰しながらトドメを指すようにしているわ!」
愛梨「想像できる~! 先輩の残酷さが目に浮かびますよ!」
美波「特にウケるのはこびとの下半身を踏み潰すことかな? 残った上半身を使って私の素足に抵抗するけどびくともしないわ!」
愛梨「下半身を潰したらもうこびとは動くことができないですね!」
美波「そうなの! ただただ私の神々しい足裏を眺めながら死ぬしか出来ないこびととか惨めじゃない?」
愛梨「神々しい足裏って表現がウケるわ! こびとからみたら先輩は神様みたいですね!」
美波「こびとの命を私が握っているわけだからね! 美波様とか言わせながら足を舐めさせたこともあったわ!」
愛梨「先輩ってドSですね! ってかこびとは足を舐めるんですか?」
美波「舐める舐める! くすぐったいわ! それに変な感情が湧き出てきて気持ちよくなるの!」
愛梨「マジですか! こびとってプライドもないんですか~」
美波「ねっ! 愛梨ちゃんもこびと遊びしたくなったでしょ?」
愛梨「アハハハハ……。あたしもズシンと踏み潰してみたくなったかも~」
美波「じゃあこびとを探そうよ! 最近は学校外にもこびとが出現するみたいだから!」
愛梨「へぇ~。でもなんでこんなにこびとが出現するようになったのかな~……」
美波「優香さんが知っているらしいんだけど詳しく聞こうとすると怒られるみたい」
愛梨「優香さん? あぁ美咲お姉ちゃんの同級生の!」
美波「まぁこびとだしどうでもいいけど……」

女子の会話は残酷だ。
俺もこびとに当てはまるのだから人ごとではない。
気がついたら俺は美波という女子高生につままれてしまったのだ。

美波「噂をすれば私の足元に一匹いたわ!」
愛梨「これがこびとか~。形は人間ですね!」

俺は丸太のような指に摘まれ、身動きが取れずにいる。
美波は軽くつまんでいるのかもしれないが、お腹を強く圧迫されて息が苦しい。
目の前にはマシュマロのように柔らかそうな唇が存在する。
今の大きさなら唇に全身を包み込まれることができるだろう。
しかし、一歩間違えばそのまま口の中に入れられ、食堂を通過して胃液で消化されるのではないか?
そんな不安も頭をよぎった。

美波「愛梨ちゃん! 手のひらを広げて!」

俺は愛梨の手のひらに落とされた。
布団のように柔らかな手のひらは教室と同じくらいの広さだろうか。
見上げると巨大な愛梨の顔が一面を覆い尽くす。
可愛らしい表情を浮かべているのだが、圧倒的な大きさで威圧感が凄まじかった。
すると俺は掃除機に吸い込まれるように上空へと体が吸い上げられる。

愛梨「きゃっ! 鼻の穴にこびとさんが入っちゃった! ちょっと匂いを嗅いだけなのに!」
美波「鼻に近づけすぎなのよ! ほらフンってしなさい!」

愛梨は鼻で息を吐き、再び手のひらの上に落下した。

愛梨「これがこびとか……」

今度は愛梨が喋る時に吐き出される吐息に俺は吹き飛ばされそうになった。

美波「んで愛梨ちゃん? こいつをどうやって踏み潰す?」
愛梨「そうですね……。あっ!」

愛梨は右足のローファーを脱いだ。
綺麗な生脚を披露する。

美波「っていうかあんた、素足にローファー履いていたの!? 蒸れるじゃん!」
愛梨「靴下に穴が空いていたので思い切って素足で履いちゃいました!」
美波「ま、まさか? そのこびとを……」
愛梨「そうです! ローファーの中にこびとを入れてしまいます!」

俺は思わず絶叫した。
そしてそのまま愛梨は俺をローファーの中へ投げ入れた。
凄まじい湿気に鼻にツンとくる刺激臭。
酸っぱい臭いやカビが生えたような強烈な臭いに俺は意識を失いそうになった。
さらに巨大な素足がローファーの中に侵入する。
俺は愛梨の親指に激突し、そのまま下敷きとなってしまった。
凄まじい重みが俺を押し潰そうとしている。
湿気・臭い・重み。
これらが俺の身も心も支配した。

美波「あんたも考えたわね!」
愛梨「これならこびとを踏みしめる感触を何度も感じることができるから面白そうだと思って……」
美波「私もやってみようかな。じゃあ歩きましょ!」

愛梨が歩くたびに俺には凄まじい圧力が加わる。
素足で履いたローファーの中に閉じ込められ、愛梨のしっとりとした素足に押し付けられた。
その後の俺の記憶はない。

(終)