<前回までのあらすじ>
俊哉と翔は女子高へ無断で潜入し、新任教師の浩二に捕まる。
その後、女教師の紗季が俊哉たちを100分の1サイズに縮小させた。
紗季は翔を捕まえ、縮小都市でゲームをしないかと優香たちに提案する。
俊哉は翔を助けるために縮小研究部部室にある縮小都市を目指す。

<主な登場人物>
1.主人公
 ①俊哉(しゅんや・高校3年生)
  ・好奇心旺盛の男子高校生。
  ・羽をつけているため、空を飛べる。
 ②翔(しょう・高校3年生)
  ・俊哉の親友。冷静で頭の回転が良い。
  ・羽をつけているため、空を飛べる。だが紗季に捕まってしまった。
2.縮小研究部
 ③優香(ゆうか・高校3年生・部長)
  ・常に優越感に浸りたいドSの女子高生。優香に逆らう者は男女問わず踏み潰す。
  ・制服に素足。
  ・身長164cm。足のサイズ25cm。スリーサイズは上から85・61・87cm。
 ④千春(ちはる・高校3年生・副部長。元女子バレー部)
  ・亡き知宏の幼馴染。
  ・普段はおっとりとしているが、ちび男子を見つけると容赦なく踏み潰したりお尻で潰したりする。
  ・制服に素足。(スカートの中はブルマ)
  ・身長173cm。足のサイズ26cm。スリーサイズは上から86・64・89cm。
 ⑤希(のぞみ・高校3年生・書記、会計)
  ・天然でドジっ子。今は丸メガネをかけている。
  ・体操着に白いくるぶしの靴下。
  ・身長150cm。足のサイズ23cm。スリーサイズは上から76・58・86cm。
 ⑥高美(たかみ・高校3年生・庶務。元女子バレー部)
  ・千春の親友。高飛車な性格でちび男子を威圧する。
  ・制服に黒のハイソックス。
  ・身長178cm。足のサイズ26cm。スリーサイズは上から92・63・91cm。
 ⑦紗季(さき・26歳・縮小研究部の顧問)
  ・若い割には大人の色気を放つ女教師。
  ・新任教師の浩二が好きで、それ以外のちび男子に興味はない。
  ・黒いスーツにオフィスサンダル。そして素足。
  ・身長166cm。足のサイズ25cm。スリーサイズは上から95・60・92cm。
3.その他の人物
 ⑧玲奈(れいな・高校3年生・女子陸上部)
  ・亡き知宏のクラスメイト。陸上に熱心。
  ・陸上のセパレートのユニフォームから制服に黒のハイソックスに着替える。
  ・身長156cm。足のサイズ24cm。スリーサイズは上から81・56・83cm。
 ⑨浩二(こうじ・23歳・新任教師)
  ・正義感の強い教師。
  ・1年留年して憧れの教師になることができたが、女教師の紗季に縮小される。

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【30分前の女子更衣室】



ズシィン! ズシィン! ズシィン!



体にずっしりと響く重低音と地響きを起こしながら一人の女子高生が更衣室へ入った。
その女子高生の名前は玲奈。
女子陸上部の部長である。
どうやら陸上部の活動を終えたようだ。
玲奈は上履きを脱ぎ捨て、ロッカーから制服を取り出した。
玲奈の上履きの底には人の形をしたシミが5、6箇所見られる。
しかし、一人だけ溝にはまり、奇跡的に人としての原型をとどめている縮小男子がいた。
それが翔である。
俊哉が優香に捕まってしまった時、翔は無意識に玲奈に踏みつけられ、上履きの溝にはまって女子更衣室までやってきたのである。
翔は上履きの溝から脱出したが、何百回も踏み殺される恐怖を味わったためか足元をおぼつかせながら歩いて行った。

翔「とにかく俊哉と合流しないと……」

翔はまるで東京ドームのような広さを誇る女子更衣室を見渡し、出口を探した。
すると、遠くから悲鳴が聞こえ、翔は悲鳴のする方へ向いた。

女子A「やだぁ! また虫がいる!!」
女子B「潰しちゃいなよ! キモいから」

身長140cmくらいの小柄な女子生徒の足元に小さな生き物が5、6匹うろついている。
しかし、小さな生き物は虫ではなく縮小人間であった。
陸上部員たちは縮小人間のことを虫と勘違いし、思いっきり素足を踏み降ろした。

どすぅぅぅん!!! ブチッ!


縮小人間たちはあっという間に小柄な女子生徒の素足にこびりついてしまった。

女子C「こっちにもいるし! 着替え中になんてえっちな虫!」

別の女子生徒は素っ裸の状態で足元をうろついていた縮小人間に素足をセットした。
その縮小人間は40歳半ばでピチピチの女子高生の裸に見とれているのが分かった。
お腹が出ていてだらしのない格好であったが、デレデレした表情はもっとだらしなかった。
そんな中年の縮小人間は逃げることなく女子生徒の素足の餌食となった。
ぺちゃんこになり、床にこびりついていながらも表情はにやけており、死に様もだらしのないものだ。
しかし、女子生徒は今しがた踏み殺したものが人間であったことなど知る由もなかった。

女子A「最近更衣室に変な虫が大量発生していない?」
女子B「ホントキモいよね! 私は昨日、その虫を13匹踏み潰したわ」
女子C「え? うちは20匹だよぉ~! うちの勝ち!」
女子B「なんかムカつくわ~! よぉし! じゃあ私は21匹踏み潰してやるわ!」
女子A「それより足に虫の死骸がこびりついちゃったからシャワーで洗い流そうよ」

女子生徒たちはキャッキャと笑いながらおしゃべりに花を咲かせていた。
小さな命を踏み殺したことに罪を感じることなく、むしろ小さな命を弄んでいるかのように思え、なんとも残酷な女子高生たちだ。

翔「マズイ……。ここにいると俺も殺されるかもしれない」

女子陸上部員の引き締まったふくらはぎと足首を眺め、あんな足が俺に牙を向いたら即死だと翔は冷や汗をかいた。
そして翔は踵を返し、女子生徒たちから離れようとした瞬間、突然周りが暗くなった。
見上げると白い布のようなものが翔に近づいているのが分かった。
そして翔は、その白い布に全身を覆われた。

翔「ぐはぁ! くせぇ~!!!」

なんと、白い布の正体は玲奈のくるぶしの靴下だ。
陸上部でたくさん走り、汗がたっぷり染み込んだ靴下が翔の全身を包み込む。
鼻にツンとくる酸っぱい臭いとチリとホコリの混じった女の子の足の臭いが翔に襲い掛かる。
さらにうっすらと水蒸気が見え、玲奈の体温で靴下の中は蒸し風呂状態だ。
そんなじめっと蒸し暑い激臭空間に翔は閉じ込められ、目が真っ赤になり、全身がぴくぴくと痙攣し、意識が遠のいてきた。

翔「こ、こんなところにいたら……死んでしまう……」

女の子の靴下で人を殺せるなんて翔は考えたこともなかった。
その一方で女子陸上部員たちは自分の靴下の匂いを嗅ぎ、キャッキャと笑っていた。

翔「あそこが出口か!」

わずかな明かりを目指して翔は帆風全身のように出口を目指した。
すると突然、全身が潰れるほどの凄まじい圧力を翔は感じた。

玲奈「これで着替えは完了ね!」

なんと、玲奈は自分の白い靴下をアリのような翔ごと踏みつけたのだ。
白い靴下がクッションとなったためか翔はぺちゃんこになっても体が破裂して死ぬことはなかったが肺が押しつぶされ、呼吸はできなかった。
さらに高湿度の激臭空間に翔は精神が崩壊した。

翔「しゅ・ん……や…………。お…前は……生き…残れ…よ……」

玲奈の体重と靴下により翔は意識を失ってしまった。
その一方で玲奈は今日の学食で何を食べようかウキウキしながら考えていた。

玲奈「みんな~。ご飯を食べようか!」

玲奈は部員を食事に誘い、白い靴下を放置したまま女子更衣室をあとにした。
あたりは静まり返った。

紗季「あらまぁ。陸上部は更衣室の使い方が汚いわねぇ~」

誰もいなくなった女子更衣室に紗季先生が入ってきた。

紗季「白い靴下が黒ずんでいるわね。まったく床に放置したままで汚いわ」

最近の女子高生ははしたないと愚痴をこぼしながら紗季は玲奈の白い靴下を持ち上げた。
すると床に小さな生き物を発見した。

紗季「これは……ちび人間? この汚い靴下の中にいたっていうの?」

もちろんこの縮小人間の正体は翔である。
紗季は翔をつまみ上げ、じーっと見つめた。

紗季「このちび男子は……今日、この学校に無断で侵入した子だよね。なんで女子更衣室にいるのかしらね?」

紗季は不敵の笑みを浮かべながら翔を胸ポケットに入れた。

紗季「私には浩二先生がいればそれで十分。このおちびちゃんは部長たちに遊んでもらいなさい! うふふふふっ」

紗季は女子更衣室をあとにした。
歩くたびにゆっさゆっさと揺れる紗季の大きな胸。
その胸の谷間に小さな浩二先生がいた。

紗季「うふふふふ♡ 私の谷間で暴れていますわね。くすぐったいわ。でも浩二先生は殺しませんから安心してくださいね♡」

そして時は戻り……

【縮小研究部部室にある縮小都市】



優香「アハハハハ! すごいじゃない! テニスコート4つくらいの大きさじゃない?」

優香と千春、高美は目の前の縮小都市に興味津々だ。

紗季「うふ。一つの区を100分の1に縮めたのよ。例えば千春、あなたの足元にある建物は15階立てのマンションよ」
千春「ウソ……。私の膝と同じ高さじゃない!?」

千春はしゃがみ、15階の窓から中を覗いた。

千春「うわあぁ……。人もいるよ。こいつらカップルかな?」
紗季「この区の人口は確か22万人だったかしら? まぁ、私たちから見たらアリンコみたいだけどね」

本物の都市を縮小しただけあって千春は驚きを隠せなかった。
すると扉が開き、体育着姿の希がやってきた。

希「あぁ! 副部長さぁ~ん! それにみんなもここに来たんだぁ~」
優香「だからあたしは部長よ!」
希「あれぇ? おっかしいなぁ……」
優香「希! 聞いているの!?」

希は怒る優香を振り切り、縮小都市へ走り出した。

希「さっき私がこの縮小都市をぶっこわしたのにぃ~。キレイさっぱり元通りになっているぅ~……。なんでぇ?」
紗季「うふふふふ。この縮小都市は復元できるのよ。この復元装置を使えばね!」
優香「ん? このモニターになにか書いてあるわ?」

―・―・―・―・―・―
・希
 ①足…6755人
 ②胸…   7人
 ③尻…4508人
 ④手… 800人
 ④他… 190人
 *ランク…C(6段階中4)
―・―・―・―・―・―

優香「紗季先生? この数字は何なの?」
紗季「うふふふふ。これは潰した縮小人間の数よ。10分間のデータが記録されるわ。ただし、瓦礫の下敷きになったりした場合はカウントされません! 希ちゃんは、足で潰したのが多いわね」
千春「お尻も多いわね……。4000人以上ってすごいのかな?」
優香「キャハははは!!! 胸が7人だって!? さすが希! ペッタンコのおっぱいじゃちび人間どもは潰せないってことね!」
希「ぶぅ~……。どうせわたしはひんぬーですよぉだ! でもこのプリプリなお尻でたくさんちびを潰しちゃったもんね!」
高美「胸が小さい人に限ってお尻をアピールする……」

高美は希に聞こえないくらい小さな声で呟いた。

千春「あとはランク……。このランクってなんですか?」
紗季「まぁこのゲームの総合点よ。より縮小人間に恐怖を与えて潰した人に高いランクがつく。Sが最高でA、B、C、Dと続いて最低なのがEよ」
優香「んで希はCだから……下から3番目!? アハハハハ! なっさけないわぁ~!」
希「ぶぅ~。だってぇ~、思ったよりちび人間がすばしっこかったんだもん!」

希は頬を膨らませ、地団駄を踏んだ。
希の足元に一人の縮小人間がいたのだが、希の地団駄に巻き込まれ、見事にペチャンコになってしまった。

紗季「あと、この縮小都市内の建物と縮小人間たちは復元するけど、外に出てしまったら復元できないから気をつけてね!」

紗季は優香たちに注意したあと、希の足元に目を移し、変わり果てた姿をした縮小人間を見てクスッと笑った。

紗季「それじゃあゲームをやりましょうか。送信っと」

紗季はパソコンを操作すると、先程まで摘んでいた翔が消えてしまった。

紗季「ルールは簡単よ! 制限時間は10分。よりランクの高い人が勝ち。ただし、ちび人間たちが一人でも翔を連れてこの部屋から出ていけばあなたたちの負け。 これでどう?」
優香「おっもしろそうじゃん! じゃああたしからやるわ!」

優香は上履きを脱ぎ捨て、素足で縮小都市に足を踏み入れた。
すると、周りの縮小人間たちが泣き叫びながら走り出した。

縮小人間A「うわぁぁ! また巨人がやってきたぞ!」
縮小人間B「もういやだ! いっそのこと俺を殺してくれ!」

優香は仁王立ちをしてまるでかく乱したアリのように逃げ惑う縮小人間を見下ろし、蔑んだ笑みを浮かべた。

俊哉「あの縮小都市ってやつに翔がいるんだな」

希が扉を開けっぱなしにしていたため、俊哉は軽々と部室に潜入することができた。
部員たちは気づいていないが、紗季先生は口元を緩ませ、パソコンを操作した。
すると、俊哉の姿がパッと消えてしまった。

紗季「うふふふふ。親友を助けることができるかしら」

紗季はぼそっと呟いた。

縮小研究部は人間を縮め、自分の思い通りに扱う部活動である。
ある者は小さな人間を踏み潰し、ある者は食べてしまう。
また、紗季先生のように自分の好きな人を小さくして自分のものにしてしまう者もいる。
圧倒的な体格差ゆえ、小さな人間の運命はすべて大きな女子高生が握っているのである。
そんな絶大な力を誇る縮小研究部の顧問と幹部にアリのように小さな俊哉が戦いを挑むのである。
果たして親友の翔を救い出すことができるのだろうか……



続く……