彼女名前は絵里奈という。
金髪で肌は白く、青色の瞳をしており、見るものをすべて魅了する。180cmと長身でバスト90cm超え、脚長90cm超えという。街中で振り返られるような美人だ。
しかし彼女には他の人類と大きな違いがある。彼女は惑星の人類より300倍大きいのだ。
彼女は、どの惑星の軍隊でも傷つける事は出来ず無敵であった。
都市を踏み潰し破壊、小人を虐める事に快楽を覚えていた。
今日もどの惑星を滅茶苦茶にしてやろうかと考えていた彼女。今回はいつもと違う事をしようと思いついた。

今日は以前破壊し尽くした惑星で手に入れた、ノースリーブタンクトップ、ミニスカートに黒いパンストの格好をして準備を進めていた。
彼女は靴を履きに行った。シューズボックスや玄関には捉えた小人が大勢おり、靴を綺麗にする仕事を与えているのだ。
玄関に置いてある黒いパンプスを履き、少しかがんで足元を見ると、足元をうろついている小人達が見える。
頬を吊り上げながら楽しそうに話しかけた

「いいことを思いついたの、いつも通りやるとすぐに終わっちゃうから、今回は貴方達が先に行って現地の軍隊を制圧してきなさい。」

足元の小さな点がなにやら蠢いているが、小人たちから明確な反応は無かった。
彼女は小人達の反応が無いことにイライラした様子で、そのパンプスを履いた足を振り上げ、思いっきり床に叩きつけた。

ダァァン!

宇宙船中に伝わるような音が鳴る。
不幸にも足元にいた小人達は一瞬で靴底に踏み潰され、その回りに居た小人達も衝撃で吹き飛ばされた。

「返事もできないのかしら、この虫達は…」

イライラしながら右足のヒールをガンガンと地面に叩きつける。
恐怖に刈られた小人達は逃げようとするが、彼女のヒールが叩きつけられる事による地震で足元を掬われマトモに逃げる事が出来ない。
近くにあったソファーまでコツコツとヒールを鳴らしながら移動する彼女。小人が途中に居ようが容赦なく踏み潰す。
ドスンとソファーに腰掛け脚を組み座ると彼女は地面の小人達に言い放った。

「10分待ってあげる。参加する者は私のパンプスの爪先前に整列しなさい。」

尖ったパンプスの先をズリズリとタバコを消すように床すり付け小人に分かるようにすると、情報端末に興味を移すことにした。




彼の名は広司と言う。一年ほど前に絵里奈に惑星を破壊され、奇跡的に生き残った際に彼女に回収された。
それ以降彼女の宇宙船で靴を磨く仕事をしている。
彼女が活動した後の靴は、小人や建物を踏み潰した際に付く汚れが付着しており、それを布や重機で取り除き綺麗に磨く仕事だ。
今日のノルマであったパンプスを吹き上げ小人専用の区画へ帰ろうとしていると、ズシン、ズシン、という覚え慣れた振動が近づいてきた。
彼女が近づいてきたのだ。
彼が先ほどまで吹き上げていた黒光りするパンプスに、さらに大きなビルよりも大きな黒い足をズシン!ズズズ・・・と地響きをさせながら彼女が履くと、突然彼女が膝に手を当て、かがみこみこんできた。
ゴォォォという音と共に、普段大きな胸で見えない彼女の顔が見えると、楽しそうな顔で

「いいことを思いついたの、いつも通りやるとすぐに終わっちゃうから、今回は貴方達が先に行って現地の軍隊に勝ってきなさい。」

透き通った綺麗な声が大音量で体に突き刺さる。
「エリナ様が俺達に話しかけているぞ!」
「俺は行くぞ、エリナ様の役にたつんだ!」
「私も行くわ!」
周りの奴らは口々に参加の意思を話していた。

広司が普段見ることのない彼女の顔を見上げていると、
突然彼女の眉間にしわが寄り、目の前にあった壁のようなパンプスが持ち上がった。
その瞬間広司は反射的に人が少ない方へ逃げていた。
紫色のショーツが丸見えだったが気にるす気にもなれず、足を振り上げた彼女を見ながら必死で走る。
次の瞬間ビルのようなパンプスが空気を切り裂きジェット機の様な音を立てながら床に落ちてきた。

体がバラバラに成りそうな振動と衝撃で吹き飛ばされる。
「いてぇ・・・、生きてる・・・」
どれだけ飛ばされたか解らないがなんとか命はとりとめたようだ、ふと彼女のパンプスの方を見ると周りには誰もおらず、
その下敷きに成った者の行く末は言うまでもない。

「返事もできないのかしら、この虫達は…」

先ほどとは異なる冷たい声が体を震わせる。
そしてズガン!ズガン!とビルのようなヒールが床を叩く音と共に、立っていられない振動が何度も襲ってくる。
周りに居る奴らも気絶したまま跳ね上がる奴、四つん這いに成りながらなんとか耐えている等が見えた。
永遠とも思える振動が止まると彼女は踵を返し、汚れた靴底を見せながら、地面に居る小人を当たり前の用に踏みつぶし、地震を立て離れていった。
大きく籠ったズシン!という振動がした後ズリッ!ズリッ!という音がして

「10分待ってあげる。参加する者は私のパンプスの爪先前に整列しなさい。」

また綺麗な声が大音量で突き刺さった。その後は妙に静かで空気の音だけが聞こえていた。




絵里奈は情報端末を弄りながら、今回行く惑星の情報を調べていた。
文明のレベルは現代の地球と似たような感じであった。欲しい服や靴が少し見つかり、先に調達に行くかぁと考えながら時間をつぶす。
これも欲しいあれも欲しいと考えていると、結構時間が経っているように思えた。
ふと下をのぞき込むと地面に付いている左足のつま先に蠢く集団をとらえることが出来た、また思いっきり踏みつ潰せば吹き飛んで面白い風景が見られるかもと思いながらも、”ダメダメ”と自制した。
気付かぬ内に落ちていた右足のパンプスを履きなおし、左足の横に置き、足を揃えて蠢く集団に話しかける。

「先に調査に行きたいのだけど、だれか一緒に行かない?」

案の定蠢く集団からは明確な返事を得られなかった。
はぁ・・・・とため息をつきながら、集団の横に小指を置いて差し出す。
集団が少し指から遠退いたような気がした。

「行きたい奴はこの指に乗りなさい。誰も行かないなら今回の話は無しよ」

怒鳴りつけるように言うと、何かが爪に乗ったように見えた。
慎重に持ち上げ、目を凝らして確認すると男女で2人のようだった。小さすぎて顔はわからないが、先に転送先での待ち合わせ場所と、待っておくように伝える。
二人を転送後、足元の蠢く集団の数を数えると1万人ぐらいだと判明した。
私はこれまで訪れてきた惑星の武器を転送し、彼らの前に転がした。

「この武器あげるわ。まぁ私には強いかわからないけどね」

そういうと、少し外れに転がった戦車を彼らに見せつけるようにつま先だけを立て、ゆっくり踏みつぶし、彼らに靴底を見せてやった。
彼女から見て、わずか3cmほどしか無い戦車はその靴底に対してあまりにも小さく、そして何の感覚もなかった。

「ほらね?」

蠢きが止まったように感じられた。
蠢く集団を惑星の無人地帯に武器ごと転送し、その後従わなかった小人の集団にお仕置きをしたのだが、やり過ぎて半分近く消費してしまったのは別の話である。




「10分待ってあげる。参加する者は私のパンプスの爪先前に整列しなさい。」

その声を聞いて広司は、絵里奈の方へ移動を開始した。この玄関の空間は広く広司の感覚で1km四方ぐらいある。
彼女が数歩でたどり着いた距離も広司では一歩が200m近くに成り急がなければならない。
飛ばされた痛みを抑えながら必死で黒い塔が見える方向へ進んでいた。
「ぜぇぜぇ・・・さっきので、腹がいてぇ・・・でも行かなきゃ」
広司が必死に走っているのは、たどり着かなければ殺されると思ったからである。実際に彼女の言葉に従わなかった場合
ひどい目に会ってきた仲間を何回も見てきた。
その時急に
ドォォン!
と体を揺るがす音が聞こえた。
彼女が脚を組んで浮いていた右足のパンプスが落ちたのだ。
彼女は気付いていないようで、パンプスの方に目をやると直立しているパンプスに何人もの人が潰され挟まれている様子が見て取れた。
ある物は挟まれ助けを求め、またある者は手足しか見えていないような状況だ。
助けに行かなければと思うが、自分のことで精いっぱいである。
仕事中油圧ジャッキを何本も使い、靴底の掃除をしている事を思い出してしまう。
助けようとしている人も見て取れたが、靴が脱げた右足がブンブンと空中で揺らされており、パンプスに今にも当たりそうに成っていた。
そして半分ぐらいの距離に成った時、揺れる右足がパンプスに当たった。
ドォォォン・・・
と再度大きな体を揺るがす音が成り、救助に当たっていた人が何人が巻き添えになったようだ。
しかし彼女は気付いていない、彼らが日々必死で上げている靴も彼女にとってはただの靴なのだ。
自らがいかに小さな存在であるかを感じられずにはいられなかった。

黒いビルのようなパンプスの前に近づくと数えきれない人が集まっていた、広司は目立たないように端の方に並んだ。
その時同じ班で仕事をしている麗奈と偶然会うことができた。
「麗奈じゃないか!大丈夫だったか?ほかの人はどうした。」
彼女は顔を俯けながら話し始めた。
「班長はまだ用事があるって言って中に戻ったから多分最初の段階で・・・、その他の人はその後会ってないよ。中の組は多分全員・・・あの中でまだ生きてるかな」
彼女は紅色の綺麗な瞳で黒いビルを眺めていた。これぐらいの事は日常なのだ。
大きな黒いビルはわずかに動いておりその揺れがグラグラと伝わってくる。
また、ズズッという音を立てて位置がずれたり、ズン!と小さい音と振動を立てて細かく踏みつけている様子が伝わってくる。
パンストが上の方で、がこすれる音がズーーズーーと定期的に聞こえてくる。
彼らには待つしかなく、目の前の大きなビルの中で彼らが生きている事を願うばかりであった。

どれほど待ったであろうか、彼女が数十人を敷き潰したパンプスをヒョイと持ち上げ、ズズズ・・という音を立てながら履いた。
そして目の前の黒いビルの左側にズウゥゥゥンと彼らが吹き飛ばされそうな衝撃をもってそのパンプスと長い黒く綺麗な脚が降臨した。
左手に黒いビルがもう一本建った。
ゴオォォォォという音と共に彼らの上空に絵里奈の顔が姿を現す。

「先に調査に行きたいのだけど、だれか一緒に行かない?」

綺麗な声が体に響き渡る。
「俺が行きます!」
「私が最初に行くわ!エリナ様!」
周りの奴らは狂ったように叫び出した。
しかし、彼女には聞こえなかったようで、眉間に皺を寄せ、コォォォオォォという音と共に突風が集団を襲う。
甘い彼女の香りに周囲が満たされたと、きため息をついたのだと気づいた。
”やばい、殺される"広司の頭には先ほどのパンプスが彼らを襲った風景が目に浮かび、また逃げなければ成らないと咄嗟に思った。
ゴォォォォ・・と大きな音を立て黒いビルが遠くズレたた時その思いは確信へと変わった。
麗奈の手を引いた瞬間、絵里奈の右手が風切り音と共に、地面に迫ってくるのが見え、広司は手で叩き潰される!と咄嗟に感じた。
彼らの周りに居る小人も一目散に手から離れようとした。
ズゥゥンという小さな音と共に彼女の黒く塗られ、綺麗に整った爪が広司の前に落ちてきた。
彼らの予想と異なり、仰向けで手が落ちてきたのだ。

「行きたい奴はこの指に乗りなさい。誰も行かないなら今回の話は無しよ」

上空から綺麗な声が体を震わせた。
段差30cmほどある爪の前に広司は居た。
彼女は指に乗れという。乗れば偵察に連れていくと言っているのだ。
先ほど行かせてください!などと叫んでいた輩は完全に黙っている。
指一本目の前にして彼らは恐れて動けないのだ。

ふと誰かが広司の背中を強く押した。
誰かは解らなかった、咄嗟の出来事に反応できず、麗奈の手をつないだままバランスを崩し、その爪に乗ってしまったのだ。
その瞬間爪が浮き上がり、強烈なGを感じた。
耐えきれないほどのGを感じた後、背筋が凍るような視線を感じた。恐ろしくて目を開ける事が出来ない。
しかし先にその正体に気付いたのは意図せぬ同伴者であった。
「キャァァァァァアァ」
麗奈の声が聞こえた。
広司も意を決し目を開ける。
目の前には、青い壁が広がっており、わずかに薄い大きな丸が小さく成ったり大きく成ったりしていた。
隔壁のような白い壁が目の前を上下に動いている。その時の風圧でわずかに飛ばされそうになる。
絵里奈の目だと気付いた時、足が震え、命をあきらめた。

その時、頭の中に直接声がした。
”こんにちは小人さん。偵察と言ったけど、買い物に付き合ってほしいの。今から向こうのホテルに転送するわ。
そこにある物で身支度を整えなさい。そして、丸越百貨店の前で待ち合わせよ。現地の時間で14:00ね。よろしく。
逃げたら・・・そうねどうせ踏みつぶされるだけだから意味ないよね!"
そして意識が反転した後、見知らぬホテルの一室に麗奈と二人で居たのだった。



俺の名前は剛だ。
あの絵里奈とかいう女に俺の居た基地は壊滅してしまった。
気付いたら此処にいてあの女の靴磨きをさせられている。
家で寝ていると、体を跳ね上げるような地震と、爆音が襲ってきた。
「な、なんだ・・・」
何が起こっているか解らず、外に出ようとした時声が聞こえてきた。

「返事もできないのかしら、この虫達は…」

あの女の声が聞こえた、その後まともに立てないような地震と音が続いた後、
ドォン、ドォォンと女の足音が近づいてくるのが解った。
毎回なのだが、あの女が歩くたびに立っていられなくなる。
そして最後に体の芯に響くような低い大きな音と大きな振動を感じた。
俺の家の上にあるソファーへあの女が座ったのだと分かった。いつもあの女が座ると、家が壊れそうな振動と低い音がするのだ。
ズリィィズリィィィィと何かが擦れるような音の後にあの女の言葉がまた聞こえてきた。

「10分待ってあげる。参加する者は私のパンプスの爪先前に整列しなさい。」

なんの参加かは分からなかったが、参加しないと何か不味いことが起きそうな気がして家を出て行った。
家を出ると明るい方に黒い塔とさらにそこから上に延びるさらに太い塔が見えた。あの女の靴と脚だろう。
その左側では黒いパンプスがブォォンブォォォンと空気を切り裂きながらと振られていた。
"あそこに行かなければならないのか・・・"
あのブォンブォン威嚇しながら動いているパンプスの動きと共に、地面が少し揺れる中、何をされるか解らないがひたすら黒い柱が見える所まで歩いて行った。
近所の奴も同様に同じ方向を目指して進んでいる。
途中で聞いてみると何やら俺らに侵略をさせるような話だった。
剛は軍隊に居たため、これはチャンスだと思い、少し足取りが軽くなった。
その時前方でふと黒いパンプスが落ちるのが見えた。その瞬間
ドォォォォン・・・・聞きなれた音と、立っていられない振動が襲ってきた。
あの女が右足のパンプスを落としたのだ。剛から見て真横に直立した状態で落ちたようだ、
反り上がっていくソールとそれ単体が塔の様なヒールを確認する事が出来た。何か見たような風景である。
黒い建物の下から吹っ飛んできた人間や、絶命しているであろう部位だけが見えている人が確認できた。
未だにブォォンォォンと音を鳴らすあの女のパンストを履いた足を見ながら、俺はあの下は危険だと思い、大きく左に迂回する事を決めた。

もうすぐソファーの下を抜けようとした時、ドォン!と少し小さな音が聞こえ、パンプスが横倒しに成るのが見えた。
ズォォォン・・・向こう側に倒れた黒いパンプスは幾人かの人間を巻き込みながらそこに存在していた。
靴底が見え、何個もの赤い点を確認すると、あの女への恨みが胸から込み上げてくる。
考えても仕方がないと、自分に思い聞かせあの女のいう集合場所へ向かっていった。

列に並んだ際、違う班の麗奈とい女を見つけた。
彼女は褐色白髪、紅目でという珍しい容姿をしており、ボロ雑巾の様な服を着ている状態でも、胸と尻のふくらみを見る事が出来魅力的だった。
彼女は俺が密かに狙っているのだ。
「やぁ・・・」
声をかけようとした時だった、彼女の同じ班の人間であろうか。男が同時に声を掛けていた。
「麗奈じゃないか!大丈夫だったか?ほかの人はどうした。」
なにやら班長がどうのこうの言っている。あの女の脚がすれる音や足が動く音がうるさく、はっきりと聞こえないのだ。あの女はどんな時も邪魔をしてくる。
次は同じ班に成れるかもしれないと思いながら目の前の黒い塊を見上げながら待っていた。

先ほど目の前で数十人の命を奪ったパンプスをあの女が音を立て履くと、また立てないような振動をたてながら、黒い柱が増えた。
塔が少し遠ざかると共に、ゴォォォォォオという風切り音がし、あの女が顔を表した。

「先に調査に行きたいのだけど、だれか一緒に行かない?」

突然何を言い出すのかと思うと調査と言い出した。
周りの奴が立候補している声が聞こえる。だがあの女は聞こえていないようだ。
あの女の白い歯が見えたと思うとそこから突風が吹いてきた。
ため息をついているのだ、周りはあの女の空気で満たされ少し興奮しているのが悔しい。
次の瞬間あの女がまた大きな音と共に右腕を振り出したのだ。
その時麗奈と居た男が俺に体当たりをしてきた。
「何しやがる!」
言い放つと共にあの女の手が轟音と共に俺の目の前に地面に落ちてきた。

「行きたい奴はこの指に乗りなさい。誰も行かないなら今回の話は無しよ」

そんな事をあの女が言っている。
"話が無くなると困る。誰か行けよ"
と思いながらふと前を見ると
麗奈と一緒に居た男が目に入った。
"あいつが居なくなれば麗奈と・・・"
そう思う前に男を力いっぱい押ししていた。そして手を繋いでいた麗奈と一緒に爪の上へ男は突き出された。
”失敗した!”と思いながら麗奈をなんとかできないかと考えている間も無く、二人は上空へと消えていってしまった。
外に出れば別の女も見つかるだろうと気持ちを切り替えていると、上空での出来事は終わったようだ。
何やらこちらを見てじっと見つめた後、再びあの女が口を開く。

「この武器あげるわ。まぁ私には強いかわからないけどね」

するとあの女のパンプスと俺たちの間に戦車や小銃、揚陸程などが山積みで現れた。
見たことのある装備は少なかったがいくつか俺の軍で使っていた物も見えた。
ドン!ドン!と山の上から戦車が転がっていき、一つポツンと離れた位置で停止した。
俺の使用していた戦車だった。主力戦車で大陸を制覇するのに最も威力のあったとされる戦車だ。
何か嬉しくなり眺めていると、戦車の周りが急に暗くなっていく。
ズゥゥン・・あの女のパンプスが戦車を踏みつけた。一瞬風がこちらに向いて吹き付けてくる。
そして風切り音と共にヒールを着けたまま足を揚げ、靴底を見せてくる。

「ほらね?」

どれが戦車か解らなかった・・・
そして剛はふと思い出した、自分の基地はあの女に潰されたのではなく、パンプス置き場にされ潰れた事を、
パンプスだけの落下だったので生き延びた事。そして自分の乗っていた戦車が何の抵抗もなく潰れていく様を

兵器の山より上に見えるあの女の黒いパンプスのつま先を確認しながら
景色が霞んでいった。

次に気付くと山のように積まれた兵器と青空が見えた。