何十の床の赤い染みを見て、"あぁ戻ってきた"と思う広司。
周りの倒れてる人を助けなければ、と体を動かそうとすると、後ろから声を掛けられる。
「広司さんですか。案内されるように言われました。」
あの革職人の紗綾さんがそこに立っていた。
「彼女達勝手ですよね、何か巻き込んでしまってすいません。」
自分が店を選んだばかりに、彼女を巻き込んでしまった気持ちに成り謝る。
「いえ~気にしていませんよ。生きてるか分からなかったですし!」
笑いながら話す紗綾さん。
先ほどまでのあの二人の姿を思い出し、何も言えなくなってしまった。

倒れている人を助けに向かう二人。
その間にも赤い染みを掃除する為に何人もの人が遠くを走っている。
床が汚れていると、自分たちが何をされるかわからないからだ。
いつも絵里奈が帰ってくる時間は全く分からなかった。
1時間ぐらいで帰ってくる事もあれば、2週間帰って来ない事もある。
ただ、帰ってきて靴や床が汚れたままだと機嫌が悪く成り、手あたり次第踏みつけてゆく絵里香。
その後「ちゃんと綺麗にしなさい。」と言ってより仕事は過酷になるのだ。
その記憶はこの玄関に住む小人は全員知っており必死になって作業する。
周りを助けようとする奴は殆どいなかった。

うずくまっている彼に近づくと声を掛ける。
「大丈夫ですか。怪我はありませんか。」
「増えた・・・あの女のほかに増えたんだ・・・」
小さな声でブツブツと同じ事を繰り返しつぶやく彼。
「どうしたんですか、何があったんですか。」と聞くと、広司の腕をばっと掴み顔をこちらに向け訴えてくる。
「褐色の女が増えたんだよ!いつも一人だったのに、あんなのどこに居たんだ!どうなっているんだ!」
急に叫び出す彼。
"麗奈の事か・・・"と思い出しそのまま彼の言う事を聞く。せっかくの綺麗な服が彼が触れると汚れていく。
「褐色の女も、俺らの事なんとも思ってないんだ!いつもの女のように俺等を踏みつぶすんだ!」
作業が始まっている赤い染みの方を見ながら訴える彼。
"あれは麗奈がやったのか"と冷静に考える広司。
「とりあえず、小人区画に戻りましょう。このまま此処でいても何も無いですよ。」
家に戻れと言う広司に彼はまたこちらを向いて話してくる。
「家だと!お前上層に住んでるのか。下層の家はこの前の"お仕置き"とかで全部潰されちまったよ!なぁ兄ちゃん綺麗な服着て最近きたのか?家に泊めてくれよ。」
どうやら住処も失ってしまった彼に、かける言葉も無い。
「良いんだ、また戻って建て直すさ・・・」フラフラと白い天井まで続く壁の方に歩いていく彼であった。
その様子を紗綾さんは黙って見ている。状況に慣れていないのか、彼が怖かったのか足が震えているように感じた。

周囲に救助に来る小人が増え始めた時、声を掛けられる。
「お前コージか?家無くなったからあの時死んだと思ってたよ。どこでそんな良い服剝ぎ取って来たんだよ。」
靴を一緒に拭いてた。ヒロに声を掛けられた。
大柄な彼は、髪一つない真ん丸な頭にサンタクロースのような髭をモゴモゴさせながら言ってくる。
剥ぎ取るというのは、この玄関に住む小人は、絵里奈が履いて帰ってきた靴に付いてる亡骸から衣服を調達している為に出る言葉だった。
「ヒロか、お前も生きてたんだな。軍隊には行かなかったのか?」
「いいじゃねぇか、そんなのお前も行かなかったんだろ。あの後良く生きてたっていう方が先だぜ。」
またモゴモゴしながら話すヒロ
「それよりその後ろにいる綺麗な姉ちゃんは何なんだよ。知合いか?」
紗綾の方を見てニヤニヤ話すヒロ。
「紗綾といいます。よろしくお願いしますヒロさん。」
腰を折って挨拶する紗綾の胸元を見て、ヒロはニヤニヤを加速させる。
「あぁ最近会ってな、あんまり詮索しないでくれると助かる。」
単純バカなヒロの性格をよく知っている広司は彼にそう答えた。
「そうかそうか、わかったよ、姉ちゃん上から落ちてきたんだろ。災難だったな。」
玄関の上から落ちてきたと思っているヒロ、"まぁそれでいいか"とそのまま進める事にした広司だった。
「そういえば紗綾仕事場を紹介するように言われてたな。ヒロも時間あるか?」
「床掃除は別の班だからな、別に良いぜ。新しい班長に言われたのか。ついでに新しい居住区も見に行かねぇとな、また場所無く成っちまうよ。」
白く聳え立つ壁を見ながら答えるヒロ。
聳える壁の方に歩いていると、途中様々な小人とすれ違う。
床掃除の布切れを持って走っている人がほとんどだった。
彼らは走りながら、こちらを見てくる。周囲に比べ、あまりに綺麗な恰好をした紗綾がどうしても悪目立ちしてしまう。
「広司さん、この人たちなんでこんなにボロボロなんですか。」小声で話しかけてくる紗綾。
先ほどの剥ぎ取る話を紗綾にすると、ビックリする紗綾であった。

横の天井まで続く鏡の下が相変らず大量の染みで満たされていたが、見慣れた光景だ。
白いシューズラックの壁の下に来た3人。
いつものように紙で出来た階段を上がっていく。
「今回は急ぎの靴が無くて良かったぜ、あの新しい靴?とかいうのはデカすぎだろ。あんなん登れねぇよ。」
ヒロが思い出すように言う。ブーツだろうか、絵里奈が彼らに見せたようだ。
「あと一人増えたんだよ、見ただろ?コージ。なんだって一人増えるんだよ、これからもっと忙しくなるじゃねぇかよ。」
ハァとため息を付きながら階段を昇るヒロ
「そういえば、あの女レナに似てたよな、レナはいい子だったなぁ。」
「あぁそうだったな。」
もう一人現れた巨人が麗奈で有る事は、まだこいつ等には解っていないようだ。
そしてこの男いつも勘だけはいいのである。
「コージはいっつも美人な女と縁があって良いよなぁ。」
後ろを歩く紗綾を見ながら、またニヤニヤとしているヒロ。
「誰でも結局一緒だろ。」と、そっけなく返す。
「ちがいねぇや!」笑いながらシューズラックに空いた大門へ入っていくヒロ。
後ろから紗綾が、「誰でも一緒・・・誰でも一緒・・・」と小声で言っていたのが気になった。
大門はシューズラックに空いた穴だ。一層が浮いているシューズラックの底に小人専用の入口がある。
奥まっている事で今まで一度もその階段は崩れた事は無かった。階段の幅は広く、20mはあるだろうか、重機などもその階段を利用して降りていく。
結構経ったと思ったが、まだ布を持った小人が走りながら下へ下って行っていた。

大門を抜けると薄暗い光と、少し汗臭い匂いが鼻を刺す。シューズラックに入ったのだ。
目の前は壁で10階建てのビルより高い天井へ続いている。
右を見ると、大きく"消臭"と書かれた石油タンク貯蔵庫の様なビーズの詰まったタンクの横にちっぽけな穴がある。そこから出入りしている人が多数見えた。
居住区への入口である。中から出てくる人は壁の様な"絵里奈サイズで見る紙"を必死に持ち上げながら中へ運んでいた。
居住区は絵里奈が寄越した紙で床も壁も出来ているのだ。中は無秩序で上へ上へと居住区は積み立てられている。
最上層がどこまであるのかわからないが、シューズラックの層ごとにその入口はあり、かなり高い所まで来ているのは解っている。
運んでいる壁の中に、赤い染みがついた壁も見て取れる。押しつぶされたのだろうか、原型は解らなかった。
その居住区への入口の横にはなんとエレベーターがある。重機を乗せられるエレベーターはどこかの惑星の技師が作った物のようで、20台は稼働してる。
その前で待つ人々も沢山見えた。

「ヒィッ!」という紗綾の声がした。
左側を見ているようだ。
そこには、巨大な壁に劣らない、大きな柱が鎮座しており、その上には天井が見て取れる。
しかしさらに左に首を回すと、その天井は綺麗な曲線を描きながら地面に鎮座している。
その先には布を持った大量の小人がその丘に挑戦していた。
絵里香の履く靴はヒールの高い靴ばかりで、かかと部分にたどり着くのに苦労する。
その部分をする際には高所作業車を用いるのだが、最近絵里香に破壊され台数が少なくなってきている。
結局自分で昇っていくしか無い状態だった。
「姉ちゃん、上から落ちて来たのにあれを見るだけで怖がっててよく生き残れたな。」
ヒロが紗綾に向かって言う。
「上は靴なんて無いんじゃないのか。」
「あぁ、そうか、すまんな姉ちゃん。」
戸惑った様子で返事に困っていた紗綾に広司が答える。
よく靴のまま上から君臨する事のあった絵里奈だったが、この単純男は広司の言葉にそのまま納得したようだった。


かなりの時間昇った先に大きな穴があった。そこに入っていく私たち。
ヒロとかいう男性は、大柄で少し怖そうであったが、広司さんの知合いのようで案内してくれた。
中に入った瞬間横にある大きな柱を見てなんだろうと思ってあたりを見渡すと、それがパンプスのヒールである事が分かった。
思わず声を出してしまう。
ヒロから何か言われているが、恐怖心が勝る。それほど威圧感を覚えた。
「案内するよう頼まれてるから、見て回るよ。」広司に言われる。
「俺も一緒に回ってやるよ。最近変な奴多いからな!」ヒロが髭をさすりながら大声で言っていた。
ヒールの方からつま先の方へ3人で歩いていく。
布切れを持った人が何人も歩いていた。そしてこちらに目を向けてくる。正直怖い。
広司さんとヒロは、そんな事も気にせずつま先の方へ歩いて行った。
100mは歩いただろうか、そのパンプスの威圧感を感じながら、つま先を抜け右を向くと、壮大な景色が広がる。
片足でもあんなに存在感を放っていた物体が、7足だろうか並んでいる。
薄暗い事もあり、奥の方は見えない。
そのサンダルやパンプスに小さい点が沢山見える。先ほど布を持って歩いていた人たちだろうか。
「正直下の方はあんまり持って行かないんだよな。ここは人がすくねぇや。」
「あぁそうだな、あんまりお気に入りじゃないのかもな。」
そんな会話を広司さんとヒロがしている。
これで少ないのかと、驚愕する紗綾。
「全部見てると時間がいくらあっても足りねェから、上の方から案内するぜ。下層の奴らは最近減っちまって、殺気立ってるしな。」
そういうと大柄の男は肩を大きく揺らしながらエレベーターの方へ向かって行った。
20台も並んでいるエレベーター。横に7F~と書いてあるエレベーターの前で待つ。
何も言わず開いた大きな鉄の扉からは自動車と大勢の人が出てきた。
先に乗り込む自動車を待って、他の人と一緒に乗り込む。
200人ぐらいだろうか、一緒に乗り込んだ人々は皆汚れていて誰もしゃべらない。
そのまま浮遊感を感じると、何も言わず止まり、鉄の扉が開く。此処では降りないのか、広司とヒロは動かない。
その扉の奥に赤い丘がみて取れた。
半分ぐらいの人が入れ替わるとまた扉を閉め上がっていく。
皆一様に汚れた格好をしていて私と広司があまりにも場違いに感じる。そして皆こっちを見てくるのだ。この恐怖の空間を抜け出したくなった。
次の階に着いた時、広司に言う。
「私この階を見たいです。」
「わかった。」そういうと広司は私の手を引いて、外に出た。
ヒロも付いてくる。
目の前にはキラキラした金色の山があり、その上に先ほどよりも多くの人が昇り作業をしていた。
そして地面も混雑している。
ヒールの方をよく見ると紐がぶら下がりその紐の先には小さな動く点が見えた。
「こいつは2週間ぐらい前に帰ってきたんだが、左足がまだ終わらねぇ。もうそろそろバレちまうかもな。」
笑いながら話すヒロ。
つま先へ移動すると、全容が見えてくる。尖った金色のつま先からそそり立つソール、かかと部分は少し汚れているように見えた。上の方にある足首を固定する皮の紐を見てアンクルストラップパンプスだと気付く。
その紐の上を小さな点がいくつも移動していた。金色に輝くつま先部分に多くの人が集まり、一心に磨いているようだ。
その成果かパンプスは輝いて聳えてっている。
右足の方は点が少ないが同じように作業している人が見えた。少しシャープなデザイン。私の好みなデザインだった。
何も言わずそのまま奥へ歩いていく広司さん。"一人にされたらたまらない"と、追いかけていった。
先ほどよりも多くの人が集まっている銀色の同じようなパンプスにたどり着く。
そのパンプスのつま先部分には多くの人が集まって、ジャッキで靴を上げていた。
僅かに上がったつま先の隙間に人がなだれ込んでいく。
雑踏をかき消すウィィィンと言う音が響いていた。
「こいつは靴上げか、金色より後に帰ってきたんだが、やけに汚れててな、一杯ついてるんじゃないか。」
先ほど広司さんから教わった事を思い出す私。
こちらもシャープなデザインで良いデザインだと思った。
その先にはベージュのつま先が見えている。"こっちにも良さそうな靴があるかも!"と思って進もうとした時、広司さんに止められる。
「あれには近づかないほうが良い。」
右足の銀色パンプスのつま先のなにやら一個上がった所で大きな声を張り上げている人が居た。
「エリナ様よりの恵みだ!皆の者頭が高いぞ!」
そういうと周りの500人ぐらいが一斉にひれ伏す。
「恵まれてばかりだからこうなるのだ!見よ下層の者の現実を!」公演を続ける男の横でウィィィンと左足のパンプスを上げる音が続いている。
「我々は貢物を捧げなければならない。それが足りないからこうなるのだ!」
高々と手を振り上げ演説するその男。群衆は未だにひれ伏している。銀色の山の先っぽでちっぽけな男が演説している。滑稽な風景だと思ってしまった。
違う男が、青い髪の女性を壇上に引きづり上げる。紫の目が印象的だった。
背が高いのか、男より顔一個分出ている。
「この女は、エリナ様をあの女などと言い、下層に居たのに生き残った!このままではまた、エリナ様の怒りを買ってしまうぞ!」
「何いってやがる、このクソ坊主。そんな信仰しようが何も変わらないねぇ!」
この状況でも関係ないと胸を張り、大きな声を上げる青い髪の女性。ボロ布の中にある大きな胸がフルンと震えていた。
「な・・・なんという冒涜。諸君、このような女が居る限り、エリナ様の怒りは続くのだ!」
そういうと、鞭を持った別の男性が青い髪の女性を撃つ。ベチン!という音と共に胸のはだける青い髪の女性。
「ヘッ!やってるがいいさ、どうせお前らも、あの女にそのうち殺されるがイイサ!」
そのまま鞭をふるい続ける男性。うつ伏せに倒れた女性を尚も鞭で撃ち続ける。
「そうだ!そんな奴が居るから終わらないんだ!」「もっとやれ!殺してしまえ!」
先ほどまで伏していた群衆が一人、また一人と顔を上げ、拳を上げながら訴える。
気絶してしまった女性を、先ほど壇上に引き上げた男性が、引きづり、男二人で抱えて持って行っていた。
「あの女を貢物とする。絵里奈様に見えるよう9階で執り行うぞ!」
「うぉぉぉ!」「さっさとやれぇぇ!」唸るような声を上げる群衆。

「またやってるのかあいつ等」広司がつぶやく。
「あんな物、関わらないほうが良いぞ」広司が言ってくる。
狂気のような熱気に包まれた信者の横では、うつろな目をした労働者がパンプスの下に次々ともぐりこんで行った。
怒号の様な信者の声を背にヒロと合流しエレベーターの列に並ぶ私たち。
エレベーターに乗り込むと目の前に背中から血を流し、ぐたぁとしている青い髪の女性を担ぐ二人の男が乗り込んできた。
青い髪が血で染まってきている。
金色の丘を背景に閉まる鉄の扉浮遊感を感じ9階に付く。
すると前の男たちが広司さんに話しかけてきた。
「同士、我々の姿は汚い。綺麗なお前にこの貢物を運ぶ役目をやろう。」
そういうと、血が滴る女性を広司に渡してくる男達。
「ぉ、おい。同士じゃないぞ俺は!」
反論する。広司だったが、男達は一方的に言う。
「このような身なりの綺麗な二人が居るのだ、絵里奈様の奇跡に違いない。」
勝手な理論を展開する男達はそのまま開いた扉の方へ出て行ってしまった。
「広司さん関わっちゃいましたね・・・」
そういうと、うなだれた様に肩を落とす広司さん。
「ヒロ手伝ってくれるか?」
そういうとヒロも顔に手を当てながら、返事をし、女性を担いで出て行った。

扉を抜けるとそこには天井が無かった。
正確に言うとシューズラックの天井は無い。玄関の天井が見えている。
先ほどまでの薄暗い雰囲気とは少し違った。
そこには、見たことがある黒いパンプスに大量の点が張り付いていた。天井の光を浴びて光っている。
また両足ともジャッキで持ち上げている様で、床でも大勢の人が靴の裏に入っていた。
ヒールの所にぶら下がる糸も見えるだけで数百はあろうか。
「こいつが一番最近きた奴だな。9階のは頻度が高いから1日で終わらせねぇと大変な事に成るんだ。」
ヒロが説明する。
広司は何か思う所があるのか、パンプスを見る目が優しく感じられた。
「あの褐色の女が持ってきたんだよ、見てくれよ壁に染みが一杯できてらぁ。」
確かに奥の壁に染みが大量に見える。その壁を綺麗にするためだろうか、紐が垂れ下がっていた。
「おい、中の組早くやれよ!外終わっちまうぞ!」監督の様な人がメガホンを持って叫んでいる。
彼が居る黒い山が昨日見た絵里香さんのパンプスだというのか。
目の前にある物が現実だと思えなくなってくる。
「あれが新しい監督班長だよ、メガホンを持った瞬間から永遠に怒鳴ってやがる。」
ヒロが肩に担いだ女性を担ぎ直しながら話す。青い髪の毛から血が垂れていた。
「姉ちゃん、配属されるとしたら此処だ、最前線、最も使用頻度の高いのが並んでやがる。」
そのまま言うヒロ。
「彼女は別の配属に成ると思うけどな。」
広司さんが言う。
「そうなのか?なんだもう配属決まってるのか残念だなぁ。」
笑いながら言うヒロ、そのまま奥へ進んでいく。
つま先に差し掛かった時、浮き上がった靴底が良く見えた。大量のゴミの様な物が張り付いており、それを高所作業車などを使って必死で取っている小人達。
靴底が大きすぎて、何かそこから音がしてくる気がする。
右足も上がっており、大量の作業をしている人が見て取れる。所々赤い染みが付いたままだった。
その先にサンダルの先だろうか、パンプスとは違う先が見えた。
黒いそれは、サンダルのはずなのに、小人よりソールの厚みの方が何倍もある。
ふとこれは麗奈さんが履いていたサンダルでは。と思い出す。
あの綺麗な脚がここに入っていたのだ。それを想像すると彼女の大きさがいかに大きい物がわかる。
自分はそのサンダルの前に居るだけなのだ。それでも見上げなければわからない。
ソールが素足の形に滲んでいる。大きな滲みに小さな点が大量に集まり拭いていた。
サンダルの左足のつま先に差し掛かった時、大きな声が聞こえてきた。
「供物をこちらに持ってくるのだ!早く!エリナ様がお怒りだぞ!」
あの男がサンダルのつま先から叫んでいた。今度は壇上ではなく尖ったサンダルのソールの上のようだ。
横の男は鞭ではなく斧を持って待っている。
その時女性が小さなごもった声でつぶやく。「助けてくれないかい。」紫の目で私を見つめる。
その声が聞こえたのか広司さんも困った顔をしている。
「なんだその汚い男は!そんな男見た事無いぞ!何者だ貴様!」
一緒に女性を担いでいたヒロにつま先のちっぽけな男が叫び狂う。
「エリナ様への冒涜だ!貢物に成るまでもない!殺してしまえ信者達よ!」
「おぃおぃ頭おかしいんじゃねぇかあいつ。」
そう言うヒロの元に信者達の目が一斉にこちらを向く。
「やべぇ、言っちまった。」
私たちは扉側に囲まれてしまった。

その瞬間、ドォォォン!ドォォォン!と2回音がする。

「楽しかったね麗奈ちゃん。また一緒に遊ぼうね。」
「はい!絵里奈さん。また色々教えてください。」
麗奈さんと絵里奈さんの声だ、目の前でヒロが震えている。

「ほんとこいつ等ノロマね。」
ドォォン!とまた音が響いた。
見渡すと、このフロアに居る全員が膝を付いている。靴の上に乗って作業をしていた人たちは、パラパラと振り落とされていた。
私と広司さん、かろうじてヒロだけが立っていた。

「絵里奈さん。広司どこかな?」
「シューズラックの案内してるはずよ、ほら青い光見えるじゃない。」
また声が聞こえてくる。声が聞こえる度、周りの人たちは体を硬直させ固まっている。

ドォン!ドォォン!ドォォォン!
大きな音が近づいて来る。パンプスを持ち上げていたジャッキは倒れたて潰されているようで、そこからブチャァァという音が聞こえてきた。
「扉が開くぞ!」小さな叫び声が聞こえてくる。
背後の扉が開く。
周囲の人たちがその扉の風に巻き込まれるように飛んでいた。
開いた扉の先からきつい女性の匂いがしてくる。
ガスタンクの様な、大きな胸をきつそうに持ち上げている紫色のランジェリーが見えた。
その胸が下がっていく。少しテカテカした胸元に多くの点を確認できた。その点を汗がしずくとなって襲っている。綺麗に輝く見える首筋が見えてくる。
ゴォォォォ!という音が周りを包む。
口が通りすぎ、その後、紅色の瞳が目の前に広がった。
"怖い!"ただひたすらに恐怖心を感じる。目の前で紅色の目の中にある薄い球が大きく成ったり、小さく成ったりしていた。

「広司、なに抱えてるの?」
大音量が聞こえてくる。床が震えている。他の人たちは皆四つん這いに成っていた。
「麗奈!ちょうどよかった。助けてくれないか!」
広司さんが紅色の目に叫ぶ。ヒロは叫ぶ広司を信じられない顔をして見ていた。

「いいよ~。ってまさか!」
呑気な大音量の後に、少し切羽詰まったような声が聞こえる。
白いモヤモヤが私から広がっていき、広司とヒロ、青い髪の女性まで広がった。

ふわりと浮き上がる感覚と共に、麗奈さんの褐色の腕がサンダルに伸びる。
ゴォォォォ!相変わらず音だけ聞こえてくると、サンダルを持ち上げた様だった。

「せっかく気持ちよく成ったのに、またこいつ等は!」
ドォォォン!
その持ち上げたサンダルを思いっきりシューズラックに叩きつける麗奈さん。
周りの小人は吹き飛びパンプスや、壁に激突し赤い染みに変わっている。
此方に飛んできた人は下の方に落ちていった。
ショートブーツの周りには無数の赤い染みが見える。

「何回言ったらわかるの!」
ドォォォン!
また振り上げたサンダルを叩きつける。

ゴォォォ、ダァン!っとそのサンダルを床に投げ捨てる麗奈さん。
次は黒いパンプスを持ち上げる。
ダァァァン!ダァァァン!

「広司に手を出すなんて!」
ゴォォォ!ダァン!黒いパンプスを地面に投げつける麗奈さん。

「ほんと小人ってバカなんだから、なんで分かんないかな!」
見えていなかった青いパンプスを持ち上げるとまた叩きつける。
ダァァァン!ダァァァン!

「麗奈ちゃん、あんまりやると居なくなっちゃうわよ。」
絵里奈さんのその声で麗奈さんは止まった。

ドォン!ドォォン!ドォォォォン!と近づいて来る絵里奈さん。
黒いランジェリーが丸見えに成るまで開けたYシャツが近づいて来る。大きな胸元には汗が垂れていた。
そのまま同じようにかがみこみ、青い眼でこちらを見つめてくる絵里奈さん。
より酸っぱい匂いがまた周囲を包み込む。

「なに広司、新しいの連れてるの?麗奈ちゃんが怒ってるじゃない。」
笑いながらラックを揺るわす声で話しかけてくる絵里奈さん。

「違うよ絵里奈さん、ここの小人達、広司を取り囲んでたの。」
真剣な口調で話す麗奈さん。

「え・・・そうなの、なんなの、こいつらまだ立場が分かってないのね。」
冷たい声を発する絵里奈さん、その口元が徐々に上がっていく。
「絵里奈、すまないがこいつ死にかけてるんだ、助けてやってくれないか。」
その原因である広司さんが絵里奈さんに向けて話す。

「その肩の子?いいけど・・・後で話ちゃんと聞かせてよね。」
そう言うと青い髪の女性が少し発光し、背中の傷が消えた。
「ありがとう絵里奈!実はn」

「その前にこいつ等まだわかってないみたいだから教えてあげないと。」
また口元を吊り上げた顔に成る絵里奈さん。

「麗奈ちゃん、そこの鏡開けてみなさい。」
ドォォン!と片足だけ踏み出すと、鏡に手を掛ける麗奈さん。
ブワァァァっと開けると、そこには小さな四角い空間が大量に見て取れる、その中に小さな点が無数に蠢いている。
右下半分だけえぐられたような空間に成っていた。

「そこがね、小人の住処なの、麗奈ちゃんならどうやって教育するの?」
かなり冷酷な顔で放つ絵里奈さん。
ふいに麗奈さんの足に力が入ったと思うと、肩から体ごとそこに突っこんだ。

ダァァァァァァン!宇宙船を震わす振動が駆け抜ける。
ダァァン!とそのまま左足をその中に突っ込む。
ダァァァン!また大きな音が宇宙船を震わせた。
ドォォン!ドォォン!と絵里奈さんの足元に開けていたシューズラックの靴が落ちる。
そんな音がかすかな音に聞こえるような轟音がもう一度鳴る。
ダァァァァン!麗奈さんが完全に中に入り、もう一度壁に体当たりしていた。

ズゥン!ズゥン!と中から後ろ向きに出てくる麗奈さん。足元に小人が散乱ていたが、それらを吹き飛ばすショートブーツ。
その中に聳え立つショートブーツが彼らを威嚇していた。
体中に紙と赤い点が張り付いている。

「アハハァ!汚れちゃったわね!麗奈ちゃん」
大声で船中を響かせながら言う絵里奈さん。

「あんた達分かった?どうせ返事もできないんでしょ・・・」
冷たい顔で箱の中に向かって声をぶつける麗奈さん。
ドォォン!ズリズリ・・・・
ヒールとつま先のソールの形に残った白い小山を再度踏みつけ、踏みにじる。
そこは白い紙が黒くなるほどぐちゃぐちゃに成っていた。

「麗奈ちゃん、汚れちゃったしお風呂入ろう?」
満面の笑みで言い放つ絵里奈さん。

「お風呂!行きます!」
先ほどの冷たい顔から一転した麗奈さんは笑顔で絵里奈さんにこたえる。

ズゥン!ズゥゥン!ドォォォォン!と玄関に腰掛ける絵里奈さん。
ズズズズゥゥゥとジッパーを下げる。
ズゥン!ズゥゥン!ドォォォォン!と同じ音を立て玄関に腰掛ける麗奈さん。
ジッパーも開けずにそのままショートブーツを脱ぎ去る。
褐色の綺麗な脚がわずかに潤んでいた。
「あんた達初仕事よ。」
そう言うと絵里香さんの前に、無数の点が現れる。
絵里奈さんのブーツが倒れても余裕で受け止められそうな数だ。
その蠢く点に脱いでいないロングブーツを座ったまま叩きつける。
ダァァン!ブーツの形に空間が出来た。その周辺では点が吹っ飛んでいる。

逆側に麗奈さんのショートブーツが突き刺さる。
ドォォン!同じように足型を付け、吹き飛ばしていた。

「ちゃんと床も綺麗にしといてよね!」
もう片方のブーツをそのまま脱ぎながら蠢く塊に言いつける。麗奈さん。

「できてないと、もう一回そうなるからね。」
ズウゥゥゥともう片方のジッパーを下げ脱ぎながら言いつける絵里奈さん。
白く輝く足がキラキラ光っていた。
靴を脱ぎ終えた二人は大小のブーツを綺麗に並べて置く。
ズゥン!置いた衝撃波で小さい蠢きが少し形を崩す。

「ソファーの下もそろそろ掃除しなきゃいけないかもね。」
冷酷な笑顔を浮かべながらソファーの方を見つめると、ソファーの下から無数の点が出てくる。

バダァァン!と強めに姿鏡を閉め、

「ちゃんと靴戻しておきなさいよ。」
と重機の山をシューズラックの根元に出現させると
そのまま、ズゥン!ズゥン!と煌めく褐色と白色の脚が廊下を支配していく。蒸れた足が足跡を付けていくが、その中にも赤い染みを付けていく。
ふわふわとそのあとを付いていくのであった。



あらかた周囲の消しゴムの様な箱を潰し、動く点も見当たらなく成ってきた時、
周りを飛び回る6cmほど三角形が私の胸に向かって何かを飛ばしてくる。
小さな小さな爆発と共に煙が少し上がる。
幸い絵里奈から貰ったTシャツは汚れていないようだ。
これも小人の兵器なのか、と思い、胸元をブンブンと手で払うと、三角形は塵に成りどこかに消えてしまった。
「絵里香さん、なんですかこれ?」
横で青い眼を光らせながら地面を見つめにやけている絵里奈に聞いてみる。
ドォン!ドォン!と地面にそのロングブーツを突き立てながら、自分の胸元を見て返事をする絵里奈。
「飛行機ね、今までなんで出てこなかったのかしら。」
あまり関心が無いのかまた視線を下に移し、街を揺るがしながらブーツで踏みつけていた。
見上げてみると、その三角形は上空に無数に存在している。
また胸の方から小さな爆発を感じる。何も見ずに胸元を手で煽るとわずかに何かが弾けるような感触がした。
「方法があるのよ、麗奈ちゃんも出来ると思うわよ。」
ある程度満足したのか、こちらを向きながらニヤニヤしている絵里奈さん。
"麗奈ちゃん、あの丘を見ててね!”急に頭の中に声が流れると緑に覆われたお腹程度しかない丘の方を見る。
綺麗な指を大きく開け、手のひらをその丘に向けると、白い波紋のような物が飛んでいき、丘に触れたと思った瞬間、1/4ほどが爆発した。
バァァァァン!大きく半円の形にえぐれた山は土色に変わっている。
"シールドをぶつけるとあんな事もできるのよ"満足した顔で佇む絵里奈。そのまま上空へ手の平を向ける。
同じように白い波紋が飛んで行き、その三角形が小さく光ると、その後は何も無く成っていた。雲が丸い形にえぐれている。
"上にぶつけるとこうなるのよ。"こちらを見て楽しそうに話す絵里奈。
自分でも右手を広げ、少し離れたゴミゴミとした消しゴムが残っている地点に飛ばすイメージをずる。
バァァァン!大きな音がして、私から見て、白い波紋の中心から周囲2mほどが陥没し土が露出した。
「アハハハァ、麗奈ちゃんいきなり地面にやっちゃうなんて、あんまりやると楽しみ減っちゃうわよ」
周囲で三角形が飛び交うのも気にせず、少し上半身を背けながら笑って話す絵里奈。
「こんなに成っちゃうんですね、なんだかすごいです!」
自分でやったという感覚があまり沸いて来ず淡々とした返事しかできなかった。
そのまま上空へ右手を翳す。あの三角形に向けて当ててみる。
7個ぐらいだろうか、小さな爆発が目にとれた。その後空に浮かぶ雲がサッと私の右手延長線から消えた。
それを見たのか、三角形が180度回転し、遠ざかっていく。
「絵里奈さん、飛行機?逃げちゃいますね。」
あんまり気持ちを揺さぶられなかった、その物体にあまり興味が沸かない。
「そうねぇ、やらっれっぱなしもなんだかねぇ・・・」
指を顎に当てながら考える仕草をする絵里奈。その周りでは逃げ遅れた三角形だろうか、ついでとばかりに大きく張った胸に小さな爆発を起こしていた。
「そうよ、もう広司も居ないし。」
急に背中に手を当てブラジャーのフックを外す、そしてシャツのYボタンを2個ほど外すと、ブラジャーを胸から引き抜く。
その白いたわわな胸が解放されブルンブルンと揺れていた。その先には綺麗なピンク色の乳首がえる。
投げ捨てた黒いブラジャーが宙を舞い多数の消しゴムの上に砂煙を舞いて鎮座している。
「さっきから胸ばっかり、お望みを叶えてあげるわ。」
にやぁぁっと笑った絵里奈は、青い眼を自分の大きな胸の先に向ける。
急に前方に現れた三角形は自分より大きな乳首にまっすぐ向かい爆発した。上空の三角形を転送させたのだ。
「アァァ、いいかもこれ・・・」恍惚な顔をしてかすれるような声で言う絵里奈。
その後、また自分の胸の前に目をやると、今度は3個小さい三角形が現れる。
先ほどと同じようにまっすぐ突っこん行く三角形。
「アァァァァ・・・」先ほどよりも大きな声で呻く絵里奈さん。
その逆側の胸を自分の指で弄っていた。

昨日のホテルでの出来事を思い出した麗奈。あそこをいじくると気持ち良いのだ。
そして絵里奈は扱いが旨い。何度快感に溺れたか覚えていない、もう一度あれがしたい。

気付いたら自分のTシャツの中をもぞもぞしている麗奈。
紫色のブラジャーが取り払われると、ブルン!と震えながら自由になる。
Tシャツの大きく開いている胸元を若干無理して下げ、自分の褐色肌と対照的なピンクの乳首を出す。
投げ捨てたブラジャーがどこかへ行ったが、早く"あれ"がしたくてどうでも良かった。
自分の胸の前に転送させる。絵里奈がやったようにまずは1個だ。
小さな三角形が自分の乳首に当たり小さい爆発を起こす。その瞬間体に電撃が走る。
「アァァァンッ」思わず自分の声が出る。
そのまま3個転送させ、またぶつける。
「ンッ!!!」電撃が大きくなる。むくむくと成長する乳首にまだまだ刺激が欲しくなる。
両方の胸に3個づつ出現させる。そのまままっすぐ突っこんでくる三角形。
「ァァァァン、イイ!」股間が熱くなってくるのを感じる。
絵里奈も楽しんでいるのだろうかと横を見る。

ドォン!ドォン!と足音を立て、その長い脚から黒いショーツを脱ぐ絵里奈。
脱ぎ捨てたショーツは濡れており、住宅街に落ちた際、周りの建物を潰し砂煙を上げていた。
ベージュのスカートをめくりあげ、その大きく開いた女性器の前に10個ほど三角形を転送させている。
その10個がそのままひだに突撃し爆発する。
「うぅぅん・・・そこじゃないのよ。」乳首には別の三角形を突撃させているが、だんだん刺激が足りなくなっているようだ。
そのまま15機転送し、もう一度突撃させる。その時今まで普通に立っていた絵里奈がつま先立ちに成り、
「まだだめぇぇ!もったいなぃぃぃ!」と都市に響く声で叫んだのだった。

私も胸にさっきから突撃させているが、物足りなく成ってきた。
デニムスカートの中から紫のショーツを取り出し投げ捨てる。
足元をドォン!ドォン!と鳴らして住宅街を破壊しているが今はどうでもいい、"あれ"をやりたい。
自分の性器の前に三角形を転送させる。3個しか来なかった。
そのまま突撃してくる三角形。しかし外れたのか、あまり快感を得られなかった。
胸の前にも転送できなく成る。イライラしてくる私、"ほんとに役に立たない"と無意識に右足を地面に打ち付けるのであった。
600機を誇る首都防空軍は彼女達をさほど満足させる事なく全滅した。

一回の快感の後、全て転送しつくしてしまったのか、何も来なくなった。
少しボーっとする頭で熱くなる股間を感じていると、ドォォン!と音がする。
麗奈ちゃんが眉を吊り上げ自分の股間を見ていた。
「麗奈ちゃん、怒らないで、まだ別のもあるからね。」
「絵里奈さん、まだ別のもあるんですか!早く行きましょう」
「そうそう!本番はまだこれからよ。」
股間から糸を引く雫を垂らしながら答える麗奈ちゃん。紅色の目がギラギラとしている。その下で消しゴムに雫が直撃し。周囲にあった4個ぐらいを同時に爆発させていた。
住宅街を押しつぶしているブラジャーとショーツを取りにかがんだ時、白い落下傘が目の横にあった。
ショーツを引っかけた右手でその落下傘を救う。飛行機から脱出した隊員のようだ。
白い手の平の上にある小さな点、人差し指に掛けているショーツと比べても小さな点に意識を集中させる。
「ねぇ、あんた達のなんで今更来たのよ。」
あまり興味も無いが聞いてみる。
"殺さないで殺さないで助けて"
小人のかすかな声が聞こえてくるがまともに答えない。
左手の余った指で落下傘を乱暴に引きちぎる。ブラジャーの風で煽られたのか小さな点が少し動く。
「そんな事聞いてないの、お話できないの?」
"お話、お話します。だから殺さないでその指をどけて"
「命令してんじゃないわよ、ちゃんと話せば助けてやろうと思ったのに。」
"わかりました、わかりました"
声から恐怖が伝わってくる。面白いので左手の指をそのままにしておいた。
話をしている最中にも横から街を揺るわす振動が聞こえてくる。
あのショートブーツの真っ赤な汚れた靴底が見えた。麗奈ちゃんは何故か四つん這いに成り、その大きな胸を地面に落としている。
"新しいおもちゃかしら"と少し笑顔になると、顔を変えてその兵士に質問を始めた。

帝都の上は基本的に皇帝の頭上であり、飛行が禁じられていて、これまで飛行機が来なかった事。
皇帝は帝都のプレミアムタワーの最上階に家があり基本的にそこに居る事。
彼らの指令室はそのプレミアムタワーに有る事。
隊員はペラペラと話し出す。
そして無線で最終防衛線を貴族街に引く作戦を聞いたと言う。
貴族街とはプレミアムタワーがある地区で文字通り貴族が暮らしている。
昨日泊まったホテルと反対側の住宅街に今来ているが、そこからでも高層街と呼ばれる腰ほどの高さの箱が何本も見られるエリア。
その奥に身の丈を超えるような超建造物が見える。あれがプレミアムタワーだ。
隊員の話を聞きながら、"面白そう”と口がにやけてくる。
興味が無くなった私は手を無意志に払い、麗奈ちゃんに話しかけるのだった。


絵里奈さんが本番はまだだと言う、でもこのムラムラがすごい中途半端だ。
その中途半端な感情の向け先が無くイライラしてくる。その感情のループを感じながら、投げ捨てたショーツとブラジャーを拾いに行く。
周辺からチカチカは完全に無くなり、小さな点と汚い消しゴムだけが所々にある。それを大きくしのぐ私の足跡がそこら中にあった。
足跡と比べて小さな小さな存在にまたムラムラとしてくる。股間がじんわりと熱い。
その足跡よりも大きく鎮座しているショーツを拾い、少し遠くにあるブラジャーを拾い上げると、そこに小さい箱と、爪楊枝の様な長い物体2本と、今までどこに居たのかというぐらいの
小さい点の集団があった。爪楊枝の様な長い物体へ多くの蠢く集団が押し寄せているように見える。
その爪楊枝の先からは都市部と、先ほど絵里奈さんがぶっ飛ばした丘の方に向けて線が伸びていた。
これが自動車の中で聞いた駅と電車という奴かと、話を思い出す。少し広司が恋しく成った。
よく見てみようと、四つん這いになる。
ズゥン!ズゥン!と両手が相変らずの音と衝撃を持って区画を押しつぶす。その振動が駅にも伝わり小さな箱が揺れている。
ズゥゥン!ズゥン!と膝を下ろすと、より大きな振動が起きたのか、小さな箱がサラサラと半分倒壊していた。
顔を近づけると小人の蠢きが良くわかる。爪楊枝は小さく分かれているようだ。こちらを見ながら何やらキーキー叫んでいる。"うるさい・・"とイライラしてくる。
もうイイやと、少し体制を変え、先ほどのムラムラが消え切っていない右の胸をその上にさらす。
駅は何も見えなくなった。そのままゆっくりと腕を曲げ胸を下ろしていく。何か触れたような感覚が乳首から伝わってくるが、満足するものではない。
そのまま体重を預ける。ドォォォン!周囲の住宅が激しく揺れ倒壊している建物もあった。肺が圧迫され鼻から息が出る。顔の下にあった住宅と小人はその鼻息で自分の胸の方に吹き飛んで行った。
自分の胸から出たボコりが顔の方に迫ってくる。
腕に力を上げ、胸を地面から離すと、綺麗に胸の形に凹んだ地面があり、そこには何も無かった。
胸に付いた瓦礫をはたきながら起き上がると、絵里奈に声を掛けられる。
「麗奈ちゃん、広司をあんな目に合わせた奴らの親玉があの建物の上に居るらしいわ。」
遠くにある、ひときわ目立つ建物の方を向いて話す絵里奈。
「広司の・・・小っちゃいくせにあんな建物までて建てて、分からせてあげないといけないですね!」
「そうね、麗奈ちゃん。でもその手間の箱も丁度いい大きさだと思わない?」
「手前の箱ですか?小人の建物ですよね。」
「そうそう、気持ちよくさせてくれるかもしれなわよ。」
絵里奈の太ももを包む黒いニーハイブーツに雫が垂れていた。

その線路?と呼ばれる物の上をわざと踏んづけて歩いていく。
途中爪楊枝や箱があったが、わざと踏みつけそのまま歩いて行った。
徐々に小さい箱が見え始め、私のショートブーツの丈までなってくる。
踏み出す度にドォン!ドォン!と周囲を威圧しながら君臨するブーツはその自分の丈の箱を周囲から吹き飛ばす。
チカチカが復活してきた。だがそれを無視して、線路の上を歩き続ける。そうするとその線は途中で地下に潜っていってしまった。
入口をわざとヒールをぶっ刺し破壊する。ドン!ドン!という音がするとそこにはもう何があったか解らなくなった。
私が歩いてきた後には、
気付くとブーツだけではなく脚や、胸から下が所々閃光するようになってきた。前を見ると、後10歩ぐらいの所に腰からお腹ぐらいまでの貧相な箱が並んでいる。
そこから大量のチカチカが見える。少しウザったくなってきた閃光。
しかしながら、私と絵里奈さんの振動に耐えられないのかフラフラとその箱は揺れているのであった。


私は、皇帝継承権第103位ドゥ・ビィッテだ。輝かしいこの皇国の貴族である。
庶民には解らないが、我々貴族が居るからこそ、奴らの生活は成っているのだ。
しかし、稀に解らない庶民と出くわす。私の指示に従わないのだ。皇帝に連なる私の命令は絶対であるにも関わらず。
昨日の美女は別格だった。見ただけで目を奪われ、息を呑んだ。私も女を何人も侍らせてきているが、あそこまでのは見たことが無い。
かなり背が高いく、私よりかなり背が高いのが難点だが、ひざまずかせればなんとでも成るだろう。
早く他の貴族にあの美女をひざまづかせる自分を見せつけたい。だがあの美女は断ってきた。執事の男が断られたと伝えてきたのだ。
なんたる事か、このドゥ・ビィッテの命令が聞けないというのだ。
私は庶民の軍隊にそのことを電話し、今私邸で待っている。
だが一向に連絡も何も来ない。まもなく日が昇ると言うにも関わらず連絡を寄越さない。
庶民は本当に使えない。私が行くのだと決意し、執事を2人付けリムジンの準備をさせる。
プレミアムタワーを出て、高速道路に乗り50分ほどたつと、昨日の高級街に付いていた。
「あの女どもを探してこい。」
そう執事に言うと一人の執事が探しに行った。
今日は女が横に居ない、ただ待っているだけだ。私の時間を無駄にするとは信じられない。
昨日の庶民の軍隊に電話を入れる。
もう一隊向かわすとの返事だった。さっさとしろと、電話を切る。
その後もリムジンに乗ったままワインを楽しむのであった。

ふとドン!とリムジンが揺れる。前の執事が無線で何やら喋っているようだ。
最高級の防音設備があるこのリムジンは運転席の声なんぞ聞こえない。
だが仕切窓を開け、執事が話してくる。
緊急令が出されました。プレミアムタワーにお戻りいただきます、
そういうともう一人の執事も戻ってくる。
"緊急令"帝都が危機に瀕した場合出される警報だ。存在は習ったが、生まれて一回も聞いたことが無い。
貴族はプレミアムタワーで待機しなければならない。皇帝の決めた事だ。
リムジンはそのまま動き出す。その間もドンドン!と走行音とは違う小さな振動と、扉がビリビリと響く音がする。
高速道路に乗りかけた時だろうか、ドォォォォン!とリムジンが浮き上がった。手に持っていたワインがぶちまけられる。
何事かと普段開けない窓を開ける。何やら庶民共が一斉にプレミアムタワーの方を向いて叫び逆に逃げている。
ドォン!ドォン!とその間にも空気を震わす音が聞こえてくるのだ。
走り出すリムジン。<<緊急令>>と書かれた料金所を抜け、庶民の車が全て脇へ寄せられた道を走る。
道路が、高架がまだ揺れている。
ドォォン!ドォォン!と音が近くなってきているような気がする。
ふと遠くを見ると、黒い高層ビルの様なブーツが街にぶつかって砂煙を上げている。
そのまま抜かれたブーツからビルの残骸のような物がパラパラと落ちていゆき、また振り上げられたブーツが街を蹂躙していた。
ミサイルやレーザーが見えるが、すべてそのブーツに吸収されていく。
その奥では褐色の綺麗な高層ビルがショートブーツを携え、同じように街を蹂躙していた。
すこし上を見上げた時、昨日見た美女二人だと気付いてしまう。
「な・・なんてことだ・・」その壮大な風景と押し寄せる振動に恐怖を感じ、股間が濡れていくのを感じた。
絶え間ない振動の中、高速道路を進んでいく。途中<<この先倒壊通行禁止>>の看板が出てくる。その看板も少し傾いていた。
周りの緊急車両や戦車と一緒に高速道路を降りさせられる。
降り口で執事と装甲車の軍人が話をしている。
「地下街は全滅だ。上を行くしかない。」「防衛軍は壊滅したが、再度攻撃の計画がある。」
など話していた。進まないリムジンにイライラする。小さく成った物のドンドン!と突き上げる振動と音はまだ響いている。
顔を出し、兵士へ先導するように指示するのであった。

そこらじゅうで自動車やトラックがビルに突き刺さっている。そのビルも見た目でわかるほどに傾いていた。
まともな自動車の方が少ない、その道路を装甲車は一般道や庶民を押しのけ走っていく。
ドォォォン!とまたリムジンが跳ね上げられ傾きかけていたビルが倒壊を始める。
ズゥゥゥ、ダァァァァン!周りが砂煙に巻き込まれ視界が悪くなる。
その出来事が当然のように走り続けるリムジン。ふと砂煙が開けてくると、ビル街の先に大きく異様に盛り上がった土が見て取れた。その先建物が無くなっている。
R5と書いた看板が横のビルに突き刺さっていた。
R5といえばこの先帝都ホテルや百貨店があった地域だがそこはどこへ行ったのかと疑問に思う。
しばらく、走る続けるリムジン。おなじみの超高層ビル街に着いた時、リムジンが止まった。
執事と話す兵士によればここで防衛線が引かれこの先車両は通行できないらしい。
執事に扉を開けられ、外に出るよう促される。
首を真上に向けないと空を見れないような300m近いビルが周りを囲んでいた。
そのビルからは緊急令らしく、兵器が所せましと並んでおり、一様に中層街の方を向いている。
視線をリムジンの先に戻すと、道路に埋め尽くされた装甲車や戦車が砲台をもたげて並んでいた。
「申し訳ありません、ここからは徒歩となります。」
なんの感情も無く伝えてくる執事、リムジンを置き捨て、悲鳴やすすり泣きながらボロボロに成った庶民と同じくプレミアムタワーを目指す。
横にある戦車の大きさに帝都の偉大さを誇りながら胸を張って歩いていくのだった。
未だにドンドン!と聞こえてくる振動、周囲のビルが高すぎて様子がわからないが、ビルが揺れている。
ドォン!ドォォン!と振動が大きく成り、立っていられなく成ってくる。同時にビルに備え付けられた兵器が火を噴いていた。
その壮大な景色に、流石帝都だ!と自信を取り戻す。
しかしながら、ドォォン!ドォォォォン!と大きな振動と音は止まらない。ずっとそこに四つん這いに成っていた。
Yの字に伸びる道路には超高層ビルが立ち並び、皆一様に左側に向け激しく兵器が攻撃している。

「あきれた、まだやるんだ。」

綺麗な声が体を震わす。

「麗奈ちゃん、あのビルとか良いんじゃない?屋上にレーザーみたいなのついてるわよ。」

楽しそうな声が降ってくる。周りのビルがビリビリと揺れてガラスが降ってくる。

「絵里奈さんそうですね!先に固さ確かめていいですか?」

「いいわよ麗奈ちゃん、最初はゆっくりやりなさいよ!」

なんとも嬉しそうな声だ。固さを確かめる?一体なんだろう。
その間もドォォン!ドォォォン!と地響きが成って横にある戦車が飛び跳ねている。

ダァァッァアン!という音がしたかと思うと、今まで何も見えていなかった左側の遠くのビルが爆発した。
そしてそこからヌゥゥゥと寸法違いな黒いブーツが現れたのだ。つま先だけ出したブーツはそのまま下へ下がっていく。
ドォォォォォン!ガッガガ・・・。地面に着いた黒い塊は瓦礫を伴いながら、衝撃波を発する。
横にあった戦車が明後日の方向を向いていた。
地面はひび割れ、底が見えないような亀裂がいくつも走っている。左の道路は瓦礫の山黒いブーツのつま先それで道路を塞いでいる。

「ちょっと脆すぎませんかね絵里奈さん。」

「うぅぅん、個性かもしれないわよ?」

上からそんな声が降ってくる。体が痛い。

ゴォォォォォ!という音が聞こえる。
先ほどまで道路を塞いでいたブーツが靴底からパラパラと"何か"だった物を落としながらY字道路の真ん中地帯の方へ動いていく。
ヌゥゥっと出てくる褐色の脚。それはブーツよりはるかに大きい。車から見えた、あの高層ビルの様な脚だ。
その上に続くデニムの生地、上に白いシャツ。そのシャツから胸をさらけ出している褐色の女。
やたらと乳首の方だけ赤く滲み汚れている。胸は明らかに周りのビルより高い。
彼女がそのまま道路の反対側にあるビルにその体ごと移動する。
ダァァン!
目の前のビルが激しく揺れる。
その奥に見える腰から上だけの女。そこに何もないように移動し続ける。
ダダァァンダン!
音と動く女だけが周囲を支配する。
逆側の道路にまた黒いブーツと褐色の脚が瓦礫と人を纏いながら現れる。
そのままの勢いでYの字の右側のビルへ突っ込んだ。
ドォォォォォン!ガッガガ・・・。
そこから広がる衝撃波に体をまた飛ばされる。戦車が動いてビルに接触していた。
女が脚を突っ込んだビルが脚にもたれかかる。
ダァン!ザァァァ!
その脚に当たったビルはそのまま粉々に成って倒壊した。
人と瓦礫が滝に成って道路を襲っている。
周りからはうめき声と上空の乾いた発砲音だけが聞こえてくる。
ビルを簡単に破壊したショートブーツの上に存在する褐色の綺麗な太ももに赤い染みがまた増えている。
道路に展開していた戦車や人はその滝に呑まれる。

「どれも一緒みたいですね。もうちゃんとしてよ!」

「うぅん?そうなの期待外れかしら。」

自分のすぐ左ビルが震えガラスが降り注ぐ。
ダァァァン!目の前のビルが大きく震えると爆発した。
赤い天井が白い空気を纏って迫ってくる。時折閃光が見えたがその天井に対してあまりにもちっぽけだった。
ドォォォォン!ドゥ・ビィッテは絵里香のブーツの染みに成った。


チカチカ光るビルに近づいていく、足を進める度、ドォン!ドォン!という足音と共に前の箱が揺れる。
まるで箱が怯えている様でゾクゾクが込み上げてくると同時に、足音程度で震える箱に"脆すぎる"のではと不安がよぎる。
右足の前にある太ももほどのビル、相変わらず小人が攻撃してきているようで、脚全体が閃光を放つ。
「あきれた、まだやるんだ。」
その貧相な箱に投げかけてやる。
足元のブーツはゴマを無意識に踏みにじっていた。その周辺からチカチカが見える、
「麗奈ちゃん、あのビルとか良いんじゃない?屋上にレーザーみたいなのついてるわよ。」
ふと左足の5棟ほど先に青い光線を放ってくるビルを見つけた。なるほど腰ほどの高さだ。
「絵里奈さんそうですね!先に固さ確かめていいですか?」
絵里奈より先に始める事に少し気おくれした私は一応確認する。
「いいわよ麗奈ちゃん、最初はゆっくりやりなさいよ!」
絵里奈に笑顔を返し、両手に持って居たショーツとブラジャーを投げ捨てると、
右足をその箱にゆっくり向かわせる。クシャとした靴からの感覚の後に、さらけ出した脚がわずかの抵抗を感じる。
そのまま靴を下ろすと、その箱は何も感じられないまま私の脚に崩壊していた。
「ちょっと脆すぎませんかね絵里奈さん。」
「うぅぅん、個性かもしれないわよ?」
個性か、纏めてやればもうちょっと何か感じられるかもしれないと、右足を歩くように前に出す。
膝にあたった箱がそこから爆発したが、気にせずまだ歩く。次の箱もいつ当たったかわからなかった。
ただ私の脚がビルの支配していた空間を進んでいく。3棟目の箱はあったかが分からなかった。
4棟目の箱は半分ぐらいにしといてやる。
ゴォォォ!と音だけ立派に鳴らし崩れていく箱共、ドォン!と置いた右足の音の方が大きかった。
4棟目は半分も崩していないのに、私の脚に向かって倒れてくる。
そのまま勝手に崩壊していった。
「どれも一緒みたいですね。もう、ちゃんとしてよ!」
イライラしてくる私、何か無いかとそのおもちゃ箱に入ったような状況を楽しめる何がを探した。
「うぅん?そうなの期待外れかしら。」
そういうと絵里香も箱に足を突っ込む。
綺麗な白い脚の根本にも届かない箱は、ブーツが触れただけで吹っ飛んでいた。
ダァン!絵里奈の足が着地した音で周りのビルが揺れる。
さきほどあれほどまでに光っていた箱があまり光らなくなっていた。
左足でまた数棟の箱を巻き込み、レーザーを放つ箱の前に立つ私、この期待外れの状況にムラムラをなんとかしたかった。
「ねぇ、ここ撃ってよ。」
自分の性器を指でなぞる。自分で触るとしっかり感触があるが物足りない。
目の前にある割れた裂け目に青い光が着弾する。少し暖かい程度だ。
「そこじゃないわよ、ここよ。使えないわね。」自分の豆をグチュグチュと自分の指で弄る。
指を除けた瞬間、少しの電撃が体に走った。
「いいわぁ、そのまま続けてよ。」
もう一回電撃が走る。胸がさみしく成ってきた。
もう一度少し長めの照射が来る。
「アァァァ、やるじゃないもっとよ。」
少し濡れた指先を胸にもって来て刺激する。
だがその後は何も来なかった。
「ちょっと、今からでしょ。」
見ると青い閃光を出していた機械は煙を上げ沈黙していた。
「ほんと、役に立たないわね!」
イライラとムラムラが押し寄せてくる麗奈。
そのまま箱の上に自分の性器を押し付ける。やはり微々たる物しか感じられない。
そのまま足を開いて箱を性器で上から押し付ける。
開いた脚が周囲のビルを倒壊させているがどうでもいい。
リズムの様な刺激は来るが微々たる物だ。
箱の中に沈み込むような形に成った麗奈。股下のビルは完全に崩壊していた。
前を見ると自分の性器で潰れた前のビルから多くの点がでてきている。
壊したビルの瓦礫を避けるように蠢くそれに、またゾクゾクとした感覚が沸いて来る。
「まだ逃げてないの?私と遊びたいのね!」
そのままの体制で足をずらし、前の箱に胸を押し当てる。それだけで周りのビルは倒壊し始める。
若干の感触はあった物の、やはり物足りない。
引き抜いた胸から瓦礫が瓦礫がこぼれ、箱には私の胸の形が刻まれていた。
胸の上に若干の小人が見える、悲鳴をあげながら向こう側に落ちていく。一体なにをやっているのか、イライラしてくる。
増え続けるその箱から出てくる蠢き。その上に胸からの瓦礫と小人が落ちていく。
「逃げてないで私を満足させてくれないかしら!」
立ち上がりブーツで箱ごとその蠢きを踏みつける。
ドォン!と聞きなれた音と共にビルを崩壊させてそこに佇んでいるショートブーツに少し満足した。
箱の中を波を割くように歩いていると、また良さげなビルがあった。
先ほどとは違い実弾を撃ってくれるようだ。
「ねぇ見てたでしょ、撃ってよ」
そう股下に言う麗奈。砲台が火を噴く。
「んんっ・・、良いわねぇ解ってるじゃない。」
次々と打ち続ける砲台
「あぁぁ、いいわ・・」
恍惚な顔になってくる麗奈、だがそれ以上の盛り上がりは無かった。
煙を上げながら打ち続ける砲台に段々イライラしてくる。
「ねぇそれだけなの?もっと強い弾とかないの?」
胸を弄っていた指も止まり、ただ冷酷に言い放つ。
少しだけ強い感触を得たと思うと、その砲身は割けて花のように広がっていた。
「使えない、ほんと使えなんわあんた達。」
そういうと足が自然と後ろに振り上げ、目の前の箱を蹴り上げていた。
その目線の先に足をほっぽりだし、座り込み瓦礫で汚れた股を見ている絵里香が居た。


麗奈ちゃんの進行に何の抵抗も無く崩れていくビル。
麗奈ちゃんが言うようにこの惑星のビルは脆すぎる。
すこし晒すだけで崩壊してしまう。
何か良い物は無いかと、箱を押しつぶしながら探す。
調度良い高さのビルがあった。機関銃を連射しているのだろうか、チカチカが大量にある。
その前に位置を調整して佇む絵里香。
「ねぇ、私と遊びましょうよ」
周辺の箱を倒壊させながら、小人達に言う。
「私ここが敏感なの、集中して攻撃したらどうかなっちゃうかも」
口元が吊り上がってくる。
既に濡れてブーツまで垂れてきている愛液、でもまだ溢れてくる。
この小人を虐めている感覚がたまらない。
豆を自分の指でトントンとすると、液を引きながら離れていく指。
そこにチカチカが集中する。
正直あまり何も感じない、すこしかゆく成ってくる。
「あぁぁ、ダメよそこはダメってさっき言ったじゃない。」
演技で感じているように発する。
周辺のビルからも発光がそこに集まってくる。だか、何も感じられなかった。
「あぁダメ倒れちゃう。」
足先から膝を付くように倒れるふりをする。性器は当たりビルを食っている。
膝は周囲のビルを派手に爆破させていた。
ドォォォン!と膝つく形に成る。周りにあった高いビルが勝手に倒壊していく。
足元から脛にかけて道路を占拠し、ビルを破壊したニーハイブーツは何事も無いようにそこに存在していた。
顔の高さに成ったビルを見ると目に発光が入ってくる。
その場に立ち上がり、見下ろした私はブーツを薙ぎ払うように動かす、足の届く範囲のビルを一気に倒壊させる。
「なに顔に攻撃してんのよ、ちゃんと指定したしゃない!」
自分の前にあった箱がいくつも倒壊して煙を上げている。誰も返事が出来そうな物は居なかった。
そのまま倒壊した広場に座り込む。
脚を投げ出し、瓦礫の山に手を付いた。
ドォォン!ズガガガガ!ドォォォン!と脚がビルを押しのける音と座った衝撃が、街を震わせる。
横にあったプレミアムタワーも少し震えている気がした。
"あなたはまだだからね"と心で思う絵里奈。
私が脚でビルを押しのけて回廊が出来ている。その近くでまだチカチカしている物があった。
左脚を外にずらす、ズゥゥという音と共に脚が全てを馴らしていく。少し当たった箱は倒壊していった。そしてチカチカは消えた。
右足の近くもさらにチカチカしている。
「私そんなに攻撃されたら困るわ。」
そういうと長い右脚を持ち上げる。箱など無視して、倒壊させながらずらし、そのまま重力に任せて落下させる。
ドォォン!右足はその周りの箱を倒壊させ、チカチカは完全に消え失せた。
その地を支配する両足に快感を覚える。また股が濡れてきた。
目の前にある箱の中で蠢く点が多数いる。
よく見ると白い旗を箱の中から降振っているようだ。
「降参するの?いいわ。その前に私を満足させてよ。」
少し体制を変え、自分の性器を指さす絵里奈。
その性器に向かってその箱中から閃光が集中した。
だがあまりにも何も感じない。
両足をその箱に向かって引き寄せる。ズゥゥゥ!パァン!太ももを閉じると、挟まれて下層を無くた高層部が私に倒れ込んできた。
粉々に成る箱。私の身体の上に小人が沢山見える。
「降参したんじゃなかったの?」
なんとも理不尽な言葉に少し満足した絵里奈だった。
顔を上げると箱を蹴り上げている麗奈ちゃんが見えた。
その小人を無視して立ち上がり、横を見る。
麗奈ちゃんと、プレミアムタワーで遊ぶのだ。



「そろそろあの大きいの行きましょうか。」
絵里奈さんが横に聳える身長より高いビルを見て言う。
立ち上がった絵里奈さんは雑草を払うように私との間にあった箱をあっけなく崩壊させていた。
「そうですね。大きいのは大丈夫でしょうか。」
なんとなく返し、私も近くにあった箱を払う。
高いビルを守るように円状に存在していた摩天楼は全て瓦礫に変わっていた。
「麗奈ちゃんどうかな、あのビルを挟んでゲームしない?」
すこしギラついた青い眼で絵里奈さんが聞いて来る。
「ゲームですか?いいですけど、何するんですか?」
絵里奈が思いつくゲームはたいてい楽しい、次は何をするのかと期待する。
「まずはね、あのビルの中に私たちの身体を突っ込むの」
「ぇ突っ込むんですか!?壊れないんです?」
「壊れないように股と、胸だけ差し込むのよ」
「はぁ・・・」あまり全容の見えない提案に疑問符で帰す。
「それでね、相手の所に兵隊さんを送り込んで先に気持ちよく成ったほうの負けよ」
先ほどの飛行機を思い出す。あれは数が無かったが、ホテルの逆側には無数のチカチカが見て取れる。
「良いですね!負けませんよ~。」
思い出すと気持ち良くなってきて、笑顔で答える私。
「じゃぁ私逆側いくわね~!」
そういうってズンズン残っている小さい瓦礫と化したビルを蹴散らしながら歩いていく絵里奈。
調度腕を回せないような大きさのビルはやはり私より少し背が高い2mはあるんじゃないだろうか。
足元には逃げまどう点が沢山見える。少し暇なのでつま先ですり潰して遊ぶ。
そうしていると出てくる点が止まってしまった。
"怯えて出てこれないのかな"と地面を擦り付けまわる巨大な自分のショートブーツを想像するとゾクゾクが返ってくる。
「麗奈ちゃんいくわよ!準備!」
そう言うと目の前のビルが揺れる。絵里香が突っこんだのだ。
私もやらねば!と胸と腰をビルに突っ込む、大股を開けて不格好だがゲームの方が先だ。
近づいたことで鼻の先にビルが来る。ビルの中では白い服を着た兵隊が四つん這いに成っている姿が大量に見えた。
「じゃぁ始めるわよ!3・2・1始め!」
大きな声で宣言する絵里奈さん、ビルが大きく揺れる。
フロアの高さなんて無視してとりあえず少し気持ちよかった"あれやこれや"を転送する。
だが何も起こらない。
「早く攻撃しなさい。」
ダァァン!
ビルを平手で叩く絵里奈。綺麗に手の形に破壊されるビル。
窓が割れ白い兵隊が胸に落ちてくる。
その瞬間、股間があのレーザーのような熱さで刺激された。
ビルの中から、小人の攻撃が始まったのだ。
胸が何度も小さい衝撃を受けてまたムクムクと膨らむのを感じる。
"負けちゃダメ"と、私も思い浮かぶ限りの兵器を、絵里奈さんの感じやすい所辺りに転送していく。
「アッ・・・」負ける気は無いが、小さく喘いでしまう。この原因である小人の兵隊をすり潰したく成ってくる。少し前に出て胸と股で兵器を潰してやる。
だが続けざまに刺激が訪れる。
「イィィィ・・やるわね麗奈ちゃん。」
ビルの向こう側から聞こえてくる声、いつもの絵里香より声が上ずっている。
「アァァァもうダメ我慢できない!」とビルを震わせながら喘ぐような声が聞こえてくる。
ズシャ!目の前のビルが震えたと思うと、また小人が降ってくる。
私の股間を絵里奈の指が弄り始めた。昨日のベッドの中より雑だが気持ちいい。
「アァァァァ、イイィィです絵里奈さん。」
私も負けてはダメと少しきつかった体制をなおし、ブーツと脚をビルに突っ込む。
胸に居る小人が跳ねて回っている。
そのまま我慢して力が入って我慢していた手を、力任せに絵里奈の股間の方へ突っ込む。
ぐしゃぁぁ!ドォン!グシャァァ!
ビルは今までになく揺れているがこの揺れは私たちの揺れだ。何かがパラパラとまだ落ちてくる。
見つけた裂け目をまさぐって、そのまま突っ込んだ。
「あぁぁっぁぁ!麗奈ちゃんもうちょっと上がイイ!。」
絵里奈さんは位置まで指定してくる。"良いじゃないかやってやろう"と思うと、私の胸をもみ砕くもう一方の手が現れた。
爪より小さい小人が彼女の手に潰されていく。
「絵里奈さん、覚悟ぉぉぉ!」
かすれた声が出た。絵里奈のご指定通りもうちょっと上の方を弄ってやる。同時に今までビルの中を捜索していた指が絵里奈の胸をつかみ上げる。
「アァァァァ!イイイ!イイワ!いいちゃぅぅぅ!」
こちらを攻めてきていた指が少し弱まり、赤く成った指の腹が見える。
チャンスとばかりに強く強く刺激する。
「あぁぁぁっぁぁ!だめえっぇぇぇ!まけちゃぅぅぅ!」
そう言うとビルを突き破りこちらへ倒れ込んでくる絵里奈さん。
同時に目の前のビルが崩壊する。
頭から瓦礫を被った絵里奈さんの瓦礫を払おうと上にあげた手は彼女の液でベトベトに成っていた。
「麗奈ちゃん!上手に成ったね。」
少しだけ背の高い絵里奈さんが、胸に残っていた小人を舌で舐める。
その口で私の口を攻めて来た。
口の中で暴れる舌、少し小人がいるのを感じる。
ギンギンした青い眼。、それを見ながら私も絵里奈の口に舌を入れる。
ブチュブチュ接吻する音だけが周りを支配する。
恍惚とした絵里奈の顔、鼻息が荒い。
何か無いかと周りを目を横にやるが、一面の瓦礫しかない。
口を離す絵里奈。涎を垂らしながら話す。
「麗奈ちゃんに勝利のご褒美をあげる。」
ギンギンしている青い眼で少し笑った絵里奈は、私を後ろ側のまだ残っている街に投げつけた。
ダァァァァッァァン!
全身を街に投げつけられ周りの小さい箱が顔の高さより上に飛び跳ねる。
「気持ちいい事しようねぇ、麗奈ちゃん。」
昨日と同じ顔に成った絵里奈は、上から覆いかぶさってくる。
ダァァッァァン!
二人の身体が衝突した事で、また周りが吹っ飛んだ。
「麗奈ちゃんはここ好きだったよねぇ。」
そう言うと街を完全に破壊しながら、足を女の子座りにして、股間に顔を突っ込んでくる絵里奈。
「こんな濡れちゃって、私もう少しで勝てたんじゃない~」
青い眼をこちらに向けて私の豆を舐める。
「アァァァッァ、そこイイですぅ。絵里奈さん~!」
思わず背中がのけぞる私。
「お胸が空席ですねぇ、この子たちに頑張ってもらいましょう~」
そういうと両胸の先端に小さい点が一斉に転送されてきた。
「ほら麗奈様を気持ちよくさせなさい、殺すわよ」
そのギラギラした青い眼を胸に向ける絵里奈。
しかしあまり何も感じない。どうでも良く成った私はのけぞった背中を地面に戻す。
どぉぉぉん!また都市が揺れる。
そして胸に乗っていた点は僅かに成ってしまった。
「もうぅ。麗奈様はしかたありませんねぇ。」
絵里奈の綺麗な顔が近づいて来る。股間を指に任すと、顔は胸をとらえに来た。
無言でもう一度小さい点を転送してくる絵里奈。怯える小人達、その怯える小人に絵里奈の舌が襲い掛かる。
大きな口を開けて乳首ごと咥えてしまう。口の中で必要に乳首を嘗め回す絵里奈。
私は快感に満たされ、指を大きく地面にえぐりこませていた。
そのまま小人と一緒に乳首を噛んでくる絵里奈。
絵里奈が乗っているにも関わらず背中がのけ反ってしまう。
「あぁぁぁぁ、イイイィィィィ!」
無意識に出る声が街を覆う。
指に胸を任せた絵里奈は舌を私の身体に這わせ下っていく。途中私の体に付いた赤い染みを舐めとり下る。
その舌から私の身体の褐色の大地を必死逃げまどう小人。
胸の通った後には真っ赤な筋が出来ていた。
そのまま顔を股間の方に顔を持って行く
また背中を地面に打ち付ける私。ドォォォン!もう私の周辺には人工物は無いように思えた。
「アァァ・・・アァァァ・・」と無意識に出続ける声
少し顔を上げた絵里奈が言う。
「みんなで麗奈様を気持ちよくさせようねぇ~」
そう言うと私の股間に点を転送させる。
開いている手で絵里奈は自分の股間を刺激していた。
クチュクチュという音が街にこだまする。
そのまま絵里奈は股間に吸い付いてきた。
「あぁぁぁぁ、イイです!絵里奈さん!イきそうです。!」
全神経が股間に集中し熱い物が吹き上げそうになる。絵里奈の舌が暴れている。
「麗奈ちゃんゴメェェン!わたしもぉぉぉ!」
指を私の股間に突っこんだまま横に倒れ込む絵里奈。
ビュービューと吹き出す白い液は、ホテルのあったほうまで爆撃していた。

しばらくの余韻に浸っていると、見ていた荒野が揺れる。
絵里奈がまたのしかかってきた。
「どうだった?麗奈ちゃん。」
恍惚とした顔で汗をかきながら言ってくる絵里奈。
その白い体は所々赤い染みで汚れている。胸は小人の血で真っ赤だ。
「楽しかったです。まだあるんですよね?この惑星。」
次の事を考える麗奈。この快楽は忘れられない。
「まだあるわよ~麗奈ちゃん。でも先にお風呂入りに行きましょうか。」
自分の身体も赤く汚れているのを見て"お風呂気持ちよさそうだなぁ"と思う麗奈。
「じゃぁ戻りましょうか。立てる?麗奈ちゃん」
すこしふら付きながら大地を踏みしめ立つ、周りを見渡すと、かつてホテルから見た都市は無く成り、瓦礫の山に変わっていた。
所々サイズの似合わない液体で池ができている。
ブラジャーとパンツを履きなおして、仁王立ちで風を感じる。この都市を制圧した気分に成る。
「広司を虐めた罰よ。」と瓦礫の山になった帝都に吐き捨て、船に戻るのであった。

彼女達が去った後の帝都には人っ子一人いなく成っていた。多くの潰された赤い染みやグチャグチャに成った自動車。
積みあがる瓦礫。漂う女くさい空気に、応援に駆け付けた地方部隊は顔をしかめた。