連なる山脈にまたがったまま歩きよがる巨大娘



 地震に目を覚ました登山客。彼らたちが最後に見たものは、女の子の臭いを放つ真っ白な壁だった。

「ああっ、いいこれ……」

 2000メートル級の山々を連ねる山脈に、彼女はまたがっていた。股下2000メートルになる巨大な少女にとって、ちょうどいい高さのおもちゃだ。
 少女はパンツとプラだけの格好を恥ずかしげもなく晒している。

 またがったまま、歩く。一歩、また一歩と歩みを進めるだけでふもとの山村集落はその素足の下に消えてなくなり土に返っていく。
 その動きに合わせて、彼女のパンツはずりずりと大きな音を立てながら、山頂の山小屋や絶景ポイントの解説が刻まれた看板を轢き潰した。

 登山に打ってつけの夏の季節、何人山登り中の人々を股間や太ももですり潰したか、彼女は知らない。股下で潰れても何も感じない小さすぎる彼らのことなんて、数えることさえ疲れる。
 メキメキ。山々に生える緑色の木々が彼女に刺激を与える。樹木はえぐれ折れ曲がり、乾ききって鋭くとがった中身を露出させている。

 普通、これだけ鋭利に中身を露出させた樹木に皮膚を押し付けては深い傷ができるのが必至。しかし少女は、あまりにも巨大な存在だ。折れてひしゃげた樹木たちは、彼女のパンツの繊維を切り離すことさえできないまま、少女の全体重を受けて土の中に埋もれてしまう。

 少女の股間が通ったあとには、浅く広く掘り起こされた岩石や土石が、山頂に身を晒しているのみ。つい先ほどまでいくつもの山小屋があって、何人もの登山客が寝泊まりしていたとは思えないほどに山脈は彼女に蹂躙し尽くされていた。

「あはん……っ!!」

 少女がよがり声をあげた。
 彼女はまた何か、大きなものを股間で轢き潰して性的刺激を得たようだった。尻が前へと進んでいき、めちゃくちゃになった山頂が空の下に晒される。しかし、彼女が股間の下にすり潰したものが山小屋なのかあるいは自然物だったのか、今となってはわからなかった。
 少女の顔がほのんりと火照ってきていた。うつろな瞳はどこを見ているのかわからない。足元がおぼつかず、山のふもとそのものを踏み崩しているのも見て取れる。足の裏には土にまみれた家が貼り付いていた。

 しかし、快楽を求め続けることだけはやめなかった。少女のパンツがものすごい轟音を響かせながら、巨大ブルドーザーのように山頂を削り取っていく。人々が無意識に畏怖を感じ、拝む自然の象徴のてっぺんが、少女の股間にフィットする形に変わっていった。
 そろそろ絶頂が近い様子で、それは股間にも前兆として現れていた。山脈の途中から、ところどころ粘液溜まりのようなものができている。それはまるで温泉のように生暖かい。ちょうど少女の体内と同じくらいの温度になっている。

 粘液溜まりからあふれた一部の人肌の粘液が、火砕流のように山のふもとに向かって流れ、そして粘性がありながらも超スピードで下っていく。
 ネバネバとした半透明の液状物はまだ形ある森林地帯を中に取り込む。隠れ潜んで生き残っていた登山客や、山に暮らす動物たちまでもをその中に飲み込んで速度を増していった。

 そのふもとにはたまたま彼女の素足に踏み潰されることなく残っていた集落があった。
 やがて集落に到達する少女の体液。少女の体内から出てしばらくしても、その粘液はまだ人肌の温度を保っていた。
 異臭を放つ液体が、住宅と車を押し流していく。まだ人々の残っている村を飲み込んでいった。集落は全体を少女の体温の液体に置き換えられて、ダムに沈むよりも理不尽な形で地図から消え去ってしまう。

「うんっ……はぁはぁ……」

 自分の体液の一滴だけで村一つを壊滅させたとも知らず、少女は歩み続ける。呼気で山よりも高いところにある雲を蹴散らしながら、山頂のすべてをパンツの下敷きにする。岩石がめくれ上がり、樹木が折れ曲がる。それが刺激となって愛液があふれ出し、今しがた掘り起こしたすべてを沈め去った。
 繰り返し繰り返し、股間で山を削り潰しながら得た刺激を快楽に変えて脳が受け取りつづけた。馬鹿になってしまいそうだった。


「はあはあ……あっ……ああっ!! おまんこ気持ちいい!! おっきな山をすり潰しちゃうの気持ちいいよぉ!!」

 理性の枷が外れた少女が大地を弾くように蹴り出す。今まで以上に素早く股間に山をこすりつけていくため、走り出し始めたのだ。
 遥か彼方で巨大な股間が迫ってくるのを見て、不安な気持ちを抑えていた登山客たちが、一斉に悲鳴を上げる。その場で立ちすくんだまま動けなくなった者や、蜘蛛の子を散らすように登山道から外れてバラバラに山を降り始めた者がいた。
 しかし、頂上で待っていても山を降りようとも、快楽に染まった彼女の前ではほとんど同じ。太ももと山の間ですり潰されるか、パンツと山頂の間ですり潰されるかのどちらかである。

「ああっ……イク、イクぅ……!!」

 太ももと股間で数々の命をすり潰した彼女が、ついに絶頂を迎えた。
 パンツに大きなシミができる。愛液があふれ出すと同時に膀胱が決壊し、無意識の放尿が始まった。
 先ほど村一つを沈めた愛液よりも膨大な量のおしっこが、山によって二つに裂かれ、それぞれのふもとに向かって流れていく。それも今度は粘性もない完全な液体だ。粘液とは比にならない速度で山を下り、一瞬でふもとにあった山村集落を破壊、さらに離れた村や街を押し流さんとする。

 山から離れた街ではとうに避難がおこなわれていた。しかし、彼女の身長は6kmを超える。それは単純計算しても普通の人間の4000倍のサイズ。当然ながらその質量も4000倍になっている。普通の人間が排泄する4000倍の量のおしっこ……しかも2000m級の山の頂上から森林地帯を削り取りながら流れ落ちてくる超スピードのそれに、彼らはあえなく飲み込まれた。

「はぁ……」

 快楽に染め上げられた恍惚の表情で、少女がなまめかしい息を吐く。
 パンツや太ももが自分の愛液混じりのおしっこでびしょ濡れになっていることに、彼女は少し恥ずかしそうにしていた。しかし、股間で山を削り潰すという行為のあまりの気持ちよさに意識がすぐにぷつりと途切れてしまう。

 少女はそのまま山脈に向かって倒れ込み、山に抱きつくような格好で眠りに落ちていく。
 寝息だけで、根こそぎ森林を吹き飛ばしたり吸い込んだりを繰り返しながら――。