トルトは高性能な自己修復機能を持ち、自由自在に形を変えられるだけでなく
人々のニーズに合わせた機能を多数携える。
大きさは人間サイズの物から、今の自分のように赤子サイズと様々で
まだ大量生産が出来ないため希少価値が高い。
それゆえ高価格で今のところ100万円を切るものは市場に出回っていないのが現状である。

海外セレブや有名人、富裕層が買い求め
それはSNSやテレビコマーシャル、はたまた番組により拡散された。
生産効率が上がり値段が下がってゆけば、一人ひとりが携帯のように所有し
むしろ携帯が淘汰されてゆく。
そんな予測までたてられるほど利便性がある画期的なものだった。

だが、それはまだ先の話な訳でこのようなトルトツアーが組まれて
少しの間所有者になった気分を味わえる。
中々高価で手が出せない物を好きに使えるので非常に人気のツアーとなったのだ。

といってもこのツアーも中々の値段である。
私立の学校が海外を辞め、トルトと共に日本国内を散策する。
例に漏れなく今回の学校もお嬢様校であり、ミスは許されない。バレる訳にはいかない。

…と、思っていたが限界に達するのが思いの外早かった。
座席に置かれ、上空に真由と呼ばれる女子のケツが迫った時
恐ろしくて表情を歪めてしまった。
自分よりも10歳年下の女子のケツの迫力。
赤とオレンジのチェック柄のショーツが大きな尻を覆う。
ひらひらと揺れるスカートからガッツリと見えるこの女子の尻は
本来なら男の本能を呼び覚ます魅惑的なものであるはずだ。

ショーツからはみ出す肉厚なヒップ。色白でツルっとしている。
肌には光沢があり、まだ重力に反発し、変なくすみもなかった。
肉が付いているのにそれは奇麗な曲線を描いて
2つの暴力的な山は天空よりいつ落ちてきてもおかしくなほど不安定に
ぷるぷると揺れるのだった。プリンよりも弾力があり、餅よりも柔らかい
そんな震え方を真由と呼ばれる女子が動く度に脚と尻が連動していた。

そもそもこんな真下から10代女子を見上げることなんてないだろう。
更には自分よりも7倍程ある人間を。
その恐怖を共有したいが、自分にしか分からない。
肉厚な尻も、それを覆うチェック柄の薄いパンツも、すらっと伸びる二本のバツバツの脚も
美少女、制服、10代特有のむちむちの肌、脚、尻も
その恐怖を打ち消すエロスを感じる事はできなかった。

上空イッパイに広がるチェック柄と紺色の空、その更に上から真由が顔を覗かせる。
下から見上げても美少女だ。
この美少女のヒップ。スカートの中のパンツ。脚。
それを考えても怖いものは怖い。

2つの山に埋もれるプクッと腫れたタラコ大の1本の線に集中してみたが何も変わらない。
不安定に揺れ続けるこの女子高生のケツは急に襲い掛かってきた。

一際大きくバスが揺れた後、バランスを崩し、普通に座るよりも
比較にならない暴力をもって
その魅惑的なヒップを小さくなった自分に打ち付けた。
「ひぱぶっ!!」
いつか落ちてくるのは分かっていたため、なんとか身体は動かさずに済んだ。

だが、この受け身を取れない、両腕を守りに使えないという縛りは非常に大きい。
このルリという横に座っている女子が見てさえいなければ腕くらい使って
身体を守っていた事だろう。だが、嬉々として自分に座らそうとする
その女子の目線を外すことは自分には叶わなかった。

なるべく腹に力を集中させて痛みを和らげる。と言っても中身はビーズに似た良くわからん物体が詰まっていて
力が入るはずもないのだが。
結局真由の尻が自分の身体に降ってきた時、変な声を出さず、体を動かさない
そんな事しかできなかったのだ。

すぐにまた腰を浮かせたこの女により視界に光が差し込み、同時に息を思いっきり吸う。
だが、それは本当に一瞬の出来事で
ただ尻の位置をずらしたい彼女はトルトと騙されている変身した俺に躊躇なく座った。

割れ目を持った2つの肉の山が、ぎゅうっと自分を潰しその圧に負けて広がっていく。
お尻をまんべんなく覆い視界には紺色のスカートが光によって透け
ルリという女子高生が上から自慢げに見下ろしているのを見続けるしかなかった。
鼻が正しく彼女のお尻の穴を捉え、そこを圧の中心として口は上に、
お尻にキスをする形で体のどこも動かせない。

多少の痛みは、生身で受けるときよりも和らいでいるがゼロには出来ない。
それどころか麻痺するかしないかのギリギリの線をずっと保たれているようで
正気を保っているのが非常に辛い。
呼吸もなんとなくあり、閉じている真由の脚の部分から少ない空気を吸うことが出来たが
女の身体を這った空気を吸わされているも思うと物凄くみじめになってくる。

なんとかキャリアも作り、毎日愚痴を言いながら遅くまで働き
上司に怒鳴られ続けていたのにこの有様だった。
女子高生のお尻の下で座布団として奉仕するというこの苦行は
それから30分程続いたのだった。

「無理!!」
「だっ、変身解かないでよ!戻ってきちゃうじゃんっ」
ユカリが慌ててバスの外へ出ようとするマサを止めた。
「マジでこれは無理だって!顔に50キロの肉塊が乗ってんだぞ!?
しかも俺の身体は7分の1でなんの配慮もしてくれない!
そりゃそうだ、だってトルトだと思ってんだからなっ!」
なんの感情かは分からないが高まり過ぎて身体が震えた。

「アンタまじでいい加減にしなさいよね」
ユカリが詰め寄る。
「大の男がグダグダ言ってんじゃないわよっ!その変な能力国にバラして
実験にでも使われたい訳!?んんっ!?
それでいーの!?」
人体実験。これを発症した時側にユカリがいたから誰にもバレていない。
こんな能力人が持っていると分かったら人体実験が行われたとしても不思議はない。
「で、でもほんとに…もう女の尻見ただけでトラウマになるくらい…」

「もうちょっとだけ頑張ってみてよー。
私のスイッチあげるから」
スイッチ…だと…?
「…やるしかないもんな」
俯きながらため息を吐き変身する。
「よっ!マサさんっ、やれば出来る男っ!」
段々とユカリが大きくなってくる。
肩、胸、腹、腰、膝…
の時点で恐ろしいものを目にした。
ユカリの応援で、というよりも騒音で彼女の背後に女子高生が立っていることを。
そしてそれは自分の所有者真由であった。

「ちょっとなんで途中で変身止めるのよ」
仁王立ちで見下されるも、身体の震えが止まらない。
その異様さに気付いたユカリが背後の真由に気付く。
「え?ど、どこから聞いてた?」
一瞬面を食らうもすぐにユカリは切り替えた。

「ごめんなさい!今の見なかった事にしてくれませんか?」
ユカリが深々と頭を下げる。だが返事はない。
それもそのはず真由は自分に目をやりかなり驚いている。
くぱっと開いた口が閉じることはなかった。