「私の唾でひ、冷やしてあげる」
私の唾液が顔にかかりそうになると直前で顔を背けて避けた。

「どうして避けたの?冷やしてあげるんだよ?」
男は目を逸らしてぼそりと答える。
「だ、だいじょうぶです…」
その生意気な感じが更に自分のS心をくすぐった。
足を踏みつけ体重を乗っけるとぐぁぁーと男は叫ぶ。

「ご、ごめんなさい!我慢します!唾垂らされて避けません!」
服を引っ張りながら必死に短い手足をバタバタさせる。
「違うでしょ?我慢じゃないでしょ?ん?
治療してあげるんだよ?して欲しいんでしょ?なんて言うの?言ってごらん」

自分と壁の間の小さなスペースにいる男の顔を見下ろしながら教えてあげる。
「お、お願いします!唾下さい!」
「ん、いーよ。今度避けたらもう次はないからね?」

いつもの微笑みを作りながら目を合わせる。
ちゃんと作れてるかな?
鏡をチラ見すると全然違っていた。頬を紅く染めながらニヤけている。
これが自分なのか?

男の髪を掴み完全に上を向かせる。
口に溜まった唾液をどろーっと垂らすと眉間に落ちた。
「ごめんね。落とすところ間違えたから伸ばすね」
そう伝えて手のひらで顔にかかった唾を満遍なく塗った。
自分で言うのもなんだが、相当な匂いのはずだ。

「だーめ。口で息しないで?鼻でするの」
口を手で塞いであげると、その匂いに暴れ出す。
「こーら、暴れないの」
そう言って身体をさらに密着させて抑えようとした時、男の手の甲が下から股間を叩いた。

「あっ、あぁぁぁっっ!!」
その振動が股間を通って身体に響き全身を麻痺させる。
頭が真っ白になりこの感覚に全てを奪われた。
壁にもたれかかりながら、力の入らなくなった膝を折り、
男の顔面に置いていた手を支えにするも、当然支えられるはずはない。

ちかこはそのままマサを下敷きにして崩れさった。
身体がガクガクと揺れ、その度に下から悲鳴がする。
ぼっーとしながら見下ろすと、自分の膝の下に組み敷かれる男がいた。
顔は苦痛に歪み、泣きながら許しを請うている。
そんな男を見つめてちかこはニヤーと笑った。

ちかこは小さい男の上で力の入らなくなった身体をガクガクと揺らし、
股間からは大量の愛液を漏らした。
ジーパンは股の部分だけ濃い青色に変色する。

(あぁ…いっちゃった。挿入もせずに…これじゃあただいじめただけだ)
必死に自分をどけようと暴れる男の叫ぶ声が逝った余韻を長引かせる。

まだ靄がかかる脳で下を見下ろすと、自分の半分くらいの男が汗だくで睨み付けてくる。
申し訳ない気持ちも多少あったのは事実
。だが、そんなことはこの気持ちよさに比べれば大した問題ではない。

「重たい?」
首を傾げくしゃくしゃになっている男を見下ろす。
「は、早くどいてっ!!」
顔を真っ赤にしながら怒鳴られるが少しも怖くない。
どうせ力では私に敵わないんだから。
「でもしょうがないよね?急に私の股間叩くなんて犯罪だよ?わかってる?」

男にわざと体重をかけてどいてあげると一際高い声をあげた。
そのまましゃがんで男と同じ目線で話を続ける。まるで子どもと話してるみたいだ。

「ち、ちがう!お前がいきなり暴力ふるってきたんだ!お前がここに閉じ込めたんだっ」
お前という言葉にイラっとしながらも表情には出さず話しかける。

「だってちびマサは犯しても犯罪じゃないんだよ?だからさっきの行為も許されるの」
「わ、わけわかんないこと言うなっ!こういうのレイプっていうんだぞ!立派な犯罪だぞ!」
「そっかぁ。ちびマサは新聞読まない人なんだね。
もう法律で決まったんだよ。
このまま身体が大きくなると人類は滅亡するの。だからアンタみたいなおちびさんのDNAが必要なんだよ」

マサはちかこの説明に口をぽかーんとほうけた。言っている意味が分からない。
それに仮にそうだとしても自分の人権うんぬんはどうなる。
「そ、そんなの嘘に決まってる!訴えてやるからなっ!お前をうっ…」

べちゃっとちかこの唾がマサの口に入る。
盛大にむせる。
「ごほっごほっ。な、なにすんだよ!」
マサはちかこを睨み付けた。
喉の奥に飛び込んだ知らない女の唾を吐き出そうと咳をするが、吐き出すことは叶わなかった。

「今度私に向かってお前って言ったら、今より酷い目にあうよ?」
にこっと笑っているが、目は据わっている。
マサはぶるっと身体を震わして目を伏せた。
仮にこの女が言ってることが本当だとしたら本格的に引きこもる必要がある。

「あーあ。こんなにジーンズ汚してさぁ、これどうするの?私まだ仕事あるのにさぁ」
ちかこが立ち上がる。
本当は種付けしてもらおうと思ったが今日はここまでで充分だった。
これから電話番号を強制的に聞き出してペットにしよう。そんな風に考える。

「とりあえずトイレットペーパーで拭くかぁ。それでドライヤーで乾かしたらどうにかなるかな?」
カラカラとペーパーホルダーを回して空まわりしていることに気付く。

「あれ?予備がこの裏にあるはず…やばっ!またやっちゃった!
あれほど切らすなって言われてたのに…また給料引かれる」
ちかこが急に慌てだしたのを見てざまぁみろと心で悪態付く。
こんなクソ女クビになってしまえ。

「あっ、奥の倉庫にあるかも!」
そう言ってちかこはドアを開けて出ていった。
マサはクソ女を見送るとさっさと個室から出ようと立ち上がった。身体が痛い。
自分の倍以上の体重の女がのしかかってきた。
もう二度とこのコンビニには来ない。売り上げに響けばいい。
ふんっと鼻を鳴らしてドアを開け、店員が戻ってこないうちに外に出ようと出口を目指した。