ちゅっ。ちゅっと彼女のジーンズを吸う音だけが個室に響く。
彼女では絶対寝そべれないがマサにとっては手足を伸ばしても余るくらいだった。

自分の体内にこの女の体液が入っている。
本来なら入るようなものではない。
こんな汚らしい汁、何故飲まなければならないのか。
悔しい。惨めだ。何度ともなく味わってきた敗北の味だ。
考えれば考える程涙が頬を伝う。

「できたー?そろそろ戻らなきゃならないんだけど?」
いつの間にか彼女はマサに吸わせている間携帯をいじっていた。
その携帯から顔を離し股を見る。彼女の表情が曇った。
「はぁ。やっぱり不良品だわ。もうっ。真面目にやってよ!」
そう言った後マサの乳首に猛烈な痛みが走る。

「ぐわぁぁぁー!!!ち、ちぎれちゃう!ちぎれるぅぅー!!」
「トイレットペーパーはちぎれるもんでしょ?」
そう言って彼女はマサの胸についている2つの小さなボタンを、
親指と人差し指で摘みねじった。
「ちゃ、ちゃんとやるからっぁぁぁあっっ!やりますからぁぁぁああっ!」
「本当に?」

彼女が苦痛に歪むマサの顔を見下ろす。
はぁはぁと痛みで荒くなった呼吸を整えながら答える。
「は、はい!ちゃんとやりまず!やりまずので!」
必死に答える。
「分かった。じゃああと10秒ね。じゅーう、きゅーう」

彼女が唐突にカウントダウンを始めた。
「ん?どうしたの??早くしないとこのボタン2つ無くなっちゃうよ?はーち」
その言葉に青ざめ必死で彼女の股に吸い付いた。

ちゅうちゅうちゅうと彼女のジーンズを吸いまくる。
股間の水分を限りなく吸い、太ももにも口を這わす。
腹筋を使い全身に力を込めて、無心で彼女の汁を吸った。
「ぜろっ!さぁ、どうかなどうかなー?」

まるでクイズでもやっているかのような口ぶりだ。
じっーとジーンズを見つめ結論を下す。
「うんっ!まぁまぁだねっ。後はドライヤーで乾かすよ」
彼女の許しが出たことに心から喜びを感じた。

「はいっ!!ありがとうございます!」
喜びとこれでやっと終わる。解放されるという安堵が全身を包み込む。
「はいっ。じゃあ手出してね」
そう言って彼女は紐をマサの両手首に結びつけた。

「あ、あれ?ちゃんとやりましたよ?ちゃんと吸ったんですよ?
ねぇ!ちゃんと吸ったのにっ!吸ったのに!!」
彼女はまた訳が分からないとでも言うように首をかしげる。
「うん。でも当たり前だよ。だってトイレットペーパーでしょ?」
彼女は優しく微笑んだ。

「そ、そんなっ!もう嫌だ!もう許してよっ!」
「だ、ダメだよ!トイレットペーパー無くなったら私が怒られるんだよ?
今日1日だけでいいからねっ」

そう言ってマサの両手首から伸びる紐をトイレ本体の後ろで結ぶと、トイレを抱きしめる形になった。
「はい、足伸ばしてー」
もう放心状態だ。
なすがまま、言われるがままにマサはトイレと合体した。
「いいね。ちょうど股がこうきて、高さもちょうどだねっ」
彼女の言う通り、実際に彼女が座ると股が目の前にくる。

「あとはペンで…」
便座から下り、背中に何かマジックペンで書かれる。
「トイレットペーパーの使用方法。
1つ、きちんと命令すること。
2つ命令に従わない場合は胸のボタン2つをつねること」
「うっうっうぅ〜」
マサは背中に書いたであろう使用方法を聞きながら号泣した。

「じゃあね」
店員は手をひらひらと振って女子トイレの扉を閉めた。
外からパチっと音が聞こえると暗闇が訪れる。

「ずずっ」
マサの鼻水をすする音だけが暗闇に響く。
すする度に鼻が痛んだ。
あの店員に座られたときにでも折れたのだろう。鼻は簡単に折れると聞いた事がある。
「ぺっぺっ!」

口の中にあの店員の汁が残っている気がして便器に吐き出した。
それを吐き終えると、現状置かれている不安と恐怖、そして疑問が頭の中でぐるぐる回る。

目下2つの大きな疑問があった。
まず1つ目は自分が変身しようとした訳でもないのに能力が発動したこと。

あの時は確かにパニックになっていた。
逃げたい、助けてほしいとも願っていた。
だが、変身に関してはこれっぽちも考えがいってなかった。
これまでそんな事はなかった。力が勝手に暴走しただけだろうか。

そして2つ目は変身していないのにトイレットペーパーと認識されているということ。
あの店員だけだったらからかわれている可能性もあった。
だが、あの小学生は別だ。
あの女の子を信じるならば、今自分は、自分であって自分でない。
自分は人間ではなくトイレットペーパーという分類なのだ。

考えていて頭が痛くなってくる。
ため息を吐くと同時に「ぱちっ」と音がして明るくなる。ついにやってきた。
ドアがゆっくりと開く。まず注目したのは彼女の表情。
一瞬驚くが、声を出す間もなく目がとろんとして普通の表情に戻る。
自分をトイレットペーパーとして受け入れた合図だろう。

Tシャツにジーンズとかなりラフな格好だ。
だがTシャツの2つの膨らみは凄い。
Tシャツでこれだけ魅せる胸もなかなかないだろう。
彼女はこちらへと歩を進める。
中に入っただけだろうが、あまり広くないためすぐ近くに彼女の太ももがくる。

触れてもないのに圧迫感がマサを恐怖させた。
後手でドアを閉めるとまたもや2人の密室空間となる。
「近いでかい近いでかい近いでかい怖い怖い怖い!!」
これからどうなるんだ。

「ね、ねぇ、おねーさん。お願いがあるんだけど?」
なるべく目を見上げて合わす。
ズボンの腰にかけていた手を止めて、便器を抱いて見上げている自分を見る。
「ん?なに?」
その声は無機質なものだった。
なんの感情も込められていない。
哀れみ、蔑み、興奮、喜びいつも向けられていた感情はそこにはなかった。

可能性はないのだろう。それでも頼まずにはいられない。
「あの、僕間違えられてここで縛られたんだけど、実際はトイレットペーパーじゃないというか」
なんと言えばこの状況から逃げ出せるのか。
「はぁ?訳わかんないこと言ってないで静かにしててよ。トイレくらい静かにさせて」
そう言ってズボンをひざまで下げる。

目の前に黒のレースのパンツが現れた。
そしてそこから伸びる二本の立派な足。
ツルツルと光沢を放つ。触ればきっとすべすべなのだろう。
だがやはりでかい。
この腰に自分が抱きついたとしたらきっと手を回すことが出来ない。
いや、ぎりぎり手が届くか?

そうこう考えているうちに彼女がずいっとパンツを下ろした。
横からでしか見えていないが今彼女のあそこは無防備なはずだ。
コツコツと歩き、彼女はマサの後ろに回った。