「ほらほら変身してみせてよっ」
ずいずいと寄ってくるな巨大な女子高生にタジタジしながら
なんとか能力を発動しようと試みるが変身出来る気がしない。

このままでは唾液を飲まされてしまう。
いくら可愛い女子高生といえどそんなのはゴメンだ。
「まさ君まだコントロール下手だから私がやるね」
そういってマリナに髪を鷲掴みにされ、顎をあげられる。

下を向き、唾液をマサに唾液を飲ませようと
垂れた髪を耳にかき分け口をすぼませた。
だが、その刹那。

遠くで轟音が響き渡った。
窓を見やると彼方の空が真っ白に輝いている。
だが次の瞬間には窓から見えるすべてのものが灰になっていた。
マサは瞬きする間もなく、思考する一瞬も与えられずただただ世界の終わりを見つめるしかなかった。

世界を飲み込む爆発を見つめ、一人杞憂する。
「はぁ」
ため息が漏れる。
なんど時を止め、世界を戻せばいいのか。
この能力を持ってしまった以上、自分の役割であることは理解している。

だが、終わりが見えない。
何故、爆発が日本で起きるのか。
原因も分からなければもちろん発生源も不明。
唯一分かっているのはマサ君をMにしないといけない。それのみ。

また新しい世界線を旅するのか。
そう思うと疲れてくる。
精神が疲弊している。
だが、終える訳にはいかない。
今回はギルドまで作ってみたがあまり効果が無かったように思う。

接触が遅すぎたか、あるいは、意図的に仕組みすぎたか。
何が正解かわからない。

驚きの表情のまま微動だにしないなほとゆか、マリナにマサ君。
君たちは次の世界でも交わるのか。
口に唾液を溜め、舌に乗せる。
そしてそれをマサ君の口にねじ込む。

すると身体が指サイズまで縮んだ。
ゴム手袋ならぬ、ゴム指手袋に見える。
認識を変えられた。
恐ろしい力だ。
このマサ君の力がいつか終わらせてくれることを祈って
新しい世界への時を進めた。



高校入試の日、なんの希望も無かった自分の人生に春の訪れを感じる風が囁いた。
黒いストレートヘアにメガネをかけたその女子は
他の同学年よりも大人びて見えた。
「あの…鉛筆を忘れてしまって。」
恥ずかしそうにこちらを見つめる彼女に、話し掛けられているのが自分であると認識するのに時間がかかる。
「もし、余分にあれば貸してもらえませんか。」

その可愛らしい唇から発せられる言葉に甘みがあるような錯覚。
メイクさえしていないのに、その整った顔は
いままで出会った女性のだれより美しかった。
「あの…」
彼女は困ったように笑顔を見せ、再度声をかけてくる。
そこでやっと見つめていた事に気付いた。
「あ、これ良かったら使ってくださぃ」

自分の口から出てきた気持ち悪い声に憎しみさえ覚える。
「ありがとうございます。それでもし…」
頭が真っ白になっている状態で依頼されると全部応えてしまうことに初めて気付いた。
「消しゴムを…」
自分の気遣いの無さに絶望しながら震える手で消しゴムを机においた。
「すいませんすいません。」
何度も頭を下げる彼女を横目で感じながら。
小声でボソボソと答えた。

当然試験に集中することも出来ず、
強すぎる横からの光に心と、シャープペンの後ろの消しゴムだけを消耗して試験は終わった。
そして何故かその高校に合格し、2ヶ月が経った今。
机に突っ伏して寝た振りをしている。

「はい、じゃあ遠足の班決めー」
担任がそう言い残し、沈黙した。
「では、4人組で班になってください。」
ワラワラと同級生が動く。
アホな男子が教室の隅で腕組みをする担任に向かっていった。
「ミオちゃん、一緒に組んでよ~。」
「生徒同士で組むようにね。」
有無を言わさない笑顔に一蹴される男子。

「だから無理だって言ったじゃん。ミオちゃん新妻だろ?」
「ばっかお前、男が最初から諦めてどーすんだよ」
近くでアホな会話が続く。
「やっぱあずさ達んとこだろ。」
「いやいや、あそこはカースト上位の男どもがもう。」
あずさ?誰だろうか。正直女子の名前なんて覚えていない。
あたかも今起きたかのように顔を上げる。
茶髪の女どもがアホみたいに笑って、金髪の男どもとよろしくしている。
その中でも一番アホそうで目立っている女がいる。

うわっ、リア充…

あずさが笑いながら男子の肩を軽く押した。
そして男子がなにかを言い更に声が上がる。
確かにカースト上位ということだけあって、それなりの顔立ちをしていた。
「相容れない…一生」
そんなことを考えていると男子の肩越しに、彼女と目が合った。

びくっと身体が跳ね、しらじらしく周りを見渡す。
そして大きく伸びをして机に向き直った。
机に空いた穴の数をかぞえながら、目が合った時の表情を思いだし、悔しく思う。
笑顔から、まるで汚物を見るような顔に変わる瞬間。
下に見られる。それはいい。
自分から目をそらした。それもまだいい。
なによりもあいつの笑顔を可愛いと思ってしまった自分が情けない。

「お前本命は林さんだろ。」
「声でかいって!!」
「声かけてこいよー」
集団の中の孤独に一人耐えているとまたもや男子どものアホな会話が聞こえてきた。
「な、なんて声かけるんだよ?」
「さっきみたく声かければいーじゃん」
「はぁ?じゃお前行けよ」
「な、なんで俺が」
告白じゃあるまいしと心でツッコむ。まぁ気持ちは痛い程分かるが。

教室の端で美女が他二人と三人組を作っていた。
試験で話して以来一度も会話せず今日まで来ている。
あわよくば一緒の班になりたいと願うも、男子と四人組すら作れない自分には程遠い願いだろう。
そしてそこにチャラそうな男子二人が声をかけていた。

「みなさーん、遠足は交流するのが目的です。積極的に新しい友達を作りましょうっ」
ザ、メガネ君こと委員長がいう言葉に誰も反応しない。
なかなか班が決まらない。
あっ、これラッキーかも。
30分が経ち、隅で沈黙を貫いていたミオちゃんが教壇へと立った。
笑顔で生徒を見回し一言発する。

「長いわっ!!」

「あんたたちいつまでもウダウダとたかが遠足の班決めで
キャいキャい、キャいキャい、楽しそうに
青春18きっぷしやがってほんとに
私が高校の時に初めて好きになった人と班が一緒になったのを思い出したわっ
そしてそれはクジによるものだった」
自分以外の生徒達が何かを察したかのような表情をする。

「というわけでクジ。」

担任の一言に教室からブーイングが沸き起こる。
一人心の中でガッツポーズを決めた。

正直班なんてどこでも良かった。
どうせ現地でバラバラになるわけだし。
本でも持っていって1人こっそり耐える予定は班ごときでは変わらない。

ただそれでもと。
クジを引く頃には林さんと一緒になりたいと思っている自分がいた。
無欲、無欲。
そう思えば思うほど欲望が漏れた。

「はーい。じゃあ当日その班で回ってねー。」
ミオちゃんが不満顔の生徒達を見渡す。
「林、河田、黒川は放課後残るように。プラン聞くから」
えー。とあずさがブー垂れるのもお構いなしだった。

「ななみはどこから回りたい?やっぱりチュロスと肉バンズは外せないよね~。」
「そ、そうだね。私もあずさちゃんと同じでいいかな…」
あずさはなおも顔を輝かせ、にっこりと笑い、自分のプランを話続ける。
「く、黒川くんはどこ行きたい?」

林さんが気を遣って自分に話を振ってくれた。
だがそれよりも自分の名字を覚えていてくれたことに感動する。
「お、おれはキャラクターとかどうでもいいから。」

言ってすぐ後悔する。
二人の好きなところでいいよって伝えたかったのに。
「あんたは荷物もって私たちの十歩後ろを歩いてればいいのよ。」
「は、はぁ?荷物なんてもたないし」
「は、はぁ?に、ににもつなんて、もたもた、もたないし」
あずさが俺のキョドリ具合を誇張しながら真似した。

「そ、そんな言い方してないだろっ」
「うっさいわね!私と同じ班になれただけありがたいでしょ?
居させてあげるだけ有難いと思いなさいよっ」

こ、こいつ…
最悪だ、傲慢だ。
世界が自分中心でまわってると勘違いしてやがる。

「ねーななみもコイツは荷物持ちでいいよねー?」
「わ、私は皆が仲良く回れればそれが一番だと思うけど」
天使と悪魔がいる。
結局ほぼあずさが回る順、行く先を決めた。

「ねー、まだー?ミオちゃん全然来ないじゃん。私も帰りたいー。」
携帯を弄りながらあずさの声を聞き流す。
「ちょっと黒川呼んで来てよ」
「あっ、いいよ私が行くよ。」
林さんが席を立った。

あずさに指図されるのは嫌だけど、林さんをパシりに使う訳には行かない。
「あっ、俺も早く帰りたいから、呼んでくるよ。林さんは待ってて。」
彼女の横を通りすぎると、いい香りがした。
「黒川くんありがとう」
上目遣いでお礼を言われる。

廊下に出た途端膝から崩れ落ちた。
可愛すぎて膝に力が入らない。
というか、今日俺は死ぬのではなかろうか。
あの林さんと数えきれないほど会話してしまった。
死ぬは言い過ぎても大怪我はするかもしれない。

そんなことを廊下で考えていると、教室のドアが開いた。
「アンタ何してんのよ」
あずさに見下される。


すぐに立ち上がり見下し返す。
そしてニヤリと笑う。

ドン引かれた。

「早く行きなさいよ!」
「う、うふさいなっ!今から行くんだよ」
噛んだ。
「私に口答えすんなっ」
蹴りが見事ケツに命中した。
「この暴力女!」
「うわっ、サイテー。女子に暴言とか信じられない。
明日クラス中に言ってやる。」
「いやっ、お前、それはズルい…」
平穏な高校生活を送りたい。
今回ミオちゃん含め三人の美女と同じ班になってしまい
ただでさえ男子どもの嫉妬を浴びている。

唯一救いなのは自分が二人から嫌われているという
その事実が和らげていた。
いつ爆発するかも分からない、男子どもの嫉妬に埋もれるのはごめんだ。

「じゃあ荷物持ちね?」
勝ち誇ったように、胸の前で腕を組む。
制服から盛り上がる二つの山を更に強調させる。
「む、胸みんなっ!!この変態!」
太ももに蹴りが命中する。
「み、見てないっ!!」
「見たっ!気持ち悪い目してた!!」

「廊下でうるさい」
いつの間にかミオちゃんが後ろにいた。

「みおちゃんー、コイツが私の胸ジロジロ見てくるっ」
ミオちゃんに抱きつく。

「せ、先生誤解ですっ!!」
激しく抵抗した。

そんな二人を見ながらミオちゃんは一言。
「大きいもんね」

「ぬ!?うぇあ!?」
あずさは胸を抑え顔を赤らめた。
強気な彼女とのギャップにドキッとする。

改めてみると整った顔だ。
それにド派手だと思っていたが、その中にも落ち着きを感じさせる。
ウェーブがかった髪も、その色も焦げ茶で言うほど明るくない。

手首に着けているブラスレットも黒のゴムにシルバーのトンカチと
何故トンカチか良く分からないがなんか洒落ている。

「だからジロジロみんなっ!!」
みぞおちにグーパンチを放ち、うずくまる自分を他所に
ミオちゃんに続いて教室に入っていった。

「ところで黒川マサ」
先生にフルネームで呼ばれる。
「能力はもう使えるの?」

教室に入った途端訳の分からない事を言われる。
「あれ?まだだったか。身長も縮んでないからそうなのかなとは思ってたけど」
そう言いながら近付いてくる。
ドンドン近付いてくる。

パーソナルスペースを犯されている。
それてもなお近付いてきた。

「ちょっ、せんせいっ!!」
いままで出したことないような声が出ていた。
先生は教室に入ってくるなり黒川にキスをした。
それもドラマとかで見るような長めのやつだ。

胸ぐらを引き寄せ、背伸びをし、舌を入れた。

「やっぱり変わらないか。
よしっ!最初はちょっと痛いかも知れないけど、優しくしてあげるから」
ミオはそう言って能力を発動した。

抵抗出来ないよう、肩と太ももの付け根をブラックホールで飲み込む。
そしてホワイトホールで別の場所に出した。

きゃあっと悲鳴が林とあずさからあがる。
ジタバタと暴れる黒川の腕が胸を揉んでいた。

「ちょっとくーろーかわー!!」
怒りであずさが黒川に迫る。
手足を離されて、床に仰向けになり、
自由が効かずパニックになりながら弁明していた。

「いやっ!?なにこれっ!?」

「これから黒川くんの精通を行います。」

ミオの言うこと、自分の状態、何故手足が離れた場所にあるのか。
全てを理解出来ていない。
あずさが床に転がっている自分に近づく。
顔の横まで近付き足を持ち上げた。

「踏まれるっ!」
必死に手足をバタつかせても今の状況を変えられないことは分かっていた。
上履きの裏側が見える。
何かパラパラと顔に落ちた。

あずさがマサの顔を踏みつける前にミオは能力を発動し
あずさの足を別の場所に出した。
「ちょっと落ち着きなさい。胸触られたくらいで。」
「元はといえばミオちゃんがこいつの手をこんなところに出すからでしょっ!」

あずさの言うことは最もだった。
「踏んでもいいけど、加減を考えなさい。」
「いやいや、踏んだらだめでしょ!」
あずさのパンツを上方に見つめながら叫ぶ。
「こ、こらっ!こっちみんな!!」
あずさがそれに気付き、スカートを抑えた。
だがどちらにせよ見える。

「早く足戻してよ!」
「分かったから落ち着きなさいよ?」
「…わかったってば」
ミオの能力が解除され元に戻る。
また目の前に上履きの裏が現れた。

「ふー」
あずさは息を整えている。
「ご、ごめん。わざとじゃないし。
さっきお前も言ってたけど、先生のせいだし。」
あずさは足を下ろし数歩下がった。

「うっさいわね。あたし怒りが収まらないんだけど~。
こいつの顔腹立つ。」
「上履き脱いで、程よく踏むならいいわよ。
それなら教職者として許容できる。」
先生が訳の分からない事を言い出した。

顔なんて踏ましたらだめでしょ。
「ありがとみおちゃん。黒川、あんた、罪は大きいわよ。」
あずさは片足を上げ上履きを脱ぐ。
パタッという音ともにマサの顔の横に落ちる。

マサは、口の端を歪ませて笑うあずさに見下ろされながら
紺のソックスでゆっくりと顔を踏まれた。
スカートを抑えながら爪先を鼻と口の間に置かれる。
そしてそのまま足をマサの顔に添えた。

「まさか本当にやるとは。」
ミオはその状況を淡々と見つめている。
「ちょ、ちょっとあずさちゃんっ」
林があずさに駆け寄った。
「黒川くんもわざとじゃないし、と、というか
だとしてもやりすぎだよっ!」

可愛らしい声が焦りへと変わっていた。

「いいのよこんなやつ。」
頬を紅潮させてあずさは足首を動かす。
マサの顔を巻き込んでぐりぐりと動いた。
そしてマサはうぅと声にならない呻きをあげる。

「うぅ、だって」
「ちょっ、ちょっと!あずさちゃんっ!!」
林の語彙が荒くなる。
腕を掴みマサから引きはなそうとする。
あずさの体幹がブレ、足で踏ん張るため、
更に圧力がかかる。
「んむむむっ!!」

「ご、ごめん!」
林があずさの腕を放した。
「こんな底辺のやつ、これがお似合いよ。」
そう言ってあずさは足に体重をかけていった。
上体を前に、両腕を太ももに乗せる。
完全に自我が飛んでいる表情だ。

「ふふっ。初めて人の顔踏んだけど、
アンタの息が掛かって気持ち悪い。」
あずさの足で覆われたマサを見下ろしながら笑う。

臭い、重い、痛い。
その三拍子が襲う。
それに汗でしっとりとして気持ち悪い。
同級生に顔を踏まれ、惨めにも地面に横たわり
何も抵抗できないでいる。
土っぽいような埃っぽいような、そしてすっぱい。
認めたくはないが、あずさは美人だ。
そして下から見上げたかのじょの脚はすごく官能的だった。
だからこそ、そこからは想像も出来ない匂いに驚く。

息を止めるも長くは続かない。
だが息を吸う度に肺に入ってくるのは
あずさの足の指や、上履きの中で、
熟成された嫌なすっぱい匂いのする空気だった。
「うぶばばぶぶぶっ!」
数秒止めていた肺を再度起動すると
その匂いに吐き気を催す。

体重をかけられ、嫌みをなげかけられ
泣きそうになる。

「ちょっ!みおちゃん!!」
林がなおも止めようと先生に訴える。
「んー。ちょうど良かった。あずさそのまま踏んでなさい。」

血の気がサーと引いていく。
そして次の瞬間、今まで感じたことのない、
痛くもあり、くすぐったくもあり、
全身の力が抜けるような感覚が股間を襲った。

「みおちゃんっ!」
林は止めようと試みる。
「いいから。林にもあずさにも説明したでしょ。
黒川くんをMにしないと。」
「で、でも」
食い下がる林を他所にミオは言葉を続けた。

「黒川くんがMでないとこの世界は終わる。
あなたの家族や友人、すべての人が無に帰すのよ?
それを黒川くんがMになるだけで回避できる。
別に死ねとか、身体の一部を頂くとか言っている訳じゃないの。
Mであることの気持ち良さを知ってもらうだけ。
ただそれだけなの。
そしてそれを知ったあなた達は協力する義務がある。
と、までは言わないけど多少協力してね」

そう言い終えるとミオは再度足を黒川の股間に置いた。
「流石に勃起はしたことあるよね?」
ミオに問いかけられる。
勃起くらいはしたことはある。
スマホで激しくググったのを思い出す。
朝起きたら股間が起き上がっていたのが初めての勃起だった。

怖くなり、すぐに検索するとそれが正常であることに安堵したのを覚えている。
そんなことを思い出して現実逃避していたものの
股間が現実に引き戻した。

「ひうっ!」
恐らく先生の足だろう。ズボンの上から自分の股間をまさぐっている。
指の付け根辺りでちんこと金玉を、グルンと揉まれる。
「ぅあ、うぅ」
なんとも言えない感覚に腰をくねらせる。

「こいつ腰くねらせてるよっ。」
あずさが笑う。
身体を震わせて笑う度に顔に乗る足がグヌュグヌュと動く。
相変わらず匂い、重さ、感触ともに最悪だ。
もう良く分からない。

手足の自由を奪われ床に仰向けになり
同級生に顔を踏みにじられ
先生には股間を足でまさぐられ
憧れの人にその状況を見られている。

二本の異なる足が自分の顔と股間を捉え
自分はそれに抗えない。

「あっ、あっ、あっー!」
あずさの足に口を塞がれながら叫ぶ。
先生の足が動きを止めたかと思うと、
次に金玉とちんこの間に爪先を差し込んできた。
クリクリクリと、金玉に張り付き下を向いていたちんこを上にに向かした。

ズボン越しにも関わらず
先生は自分のちんこの位置を把握したようだ。
ちんこの裏スジを爪先でスーっと撫でられる。
「ひ、ひぃやぁっ!」
な、なんなんだこれ!?
亀頭に到達した足の指が亀頭を優しくモミモミする。

すると股間がパンツの中でムクムクと大きくなるのが分かった。

「もっと苦労するかと思ったけど
意外と簡単に勃ったわね。」
先生は足を勃ったのを確認すると、くに、くに、くにと
二回軽く竿を踏んで足を放した。

「二人とも勃起状態のを見るのは初めて?」
二人からの反応はない。
数秒遅れてあずさが慌てて言った。
「あ、あるけど、顔を踏まれてるのに勃起する男は初めてよ。
気持ち悪過ぎる。」

「まぁ軽くレクチャーすると、精通してないペニスは敏感だから
軽く触ってあげるだけですごい刺激になるの。
だからこうやってするだけで…」
「うあっ、ぅぅあっ!ぶぅあっ!」

ミオはかかとをマサの付け根に起き、
かかとを起点に足の裏でトントントン、と竿にタッチした。
「ふぁめでぇ!な、なんふぁ、なんふぁふるっ!」
マサはあずさの足が口に入るのをお構いなしで懇願した。

だが当然ミオは辞めない。
「先端の部分は特に敏感だから触らなくても逝かせることは難しくない。」
ミオは淡々としたトーンで続けた。
「ごへんなふぁい。やふぇてくふぁふぁいっ!」
マサが謝っても関係なかった。

「こうやって身体中が細かくぶるぶる震えているし
金玉が収縮してるから、いつでも逝けるわね。」
ハッハッハッ
「みおちゃん、こいつの息が荒くなってて…」
みおは足首を器用に使い、竿の付け根から先端までを
優しく撫で始めた。
「いつでも逝けるし、このままでもすぐに逝っちゃうと思うけど、
黒川君はMでないとね。
…というわけで。」
そう言うとミオは今までの穏やかな口調とタッチから急に変えた。

「逝きなさい。」
そう言うと竿に足を添えて、グニーっと踏みにじった。
「いぎぃぃぃやぁぁぁっ!!!」
マサの叫び声にあずさが後ずさる。
そしてその叫びの後、マサは白目を剥き
身体を何度も何度もビクビクさせながら
ちんこから液体を吹いた。

「これがぁ、逝くってことよ。」
ミオは地面で逝き続けるマサを見下ろしながら、
逝ってもなお足の動きを止めない。
楽しそうにマサの様子を見ている。
「…まだまだ」
上半身を仰け反らすマサは、ミオのその言葉を最後に意識が飛んだ。

教室に男子1人、女子二人、女性が1人。
男子はピクピクしながら股間を濡らし、小さな声で「きもちぃ」と最後に言った。
その男子を囲む女が三人。
1人は興奮しながら顔を踏み、
1人は年下の股間を踏み、
1人は顔を真っ赤にしてその様子をただ見つめていた。

「ほ、ほんとこいつ気持ち悪い。」
あずさが上履きを履きながら言った。
「靴下は唾液でぐちゃぐちゃだし、最後なんてほぼ…」
舐めていた。そう言おうとして口をつぐむ。
「あずさの足の匂いで勃起するようになったらいいんだけどね。
それに…これが初めての精通って少し可哀想だけど
まぁ仕方ないわね。」
そう言ってミオは笑った。

「黒川くん…大丈夫かな?」
林が心配そうに覗き込む。
「それにしてもあずさちゃんやり過ぎだよ…」
「で、でもミオちゃんだって良いって。
それに世界の命運はあたし達にかかってんのよ!」
「そ、そうだけど…」
林は何も言い返せなくなった。

ミオちゃんに何度も言い聞かされてはいたが、
実際にそういった行為に及ぶとやはりどうしても身体が動かない。

「まぁまぁ、二人ともそれよりもほら!」
ミオがマサを指差す。
マサの身体が縮み始めた。

目が覚めるとすぐに分かった。
世界がいつもと全然違う。
机と椅子の足が異常に長いし
三人が物凄く近くにいるような錯覚があった。

ん、というかでかいっ!!

股間の痛みとさっきまでの記憶が甦り
恥ずかしくて目を合わせられない。

「黒川くん。能力者になれたわね。」
先生が自分を見下ろしながら言う。
だがやはりおかしい。
先生は膝を折ってしゃがんでいる。
そして自分は状態を起こしている。それなのに見下ろされている。

今までから考えると悪くても同じ目線の高さのはず。
それなのに…

フラフラと立ち上がる。それでやっと同じ目線。
横にいる林さんとあずさの腰までしか身長がない。

「黒川くんだいじょうぶ?」
林さんの声が頭上から聞こえてくる。
思わず身体をびくっとさせた。
大丈夫なわけなかった。正常な判断が出来るわけなかった。
こんな子供みたいな背丈になって。
同級生のしかも女子の腰まで縮んで。

「あっ、そっかそっか。これが能力ってやつか。」
「違うよ?」
先生が平然と言う。
「一生このまま!?」
「そうね。」
なんだこいつ!?

「可愛くなれて良かったじゃない。」
あずさが頭をぺちぺちと叩く。
それを乱暴に払いのけた。
「ど、どういうことですか!?
身体の一部、というか半分縮んでるじゃないですか!」
「まぁ、黒川くんの能力は協力だから
それくらいは仕方ないわね。」

こいつらは異常者か。
「男の子なんだから我慢しなさい。」
先生が一喝する。
「黒川くんの能力を使って元に戻れたりはしないんですか?」
林さんが尋ねる。

「これが元の状態だからね。
でもあなたの能力が開花したら超絶イケメンにも高身長にも、
もっといえば億万長者、どんな地位でも手にはいるわよ。」
え?
「どういうことです?」
「まぁ、追い追いね。とりあえずしばらくは我慢なさい。」

そんなこと言われたら少し期待してしまう。
それに身長については特段こだわりがあるわけではなかった。
むしろ、高くて目立つ分、低くなりたいと思っていた節がある。
だが、いくらなんでもこれでは酷すぎる。
日常生活に支障をきたす。
椅子に座るのも一苦労だ。

「明日からみんなにはなんて言えばいいんですか?
急にこんな縮んじゃって。」
最もな疑問だと思う。我ながら。
「それは大丈夫。元々ちっちゃいって事になってるから。」
もうなんか、良く分からない。
「そうですか。」
自分の口からでた言葉も意味不明。
なんだかどうでも良くなってきた。

「日常生活のサポートもしっかりするから安心して。」
「サポート?」
「当面林が面倒見るから。」
「えっ!?」
林さんの顔を見る。
彼女も疑問の表情だった。

「黒川くんの寮は林と同じ部屋だから困り事があったらなんでも彼女に言いなさい。」
「えっー!?」
流石に林さんも驚く。
「ど、どういうことですか?」
「男子で能力者居ないし、あずさじゃ不安だし。」
それにあずさがムッとする。
「林なら面倒見もいいから大丈夫。」

ということはこれから林さんと同じ部屋で過ごすということ??
なにそれ。楽しみすぎる。だけど…
彼女の顔を見上げる。
「だけど林がどうしても嫌だっていうなら
あずさに任すけど。
さっきの様子だと、黒川くんは寝るときあずさの靴の中かもね。」
林さんはあずさの顔を見た。

そして決意したかのように顔を上げる。
「分かりました。私がサポートします。」
えっーーー!?
「い、い、いいい、いの?」
うん。
「むしろ私で良ければだけど…」
いいに決まっている。
「…すみません。よろしくお願いします。」
「はい。」

林さんが微笑んだ。つられて笑顔になる。
「なーんだつまんない。あたしだって可愛がれるのに。」
頭に手を置き、体重をかけてくる。
あずさじゃなくて本当に良かった。
「おっけ。決まり。同室の子には部屋の移動伝えといたから。もう出てると思う。」


「ただ、女子寮の他の子達は事情知らないから見られちゃだめよ」
「えー!?」
林と二人同時に叫ぶ。
「トイレとかどうすればいいんですか?」
マサの質問に怪訝そうな顔をする。
「そんなの自分達で考えなさいよ。」
きゅうに突き放される。

「大丈夫。黒川くんの能力なら余裕だから。
変身してこっそり出入りすればいいのよ。」
「変身?」
「そう。変身。
姿形を変えられるのよ。それにもっとすごいことも出来るわ。」
なんだか凄いかもしれない。ワクワクしてくる。

「どうやって変身するんですか?」
「それはあずさに聞くのがいいと思う。
黒川くんの服。身長縮んだのにぴったりでしょ?
あずさが能力で作ったのよ。」
「まぁ、簡単よね。自分の能力くらい把握してて当然ね。」
胸を反らす。
縮んだせいか、下から見上げているせいか、
いつもよりも乳がでかく見えた。

「私は等価交換が出来るの。
たとえば布があればその布の形を変えられる。
あんたの制服の濡れてない部分で小さい制服を作ったわけ。
生き物の形を変えるのは無理だけど
無機質なものなら出来るわ。」
「そっか、形を変えるという点では似ているのか。」
察しがいいじゃない。
あずさは眉を上げた。

「あたしの場合は物に触れながらその形を思い浮かべて
強く変われと念じるだけ。
そうすれば変化するわ。
あんたも姿、形を思い浮かべれば変化できるはずよ。」
なるほど。納得する。
とりあえず何かに変身してみよう。

「もう遅くなったし、林が持ち運べる物に変身して寮に帰りなさい。
んじゃ私はまだ仕事が残ってるから。」
「あたしも部活に顔出してから帰るわ。」
それじゃ、と言って二人とも教室から出ていった。

急に二人にされて気まずくなる。
だが、これから林さんとの共同生活が待っていると考えるとドキドキと期待が勝る。
「どうやって寮に戻ろうか?」
その気まずさを破るように林がマサに声をかけた。

林さんを見上げる。
一生懸命考えてくれているのが分かる。
自分みたいな気持ち悪いやつと同室にさせられて面倒までみなければならないと。
それなのに…
優しい。
なるべく迷惑をかけないようにしなければ。

「えーっと。部屋の番号だけ教えてもらえればなんとか自分で帰ってみるよ。」
「そんな、遠慮しないで。
場所とかも分からないだろうし。」
笑顔を向けてくれる。
もう死んでもいい。

少し考えてみる。
「そうだ。なら…」
その姿、形を思い浮かべて強く念じた。
すると自分の視界が歪んでいくのが分かった。
変身成功だ。