「クッセェ…臭いよぅ」
ゼロ距離に匂いの元があるのにどうしようもできない。
目の前のパンツからはとめどなく匂いがあふれ続ける。
吐くものも無く、嗚咽を漏らしながらなんとか身体が解放されないか、もがくこと2時間。
やっと身体の緩みを感じた。そして更に数時間後やっと身体の自由を取り戻した。

静かにチャックを開けて様子を伺う。どうやら英語の授業のようだ。
匂いと格闘している間にいつの間にか学校に着いたらしい。
真上を見るとあかねが机に突っ伏して寝ていた。イメージ通りだ。
鞄は机の横にぶら下げられている。運良くあかねは1番後ろの席。

誰にも見つかることなく、ドアの隙間を通り廊下に出られた。

「はぁ…この匂い落ちるのかな?」
慣れとは恐ろしいもので、臭いは臭いが、始めみたいに吐き気は無くなっていた。
身体はあかねによってくしゃくしゃにされている。
これは変身を解けば戻るのだろうか。少し不安になった。

だが、ずっとこうもしてられない。とりあえず戻してみる。
「おおっ!よかったぁ」
安堵のため息をつく。元に戻れた。身体には特に変化は見当たらない。
「それにしても…」

周りがデカイ。元の大きさでもこんなに大きいものだったか。
教室から出てきたばかりのドアをみる。ガラガラと横にスライドさすタイプのものだ。
このドアには小窓が付いている。だが背伸びしてもそこには到底届かない。
自分がもう1人いて、肩車をしてくれたらやっと届くくらいの高さに、小窓はあった。

何もかもが大きい。自分を弱く感じさせる。
そして高校独特の雰囲気。昔を思い出させる。
恐怖。
一刻も早くでよう。そう思った時、事は起きた。

「キーンコーンカーンコーン」
体を大きく震わせる。過去の恐怖からか…いや、ただ急に鳴ったから驚いただけだ。

教室から一斉に椅子を引く音がする。
その音に焦り急いで周りを見るも隠れられそうな所は1つを除きどこにもなかった。
その1つが問題だ。それはトイレ。もう嫌な予感しかしない。
何かに変身出来ないか。消しゴムでもいい。念じる…も、一向に変わる感じはない。

「がらがらがら」
ついに扉が開いた。
結局、体力の消費が少ない、形状変化にした。身体を小さくする。

みるみる周りが大きくなる。やってしまった。
と、後悔しつつもトイレ以外の隠れ場所を見つけた。ロッカーだ。
とりあえず回復するまでそこで待つしかない。
よしっ、と目標を決めるも結構距離がある。そしてもう1つ障害が。

「夏のアイスにハーゲンダッツとかないわぁ」
「わかるっ!ガリガリ君のが食べたくなるよねっ」

きゃっきゃっうふふ、と女子高生共が廊下に溢れ出てきた。
目の前に巨大な上履きがいくつも空から降ってくる。
一歩降り立つ度に物凄い振動が伝わってきた。

目一杯壁に寄って踏まれないように気をつける。
短いスカートをヒラヒラさせながら自分たちの足を披露している。
10代特有のむちむちとした感じを見ていると、股間が少し硬くなってきた。
毛一本ない光沢を放つ拗ねは膝下まで紺のソックスで隠れている。

前には後ろ姿の黒髪の女の子がロッカーに腰掛けている女子と話している。
ここからだと彼女のパンツがばっちり見える。長い髪を揺らしながら笑っている。

と、その女子が急に下がってきた。背中を向けながらこちらへバックする。
あまりの急な出来事に慌てふためく。
一歩、二歩、三歩。もうスペースはないはずだ。だが彼女の足は止まらない。
彼女がかかとを上げて更に足を引いた。彼女の上履きの靴底が見える。

だいぶ汚れている。とか、言ってる場合ではない。
その足はまっすぐに自分の上に影を落とした。

「う、うわぁっ!」
思わず大きな声を出して目を背ける。
「ズドン」

痛みはない。踏まれていない?
恐る恐る目を開けるとすぐ左側に彼女の足があった。
あと少しで踏み潰されていただろう。
ここにいてはまずい。咄嗟に反対側へ逃げるようにして走る。

「ゴンッ」
彼女の右足の踵が壁を思いっきり蹴る。そして道を塞いでしまった。
上を見上げると赤い艶を放つパンツから二本の立派な足がビルのようにそこにあった。

ここに居てはまずい。本能が逃げろと叫ぶ。
だが、何に魅せられたのかその場から動く事が出来ずにひたすら女子高生のパンツを見上げていた。

彼女が動くたびにひらひらと揺れるスカートや彼女の秘部を覆う薄い布。
その布も彼女の動きに合わせ新しい皺を作っては消し、作っては消しを繰り返している。

「俺はMじゃない…Mじゃないけど…」
でも今すぐ彼女の足に擦り寄り熱くなったちんこを擦り付けたいという衝動に駆られる。
ふくらはぎに密着した靴下をよじ登り、
彼女の膝裏になすりつけられたらどんなに気持ちいいか。

ボーッと上を眺めていると彼女の股が今までに見せなかった不穏な動きを見せた。
右に一回、左に一回大きく揺れた。
そして…股が空から自分を目掛け降ってくる。

「あ、ぁぁ…」
あまりの恐怖に動けない。彼女は壁伝いにゆっくりと腰を下ろしている。
遠くから見てるから良かったんだ。あんなのものに潰されたら痛いし臭いし苦しい。
恐怖で一気に萎えた股間が逃げろと叫ぶ。

「今日サーティワン食べ行く?」
彼女との距離が近づいていることは声の大きさからも分かった。
だんだんと大きくなっている。

壁伝いに下がってくる彼女の腰は、
壁がスカートをパンツを巻き込んで、パンツが上に引っ張られ、
彼女の女性器の形をあらわにした。

真ん中の一本の筋を、ぷっくりと腫れたような肉2つがお尻辺りまで囲んでいる。
ゆっくりと確実に彼女の股は近づく。
「ズズズ。」

壁を擦る音が断続的に聞こえ、間隔が早くなる。そしてスーっと彼女の股間が下りてきた。
上昇気流がスカートを巻き上げ、膝を曲げた彼女の足は自然と開く。
大きい、大きいと思っていた彼女の股は、近づくことで更に自分との差を顕著なものにした。

「あっ、死んだ…」
彼女の股が目の前まで、凄い勢いで近づいたのは分かった。
だが潰される前にマサはおしっこをちびり、気を失った。

結論から言うとマサは死んでいない。
彼女の股はマサの直前で止まり、一切触れていなかった。
もしも、潰されるという恐怖が無ければ
目の前に広がる女子高生の股を楽しむ余裕があっただろう。

ガニ股になった彼女の股間は、パンツに覆われて見えないものの、
パンツ越しではぱっくりと開かれていた。

整えているためパンツからちぢり毛がはみ出ることもない。
臭いだって直に嗅がされるわけではないし、今までよりも幾分かマシなはずだった。

目の前に大きく広がる10代のマンコを想像しながら股間を刺激する。
起きていたらそれくらいの楽しみはあったはずだ。
いくら女嫌いとは言え、性欲がないわけではない。
女性も好きだ。ただし優しい人に限るが。

「ちょっと村瀬」
「んー何?」
村瀬が名前を呼んだ同級生を見上げながら聞いた。
名前を呼んだ方は少し怪訝そうに村瀬を見つめている。

「なんで私のパンツ見てるのよ?」
「いや、パンツじゃなくて、あんたの股間の前に人形落ちてるよ」
え?と首を傾げながら下を見るとそこには裸のマサが気を失って仰向けに倒れていた。

「なんなんだろこれ?人形ってよりキーホルダー?」
村瀬がマサを摘み上げる。
「なんかプニプニしてて柔らかいよ」
「誰かの落し物かな?」

村瀬と話していた同級生が手を差し出す。
ほいっ、と村瀬はマサを投げ渡した。綺麗に弧を描き彼女の手に着地する。

「へーよく出来てんね。肌触り本物の肌みたいだよ」
彼女はシゲシゲと見つめながら、マサの身体をあちこち触った。

「変なキーホルダーだね。後で落し物入れに私入れとくよ」
次は村瀬が手を差し出した。

「あーいいよいいよ。私職員室寄るし、その時に放り込んどくわ」
「そ?ゆーみがいいなら任せるけど。えーとどこまで話したっけ?」
ゆーみはスカートの腰ポケットにマサをねじ込んだ。

「村瀬が電車でお尻触られたところ」
村瀬はポンっと手を叩き続きを話し始めた。
「そうそう。それで犬に足噛みつかせたの」
ほんと嫌だったー。思い出したくもないというように村瀬はため息をついた。

「あたしだったら警察に突き出すけどなぁ」
「絶対言い訳して逃げるよ」
「逃げたら遠距離パンチ食らわしてやるもん。20メートルは届くしね」
その後2人は奇妙な痴漢の撃退法について話し続けた。