「うーん…」
マサは真っ暗闇の中目を覚ました。
何か見えないかと目を開けてしばらく待ってみても見えるものはない。
遠くの方からテレビの音が聞こえてくる。

「どこだろここ?」
確かお尻で踏み潰されたはずだ。
だが、何故か生きている。
その理由は分からなかったが生きていることを神に感謝した。

とりあえず光はないかと辺りを手探りで進むものの
見えてくるどころか、布に絡まっていく。

なんだよこれ…イライラが募ってきた頃頭上から大きな声が聞こえてきた。

「ちょっと!ゆーみ!テレビばっか見てないでさっさとお風呂入っちゃって」
少し怒り気味の声が聞こえてくる。
「ちょっと聞いてるの!?」
「あー分かった。分かったよ。もーせっかくいいところだったのに…」
更に近くから声が聞こえてきた。
そして急激に身体が宙に持ち上げられる感覚を感じる。
次の瞬間、マサは大きく揺れ、その度に柔らかいような硬いようなものに叩きつけられていた。

なんとなく自分が今いる場所の検討がつく。
ゆーみと呼ばれたこの女が歩くたびに「へぶっ。ぱびゅ。」とマサは叩きつけられ、
肺の中の空気を強制的に吐き出されていた。

彼女が一歩歩くたびに大きく揺れ、そして振り子のように勢いをついて戻っていく。
そして足の太ももでその勢いはピタッと止まっていた。
全身をビンタされているような感覚。
鼻から鼻血が、目からは涙が、口からは叫び声と助けを求める声が漏れていた。

「へ、へんし…ぱきゃ」
痛覚が少ないゴム製に変身しようと試みるも
断続的にやってくる痛みのせいで集中できない。

そろそろ口から血ヘドを吐く。というところで動きが急に止まった。
安堵したのもつかの間、
「ジジー」っとジッパーが下がる音がしたかと思うと急降下した。
ふぁさっという音とともにマサはスカートと一緒に地面に落ちていた。

しばらくゆーみが服を脱ぐ音が聞こえる。
衣擦れの音と、何かを脱ぐたびに床を踏みしめる音。いつ踏まれるか。
暗闇の中で1人恐怖に怯える。
早く変身しなくては。

「なんでもいいからっ!生身以外の物にへんっしんっ!」
なんだか久しぶりに変身できた気がする。
身体の形が変わったのを確認すると同時に彼女の足がマサを捕らえた。

普段なら絶叫するところだが、今回は自分でも驚くことにほとんど痛みを感じない。
感じるのは彼女の足で体重をかけられ、ぺしゃんこになったということだけだ。
彼女が踏み出すために一段と体重がかけられる。そして解放される。

ガラガラガラと軽い音がして水が床や彼女の身体を音が聞こえてきた。
「ふーふふーふーん」
あれだけめんどくさがっていたのに鼻歌まで聞こえてくる。
シャワーの音が止みバスタブに浸かるのが音で分かった。

マサはしばらく彼女が奏でる水音や、お風呂で反響する鼻歌に聞き入っていた。
するとお風呂からとは別な音に意識が向く。
「どすどすどすどす」と、一定の足音を立てて廊下からこちらに近づいてくる。

ノブをひねりドアを開ける音と女性のため息の音が聞こえてきた。
「ちょっと、ゆーみ!脱いだら洗濯機に入れるって毎回言ってるでしょ!」

ゆーみのお母さんだろうか。怒っているというより呆れているのだろう。
そんな母親にゆーみは鼻歌まじりに返した。

「あっ、ごめーん。今度から気をつけるね」
「全くこの子はいつもいつも…はぁ」
お母様も苦労してるんですね。
心の中で同情し、余裕をかましていると母親が迫ってきた。

「どす、どすっ、どすっ!どすっっ!」
母親の踏みしめる一歩一歩はスピードこそ無いが重みがある。
一歩踏みしめるごとに木のフローリングは「ミシミシ」と悲鳴を上げ、周りを揺らす。
母親が近づく度にマサに与える震度と恐怖を大きくした。

また踏まれるのか?
だが、予想に反して最後の一歩は自分より手前のところで止まった。
「はぁ。まったく。一回一回屈むのが疲れるのに」
そう言っている母親の声が真上に近づいていることが分かる。
きっと脱ぎっぱなしの服を洗濯機に入れるのだろう。
他の服と一緒に洗濯機で溺れる自分を想像して寒気がする。

「あら?」
「グエッ」
スカートを掴んだ時にちょうどポケットの部分を掴む。
そこに自分がいるとは知らずに。
「はぁ。ポケットの物は出さないし…ったく。
この娘はちゃんとお嫁にいけるのかしら。
ちょっとゆーみ!ポケットに何か入ってるわよっ!」

大きな手が乱暴に侵入してくる。自分を見つけ外に引っ張り出す。
久しぶりの光で目が一瞬(目があるのかどーかは分からないが)眩んだ。

「なんでこんなものがポケットに入ってるの?」
自分でも何に変身したのか分かっていない。
ぷるっとした紅い唇から何かヒントとなる言葉が発せられるか待つも
次の言葉はその期待に応えるものではなかった。

「ゆーみ!ポケットの物洗面台に置いておくからね?あと次私も入るから早めに出てよ」
聞こえてるのか、聞こえていないのか定かではないが
とりあえず風呂場から返事が返ってくる事はなかった。

こんな娘をもってこの母親も大変だな。見たところ母親としてはまだ若い。
30後半くらいだろう。
少しふくよかな印象を持つがデブではないし、身なりも整えている。
落ち着いたこげ茶の髪もさらっと艶がある。

大人の女性だなぁ。そんな感想をもちながら母親を見送った。
「あっ、おかぁさーん!」
そこにタイミング悪くゆーみが声をかける。さっき出て行ったばかりだ。もちろん返事はない。

「ちょっとおかぁさんってば」
そう言いながら風呂場からゆーみが出てきた。思わず目を奪われる。
少し前かがみで顔を覗かせたゆーみは辺りをキョロキョロと見回している。
その彼女の動きに合わせて、2つのたわわな乳房がプルプルと揺れる。

張りがあるからか、ぷるんっとまるでプリンのように
彼女の動きにいちいち反応している。
そしてその先端についた可愛らしい乳首はお風呂に浸かっていたからか、
はたまた10代だからか、鮮やかなピンク色をしていた。

思わず吸い付きたくなるようなおっぱいだ。
またおかぁさんと呼び、反応が無いことにもうっと頬を膨らませる。

「おかぁさん!身体洗うやつが」
そう言って目が合うと彼女の表情は急に曇った。
「このタイプかぁ」
そうため息をつき彼女が自分の方へ来ると全身があらわになった。
お湯に濡れた身体はなぜか艶めかしい。
全身がお湯に濡れ光沢を放っている。
温まった彼女の身体は火照り、きっと熱を帯びているんだろう。肌の色が健康的だ。

彼女の顎から垂れた水滴は豊かな胸に弾み、他の水滴と合体して更に大きさを増す。
胸に沿って綺麗な弧を描き、その途中にある乳首に引っかかり、
一間置いてトンっと床に落ちた。

彼女が近づくにつれ可愛いおへそが目の前に迫る。そしてふわっと持ち上げられた。
この時点で既に分かっていた。
それほど馬鹿じゃない。風呂場、女子高生の裸、そして己の欲望。
何に変身しようか決めずに変身した。その結果はだいたい想像がつく。
ゆーみはスポンジのマサを風呂場に持ち込んだ。

そしてドアを閉めるとそこは2人の閉鎖空間となった。