「まるで動物園だ…」
馬鹿ばっかりがいる檻の中に放り込まれるなんてまっぴらごめんだった。
そして群れず、つるまず、一匹狼で耐えてきた自分に
終に神は能力を与えた。

「ムイ シキ君」
先生が自分の名前を呼ぶと、教室が奇妙に静まる。
そして次の生徒の名前を呼ぶとまた動物園は賑わった。

「はぁ…可愛い」
唯一の癒しである田中ナホさんの横顔を見つめる。
村田と楽しそうに話、笑う姿は一つのことを除いては
いつも通り神がかっていた。

「それでは授業を始めまーす」
出席確認を終えると、日直が号令をかける。
「起立!」
その号令で田中も他の生徒同様席を立つ。
その横で田中の顔を見つめていたムイは彼女が立つと
彼女から視線を外した。

何故なら今ムイは彼女の腰程の身長しかなかったからだ。
ナホが立つと自然とムイからは彼女のショーツが見えてしまう。
だからムイは視線を外した。
誰に気付かれるわけでもないのに。

ムイは自分の存在を、他の者達の意識から外すという力を手に入れた。
だが、その代わりにムイの身長はちぢんでしまった。
そして彼はとんでもなくピュアであった。
他の者たちが性に目覚める中、
高校生にもなって、未だオナニーすらしたことがない。

その理由は単純に、それらの知識を得る機会がなかったこと
ただそれだけであった。
ムイは小さい頃から友達がいない。
教室の隅で本を読んでいるような子どもだっ。

そして月日は流れ、コミュニケーションをとらないまま高校にあがり、
ピュアなハートを維持した。
だからこの超人的な能力をもってしても
ナホの柔らかそうな、既に実りつつあるたわわな胸や
高校生特有のむちむちした太ももに一切触らず、横顔を眺めているだけなのだ
もしかしたら彼にはその考えさえもないかもしれない。

素晴らしい能力。だが、それは諸刃の剣。
そしてそれを実感する時が来た。
「があっ!!!」
ムイが突然叫び声を上げた。
床に仰向けになり身体を起こすのに失敗して尻もちをつきながら
迫ってくる人物から後ずさりしている。
鼻からは血が、そして追い詰めている人物の膝からは
ムイの鼻血がついていた。

教科書を音読しながらゆっくりと生徒達の机の間を移動していた彼女は
存在を消したムイに気付かず、ナホの横を通り過ぎた時にムイをふっ飛ばしていた。

「あ…あぁ…」
必死に後ずさりするムイの身体を彼女の上スリッパの足裏が捉えるのに
そう時間はかからなかった。
「きゃっ!」
パニックに陥っているムイの足につまずき
前のめりにこける。
膝を地面で擦りむき、なんとか手を前に出して
地面に身体から突っ込むのを避けた。

「いたたたた…」
そう言いながら自麺についた手に体重を預け立ち上がろうとする。
その地面が悲鳴を上げていることに関しては誰も気付かなかった。
自分の3、4倍ほどもある、教師が
例え女性といえども自分目掛けて倒れてくる。

彼女の身体の柔らかい場所であればなんとかなったかもしれない。
だが実際は膝で顔面を蹴られ、
手で流血している鼻を抑えながら
なおも前を見ずに教科書に目を落とす女から
必死に後ずさる。
同級生達の机の間は一直線で、横を向けどもあるのは
机と彼女達の生脚だった。
まるで鉄と脚でできた牢獄。

後ろに逃げるしかない。
だが、上手く立てず
巨大な先生が自分目掛けて足を降ろすのに、さろど時間はかからなかった。

先生が足につまずき、倒れまいと踏ん張るも
先生の硬い膝が腹にはいる。
そして手のひらが自分の顔面に迫っていた。

腹に重い一撃をくらい悶絶しているところに顔面に手だ。
そしてしばらくすると自分の顔に体重を預け
立ち上がろうとした。

巨大な先生に蹂躙されて初めてわかった。この能力は危ない。
人から見えないというのは
気を遣ってもらえないということ。
先生も悪気があったわけではない。
だがだからこそ、加減を一切もらえずにこの状況にあった。

腹を抱え痛みに堪えながらとりあえず教室の隅に移動した。

しばらくして血が止まり、この深刻な状況について考えてみた。
確かに認識されないというのは素晴らしい能力だ。
だが、身長についていえばかなりの危険をはらんでいる。
まだ授業中で同級生達が席に着いているからいいが
放課になったとたん自分は怪我まみれになるのではないだろうか。

最悪の場合、誰にも気付かれずに死ぬかもしれない。
そんな考えがよぎり背筋に悪寒が走る。
何処か放課の時だけでも隠れられる場所はないか…

答えはすぐに見つかった。
掃除用具入れがある。
放課はここに隠れればいい。たかが10分15分のことだ。
そう思い、また田中の横顔を眺める為に彼女の席に近寄った。

授業中とは打って変わって活発になる教室。
多くの者が席を立ち、友達と交流を深めている。
そんな中ムイは一人掃除用具入れに隠れて、放課が終わるのを待っていた。
教室の掃除用具入れの扉が授業終わる5分前に開いたのを誰も気付かない。

ムイは一人暗闇の中で暇そうに時間が過ぎるのを待った。
だがその平穏は早くも破られる。
田中ナホの友人村田が掃除用具入れを開けた。

まるで大人に見つかった幼児のような反応をムイは見せる。
「全く…かくれんぼなんて、ナホも子どもかっ」
そんな事を言う村田はくるりとムイに背を向けお尻から掃除用具入れに入った。

ムイよりも3倍程の村田によってスペースの大半が奪われる。
村田の無表情な顔で見下された瞬間、彼女はくるっと回った。
短いスカートはヒラヒラと舞い、見てはいけないものがムイの目に飛び込む。
スラッと伸びる、肉付きがよい筋肉質なその足はスカートへと消え
いつの間にかお尻に付いたお肉と合体していた。

そしてそれを覆う薄い布。
真っ赤でど派手なそのショーツは彼女の大きな尻をなんとか覆い
動きに合わせて無数の皺を作った。
目の前で行われる、尻の肉とショーツの踊りに
わけも分からないままムイは見入っていた。
そして、なんの知識もないまま股間を大きくする。
だがその理由をムイは知らない。

混乱するなか、更に大きく、自分目掛ける村田のヒップにムイの顔は捉えられた。
村田の肉がムイを離さない。
尻の割れ目へとムイの顔は誘導され、村田の乱暴な腰によって
どんどんめり込んでゆく。
「あれ…こんなに狭いか…?」

村田がなおも身体を掃除用具入れに押し込む。
足は踏まれ、大きくなった股間に彼女の足が弾力のあるふくらはぎが
グイグイと押し付けられる。
オナニーをしたことがないムイにとってはそのふくらはぎでさえも
かなりの痛みを引き起こした。

だが、危機は股間の痛みだけではない。
3倍もある村田のケツ肉が自分の呼吸器官を掴んで離さない。
なんとか息を吸う。
かなり制限されるが、肺に空気が入った。
だが、その瞬間、すぐに吐き出す。

鼻からはいった空気は彼女の匂いで満ちていた。
ショーツのほのかに香る洗剤の匂い。そしてその奥からトイレでかいだことのある
匂いが鼻をツンっとついた。
その刺激はムイには強すぎて
せっかく入ってきた空気を吐いてしまう。
口はケツ肉に覆われ、息を吐くと、彼女の肉が振動し、オナラのような音がした。

だが、村田はその音にさえ気付かない。
「うぅ〜、狭いぃ」
そう言って身体をもぞもぞさせる。
そのたびにムイの顔は村田の尻に蹂躙され
鼻はひん曲がり、唇はめくれ、情けなくよだれをダラダラと口から零した。

村田の股間から発するおしっこの匂いを嗅いでから
なんとか呼吸を我慢していたムイだったが、
匂いよりも呼吸をしていないことで人体の危機に瀕していた。
ムイは命の危険を感じ、彼女の股間や尻にある空気を肺に入れる。

「ふぐっ、う、うぇっ」
あまりの臭さに嗚咽を漏らす。
そして空気を出すとまた彼女の肉でぶぶぅぅ、という音が出る。
まるで彼女のオナラで生きているように感じてくる。
だが、匂いは彼女のおしっこの匂い。
普通に生きていれば決して嗅ぐことはなかった。

「はぁー…まだかな」
村田が掃除用具入れの空間を大半を占める。
そしてモゾモゾ動く度に顔は肉に埋もれ、股間には痛みが入った。
「い、いきがぁー…」
ムイはなんとかこの汚れた空気から逃れようと両手を使い
村田の肉を押し上げる。
肉を支える手のひらはどんどん埋もれ、なんとか割れ目を開いた。
あとは拘束されている顔を横に向けようと躍起になっていると
股間に強い刺激が走り、痛みで股間をガードする。

肉を持っていた手からぶるるん、と放たれた尻は遂にムイに呼吸すら
出来ないほど奥深くへと誘った。
鼻の先は時折ピクピクする穴へメリメリと入り、
口にはぷにぷにと柔らかい謎の隙間へと入り込む。

「んんんっ!!」
息が出来ない事にパニックになる。
なんとかしようとシダバタするが、顔は一向に動かない。
かと思えば彼女の些細な動きで向きが変わる。
デコからアゴの先まで村田の肉が覆っている。

「死ぬかもしれない」
同級生の女の尻肉で命を奪われるとは思わなかった。
こんな終わりなら田中さんに告白してから死にたかった。
だが、ムイの命はここでは潰えない。
田中が掃除用具入れの扉を開けた。

「ナナミみっけ!」
村田の太ももの肉で耳栓されたムイの耳に可愛らしい声が聞こえた。
「おっそいよー。他に隠れるとこなんてないでしょ?
狭いとこ入ったから身体痛いや」
そんな会話をしているのを聞きながらムイは一生懸命村田の太ももを押した。

痛む肺と股間。
その刺激から早く逃れようと躍起になる。
朦朧とする意識の中、遂に村田のお尻から開放された。
ぼやける視界に村田の赤いショーツが遠ざかる。
そして…
「いがぁぁぁっっ!!」
突然の痛み。

ムイは叫んでいた。
村田が出る時にカカトでムイの股間を蹴り上げてしまった。
彼女の何気ない動作がムイを絶叫させる。

やっと吸えた空気。
村田の制服の香りで肺は満たされた。そして次の瞬間の痛み。
だが、痛みだけではない。
痛みの奥に何かがある。
蹴り上げられた股間から何故か尿意がムイを襲う。

「な、なんか…で、でるっっっ!!」
その瞬間ムイは朦朧とする頭で今までに味わったことのない快感を得た。
痛みが引く代わりにこみ上げる尿意。
それを抑えることは不可能で膝からガクガクと身体を崩し
ペタンと腰を地面に着け、手はだらし無く垂れ
白目を剥きながら
腫れ上がった股間から液体を吹き出した。

まだ精通が済んでいなかったのか、透明の中に僅かな白みがかかる。
ズボンの布の繊維の間からムイはお漏らしをした。

「次は私が隠れるからねっ」
「えーまだやんのー?」
そんな二人の会話を遠い耳で聞きながら、掃除用具入れには
意識が吹っ飛んだムイだけが残された。

「ばっしゃーんっ!」
普段入れない時間帯の風呂は気持ちがいい。
全寮制の為風呂の時間も決まっている。
だがムイは、自称世界一色っぽい掃除のおばちゃんこと
かなえさんが掃除する横をすり抜け一番風呂に飛びついた。
誰にも気を遣わないことはこんなにも自由なのか。
多少の不便はあれどお風呂は3倍大きくなったし、いうことなしだ。

ムイがそんなことを考え、浸かること30分。
脱衣所が賑やかになってきた。
ムイは慌てた様子で脱衣所の方へかけより、誰にも気付かれないのにも関わらず
そろそろと扉を開いた。

「!!?」
ムイはその光景に驚いた。
20人程が入る脱衣所は同じクラスの女子達でいっぱいだった。
男子の風呂に入ったと思ったムイ。
だが、今月は月に一度の男湯と女湯の交代の日。
更に第一土曜日なので学校は半日で終わり。

ムイがチンコから液体を噴射し、気絶していた時
同級生達は体育に励んでいた。
その為、学校が終わって一番で身体を洗いにきたのだろう。

そんなこととは露知らず、ムイは混乱しながら
同級生達の奥に見える扉へと向かった。
だがその足取りは重い。
行く手を阻む、紺色のスカートから出た生足。
それが無数に且つランダムに入り乱れ、ムイの進行方向を妨害する。
一見柔らかそうな彼女の脚は今のムイにとって
大きな恐怖となっている。
かずは先生の時の二の舞いにはなりたくない。

その想いが身体を萎縮させた。
それはまるで幼稚園児が母親を探してウロウロしているようにも見える。
「うぎゃっ」
蹴りが一発入る。
その反動でヨロヨロしているムイに更に一発
靴下を脱いだ時の手の動作によって裏拳が顔面に直撃する。

顔を抑えて後ろに退く。蘇る恐怖。
何処かに生存のルートはないか。
そうこうする間にも彼女達は衣服を身体から取っ払い
あられもない姿となっていく。
なるべく見ないようにと隅に目を向けたとき、活路をムイは見出した。
洗面台の下を潜り、乾燥機と洗濯機の脇を走り、そのままドアへ
そう決意するとすぐに動いた。

上から聞こえてくる女子達の笑い声。
服を脱いでいく音。
柔軟剤と10代女子の蒸れた匂い。
そして自分の身体と同じくらいの太さの、光沢を放つむちむちとした脚。

それらを置き去るかのように夢中で走る。
耳元で風を切るのを感じ、まるでジャガーのような速さで…
「ぱぺっ」
ムイは急に出てきた障害物に困惑した。
「窓…?」

ムイが感じるよりそんなに速く走れていない。
洗面台の下を抜け、乾燥機を横切り、ドラム式の洗濯機の横をすり抜けようとした時
その扉が開き、ムイはぶち当たっていた。

ムイが必死に動かす5歩よりも、彼女たちが踏み出す一歩の方が速い。
脱ぎ終わった女子の一人が今まで身につけていた衣服を
洗濯機に放り込むため扉を開いた。

そしてムイは横顔にパンチを喰らって洗濯機の中に身体ごと詰められる。
顔に同級生の体臭を吸い込んだ制服と彼女達の股間を覆うショーツ
そして2つの胸を守る役目を終えたブラの布たちが襲いかかる。
洗濯機の中はもちろん固く、尻もちは相当な痛さだった。

なんとか必死に絡みついた布を剥がそうとブレザーの裾から顔を出したムイ。
だがそんなかれの目の前には裸の女の身体が。
前のめりになって袋から何かを取り出そうとしている。
そしてぷるんと重力に従って下向きにベクトルを向けるお肉があった。
先端には薄いピンクの突起がある。

初めて見る胸にムイは何がなんだか分からなかった。
だが、混乱している暇は彼にはない。
彼女は袋から新たな布を取り出した。
それは体操着。
それを無造作に洗濯機に放り込む。
もちろんムイがいることには気付かない。

少し水気がある音を発してムイの顔に張り付いた。
「あ、あせで濡れてるっ」
多少時間が経ったのか変に冷たく、それが気持ち悪かった。

同級生の誰だか分からなかったがそいつは自分を無視してその桃のような尻を
ぷるんっと揺らしながら離れていった。

その隙間に洗濯機から出ようとするムイ。
だがそれは叶わない願い。
次々とその大型ドラム式の洗濯機に彼女たちは着ていた衣服を捨て去っていく。
衣服が放り込まれる度に、ムイはそこから逃れようと
同級生が身につけていた布の海から這い出す。

そしてそれが残り数人となった時。
目の前には裸のナホが居た。
一際可愛く、綺麗で、スタイルも申し分ない。
キュッと締まったウエストに一段と大きな胸の山が2つ。
肉付きがよいのに、スラッと伸びた脚はまるでモデルのようだった。

初めて好きな人の裸を目の前でマジマジと見つめてしまい
ムイの頭はスパークした。
そしてロッカーで起きた現象がまたやってきた。
何故か股間が熱くなり、むず痒くなる。
「あれ…おかしいな?いつもはもっと入るのに…」
「ん?どしたー?」
ナホの言葉に村田が後ろからひょこっと顔を覗かせる。

「おー?ナホちょと押し込んでみぃ」
村田の言葉を受けナホは洗濯物を押し込む。
そして洗濯機の中に居るムイはそれをまともに喰らう。
目の前にはナホの服が。
初めに顔に感じたのは体温だった。
まだ離れて間もない彼女の服は温かい。それだけで幸せを感じるムイ。

だがすぐに脳天をハンマーで叩かれたかのような衝撃。
よく見ると、ナホの手によって抑えつけられているのは彼女のショーツ。
パンツだった。

暖かく、ぬくもりがあり、汗で少し濡れている。
それが自分の顔面に抑えつけられる。
彼女の匂いは鼻孔からすうっと脳に達し、その濃度に麻痺してしまった。
一瞬白目を剥く。

「ホントにはいらないじゃん」
「結構押してるんだけど…」
脱ぎたてショーツが顔面に塗りたくられる。
鼻に擦り付けられ、絞り出されたナホの体液で顔はヌルヌルだった。
「あっ、ここ隙間ある、しょっと」
そう言ってナホが突っ込んだのはムイの口の中だった。

「くさい…」
こんな完璧な美女のショーツがこんなにも強烈な匂いを放つものなのか…
少し酸っぱいような甘いような、脳は麻痺して分からない。
ただ口にパンツを突っ込まれ、舌先で愛しのナホの体液を味わった瞬間
ムイは身体を大きく跳ねさせた。
「ビクンっ、ビグンッ」
そして自分の股間から吹き出る液体。

「なんとか入った…あとはかなえさんにお願いしよう」
そう言って二人はムイを残して風呂場へと向かった。
口に好きな女性のパンツをねじ込まれ、同級生の汗が染み込んだ衣類の中
ムイは股間から薄く濁った白色の液体をぶちまけていた。

10代女子達の汗を含んだ衣服の海にアップアップしながら
ムイは必死に洗濯機の扉を叩いた。
放り込まれてから何時間も経った彼女達の衣服は異臭を放つ。
汗が時間とともに酸っぱい匂いへと変化し
その鼻をツンとつく刺激臭に涙目になりながら嗚咽を噛み殺す。

かなえさんが洗濯機を回すために洗剤をいれるまで
結局自力で開けることは叶わなかった。
一瞬の隙を突いてムイは自室へと戻った。

「あっ、ムイー」
同室の佐藤が帰ると同時に声をかける。
「な、なんですか?」
どきまぎしながら返答する。
佐藤はムイをまじまじと見つめ、しかめっ面になった。
この縮んだ身長のことだろうか。
「お前…臭いぞ?」
鼻に手をやる。
「あ、あのこれは、実は…」
なんと言い訳をしようかと悩んでいると、佐藤はどうでもいいやと手を降った。

「彼女が来るからまたどっか行っててくんない?」
本来共用部を除いて男子棟、女子棟は異性がはいってはいけない。
だが、佐藤は女子棟にいる彼女をちょくちょく部屋に呼んだ。
そしてそのたびにムイは部屋を追い出された。

「あっ、うん…わかった…」
そう言って自分の部屋を出た。
佐藤は自分が縮んだことに関して何も言わなかった。
多分それも能力の副作用なのだろう。まぁいい。眠い頭で納得した。

いつもなら共用部のソファで朝まで寝るのだが、今日は違う。
何故なら力がある。
力を使えば硬いソファで眠りにつく必要もない。
どこかに空いている部屋があるはずだ。
そう思ってムイは管理人の部屋へ向かった。

かなえさんの部屋に使用状況の名簿がある。
使用していない部屋を調べるためにその名簿を探す。
さほど大きくない部屋だ。
30分後にはふかふかのベッドで眠れるはず。
朝からヘトヘトで直ぐにでも眠りにつける。
ムイは早いとこ安眠しようと動き回った。

一時間後。
ムイは絶望していた。
ない。
ないない。どこにもない。
というか書類が多すぎて分からない。
すぐそこにはベッドがあるのにあまりにも遠い。
「ちょっとだけ。ちょっとだけ寝てからまた探せば…」
眠気で正常な判断が出来ないムイは睡魔に負けた。

長い髪を一本に束ね、タイトなジーンズにポロシャツという
なんとも色気のない服を着た女性が部屋に戻った。
出たときには消えていた電気がついていることに対して何も感じない。
「ふぁ〜。今日も暇だったわぁ」
大きくあくびをしてある引き出しに目をやる。

「最近駄目ね…30を超えるとみんなこうなのかな?」
部屋に鍵がかかっていることを確認して引き出しを開ける。
そこには玩具が入っていた。大人の玩具が。
お気に入りのディルドを手に持ってベッドの布団を剥ぐ。
そしてどしっと腰を降ろすとベッドはその重みでギシギシと音を立てた。

「ごほっごほっ」
かなえは自分の股から咳き込む音がまるで聞こえなかったかのように
ムイの上でジーンズを脱ぎ始める。
「ガガガッ、ぐえっ!」
うつ伏せになっているムイには状況がよく分からなかった。
ただ首から下に強烈な重みが加わり、身体がベッドに沈み込んでいる。

傍から見ると、かなえの股からムイの頭が出ているようだ。
かなえの太ももがムイ頬から移動する。
M字開脚するかなえ。
ショーツがムイの目の前に投げ捨てられる。
黒のスケスケショーツ。
「はぁ。今日もよろしくね」
そう言ってかなえはディルドにキスをする。

かなえはいつもどおり挿入の準備に取り掛かった。
口を軽くすぼませ、舌に唾液を溜める。
そして舌をだし右手の平にそれを移した。
タンが少し混じったような粘り気のある唾液が彼女の手に盛られた。

そして開いた股、彼女のマンコにヌルっと擦り付ける。
「ん…」
と声を漏らすかなえ。
全体にまんべんなく擦り付け滑りを良くする。
「くさっ!!」

かなえは股から顔を出すムイの顔に自分の唾液を塗りたくった。
粘り気のある手のひらがムイの面前に迫り
ぺちゃっという音の後にうめき声が聞こえてくる。
ただの唾ではない。
舌の奥から持ってきた、匂いのこもった彼女のヌメヌメだ。
得も言えぬ表現し難い臭気。これが彼女の匂いなのだろう。
「うぅ」思わず声が漏れる。
だが反対にかなえは気持ち良さそうな声をあげた。
これが自分の能力なのだろう。かなえは自分のまんこを弄っているつもりなのだ。

実際のところはムイの鼻に、かなえの唾液付きの指が何度も細かく往復しているだけだ。
「んっ、んっくぅ。ふあっ」
だがそれでもかなえは気持ち良さそうに声を上げた。
そしてムイの首の後ろはかなえの愛液でベタベタだった。
「はぁー…きもちぃー」
かなえは呟いた。目を潤ませ、頬は紅潮している。

かなえの股の間、すなわちムイの顔の前にショーツと置かれていた黒のディルドが大きな手に攫われる。
ムイは後ろに顔を向けられない。
彼はなにが起きているのか分からない。だが直ぐにそれを理解する音が鳴り響く。
初めは愛おしそうにかなえは舌を出し、丁寧に亀頭を下から上へと舐め上げた。
彼女が舐めるとまるで輝き出したかのように光をテカテカと放つ。
彼女の赤い舌から透明な唾液は亀頭へと移った。
そして、ムイの上でM字に足を開き、オナニーをするかなえの部屋にいやらしい音が鳴り響く。

「じゅぶぅ、じゅぽっ、じゅぶっ」
彼女の口からは真っ黒のディルドが何度も出入りしていた。
彼女の唾液の水気と空気が入り混じる音がムイの耳にも響いてくる。
「じゅぶ、じゃぁぶ、んふー、じゅぷる」
たまにかなえの鼻から息を吐く。そしてその吐いた息から気持ちよくなっているのがムイにも分かった。
空いた手でかなえはその贅沢に実った胸を揉んだ。
指の間から溢れんばかりに肉が溢れる。
「んっ、ふっ、んっ、ふっ」
と、声と空気が交互に漏れる。

段々と激しくなる彼女の手の動き。揺れる肉。ギシギシとベッドの軋み、ムイの苦しみ。
色々な音が混ざり合い、彼女の感度は加速していく。
「じゅぽっ、ぢゅっぽ、ぢゃぷ」
ディルドの出し入れが速くなるにつれ音が高くなる。
んぁっ!
一際甲高い声がしたかと思うとかなえは動きを止めた。

女が動く度に身体がギシギシと音を立てた。
ベッドからなのか自分の骨からなのか。それすらも分からない。
だが2倍程もあるこの女の体重を支えるのは自分では到底無理だった。
特に腕は体重がかかり麻痺を通り越して感覚が薄れてきていた。

そしてもう一つキツイものがある。
熱気が高い。彼女から発せられる熱気。
彼女の火照った体には汗がしとしとと浮かび上がり、
右太もも、股、左太もも。
この彼女の檻の中にいるムイには厳しいものがあった。
そして熱気とともに襲う臭い。
布団からしていた洗剤の香りはとうに消え去り
残ったのは彼女の臭いのみだった。

股から漏れるヌルヌルとしたものが首を伝い頬を濡らす。
それが空気へと合わさりムイの鼻孔へ飛び込んでくる。
当然アンモニアの匂いも色濃く刺激する。
彼女の聖水の残り香が。
むしろ凝縮されたおしっこの匂いが。
30歳の女性の体臭、おしっこ、愛液、唾液、汗。
それらを吸ってムイはなんとか生きながらえていた。

まるで目の前の空気が濁っているかのような錯覚。
涙目になりながら彼女のオナニーが終わるのを待つ。
んあっ!
一際高い声が響き、脱力したのか体重が身体を軋ませたその時。
終わったのか。
地獄から解放されるのか。
そんな淡い期待を抱いた。
だが、まだ続く。

目の前に、ぬっと影が現れる。
黒いテカテカとした男のチンコを模した彼女の玩具が。
ところどころ唾液の泡が細かくなり白く濁っている。
それをみて吐きそうになる。
普段彼女が使用している玩具だ。しかも唾液がたっぷりと付着した。

そのディルドが顔の真ん中にぴとっ、と添えられた。
「んっ」
上から声が聞こえる。
少し強めに顔に押さえつけられる。そして上下に動き出した。
「ふあっ、んんん〜。んっく、くぅ」
ゆっくりと目の前を動く黒のディルド。
動く度に唇が捲り上がり、彼女の冷えた唾液が内唇に付着する。

鼻から吸うものは、既に空気か唾液か分からないほどぬちゃぬちゃになっていた。
「もう…むり…」
彼女はそう言うと急にディルドをムイの口に立てる。
そして口の中へデイルドをねじ込もうとしだした。
「んーーー!!」
口を真一文字に結ぶ。絶対に口になんかいれたくない。
「あっ、はいっちゃう…」
彼女の言うとおりだった。
歯とデイルドの間の唇は痛みが激しい。メリメリと彼女の右手に握られたディルドが口をこじ開ける。

いやだいやだいやだいやだ。
普段から上に乗っかってる女の膣を行き来する、男のチンコを模したものなんて。
しかも唾液でベタベタ。
絶対に…絶対に…!
ぬぷぷ
「おぅえぇ」
「んんっ…入っちゃった…きもちぃ」
吐き気を催すムイ。

自分の拳よりも大きな亀頭が口の中を満たす。
顎が外れんばかりに無理矢理こじ開けられ、喉を拡張する。
かなえはしばらく手を休め膣でディルドを楽しんだ。
必然的にムイの喉を封じる。
息苦しさ、臭さ、苦しさ、屈辱、全ての感情が合わさりムイは静かに涙を流す。

「んっ。んんんん」
かなえも静かに力を入れる。
「おごっ、ごごご」
デイルドが限界値を超え、喉の奥へと刺さる。
喉ちんこが刺激され胃の中から込み上がるのを感じる。
だが喉は封鎖され行き場を失った全てが自分の中へと戻っていった。

膣でディルドの感触を存分に味わったかなえはゆっくりと動かす。
「んっ、あぁ…はぁ…いぃ」
彼女の声が部屋に響く。
その合間に聞こえるくぐもった声。
「ぶぉ、ゔぉぇ、ゔぅ」
それは苦痛を帯びていた。
ムイの喉にディルドを出し入れする度にかなえは色っぽい、儚い声を出す。
「きもちぃぃ。あぁ、いきたいぃ」
頬を火照らせ、ディルドがポイントを刺激するたびビクンと身体を震わせる。

少しずつかなえの動かす手が速くなる。
「はぁっ、あっあっあっ、んんっ、いいっ」
ゴリっ、ごりっと喉を削るディルド。
苦しさからムイは意識が飛びそうになる。
30歳の尻肉がムイの上で暴れる。彼女の体重を細いムイの首が支えた。
今にも意識が飛びそうなムイ。
「ああっ!いくっ!」
胸を弄っていた手を放し、手のひらに唾液を更に乗せる。
そしてムイの鼻先をいじる。
細かく、高速で行き来させる。
手のひらの唾液がムイの鼻をこすり飛び散る。

更にピストンが早くなる。
かつ乱暴に、喉を犯す。
「あぁっ!だめだめだめだめだめっ!んんっ、いくっ!いくいくいくっっ!」
かなえのピンク色の声が部屋に満ちる。
「つっっ!!!」
声にならない絶頂を迎え、かなえは身体を大きく仰け反らせた。
そして今まで一番深くディルドを突き刺す。
ムイも白目を剥き、かなえと共に逝った。

暫くして目を覚ますと喉がなんとか吐き出したディルドが目の前に、ショーツと一緒に置かれていた。
無造作でそのままかなえが寝てしまったことが伺えた。
事実、首の上には彼女の太ももが乗っかっている。

ムイは自分の能力を呪い、かなえのディルドに八つ当たりをし、部屋を出た。
後日ムイは女性に対して、恐怖しか感じず、能力を使うことを拒否した彼は
身長が異常に低いという事実だけが残された。