体操着の女性とリリティアが交戦した映像を眺める沢山の男たちが居る暗い部屋。全員がリリティアの姿を眺めて息を荒げている。
彼らはこの国の防衛隊の中から選ばれた男たちだ。中には民間人も混じっていた。
映像は終盤に入る。背中でビルを崩し立体駐車場にお尻から墜落させ全壊させる場面が流れる。顔もしっかり見える。涙が顎のあたりまで筋が通り、鼻水と埃で鼻の下が汚れているリリティアの姿が映る。
「あぁ、あのお尻に潰されたい…!」「あの涙の中で溺れたい…!」様々な独り言が溢れる。
そして映像はリリティアが槍を引き抜き、体操服の女性に飛びつきながら上空へと姿を消すところで終わった。
周囲からはため息が多く聞こえてくる。それを一番奥のテーブルで静かに見ていた中年の男がテーブルを叩き立ち上がる。
「諸君、これが2週間前に現れた新型巨大娘だ。今までの巨大娘とは違い飛翔が可能で武装もしている。
しかも彼女が飛び去って1時間後、建造物は復元され死亡した人々も道路で一列に並んで眠っていたという」
その報告を聞き一同が唾を飲み。今までの破壊しか行えない巨大娘とは次元が違う存在だという。
若い隊員らしき男が手を上げる。中年の男が頷くと若い隊員が椅子から立つ。
「新型巨大娘については分かりました。しかしこの映像を我々に見せてどうするんです?それにここに集められた我々は所属も階級もバラバラです。何をこれからはじめるんです?」
質問攻めをする若い隊員に睨みを効かせながら中年の男が発言する。
「今の映像を見て君たちは特別な感情と願望が生まれたはずだ。声に出して息を荒げて…な?今後の任務にはそれが必要不可欠なのだよ」
静かに席を立ち集まっている男たち一人一人に資料を配る中年の男。
その資料に目を通し一同は驚愕した。中年の男が高々に宣言する。
「ここに集まった諸君はこれから設立される部隊に配属となる。そしてその部隊の初めての任務は…」
「巨大天使メイドの捕獲と説得だ」
歓喜に包まれる部屋。我先にとドアを開け外へ出ていく隊員たち。こうしてサイズフェチのみで構成された特殊部隊"GTS-F(フレンズ)"が生まれた。


地球ではそんなことが起きてるとは夢にも思って居ないリリティアは主の背中を洗っていた。ブラシで丁寧にこすっていく。
「リリティア、中々気持ち良いぞ?」
寝そべる主のお尻のラインから首筋までを何度も往復しながらこすり上げる。
「はい。頑張って勉強しました!ご主人様!」
リリティアが元気よく答えた。クスクスと笑う主に頭の上に?マークが浮かぶリリティア。
入浴を終えいつもの巫女服を着た主と替えのメイド服に着替えたリリティア。
二人共正座をし互いに見つめ合う。
「あれからもう二週間、そろそろ巨大人間の雌を喰らいとうなった。どうなっておる?」
あれから何度も地球を訪れていたリリティアだったが、位置や時期が悪いのか一度も遭遇できずにいた。
「ご主人様のためであれば喜んで何度でも向かいます。しかし確実ではありません…」
顔を俯かせ申し訳なさそうにしているリリティア。そんなリリティアに人差し指の腹で頭を撫でる主。
「気にするな。あの餌のおかげで貴様の捕まえてくる餌も我慢して食えるようになった。しかし困ったものだ・・・」
考え込む二人。数分の時が流れ、リリティアが閃く。
「そうですよ!人間と協力して位置を教えてもらいましょう」
その考えを聞き「なるほど」とポーズを取り主も答えた。
「確かにそれはいい。街一つ復元してやる代わりに妾たちが餌を頂く。街の復元程度であの餌が取れるのなら問題はない。頼めるか?」
大きく頷きリリティアは槍を手に取り地球へと向かう。主も嬉しそうに手を振り見送った。


いつもの海に降り立つリリティア。彼女が見たものは大型戦艦とそれを取り囲む5隻の船だった。
「…?何アレ?」
リリティアが興味本位で近づく。かつて興味本位で体操着の女性に近づいた結果どうなったか、完全に失念しているようだ。
船ではパイロットたちが愛機に飛び乗り発進していく。無線で各機に通信を入れる艦長。
「いよいよ天使ちゃんとお遊びだ。うまくやってくれよ」
5機のパイロットからは歓喜と興奮を隠せない返答が返ってくる。
そして全員が飛び立ちリリティアに攻撃を開始した。
彼らの作戦はシンプルだった。まず航空部隊でリリティアを撹乱、その後主砲とミサイルで気絶させた後に基地へ運び説得を行うというもの。


「ひゃ!?なっ何?攻撃…?」
リリティアの胸の先で爆発が起きびっくりしてのけぞる。次々と発射されるミサイルと機銃がリリティアに当たっていく。
彼女は既にあの戦闘機に人が乗り込むところを見てしまい攻撃できずにいた。
(私は人殺しにきたんじゃないのに…。どうして?何か悪いことした?あの街は元に戻ったはずなのに…?)
機銃で撃たれながら周りを飛び交う戦闘機たちを見つめる。
(そうだよね。街は復元して、人も生き返っても…私が壊したり殺しちゃったのは事実だもんね…)
リリティアは故意に人を殺してはいない。しかしあの戦い方では何十人、何百人も自分の体で潰していただろう。そう考えてしまった。
なおも機銃から放たれる弾丸が、彼女の体やメイド服に弾かれ海に落ちていく。彼女は口を動かした。
「皆さんが私のことを許せないのは分ります。でも私に罪を償わせるチャンスを頂けませんか?建設のお手伝いでも、なんでもします。だから…」
リリティアは槍を背中に背負い、手を横に広げた。顔も下を向き目を閉じ、ミサイルと機銃を浴び続けた。


彼女の発言と姿勢に驚く一同。しかし艦長は冷静だった。
「演技かもしれん。主砲用意!目標巨大メイド!」
艦長が指示を出す。砲撃手は数秒躊躇うも発射する。
顔面に飛んでくる主砲をよけずに直撃する。彼女は墜落していく。
墜落した先は点在する無人島の一つ。岩山がむき出しで切り立った岩山も上空から落下してきた総重量51000tのリリティアの体には勝てずに崩れ去る。
(あぁ…ご主人様。私は帰れそうにありません…。お許しください)
大小様々な岩を背部で砕きながら彼女は意識を手放した。


勝利を収めたGTS-F。しかし後味の悪い勝利だった。
倒れたリリティアの足がモクモクと立ち込める土煙からはみ出ているが、ピクリとも動いてない。
ところどころ岩が転がり落ちる様が上空の航空部隊が撮影している。
その様子を艦長は静か眺めつつ、に帽子を脱ぎ立ち尽くす。
砲撃手が艦長に尋ねる。その顔は宿敵である巨大娘を倒した直後とは思えない寂しい顔だった。
「彼女、本当に攻撃らしい攻撃をしませんでしたよね。さっきの砲撃も避けようと思えば…」
「言うな、わかっている。我々は巨大娘とはいえ…無抵抗な少女に銃口を向けてしまったのだよ」
艦長の一言で全員言葉を失う。それは戦闘機パイロットも同様だ。
「…ダメだ。全然興奮しねぇ。巨大娘との戦いってのはもっと激しくて命がけで、一方的に蹂躙されるのを必死に足掻いて…抵抗するもんじゃないのかよ…!」
一人のパイロットが口に出す。全員同じ気持ちだった。
しかし艦長を責める者は誰もいなかった。過去にも改心したと宣言し、街の中心まできた途端暴れまわった巨大娘もいた。壊滅的な被害を出したその巨大娘は結局山を踏みしめながらどこかへと消えていった。
過去の事例を知っていれば、誰でも警戒するだろう。
艦長は静かに通信を出すように指示する。
「後方の輸送部隊に連絡を。全員帰投せよ、これより我が艦隊は基地へ帰還する。あの天使の移送はあっちの役目だ」
彼らは重い足取りで帰路についた。


リリティアがタンカーと戦艦数隻で運ばれてきたのはGTS-Fが帰還して7時間後であった。
未だに彼女は目を覚まさない。腹部の上下運動と呼吸の際に広がる30cm近くある2つの鼻腔で生きていることはわかる。
彼女を空いていた格納庫に収納する。羽が邪魔になっていたためクレーンを使いワイヤーで胸の前まで翼を丸めて固定した。
格納庫へ収納するのにさらに時間がかかり作業が終わったのは実に2時間後である。
合計9時間も彼女は眠り続けていた。そしてさらに三時間後にリリティアは目を覚ました。
「…ここは?」
目を開けると彼女の視線はさびた屋根。狭い箱に入れられている気分だった。
「目が覚めたかね?ここは対巨大娘部隊"GTS-F"が居候させてもらっている基地だ、君の意思を確認したい」
リリティアの耳から3mはあるところから男が話しかけてきた。彼はGTS-Fを発足させた張本人である。
その中年男性がリフトを使い胸の上に立つ。リリティアは周りを壊さないように頭すら動けないでいる。さらにそこから顎の先へ飛び移り、もう一度話しかける。
「こちらとしてはそのまま格納庫を突き破って、立ち上がっても構わんよ。私は君の意思を確認しに来た。君は我々と共に巨大娘と戦ってはくれないか?」
中年男性がにこやかに笑う。リリティアは困惑した。建物が壊れることを喜ぶ人間とは初めての遭遇だった。
「私は壊しくたくないんです。たくさんの人々がお金と苦労をかけた建物を、一時の快楽のために壊したくない…。それを快楽のために壊す人がいるというのなら、私は戦います」
リリティアの覚悟を聞き頷いた中年。
「その覚悟確かに聞き入れた。天使ちゃんよ、今日から君はGTS-Fの初巨大娘だ。早速演しゅ…」
中年男性が言いかけた時、警報が鳴り響いた。数秒後アナウンスが鳴り響く。
「現在スク水巨大娘接近中。直ちに総員出撃せよ。繰り返す…」
中年男性は既にリフトを降り下で数人の兵士と会話をしている。そしてリリティアに呼びかけた。
「今からトレーラーで君を引っ張り出す余裕はない!このまま立ち上がって戦闘に参加してくれ。君の槍はここの格納庫の隣にある」
それだけ言うと中年男性は、部下と共に外へと駆け出した。
「…緊急事態だからしょうがないよね」
リリティアは諦めて翼に力を込める。4重に巻き付いていたワイヤーがあっさりと切れる。勢い余って両翼を壁に叩きつけた。
壁はあっさりと崩れ隣の格納庫の壁が見える。そこから上半身を起こす。リフトが横転し、頭が天井を突き破る。豊満な胸がさらに天井を崩していく。
そこから膝を立て屋根の8割を崩し立ち上がる。周囲から歓声が上がり、パシャパシャと撮影音も聞こえる。
リリティアはその音を無視し隣の格納庫を見る。格納庫には入りきらないのかシャッターが開いたままだった。そこから槍の柄を掴み、格納庫を壊さないようにそっと槍を引き寄せる。
無事に槍を手に持ったリリティアは周囲に声を出す。
「飛びますので何かに捕まってください。飛ばされても知りませんよ」
そう宣言し数秒後にあたりを見渡す。目に見える人達は街灯やフェンスにしがみついていた。
「ありがとうございます。では行ってまいります」
バサァと翼を広げ飛翔する。近くのトレーラーなどの大型車は持ちこたえたが、ベンチや小型の自動車は飛び立つ衝撃に耐え切れずに吹き飛ばされる。
「あちゃ…ごめんなさい」
リリティアは上空からその惨状を空から眺めてながら謝った。一般人ならば「謝る姿勢じゃない」と激怒するだろうが、そこは巨大娘好き。全員がニヤニヤしながら手を振る。


海上では平泳ぎで進むスク水娘。黒いショートヘヤのつるぺた幼女の姿だった。
頭からミサイルを受けつつ泳ぎ進む。
「うぅ~うっさいなぁ」
手で戦闘機を叩き落とそうとするが、それを回避していく。
「ヒャッハー!やっぱり巨大娘戦はこうでなくてはな!天使ちゃんが来るまでの間は足止めさせてもらうぞぉ~うひゃひゃ」
気持ちの悪い叫び声を上げつつミサイルをバラまく戦闘機たち。ダメージはないもののスク水娘のイライラが蓄積していく。
とうとう一機の戦闘機が捕まってしまう。
「あはっ!捕まえた。さぁーてどう潰してあげようかな♪」
パイロットは脱出機能も使わずにコクピットに居るままだ。一般人ならば発狂し、狂ったかのような脱出装置を稼働していただろう。
しかしパイロット見とれていた。巨大な目と唾液が糸をひく巨大な口、そして眼下には絶壁にちょこんと2つの出っ張りがあるスク水の胴体。
「どこ見んの?変態」
スク水娘が戦闘機を握る手に力を込める。メキメキと軋みフレームが変形していく。既にこの戦闘機は航行不能だろう。翼も折れてしまっている。
「どう?怖い?恐ろしい?こんな子供の手で潰れていく感じはどう?あははっ!あははははっ!」
無垢な笑いをあげるスク水娘。しかし地面に足はついておらず、実は立ち泳ぎで疲労も溜まっていた。
パイロットは仲間に通信する。これからやることを伝えた。
「俺は今から脱出装置を使う。脱出装置が起動したのを確認したら俺の機体にミサイルを打ち込め!」
「あぁ、わかった。あんたの派手な花火大会に参加してやるさ」
数秒後脱出装置でパイロットが勢いよく飛び出す。それを目で追うスク水娘。
「逃がさないよ?私の攻撃する虫は潰さなきゃね」
スク水娘が空いている手を伸ばす。
「今だ!撃て!!」
パイロットが叫ぶと残り4機が一斉にミサイルを破棄された機体に当てる。
スク水娘の手の中で大爆発を起きた。動揺してあたふたするスク水娘。
「なっなによこんなことしても私には痛くも痒くもないんだからね!」
そう宣言するものの、立ち泳ぎのリズムが崩れているのが目に見えている。パラシュートを開き、スク水娘から離れるように着水しようとするパイロット。
それを見てにやりと笑うスク水娘。そのパラシュートに向かって泳ぎ始める。
「よくも私に恥かかせてくれたね。握り潰してあげるんだから!」
しかしそこに割り込むように到着したリリティアが、スク水娘の前に立ちふさがる。
「もうやめなさい!人間だって一つの命じゃない。どうしてこんなに簡単に奪おうとするの?」
「邪魔しないで!私を馬鹿にする小人は全部潰すんだから!」
スク水娘が潜水した。どこから来るかわからない攻撃に周囲を警戒するリリティア。
「誰でもいいからあの人を回収してください。私が彼女を抑えます」
リリティアが振り向きながら発言したその時だった。
「せいっ!」
バシャアと水を柱を立てて背後からスク水女性がリリティアが襲撃する。
リリティアもGTS-Fも気づく間もなくリリティアはスク水娘ののしかかりを受けて海面に叩きつけられる。
「んっ…」
海底に叩きつけられるリリティア。海底がリリティアの胸の形に陥没する。
なんとか立ち上がろうとしたがスク水娘バタ足で体当たりされる。
海底には沈んだ軍艦や漁船が存在する。それらが体当たりで飛ばされたリリティアによって粉砕される。
(ここはまだいいけど…人がいるところでこんな戦いはできないよ)
海中戦ではスク水娘が有利だが、武器を持つリリティアも負けてはいない。槍の柄を振り回し、スク水娘にフルスイングを決め岩壁に叩きつける。
岩壁に大きくヒビが入り、砕けた岩が海底に飛び散る。
(これでおとなしくなればいいんだけど…)
しかしリリティアの願いは届かず立ち上がりリリティアに向かってくるスク水娘。とうとうリリティアの両肩を掴むと海面に向かって泳ぎ始める。
(くっ…このままでは地上が戦場に!なんとかしなきゃ)
必死にリリティアがスク水娘に蹴りを入れるも、それを気にせず強引に海面から飛び出す。なんとか引き剥がしたリリティア。スク水娘は背中から海に落ちた。
戦闘機のスピーカーからパイロットが声をかけてきた。
「無事かい?天使ちゃん」
「はい。しかしこのままでは街に上陸して被害が…」
リリティアの濡れたメイド服から大量の水が海へと帰っていく。靴やソックスにも水が溜まっている。
しばらく飛び出さないか警戒してたところに、基地から通信が航空部隊に届いた。
「スク水巨大娘は引き返していくぞ。今回は撃退できた。戻ってこい、天使ちゃんにも伝えるんだ」
「了解。只今より帰投します」
通信を切り、リリティアに告げる。リリティアは不満気だった。
「でもあの子をそのままにして街に上陸でもされたらどうするんです!?」
航空部隊は次々と撤退していく中、一機のパイロットが声をかける。
「奴らは暴れるだけ暴れると帰っていく習性がある。天使ちゃんと暴れたあの巨大娘はしばらくはこっちには来ないさ。今のうちに武装を強化しないとな」
その言葉を聞いて腑に落ちない点も多いが、リリティアは言う事を聞き撤退した。
墜落したパイロットも戦艦のほうで回収されていた。


「いやぁ~天使ちゃんの活躍で無事に被害は格納庫と車2台と戦闘機1機程度で済んだ。助かったよ」
中年男性がリリティアの鼻の下に座って発言する。彼は巨大娘の鼻の穴を眺めるのが大好きらしく、なにもなければここに居る。
リリティアも気を使って極力口で呼吸するが、発言をしている間はどうしても鼻腔から呼吸してしまう。その度に中年男性は鼻息を堪能していた。
今彼女は濡れた衣服を乾かすために基地の外で下着以外を干して別の格納庫に寝転んでいる。翼は念のため再びワイヤーで固定している。
被害は伏せていたが車だけでなく、リリティアが飛び去った際に自販機や窓ガラス数十枚も割れて結構な被害だったが、基地を壊滅させられるよりはマシだった。
「いえ、できれば被害が出ないように戦いたかったです。ごめんなさい」
「わははっ!上出来だって。ところで君随分潜ってたらしいけど息は大丈夫だったかい?」
中年男性はレポートでしか確認していなかったが彼女たちが海底で戦闘していた時間は30分以上だった。
「うーん…私はよくわかりません。宇宙とかも普通に泳いでいましたし。大きくなるとみんなそうなるんじゃないんですか?」
リリティアはそう結論づけた。しかし実際はあの槍に宿っている主の力が干渉しているためだった。他の巨大娘も謎の力が作用していると主が言っていた。
「難しい話は苦手だったかい?今日はここで寝て明日は保護者の元に戻るといい」
名残惜しそうにリリティアの鼻から離れる中年男性。リリティアはそのまま就寝することにした。余談だがリリティアの寝返りで寝ていた格納庫が崩落した。(目が覚めたら周りが瓦礫だったとリリティアは発言した)


「すみません。寝ぼけていたとは言え…被害を増やしてしまいました」
「気にするな、君はGTS-Fの仲間だ、困ったことがあればいつでも来なさい」
「では失礼します。皆さんお元気で!」
中年男性は手を振って上空へ飛び立つリリティアを見つめ続けていた。
副官らしき男性が言う。
「また彼女は来ますかね?」
中年男性、長官が副官の方を見ずに答える。
「来るさ。あの子はいい子だ。我々人間を助けようと頑張っている。さぁ天使ちゃんのための武器を製造させよう」
「その前に基地の修復が先ですよ」
副官が苦笑いで返した。


無事に主の元に戻ってきた。心配そうにしていた主だったがリリティアが戻ってくると安堵した。
「リリティア、人間とは信頼関係はつかめたか?」
その問にしばらく答えられずに居た。実際は槍を通してあらかたの事情は理解しているため、深くは追求しなかった。主はただ一言リリティアにこぼす。
「流石に下着姿で外に寝るのはどうかと思うぞ。貴様はまだ幼い天使だ」
「!?違います!格納庫ってところで寝ていたんですよ!でも朝になったらなくなってて…えっと…んーと…」
必死な言い訳をするリリティア。ため息をつく主であった。