§8 彩香の残酷な遊び

ミニチュアの街に入れなくなって1週間が過ぎた。
残念なことにミニチュアの街は操作パネルによって表示できるのだが、その中には入れない。
今日も大祐はそんなミニチュアの街をぼんやりと眺めていた。
それでも相変わらず、彩香はミニチュアを堪能しているようで、毎日ミニチュアを破壊しているようだった。
そして、今夜も彩香はミニチュアを借りていくとのことだったので、大祐は彩香がどのように破壊しているのかを見せてもらうことにした。
彩香は快く承知し、大祐の目の前でミニチュアを破壊してくれるらしい。
彩香の強靭な素足がどのようにミニチュアの街を崩していくのか、考えただけでも大祐の気持ちは高揚した。

まず、彩香はミニチュアを起動させると、サイズを200分の1サイズにした。
眼下に広がる街並みに彩香はニンマリとする。
こんな破壊癖のある姉貴をもったことは幸運と思うべきなのか、大祐は複雑な思いを巡らせていた。
彩香「はーい、ミニチュアの皆さん、元気にしてましたかー?」
突如、彩香はミニチュアの中心部に向けて声をかけた。
いよいよ彩香と小人の絡みを見ることができる。
大祐は、彩香の足元を食い入るように見つめていた。
ミニチュアのサイズは200分の1サイズなので、ミニチュアの小人からすれば、彩香は320mもの巨人に見えているはずなのだ。
大祐「しかし、よく飽きもしないで破壊するよねー。」
彩香「いいでしょ? どうせ、あんた使わないんだし。」
大祐「まあ、いいんだけどさっ・・・。」
取り留めもない会話で、大祐は心を落ち着かせようとしたが、興奮は収まらない。
そんな大祐を横目に彩香はミニチュアの人たちに向けて言葉を発した。
彩香「皆さん、まずは総合運動公園に5分以内に集合しなさい。」
大祐「えっ、総合運動公園って・・・、結構街のはずれじゃないの?」
彩香「そうだったかしら?」
彩香が運動公園の場所を知らぬはずがないので、相変わらず狡賢な一面があると大祐は感じた。
当然、口に出すと彩香の機嫌を損ねることになるので、大祐は心で思っても口には出さずにいた。
程なく5分が経過すると、彩香はスクッと立ち上がった。
彩香「はーい、時間です。」
その瞬間、彩香はミニチュアの運動公園の入り口を力強く踏みつけた。
ズシイイン!!
入り口付近には多くの人たちがごった返していたが、そんなことに構うことなく彩香は踏みつけていた。
そして、そのまま運動公園以外の場所を次々に踏みつけていった。
ドスウウン!!
ズシイイン!!
ズドオオン!!
あっという間に総合公園付近の土地は更地へと変形してしまっていた。
彩香「はい、では間に合った皆さんとゲームをしたいと思います。」
小人A「何を言っているんだ! できるわけないだろう。」
小人B「こんな巨人と何をするっていうんだ・・・」
彩香の足下でいろいろと小人たちが文句を言っている。
当然、それを彩香は許すわけがないことを大祐だけが知っていた。
彩香「はぁあ? あんたたち、何言ってんの?」
ズシイイン!!
総合運動公園のど真ん中に彩香の巨大な素足が振り下ろされた。
この一撃で、総合運動公園の3分の1ほどの人が踏み潰され、100人程度の人たちが運動公園の中に取り残されていた。
彩香「気を取り直して、さぁ、がんばりましょうね!」
小人たちからは何の声も上がらなくなってしまった。
彩香が振り下ろした部分には巨大な足型が残っていたが、そこに彩香は自分の手を置いた。
彩香「じゃあ、私の手の上に乗ってください。」
運動公園に取り残された小人たちは、彩香の提案に戸惑いを見せ、全く動きが見られなかった。
彩香「早く!」
次の瞬間、彩香はもうひとつのてをギュッと握りしめ、運動公園の外側を叩きつけた。
ズドオオン!!
物凄い衝撃は、運動公園内部にいた人たちを支配するのに十分すぎる説得力があった。
ミニチュアの小人たちは続々と彩香の巨大な手を目指して走っていく。
そして、我先にと彩香の手の上に乗っていく。
彩香「1,2,3,・・・・・・,19,20。あとはいいや。」
そのまま彩香の巨大な手は上昇していった。
他の小人たちは、皆不安そうに巨大な彩香を見上げていた。
彩香「じゃあ、残りの人たちは踏んづけてあげるわ。」
その瞬間、一斉に小人たちが逃げだした。
しかし、そんな小人たちを嘲笑うがごとく、彩香は立ち上がる。
そして、残された小人たちに向かって、再び巨大な素足を振り下ろした。
ズシーン!!ズシーン!!ズシーン!!
彩香の手の上にいた小人たちは、彩香の足元で繰り広げられている惨劇に言葉を失っていた。
程なくして、運動公園も見事なまでに更地となり、後には静寂だけが残っていた。
大祐「いやぁ、残酷だね・・・。で、その小人たち、どうするの?」
大祐は、彩香の先程までの行動に激しく興奮していた。
彩香にばれないように、自身の股間も弄っていた。
彩香「へっ、こうすんのよ。」
彩香は、そのままその小人たちを持って、普段履いている運動靴の中に投げ入れた。
普段から使っていることもあり、黒ずんだ中敷からは異様なにおいが発せられるなど、小人たちにとっては過酷な環境であることが容易に想像できる。
彩香「では、これから脱出ゲームをしまーす。」
小人たちは、唐突に彩香から生き残りをかけたゲームを提案される。
当然のごとく、小人たちは皆困惑した表情を浮かべていた。
彩香「1分以内に脱出できた人には素晴らしいご褒美をあげます。」
彩香「よーい、スタート!!」
彩香の号令の後、靴の中の小人たちはこぞって靴の壁面を登り始めた。
使い古した靴ということもあり、壁面が崩れている箇所に手をかけ登っているようだ。
しばらくすると、1人の小人だけが脱出はできたようだ。
大祐「へぇー、1人脱出できたじゃん。」
彩香「あー、コイツにはご褒美が必要ね。はい、ここまでー。」
彩香の終了の合図とともに、彩香は小人たちの入っている運動靴を持ち上げた。
その瞬間、小人たちの悲鳴と共に、靴の先端付近に小人たちは強制的に移動させられていた。
彩香「残った皆さんは、このまま私が靴を履きますから、私の美しい足を受け止めなさいね。」
大祐「自分で美しいって言うなよ・・・。」
彩香「シーッ! あんたは何も言わないで!」
そして、運動靴に彩香の素足が少しずつ入れられていった。
おそらくは、靴の中はものすごい悲鳴とパニックに陥れられているであろう。
大祐は小人たちの置かれているシチュエーションを考えると、興奮が鳴りやまない。
やがて、彩香は片方の素足を運動靴の中にスッポリと入れてしまった。
これで、脱出した1人の小人を除いて、ミニチュアの小人たちは全滅したことになる。
彩香「さて、脱出できた君にご褒美を上げます。」
脱出できた小人は、若い男性のようだ。
やはり、体力と俊敏さが明暗を分けたのだろう。
彩香「私の爪先で君を挟み込んであげます。私の足のにおいをご褒美として嗅がせてあげるからね。」
そいういうと、彩香は先程の靴を脱ぎ、両方とも素足になり、その場であぐらの状態のまま座った。
当然、脱出できた小人は、その場から逃げ始めた。
彩香「あれっ、君、何で勝手に逃げてるのよー。」
ズシーン!
逃げ出した小人の目の前に彩香の巨大な素足が着地した。
全速力で逃げ出した小人をたった一歩で追い越すぐらい彩香は巨大な存在なのだと大祐はしみじみ感じていた。
そして、彩香は右の素足をひっくり返して足の裏を露出させた。
先程、運動靴を履いたこともあって、足の裏がオレンジ色に染まっていた。
状況や色等を考えても、間違いなく今の彩香の素足は臭い。
そんな彩香の巨大な足の裏に小人は追いやられていた。
そこに左の爪先が接近し、小人は押し付けられてしまった。
しかも、グリグリと大きな足の指で捻りこまれるように押し付けられていた。
やがて、この行為に耐えられなくなった小人は、足の指の隙間から逃げ出した。
彩香「あー。」
小人が逃げ出したのを確認すると、彩香はすかさず右の素足を持ち上げた。
彩香「残念ね・・・。」
逃げ出した小人はすっかり彩香の巨大な素足の下に隠れてしまっていた。
そあひて、勢いをつけながら彩香は巨大な素足を床に振り下ろそうとしていた。
ズシイイン!!
彩香は慈悲をかけることなく、逃げ出した小人を盛大に踏み潰してしまった。
結局、すべての小人を最初から殺すつもりであることを悟った大祐は、無性に彩香の残酷さに快感を感じていた。
しかし、それと同時にミニチュアに入れないというもどかしさも感じ、複雑な心境で大祐は彩香の素足を見つめていた。
彩香は、ミニチュアの電源を落とし、大祐の方向を振り返った。
彩香「あぁ、面白かった・・・。って、大祐、私の足を見すぎ!」
その瞬間、彩香は右の素足で大祐の顔を踏みつけた。
もわっとした足のにおいが大祐の鼻の中へと流れ込む。
大祐「ぐわっ、何するんだよ!」
彩香「サービスに決まってるじゃない。」
ケタケタと笑う彩香の無邪気さに大祐は気持ちがさらに高揚していくのを感じた。

それから2~3日後、大祐は徐々にミニチュアの街そのものに興味を抱くようになり、街の全景を眺めたくなっていた。
大祐「・・・・・・、そうだ。表示される部分を大きくできないかな・・・。」
大祐は、ミニチュアの操作パネルと街が表示されるシート部分とに分け、外出することにした。
ちょうど操作パネルの連結部分は最新のパソコンのプロジェクターと繋げられるのではと思い立ち、予備校に向かうことにした。
予備校のパソコンルームからプロジェクターを借りる際、ばったり絵美と出会った。
絵美「あら、プロジェクターを何に使うの?」
大祐「ん、いやぁ、ちょっとね・・・。」
我ながらなんと怪しい回答か。
絵美も不思議そうな表情で、退室する大祐に目をやった。
大祐は使用されていない多目的室に到着すると、早速プロジェクターと操作パネルを連結させ、街の表示を試みた。
しかし、パネルはエラーが出てしまい、上手く表示されない。
大祐はプロジェクターをパソコンルームに戻して、がっかりしたまま家に戻ることにした。
絵美「あっ、大祐くん!大きめの白いシート忘れてるよ!」
絵美の声は大祐に届かず、大祐は足早に家路に着いてしまった。