§11 残酷な彩香の攻撃

バターン!
全長160mはある巨大な彩香の登場に大祐は思わず息を呑む。
もう何度となくこの光景は目にしているが、何度見ても恐怖感を覚えるのだ。
彩香「あれっ・・・、街がないわ。その代わりに、何だろう?」
ズシイイン!!
ズシイイン!!
彩香の巨大な素足が大祐目掛けて猛然と迫ってくる。
慌ててはいるものの、体調が悪い大祐は身動きが取れない。
そうこうしているうちにたった2~3歩で、彩香は眼下の物体を確かめるべくしゃがみ込んだ。
大祐「うおっ、姉ちゃんの股間が…。すげえ迫力だ。」
大祐の部屋を取り囲むように、彩香の巨大な素足や股間といった部分が鎮座している。
彩香のムッチリとした肉厚の太股を見つめ、大祐は気分がすぐれないながらも高揚した。
さらに、目の前のジャージには割れ目がくっきりと見えており、姉である彩香の女性の一面が垣間見えていた。
そんな大祐の気持ちを知ってか知らずか、自らの姉に興奮する弟に向かって、彩香は強烈な一撃を与えてしまう。
しゃがみ込んだ彩香は、無意識に下腹部に力が入っていたのだ。
彩香の股間に釘付けになっていた大祐は、まさに不意打ちであった。
ブシュウ!
一瞬、大祐は何が起きたかわからなかった。
何かが放出された音とともに床にそって熱風が吹く。
大祐の部屋自体もその熱風の直撃を受ける格好となったのだ。
風が止まった後、猛烈なにおいが大祐の鼻を支配する。
大祐「うおっ、ゴホゴホッ、ガハッ!!」
新鮮な空気を求めるべく、あらゆる方向を探したものの、どこにも安息の地はない。
たまらず、大祐はベッドに横になりタオルケットで体全体を覆ってしまう。
彩香「ヤダ、ちょっと…。」
上空からかわいらしい姉のつぶやきが聞こえる。
おそらくは無意識のうちに放出してしまったおならに姉自身顔を赤らめているのだろう。
彩香「もう3日も出てないから、お腹が張ってるのね。」
彩香の言葉と様相から、おおよそ可愛らしさなど微塵のかけらも感じられなず大祐は激しく動揺した。
さらには、あまりのギャップの激しさに大祐は苦悶の表情を浮かべながらも自身の股間をまさぐった。

彩香「どうして街が出ないのかしら。」
大祐がタオルケットから頭だけを覗かせる。
すると、彩香の巨大な指先が部屋の中央にあったテーブル目掛けて降りてきた。
バキイッ、グシャッ!
まさに一瞬であった。
彩香が摘みあげたテーブルは実に無機質な悲鳴をあげて、いとも簡単に破壊されてしまった。
大祐は、再び顔をタオルケットの中に潜り込ませる。
先ほどの姉への興奮など吹き飛び、徐々に恐怖が込み上げてくる。
大祐(だ、大丈夫だよな…?)
そんな心配を抱く大祐のもとに再び轟音が響く。
ドゴオオン!
先ほどの破壊されたテーブルが落下してきたのだ。
テーブルは二つに折られ、もう使用できる状態にはない。
いまの彩香は、大祐にとってあまりに危険すぎる存在となってしまったのだ。
彩香「よし、踏んづけよっと!」
突然の彩香の声に大祐はベッドから飛び起きる。
大祐の目の前には今まさに立ち上がろうとしている彩香がいた。
左の膝に大きな手を掛け、右手で髪をかき上げながら立つ姿に、普段の姉以上の美しさを感じていた。
しかし、このまま彩香を眺めていては、先ほどの宣告どおりメチャメチャに踏み潰されてしまう。
大祐は、ふらふらしながらも巨大な彩香から逃げ出そうと必死だった。

彩香「あれっ、小人がいる。おーい・・・。」
彩香の声が聞こえた次の瞬間、大祐の間近に巨大な彩香の素足が落下してきた。
ズシイイン!!
大祐「うわあああっ!」
彩香「とりあえず、小人クン1人だけ確保ね。」
彩香は目の前の小人が大祐とは気がついていない。
大祐の間近には全長24mもの巨大な素足が鎮座している。
もし、ここで逃げ出そうもんなら一瞬で彩香に踏み潰されるであろう。
彩香「ふふっ、この小人クンと遊んであげよう~。」
にんまりと微笑みながら彩香は、床下にいる小人に話しかけた。
当然、大祐は間近にある大きな素足に行く手を阻まれ、身動きが取れない。
彩香「あ、そうだ♪ ちょっと待ってなさいね。」
そう言うと、彩香はその巨体を勉強机に移動させた。
そして、大祐の目の前にお菓子の空き箱を3つ置いた。
どれもこれも今の大祐のサイズでは一軒家並みのサイズがある。
大祐「・・・・・!?」
彩香「さてっと、小人クン。」
上空から彩香の声が聞こえるものの、大祐の目の前に置かれた空き箱が気になって反応ができない。
困惑する大祐の横方向が暗くなる。
ズシイイン!!!
ふいに彩香の巨大な素足が振り下ろされる。
たまらず、大祐は転げてしまった。
彩香「ちょっと、聞いてるの? 聞いてないならすぐに踏んづけるわよ?」
ちょっとの気の緩みも許されないようだ。
大祐は急いで巨大な彩香の顔を見上げた。
大祐「ね、姉ちゃあん! しっかりと下を・・・」
大祐の発言にかぶせるように彩香が言葉を続ける。
彩香「小人クン、説明を聞かないとすぐ踏み潰すからね。いい?」
彩香の残酷な発言に大祐は凍りついた。
毎晩、ミニチュアの小人を惨殺する彩香の姿が目に浮かんだ。
大祐は泣きながら彩香に叫び続けた。
大祐「姉ちゃ~ん!! 大祐だよ、ミニチュ・・・」
またも彩香は発言を続ける。
彩香「小人クン、あなたはこれからこの空き箱に入ってもらうわ。」
彩香「その後、私が3つの箱のうち2つを踏んづけるの。運が良ければあなたは生き残るわ。運が悪ければ・・・。」
彩香のとんでもない提案に対して、大祐は腰が砕けてしまった。
ただでさえ、具合も悪いのにそんな究極の選択ができるものだろうか。
彩香「いいかしら? 私が10数えるうちに隠れてね。」
そう言うと、彩香は窓際に立った。

どうせ、彩香には大祐の声など届きはしない。
ならば、ここはいっそ・・・、部屋から逃げてしまおう。
彩香が10数えるならば、逃げ出せる時間は十分ある。
そう考えた大祐は一目散にドアを目指した。
走り出した瞬間、彩香が振り向く。
彩香「あ、そうそう。箱に入っていなかったら、速攻で踏んづける・・・」
彩香の言葉が途中で止まった。
彩香「小人クン、何をしているのかな?」
大祐は震えながら、後ろを振り返った。
すると、明らかに不機嫌な表情を浮かべた彩香がギロリと大祐を睨んでいた。
大祐「うわあああ!!」
大祐は悲鳴を上げながらドアの方向へ突進した。
彩香「私から逃げられるとでも思ってるの?」
ズシン、ズシイン、ズシイイン!
大祐が廊下に到達した瞬間、大祐の間近に彩香の巨大な素足が振り下ろされた。
ズシイイン!!
大祐「あ、あわわわ・・・」
彩香「アンタ、ふざけてんの?」
大祐の周辺を彩香の巨大な素足が取り囲んでいる。
もはや彩香から逃げ出すことなど不可能だ。
彩香「そうだ。こうしましょう。」
突然、彩香が大祐に向かって提案する。
彩香「私とかけっこして勝ったら見逃してあげるわ。」
あからさまな無茶な提案に大祐は、固まるしかなかった。
彩香「私は、弟の部屋から自分の部屋に向かって歩くから。」
彩香は言い終わると、大祐の部屋の前にある操作盤を動かした。
彩香「あとは、さらにあなたを縮めるから、私に踏み潰されなければ小人クンの勝ちよ。」
大祐は恐怖におののいた。
なんと、ただでさえ巨大な彩香がさらに巨大化を始めたのだ。
グングン大きくなる彩香に大祐はいてもたってもいられずその場で叫び始めた。
大祐「ね、姉ちゃーん!! 気づいてくれー! 助けてくれー!」
彩香の巨大化はなおも続く。
余りの彩香の大きさに徐々に彩香の巨体が霞んでくる。
彩香「さて、これで1000分の1サイズね。」
彩香は周囲を見渡す。
彩香「小人クン、もうどこにいるかわからないわよ。アッハッハッハ!」
大祐のはるか上空から笑い声が聞こえるものの、大祐は生きた心地がしなかった。
彩香の言ったことが本当なら、今の彩香は1600m近くの巨体を有することになる。
しかも、足のサイズだけで240mもあるのだ。
彩香「では・・・。」
その瞬間、彩香は部屋で横になっている大祐に気が付いた。
彩香「あれっ?」
彩香は、そのまま大祐の部屋の前で立ち止まっていた。
大祐「ん・・・!? 姉貴は何をしているんだろ・・・?」
物凄く不安げな表情を浮かべた彩香は急いでミニチュアの操作盤を動かす。
大祐のサイズがグングンと大きくなっていく。
大祐「おお、元に戻っていく!」
彩香「あぁ! やっぱりそうだったのね! 大祐ー、よかった、踏み殺さなくて!!」
大祐「うっ・・・。」
さらりと衝撃的な言葉を話す彩香に大祐はやれやれといった表情を浮かべていた。