§14 天国と地獄

大祐「姉貴・・・、今回ばかりは許さないんだから!」
彩香「もう、ごめんってば!!」
元に戻った大祐の怒りは全くおさまらない。
大祐「小さくなった僕がどれほど怖かったと思ってるんだよ!!」
バタン!
大祐はそのまま自分の部屋に入ってしまった。
彩香「さすがに、大祐を怒らせちゃったか・・・。」
彩香はそのままリビングに行き、ミニチュアをセットする。
操作盤を起動させ、ミニチュア上に大祐の部屋を出現させる。

大祐「うぅ~ん・・・」
彩香「ねえ、大祐・・・。機嫌を直してよー。」
寝そべる大祐の真上に彩香の巨大な顔が支配する。
大祐「うわっ! 姉貴、ミニチュアを使ったのか。」
彩香「大祐の好きなシチュエーションで、何か奉仕してあげるから。」
唐突な彩香の提案に大祐は思わず顔がニンマリとしていた。
その大祐の一瞬の表情を彩香は見逃さなかった。
彩香「今だけだと思うよー、こんなチャンスは。」
大祐「うっ・・・」
相変わらず狡猾な一面を持つ彩香に大祐はおそるおそる口を開いてみた。
大祐「あ、あのさ・・・。」
彩香「なぁ~に?」
大祐の恥ずかしそうな申し出に、彩香は母性心がくすぐられていた。
やがて、彩香は17cm程の大祐を片手で持ち上げると、自分の胸に抱いた。
そして、その大きな手で小さな大祐の体を撫で始めた。
大祐「へっ? 姉貴、何をす・・・」
彩香「どうしたいの?」
トクン、トクン・・・。
彩香の鼓動が小さな大祐に伝わる。
大祐は、その鼓動を聞くことで徐々に自分がやすらいでくるのを感じた。
小さいころの自分を思い出しながら、大祐は自分の姉に甘えたくなっていた。
そして、少しずつ、自分の体を彩香に委ねたい気持ちが強くなってきていた。
大祐「お姉ちゃん・・・。」
彩香「なーに? どうしたの?」
大祐「い、いや、なんでもない・・・。」
彩香に甘えることなど、小さい時以来なのだ。
大祐はいつまでもこの優しい空間に包まれていたかった。
気が付けば、大祐の顔は真っ赤になっていた。
それを知ってか知らずか、彩香は小さな大祐をさらにギュッと抱きしめた。
彩香「ふふふっ、カワイイ・・・。」
彩香の甘い吐息が小さな大祐の顔に吹きかかる。
大祐も彩香の大きな胸にしっかりと抱きついた。
大祐「もっと大きいのがいいな・・・。」
彩香の胸に抱かれていた大祐は、思わず自分の願望を口に出してしまった。
彩香「あら、いいわよ。」
大祐「えっ!? あ、姉貴?」
大祐が言い終わる前に、大祐は心地よい空間から無機質な床へと置かれてしまう。
大祐「姉貴、待って!」
大祐は、彩香のおっぱいがもう少し大きければという考えだったのだ。
その思いがたまたま口にでてしまっただけなのだ。
しかし、大祐の考えを誤解した彩香は、大祐をさらに小さくしてしまった。
大きさにして、200倍程度の差があるだろうか。
彩香「どう?」
大祐「う、うわわっ。」
小さな大祐がいる空間の前方が一気に暗くなる。
大祐が上空を見上げると、彩香の大きな足の裏が迫っていた。
先程の遠慮がちな彩香の行動など露にも感じられないまま、猛烈な勢いで彩香の足の裏が落下してくる。
相変わらず、足の裏はホコリなどが付着し、踵や指先が黒ずむなど、野蛮さを感じ取ることができた。
ズッシイイイン!!
大祐「うわあああ!!」
無機質な床と彩香の巨大な素足の邂逅に、大祐は言葉を失っていた。
パワーあふれる巨大な素足の着地は微弱な大祐を吹き飛ばしかけていた。
その衝撃に何とか耐え抜いた大祐は、慌てて彩香の動向を注視する。

彩香「あれっ? ヤバ、見失っちゃった。」
大祐「ね、姉ちゃん!!」
彩香「大祐、どこにいるの?」
その瞬間、暗かった大祐の前方はさらに暗くなる。
大祐の上空を占拠していたのは、彩香の巨大な臀部。
どうやら、彩香は屈んで小さな大祐を探そうとしているようだった。
大祐「ひぃ、ひゃあああ!!」
物凄いスピードで彩香の臀部が落下してきたが、辛くも彩香の臀部は途中で静止してくれた。
何とか、彩香の臀部による圧死は回避することができたようだった。
しかし、小さな大祐には別の脅威が襲いかかろうとしていた。
ギュルルル~
突然、大祐の真上にある彩香の体から異様な音が響いてきたのだ。
彩香「うっ、お腹が・・・。」
ブホッ!!
彩香が言葉を発した瞬間、大祐目がけて熱い気体が吹きかけられる。
大祐「うぎゃ、くせー!!」
先程の彩香の甘い吐息とは比べられないほどの酷く臭う気体だった。
この気体が彩香のおならであることを、大祐はヒドいにおいから強制的に気づかされた。
大祐「ね、姉ちゃん、ヒドイだろ・・・」
ブフゥー!!
大祐の叫びを無視して、再び上空から彩香のおならが吹き付けられる。
彩香「うーん、お腹が張ってるのね。」
大祐「姉ちゃあん、お尻の下にいるんだ、助けてー!!」
大祐が懸命に自分の所在を彩香にアピールする中、彩香は一つの決断を下す。
彩香「よしっ、出し切るか・・・。」
大祐は、彩香の発言に言葉を失った。
よもや、自分の弟が肛門直下にいるとも思わない彩香は、腸内の腐敗ガスを解放するというのだ。
こんな小さな体の状態で、姉の放屁を受け止めるなど、死刑宣告に等しい。
大祐「ま、待って!! 僕は下にいるんだって!!!」
シュウウウゥゥ・・・
大祐の主張など聞き入れられることがないまま、彩香の肛門からは腐敗ガスの開放が徐々に始まる。
大祐「ぐはっ、ゴホッ、ガハッ!!」
においにむせる大祐は自分の周囲から酸素が徐々に失われていくのがわかった。
そんな壮絶な環境にいる大祐に向かって、彩香の無慈悲な攻撃は遂に開始された。
ブブブッブブ、ブウ~、ブッ!
ブホッ、ブハッ!!
ブババッ、ブッ!
しばらくのち、ミニチュアの操作盤からはエラー音が響き渡ったのは言うまでもない。
しかし、彩香は大祐の生命を奪った方法にとんと見当がついていなかった。
よりにもよって自分の放屁が殺戮兵器並の威力を誇っていたなどそのときは微塵にも感じてはいなかったのだ。
かくして、大祐は天国と地獄の両方を一瞬のうちに味わうことになったのだった。