§20.まさかの秘密兵器!?


舞佳「小人・・・? 何で、勝手に上がり込んでるのかしら?」
ムギュッ、ムギュッ!!
舞佳の言葉に合わせて、大きな素足が大祐を踏みつける。
大祐「ぐわっ! ギャッ!!」
舞佳「最近、流行っているサイズ変換器を使って忍び込んだのね?」
ズシーン!!
勢いをつけて、舞佳の素足が一気に大祐へと振り下ろされる。
思いのほか舞佳の足の裏は固く、床との間に挟まれていた大祐は鼻血を出してしまった。
舞佳「何とか言ったらどうなの?!」
ズシーン!!
大祐「グフォッ!!」
舞佳の大きくてやや角質のある踵が、大祐の腹部を直撃する。
大祐の腹部には、舞佳の大きな素足が乗っかっている。
今の10分の1サイズしかない大祐のサイズでは当然のことながらびくともしない。
それでも大祐は両手を使って懸命に持ち上げようと努力していた。
舞佳「馬鹿な奴ね、私の足を持ち上げられるはずがないでしょう?」
そう言いながら、舞佳は大きな素足をグリグリと動かす。
大祐「ゴホッ、ガハッ!!」
あまりの大きな素足の重量にとうとう大祐は咳き込んでしまう。
そして、大祐はこの状態から抜け出すために、ユーザーベルトに手を伸ばす。

舞佳「キ、キャアアアッ!!」
大祐が元のサイズに戻った瞬間、素足を乗せていた舞佳はその場にひっくり返ってしまった。
そして、体勢を戻した大祐は急いで、ミニチュアのシートから脱出しようと試みる。
しかし、その瞬間、信じられない出来事が起こる。
大祐が脱出しようと走り出したにも関わらず、一向にミニチュアのシートの端の部分へと到達しないのだ。
しかも、ミニチュアのシートの外側に広がる大祐の部屋の家具がどんどんと大きくなっているのだ。
この現象に首をひねりながらも大祐は懸命に走り続けた。

ズシイイン!!

大祐の背後にひときわ大きな重低音が響く。
舞佳「ふう、間に合ったわ。」
大祐が慌てて振り向くと、そこには100倍はあろうかという舞佳の直立した姿があったのだ。
舞佳の手には世間を賑わせているサイズ変換器が握り締められていた。
舞佳「侵入者用に買っておいて良かったわ。」
大祐「う、うそ・・・。でかっ・・・。」
舞佳の大きさに見とれていた大祐は、すっかり言葉を失っていた。
ミニチュアの舞佳がサイズ変換器を持っているなど夢にも思わなかったのだ。
ズシイイン!!
瞬間的に我を失っていた大祐は、舞佳の踏みしめられる素足に正気を取り戻し再び走り出した。
舞佳「あっ、まだ逃げるの? これ以上逃げたら一気に踏み殺すけどいいの?」
舞佳の言葉に大祐は背筋が凍りついたものの、構わず走り続けた。
ズッシイイイン!!!
大祐「うわあああっ!!」
走りゆく小さな大祐の真横に、舞佳は巨大な右の素足を着地させた。
着地の衝撃で、大祐は横方向に転がされる。
転んだ大祐は、一瞬だけ仁王立ちしている舞佳と目が合った。
すると、足元で地べたに這いつくばっている大祐に対して、舞佳は微笑みながら口を開く。
舞佳「死ね。」
着地した巨大な右の素足が再び上昇する。
慌てて、体勢を立て直した大祐は前へと全力疾走する。
ズッシイイイン!!!
大祐の背後に物凄い衝撃が走る。
大祐の真後ろには、肌色の壁が迫っていた。
おそらくは、舞佳の巨大なつま先のはず。
振り返ることもなく懸命に走り続ける大祐の上空を、徐々に肌色の平面が侵食していく。
確認するまでもなくそれは舞佳の足の裏であろうことは、想像に難くなかった
猛烈な勢いで、舞佳の巨大な足の裏は小さな大祐に闇を与える。
大祐「や、やばいっ・・・!!」
死を感じ始める大祐に対して、巨大な舞佳は全く容赦することをしない。
再度、舞佳の巨大な素足は、小さな大祐を圧死させるべく降臨を始める。
大祐「う、うわあああっ!!!」

ズッシイイイン!!!

舞佳「あれ? どこにいったんだろう・・・。」
舞佳は射程距離に入った小さな侵入者を踏み潰した感覚を得ることはなかった。
間一髪ながら、大祐はミニチュアのシートから脱出することに成功していた。
ミニチュアの外に脱出できた大祐は、肩で息をしながら呼吸を整えていた。
しかし、ミニチュアの舞佳が操作したサイズ変換器は有効なようで、ミニチュアに脱出した大祐のサイズは変わらず100分の1サイズのままであった。
大祐「くそっ! 早く解除してくれないかな・・・。」
大祐の願いもむなしくミニチュアの舞佳は、懸命に小さな侵入者を探していた。
しかも、舞佳がサイズ変換器を握り締めているため、今の大祐では手も足も出ない。
そひて、イラつきを覚える大祐のことなど知る由もないミニチュアの舞佳はとうとう別の部屋に移動したらしくミニチュアから姿を消してしまった。
大祐「あー、もうっ!! どうすればいいんだ?」
落胆し寝転んでいる大祐に新たな危機がゆっくりと近づいてきていた。

ズシイイン!!
寝転ぶ大祐を諌めるかのごとく、強烈な一撃が繰り出される。
彩香「大祐ー、いるー?」
サイズ変換器で縮んでいる大祐のもとに、姉の彩香が現れたのだ。