大きな彼女と僕と(その2)

作:いと小さき人


※登場人物
 加登和貴 32歳 178cm 60kg                備考 国語高校教師
 長澤未来 22歳 180cm 56㎏ B85 W70 H90 S26.5  備考 和貴の教え子
 田中寛子 20歳 155cm 45㎏ B77 W65 H78 S23.5  備考 アルバイト店員
                      
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家に戻った和貴は、寛子が落とした錠剤を確認することにした。
落とした錠剤は、赤い錠剤が1個、青い錠剤が3個、黄色の錠剤が2個であった。
先程の寛子の説明によれば、赤い錠剤は2倍、青い錠剤が10分の1、黄色の錠剤が効果打消しとのことであった。
和貴は早速錠剤を試してみたかったが、詳細を知らないまま飲んでトラブルを起こしたら一騒動になると考え、自重した。
しかし、和貴は逸る気持ちをなかなか抑えることができなかった。
自分を覆い尽くさんばかりの寛子の素足の迫力を思い出すと、和貴の股間は再び熱くなってくる。

♪♪♪~

そんな和貴を落ち着かせるかのように、メールの着信音が部屋に響く。
時間はちょうど21時になろうとしていた。
和貴がメールを確認すると、その相手は未来からであった。
『夜遅くすみません。
 昼間借りてたUSBを返しそびれてしまって・・・。
 明日の朝、返却すればよいですか?』
USBの存在などすっかり忘れていた和貴は、未来からの申し出通りに明朝の返却にしようとメールを打ち始めた。
しかし、ここでよからぬ考えが和貴を支配する。
そして、一計を巡らせた後、和貴は未来に返信をした。
『どうも、こんばんは。
 実はそのUSBなんだけど、今日どうしても使わないといけなくて。
 できれば、僕のアパートまで持ってきてくれませんか?
 僕は、知人と食事をしているので、鍵を開けてパソコンの近くに置いてください。
 アパートの鍵は、郵便受けの中に入っています。
 宜しくお願いします。
 僕のアパートの場所はわかってるよね?』
程なくして、未来から返信が届く。
『はい、大丈夫です。
 今から先生のアパートに向かいます。
 ご迷惑をかけてすいませんでしたm(_ _)m』
この内容を見た和貴は、思わず声を上げてガッツポーズをした。
そして、そそくさと鍵を郵便受けの中に入れ、部屋の電気を消す。
そのまま、和貴は月明かりが漏れるリビングの方向へ向かい、先程の錠剤を取り出す。
和貴「えっと・・・、青い錠剤が小さくなるんだよな・・・。」
そして、和貴は青い錠剤1粒を一気に飲み干す。
すると、全身を倦怠感が襲い、全身の力が抜けていった。
和貴「ううっ・・・、気持ち悪い・・・」
そのまま、和貴は意識を失った。

ガチャガチャ、ギイイ、ズゥン、ズゥン・・・
一連の大きい物音に和貴はハッとして目が覚める。
和貴の周囲を先程まで身につけていた服が覆っている。
未来「では、お邪魔しまーす。」
ズーン
和貴は慌てに慌てた。
なんと、気づけば、もう未来が和貴の自宅内に侵入している。
和貴は素っ裸であることも忘れ、大急ぎでパソコンデスクの下に潜り込む。
寸前のところで、リビングの明かりが灯る。
未来「失礼しまーす・・・」
和貴は、部屋の入り口付近に現れた未来に大いに興奮した。
髪をおろし、黄色のワンピース姿に生足というラフな姿で登場した未来は、周囲をきょろきょろと見回している。
和貴は、未来の素足に視線を向ける。
赤々としたやや長めの指先に、光沢のあるピンク色に染まった爪もさることながら、その大きな素足に和貴は、すっかり釘付けになっていた。
未来「あ、パソコンはここね。」
その瞬間、未来の26.5cmもの右の素足が持ち上がる。
滅多に見ることのできない未来の足の裏を見ようと、和貴も前傾姿勢になる。
体温が高いからか未来の足の裏は赤黒く、指先の付け根付近にはタコらしきものも確認できた。
和貴「おお・・・」
やがて、未来の素足は床を踏みしめる。
ズーン
続いて未来の左足が持ち上がる。
和貴は未来の一連の動作を一挙手一投足まで見逃さぬように真剣に見つめていた。
ズーン!
やがて、和貴が隠れているデスク下付近に未来の素足が振り下ろされる。
和貴の眼前に未来の左の爪先が存在している。
距離にしてわずか20~30cmほど。
未来の素足に触れてみたい衝動に駆られるものの、和貴はグッと堪えていた。
未来「これでよしっと。」
未来が言葉を発したその瞬間、パソコンデスクから何かが落下してきた。
和貴がその物体を注視してみると、それは和貴が帰宅してから外した使用済みのコンタクトレンズであった。
無造作に置かれていたそれは、すでに水分も飛び、乾いた状態になっていた。
和貴「あちゃあ~、置きっぱなしだったもんな・・・」
ズーン!
パキッ!
その物体に未来の素足が乗っかったのはその直後であった。
未来「さて、帰ろうっと。」
未来が素足を持ち上げるとそこには、素足から発せられた水蒸気で浮かび上がった足型と粉々に破砕されたコンタクトレンズがあった。
当然、未来の重さに耐えられるはずもなく、コンタクトレンズはものの見事に粉砕されていた。
和貴がその様子を目を凝らして見ようと身を乗り出すと同時に、未来は強靭な足音を響かせながら部屋から出て行ってしまった。
和貴「う、わあっ・・・、粉々だ・・・。」
未来が部屋を出て静寂が訪れたリビングで、和貴は踏み潰されたコンタクトレンズを凝視していた。
あまりにも圧倒的な巨体を有する未来に対して、和貴は畏怖の念さえ抱いていた。
未来「いっけなーい。電気を消し忘れちゃったわ。」
ズン、ズン!
和貴「えっ!? 何だって!!」
まさに不意打ちであった。
和貴は未来が帰宅したものと思っていたので、素っ裸の状態でパソコンデスクの下から這い出てきていたのだ。
そもそも電気を点けっぱなしの状態なのに未来が帰宅したと考えた時点で、和貴の考えは浅はかだった。
この状況下では、パソコンデスクの下に隠れるのは間に合わない。
和貴は、大急ぎで脱ぎ散らかされた服に潜り込む。
ガチャッ!
未来「ん?」
未来の疑念の声が聞こえる。
おそらくは、リビングを走る和貴の姿が多少なりとも目に留まったのだろうか。
しばらくの静寂の後、未来は脱ぎ散らかされた和貴の服に近づいてきた。
和貴(あぁ、やばい・・・。どうしよう・・・)
このままでは、間違いなく未来に見つかってしまう。
そう思った和貴は、ポケットの中にある錠剤にかぶりついていた。
未来「え・・・、やっぱり何かいる・・・?」
未来が床に無造作に置かれた服を持ち上げるも、そこには何の生き物もいなかった。
一応、持ち上げた服を左右に振ってみたものの、何も落ちてこない。
未来「あれ・・・、気のせいだったのかな・・・?」
未来は丹念に服を調べてから床に視線を移す。

和貴「うわあああ!!」
未来が床に視線を移したのと同刻、和貴は意識を取り戻していた。
そこには、圧倒的に巨大な未来の姿があった。
現在の和貴の大きさは正確にはわからないが、少なくとも未来の足の指を見上げるほどになっているため、体長わずか5~6㎜といったところではないだろうか。
もし、そうだとすれば、和貴サイズで未来は300~400倍近くも巨大な存在ということになる。
あまりの未来の巨大さに和貴は、すっかり言葉を失っていた。
未来「さ、帰ろうっと。」
未来は床下の和貴に見向きもせず、持ち抱えた和貴の服をきれいに畳みはじめた。
そして、未来は和貴の服を持ち抱えたまま、部屋を出ようとしていた。
和貴「あっ、その服を持ってかないでくれ!!」
和貴の服の中には、あの錠剤が入っている。
そのままどこかに置かれては、元に戻ることが極めて難しくなってしまう。
和貴「な、長澤先生!!」
直立不動の状態である未来は後ろを振り返るべく巨大な左の素足を持ち上げ、和貴の視線のはるか前方にその素足を振り下ろそうとする。
ズシイイイン!!
和貴「ぐわあああ!!」
未来の素足の着地は、小さな和貴を転ばすことなど造作もなかった。
やがて、未来の巨大な右の素足が持ち上がる。
仰向けに転がった和貴の上空を実に雄大に未来の足の裏が通過していく。
ズシイイイン!!
和貴「うひゃあ!!」
一歩一歩確実に未来は、リビングから遠ざかろうとしている。
こうしてはいられない、と和貴は大急ぎで未来の巨大な素足目指して走り出す。
和貴「ま、待ってくれ!!」
ズシイイイン!!
しかし、小さな和貴の全速力など、未来のたった一歩で相殺されてしまい、まったく追いつくことができない。
和貴「そ、その服を置いていってくれー!!」
とうとう未来は、部屋の出入り口に到達してしまった。
和貴は、部屋の中央で跪き、未来に懇願した。
和貴「た、助けてくれー!! 長澤先生!!」
未来「さあ、帰ろう・・・、っと、あららら。」
未来がドアを開けた拍子に、持ち抱えた和貴の服から何個かの錠剤が落下してきた。
そのうちの1つが和貴の方向へと転がってくる。
和貴「うわっ、危なっ!」
体長5~6㎜程度の和貴からすれば、今の錠剤は鉄球みたいなものである。
和貴は何とか反射的に避けることができた。
未来「えーっと、これと、これと、あ、もう一つあるわね。」
ズシイイイン!!
ズシイイイン!!
未来は、和貴の方向に転がってきた錠剤を拾うため、自らの巨体を再び和貴の方向へと移動させる。
和貴の眼前には、あの巨大で赤黒い足の裏が迫ってくる。
先程まで未来に追いつこうとしていた和貴は、踵を返して未来から離れようと試みる。
しかし、巨大な未来の歩幅は、小さな和貴の全速力など全く意に介さない。
あっという間に和貴の近くにまで未来の素足は接近してきた。
ズシイイイン!!
和貴「うわ、うわあ!」
未来「あれっ。錠剤の近くに何かいるわ。なんだろう・・・?」
和貴はその未来の言葉に後方を振り返る。
未来「アリ・・・かしら。踏んづけてあげるわね。」
和貴「えっ?」
その瞬間、和貴の上空を未来の巨大な足の裏が覆う。
大きさにして実に100m近くはあるのではないだろうか。
その天空のごとき広さを有する巨大な足の裏が和貴めがけて降ってくる。
和貴「うわあああああ!!!」
和貴は猛ダッシュで走り出す。
ズシイイイン!!
物凄い衝撃が和貴に襲いかかったものの、和貴は辛くも逃げ切ることに成功していた。
未来「あれ? 素早いわねー。」
再び、未来の巨大な素足が持ち上がる。
全速力で走った和貴は、何とか転がってきた錠剤までたどり着いた。
未来「あ、錠剤にくっついてる・・・。どうしよう・・・。」
和貴は、ひとまずほっと胸を撫で下ろす。
おそらくこの状態をキープできれば、未来はあの凶暴な素足を振り下ろすことはない。
あとは、巨大な未来の動向に注意すればいいだけなのだ。
未来「ま、いっか・・・。さすがにその錠剤はもう飲めないだろうし。」
和貴「頼む、後は服を置いていってくれ・・・!!」
未来「アリくん、命拾いしたと思ったでしょ?」
その瞬間、未来の巨大な爪先が錠剤目がけて急接近してくる。
ブウウウン!!
和貴「ぐわあああ!!」
未来は、和貴がくっついたままの錠剤を巨大な素足で弾き飛ばした。
当然、和貴も弾き飛ばされたものの、錠剤は勢いよくパソコンデスクの方向へと飛ばされてしまった。
未来「あら、アリが錠剤から剥がれ落ちたわ。」
和貴「ぐ、ううっ・・・。」
未来「じゃあ、踏んづけてあげるわ。」
吹き飛ばされた和貴の周囲には隠れるものが何もない。
その状況で、和貴の上空には、赤々と怪しく色づく巨大な平面が出現する。
このままでは、間違いなく未来に踏み潰されてしまう。
と、そのとき、上空の未来が悲鳴を上げた。
未来「イタタ・・・。足に何か刺さったみたい・・・。」
未来ののもう一つの巨大な足の裏からは、出血が確認できた。
よく見ると、先程の割れたコンタクトレンズが運悪く突き刺さったようである。
和貴はこれ幸いと、大急ぎでパソコンデスクの下を目指す。
未来「あれ? アリもいなくなっちゃったか・・・。」
こうして、未来は足の裏の出血をティッシュペーパーでふき取り、和貴の服を持ち抱えたまま部屋を後にした。
和貴「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
和貴は一歩間違えば未来に踏み殺されかねない状況だったことを考えると、足が震えあがっていた。
しかし、今までで味わったことのない気持ちの高揚に、和貴は笑みを崩せずにいた。
和貴「はっ、どうやって戻ればいいんだ?!」
ハッと我に返った和貴は、未来が親切心で脱衣所へ置いていった服を暗闇の中、一晩中かけて探し回った。
結局明け方までかかってどうにか黄色い錠剤を発見し、元に戻ったもののもうすでに出勤しなくてはいけない時間になっていた。

(続く)